ぱるりろん
「ひつじの鍵」の2冊目の同人誌。
本編では高校生だった羊がここでは大学生、20歳になる年の始まり、ニューイヤーパーティーのお話。
本編の後日談です。
一色視点のお話でした。しかも、本編の一色とあまり変わらない、大人としての良識を残した描かれ方をしていました。よかった。「baa-lamb」の一色はやっぱり、若い子と付き合い始めで恋に頭をやられてた一過性の人格だったんだ(と解釈)。
もっとも私が当初期待していた葛藤だのなんだのはこちらでも描かれていないんですけど、キャラが壊れていないだけでもうOKです。(ハードルがすごい下がった)
株式会社トシマの創立五十周年と新年会、そして会長(前社長)の80歳の誕生日のお祝いを兼ねて開催されるパーティーに、一色が招待される、というところから始まるお話。
パーティー会場で、羊は、自分の態度一つで父に恥をかかせてしまうことを分かっていて人知れず気を張ったり、勘違い男のナンパをきれいに躱したり、粗相をした小さい子とその親に気遣いを見せたり、行儀よくそつなく立ち回ります。
物腰柔らかく腰も低く常に相手を立てる登島社長(羊の父)、羊を孫のごとく可愛がる会長、羊への陰口をたたきまくる面々。
そうしたあれこれを俯瞰しながら、自身は招かれた客として適した振る舞いをする一色。
前半はそういう構図が描かれていました。
一色も羊も、この距離感が私はとっても安心します。たとえよそ行きだったとしてもです。
二人で居るときの恋愛モードの彼らはあまりに幼くて、傍若無人過ぎて、時にひやひやするのです。
おそらくメインはこの恋愛モードの方なんだろうと思うのですが、こんなに短いお話ですら、パーティー会場のホテルのトイレにこもるんじゃないよ、と、読みながらナントカ警察が現れてしまう。
一色は大人なのにどうして、と思ってしまう。
隠さないといけないのだから家の中ならいいけど、外ではまずいでしょうなどと。
小うるさい読み手で申し訳ないです。
きっと私は本当の意味での「ひつじの鍵」の読者ではないのでしょう。