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空飛ぶためなら、男にも…欲情する?
okusennpai wa mahoutsukai
可愛い、のだけど
マイナスの感情というものは、周囲までダウナーにさせますね。
いつも愚痴ばかり言うひとと話した後、自分まで気持ちが重くなるような。
そんな嫌な後味が残りました。
魔女の末裔と言い張る奥と、エネルギーが有り余っている魔力持ちの千。
2人の目標は空を飛ぶこと。
魔法使いなのに魔力がない奥に千の魔力を移すには、性的なことをするしか方法がなくて…。
という話です。
奥は弱そうなのに偉そうという小動物的な可愛さがあります。
ただ見るからに陰キャなので、新入生女子の裏アンケートで「彼氏にしたい先輩ランキング２位」という情報がどうも噛み合わない。
高1の女子ってまだ夢見がちで、周囲の人間を惹きつけるような、分かりやすい魅力のある先輩に憧れる時期。
高身長でもなければ、ぼっちで、ファッションに興味のなさそうな無造作ヘアの奥は、ニッチな需要しかないように思うんだよなあ。
特に後に引っ張るわけでもない、違和感しかないこの設定、必要だったのかなあ？と思ってしまう。
そんな奥と「血の契約」をしたことで、奥に対して欲情してしまう千に目をつけたのが、奥の従兄弟の大綺。
この子が嫌な後味の原因でした。
魔力を貯めるために男女問わず食い荒らすヤリチンビッチ。
しかも幼少期から、奥の大事なものを奪うのが大好き。
奥が傷付いた顔を見るのが好きと言う、負のエネルギーに溢れた子なんですよ。
この子が絡んできたことで奥と千の関係が進むので、必要不可欠ではあるけれど、見ている方は負のエネルギーに当てられてしんどい。
千の魔力が大きいから欲しいというのならまだ納得もいくけど、ただ奥から奪いたいだけ。
途中、大綺の策略で、千が大綺の言いなりになる下りがあるので、地雷多めの方はご注意を。
と言ってもキス止まりですが、大綺という人物を嫌いになるには十分で。
そんな大綺の恋の話が最後の〆として収録されているのも、萌えない。
本編でここまで嫌わせておいて、実は本当に好きなひとに好きになってもらえないとかいう設定を出されても、「そんな性格だからだよ」としか思えず。
相手が「奥の方が可愛い」と言うから、余計に拗らせたんだろうけど、そこも「だってそんな性格だからだよ」としか…。
そんなわけで、当て馬の性格が悪すぎると、メインCPが可愛くても嫌な気分が心の底に残ってしまうという経験を初めてしました。
何か可愛くて明るい作品を用意してから読むことをおすすめします。
これ、タイトルは……。
もう、「奥様は魔法使い」で良かったと思うの。せっかく本編でネタ振りしているのに、肝心のタイトルが日和った感じになっていて、何とももったいない（笑）。
空を飛びたい高校生×魔法使い一族の末裔の先輩のお話。あらすじや帯の煽り文句がえらいことになっていますが、表紙絵通り、ひたすらあまあまライトな作品です。
作者さんが「ラノベっぽい設定にしたかった」とおっしゃっているように、本作の魔法使いが魔力を蓄える手段は、何と性行為。正確には、性的興奮をエネルギーに変える、ということですが、要はエロいことして魔力を貯めて、魔法を使おう！という。うん、確かに男子向けラノベや少年漫画にありそうな設定。でも、これ、BLですけどね（笑）。
魔力を貯めるにも適性があるらしく、魔法使いの先輩（受け）から魔力供給のための「奴隷」に指名され、契約を迫られた攻めくん。最初は「え？男？えー〜〜……」みたいな所から始まるのですが、長年の夢であった空を飛ぶことができる、と言われ、うっかり受け入れてしまいます。ここからがまあ、童貞同士なもんだから、もじもじもだもだして（主に受けが）、魔力が貯まらない。この辺りで、ツンギレメガネの先輩の可愛さが、徐々に解禁されてゆくのですが、そんな所に、攻めに目を付けた受けの従兄が、自分に乗り換えろと無理やり迫り、あまつさえ強引に契約を結ばされてしまって……。
結果的には大団円、くだんの従兄とその思いびとのスピンオフも入ってます。明るく可愛くちょっと不思議系なBLを読みたい気分の時には、アリな作品だと思います。
