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大好きな短編集です。6篇のどれも語シスコにしか描けないと強く感じる個性あふれるカタルワールド。表題作の『その町で男はバスを降りた』と『チャキ』はコミカルを封印したシリアスで切ないお話で、その他はコミカルなお話なのですが、どちらのタイプの作品にも共通する沢山のモノローグがたまらなく好きです。難しい言葉は一切なく普通の言葉を使って、ただ心の内を素直に吐露しているだけなのに、言葉の並びに独特のリズムがあってとっても心地よくて、しっとりと時にはガツンと心に入って来ます。
・『チャキ』
生き別れの兄弟じゃないかと思えるぐらいに気の合う親友同士のチャキとケイゴ。好きになった相手がチャキが長く付き合う男だと知って…。
ケイゴ視点のお話で、二人の仲はまだこれからというお話なので、チャキ視点も是非読んでみたいなと思いました。
・『シークレット エージェントマン?』
主役は横暴でアホな彼氏に気持ちが冷めつつある直人と謎の男セージなんですが、直人の彼氏の圭介が良い味を出しています。本当にアホなんですがアホさ加減が憎み切れない(笑)カタル先生は『左巻きのベイビー』収録の「ワンオフラバーズ」でも似たような組長のバカ息子を描いているんですが、あちらは憎み切れないどころか、未だに続編を切望する大好きキャラです。
謎の男セージは、カタル先生がお得意の“強気で俺様なのに穏やか”という「不思議な大人系」。カタル作品のこのタイプの攻めが大好きです。
・『嘆くなり我が世のファンタジー』
こちらも「不思議な大人系」攻めです。画面いっぱいに繰り広げられる下品な言葉攻めと、笑えて泣けるモノローグ。カタル先生の真骨頂です。ラストのモノローグが笑えて切なくて、最初から読みなおしたくなること請け合いです!
・『その町で男はバスを降りた』
『LOVE&CATASTROPHES』収録の「何処へも帰らない」シリーズ(続編は『ラブ?YES』収録の「色は匂へど散りぬるを」)のような文学的な作品です。前作でもそうでしたが、誰かが誰かを救い、その誰かがまた誰かを救う。先生のペンネームのカタルシスが色濃い作品たち。やっぱり先生は天才だなと唸ってしまった。
・『哀愁とシューマイ』
シューマイにトラウマを持つ卑屈な主人公成田と、容姿、家柄、性格の良さとすべてを持つ新入社員の松岡。松岡の人生に汚点を付けてやろうと強引に体の関係を持った成田ですが…。
成田のシューマイのエピソードが泣けるんです(T_T)。新聞紙に張り付いて残っていたシューマイだなんてよく思いつくよなぁ。カタル先生のこういう感性が大好きだ。
・『クリスマスだからって訳じゃないけど』
これ大好きです!ゲイだと言うことに未だ悩む聖夜と間借り人の三田。ストーカー対策にゲイ小説の台詞で模擬Hするくだりが最高に面白いです。普段はお坊ちゃまよろしく丁寧で穏やかな話し方の三田が、ここぞとばかりに怒涛の下品な台詞を吐くのが楽しくて、最後まで三田の正体に気付かない聖夜の鈍さも最高に面白かった。この手の攻め、やっぱり好きだー!
この他、愛犬や編集者のことを描いたちょっとしたコラムのようなページも、本当におっかしくって声を出して笑いました。カタルワールド最高です\(^o^)/
すっかり語シスコさんの作品にはまってしまいまして、私が読んだのはこれで4冊目になります。
全体的に切ない&シリアス寄りの作品でしたが、可笑しいしエロいところは健在です。
こんな作品は後にも先にも登場しない、絶対に語シスコさんしか描けないと思ったのが【嘆くなり我が世のファンタジー】
良識ある大人のスーパーゲイを自認する32歳のゲイが語り部となって、新人類ゲイ(19歳)との出会いから、これから自分たちの間に起こるべきである出来事、そして彼の身に起こると思われる出来事を怒涛のモノローグと会話で綴っていくのです。
あそこをフェレットに見立てた言葉責め、そしてエロ小説そのまんまの言葉責めや、酸いも甘いも噛み分けたゲイの達人がハナタレ小僧ゲイを指南していくさまは面白い。
そして若い彼がこれから先10年間に渡って経験するであろう事に思いを巡らし、それらを経験した先に「立派な大人のゲイになることだろう」とあるのですが、それらの予測される出来事は、すでに立派な大人のゲイとなった32歳の男が過去味わってきたものである事が容易に推測できるので、そこが何ともやるせなく切ない。
しかし、大人であるはずの彼が、19歳ゲイの元彼と対面し「僕は‥‥(恵多くんの最後の男になる…)…予定の飯島です。」と自己紹介をした後、超激辛ペペロンチーノに対抗して超超激辛ペペロンチーノを頼んで、辛いもの対決をしている姿があほだー!!と爆笑しました。
【哀愁とシューマイ】
リーマンもの。出来過ぎなくらい完璧な後輩の輝ける人生に汚点を作ってやろうと咥えたのをきっかけに身体の関係を始めたのだが……。
モノローグが秀逸。
しかし「勃った 勃った クララが勃った」には笑えた。
【「チャキ」】
生き別れの兄弟じゃないかってくらい気が合った二人とまさかの三角関係物語。
気が合うという事は好きになるタイプも一緒という事なのかもしれない。
【シークレットエージェントマン?】
高校生カップルの前に登場した正体不明の男セージ。まさかの息子での腹話術(?)には笑いました。斜め上をいく展開。
【その町で男はバスを降りた】性的虐待ものでこれはキツかったです。お互い同じ相手に虐待をされた者同士が救済されるお話なんだけど、性的虐待する養父はさる事ながら、母親がクズだと思います。性的虐待を語シスコさんが描くとこうなるのだな、と思いました。
【クリスマスだからって訳じゃないけど】自分がゲイだと認識した主人公はクリスマスイブの夜、発展場でとある男と一夜限りの関係を結び……。
これは予想通りの展開ではあるけれど、途中でストーカーに盗聴器をしかけられているかもしれないからと、これ以上ないって位のゲッスいゲイ小説を音読しあうところが語シスコさん流でした。
語シスコさんと名乗られているくらいなので、カタルシスを得られた度合いで評価してもいいよね?ってことで、私は断トツでこの短編集が★5です!
読んでたらモヤモヤがなんか色々晴れました。
でもあんまり評価高くないですねー。あれ~?
6編入ってるんですけど、色んなトーンがバランスよく混在していて最後まで飽きずに楽しめました。
短編集ながらも読み応えはページ数以上だと思います。
『その町で男はバスを降りた』
表題になっているこの作品がとにかく良かった!
都会に逃げたいと思っている高校生の〔巧〕と、都会から逃げてきた訳ありの男〔弘樹〕が出会って一緒に過ごすことで、互いの存在が本人にそんな気はなくとも互いの救いに繋がっていたというお話。
“人は必ず誰かを救っている”という不変の真理を、語シスコさんらしく、切なくそれでいてどこかカラッとした空気感でもって描かれています。
おじさん(巧が逃げたかった原因)も誰かに救われたらいいけど、どうだろな…おばさんじゃ無理なのかな…
『嘆くなり我が世のファンタジー』
次いで好きな作品。
人生を達観(もしくは諦観)し始めるお年頃に突入した大人のゲイと、まだまだこれからのひよっ子ゲイの話。
切なさと可笑しさが絶妙に混ざり合った主人公の一人語りで進んでいくストーリーは、これぞ語シスコ節という感じ。
オチがいい!
『哀愁とシューマイ』
意固地で卑屈な主人公が、真っ直ぐで澱みのない同僚に救われる話。
トラウマ(=シューマイ嫌い)を抱える要因になった主人公の過去が悲し過ぎる…
これも良かったです。
『チャキ』
主人公が人生のドン底だった時に救いを求めて一度だけ一方的に身体を繋げた親友への恋心を、何年も経て自覚する話。
これはもうちょっと先まで読みたかった気もします。
『シークレットエージェントマン?』
『クリスマスだからって訳じゃないけど』
この二つはアホっぽさがいい感じで笑えます。
「シークレット~」の攻めは結構なトンデモ野郎なんだけど、飄々としたキャラが何か憎めない。好きだー。
短編集。
表題作は、養子に入った先でそこの義父に犯される少年が主人公なテーマとしては重めな話で、ある意味ありがちなテーマでもあると思うんですがそれを語シスコさんが描くとこうなるのかー、と凄く納得したというか何というか。
全体的にエロはエロくて汁ダクなんだけど、登場人物はどこかしら乾いていたりベタベタしていないというかカラッとしている。
ストーリーの匙加減も凄く好み。
語シスコさんはおそらく1冊読んで萌えツボに入った人なら、前作好みなんじゃないかなあと思う。
そういう意味では凄く安定感のある作家さんの一人。
人の心は矛盾だらけ…
正にそれだよ。そこを突きまくる6作品収録。
「チャキ」
お互い男が好き、という事でチャキと大親友になったケイゴ。
ずっと彼がいなかったケイゴにも好きな人ができてチャキも喜んでくれるけど、今度はチャキの方が色々うまくいってないらしい…
…もうここで話見えてくるよね…
同じ男を好きになる親友同士。でもチャキは言う。
誰も悪くない 多分
この話のラストは意外と呆気なく、意外と明るく、意外とさっぱりしている。だけどこれでいいんだ、多分。
「シークレット エージェント マン?」
高校生の直人のカレは、ヤクザの組長の息子・圭介。
いじめられっ子のヘタレだったくせに、パパのご威光で取巻き連れてやりたい放題。
ある日圭介のパーティーで、1人で寝ていた直人は圭介の取巻きの1人セージに犯されてしまうが…
…という冒頭。このレイプにはウラがあって。
直人ってただの弱々しい子かと思ってたけど、結構心が強いの。だからこの話が面白く読める。
「嘆くなり我が世のファンタジー」
電車内で痴漢呼ばわりされて、大変な口論の末にマンションのエレベーター内で怒りのレイプ。
…という最悪の出会いからの思いがけない、いや、斜め上すぎる結末まで全く目が離せない。
好きだった男と別れて自分を選ぶ恵多を慰めつつ、心の中でモノローグする飯島の未来予想。
この辺から、え〜っそういう話⁈と驚く事請け合い。目が点になった。
「その町で男はバスを降りた」
さすが表題作。重く深く、そして泣ける。
両親が事故死し、親戚をたらい回しされて結局父の遠縁の子のいない夫婦の養子となった巧(たくみ)。養父は教育委員会の教育長。だがその裏で…
家に帰りたくない巧が、無人の屋敷の庭で出会った男と親密になっていくが。
この短さの短編でなんと濃密な設定なのか。
こんな酷い境遇、それでも生きていく。決して諦めではなく投げやりでもない。語シスコワールドには何ものにも負けない自己、希望がある。
「哀愁とシューマイ」
なんつータイトル⁈
だけど、シューマイ嫌いの主人公にはシューマイが嫌いになる理由がある。
シューマイが嫌いだっていいんだ。誰も困らないんだ。シューマイはオレなんだから。オレは自分が嫌いなんだから。
なのにイケメンで育ちが良くてみんなから好かれる騎士のような男が愛を囁いてくる。オレはその愛を掴んでもいいのか?
好きなのにキライ、キライだけど好きでたまらない、それが人間の矛盾。
「クリスマスだからって訳じゃないけど」
男のストーカーに追われてるかも?と不安な聖夜。実は一度ハッテン場で見知らぬ男とヤった過去あり。
だけど「ストーカー」は本当は⁉︎というお話。回りくどいんじゃないの?でもいい子にはいい愛がやってくる!
全作、矛盾する心を抱える男たちへのエールのような作品。語シスコワールド炸裂です。傑作。
いつもアウトローな登場人物達が、少し切ない経験や気持ちを感じながらもコミカルに、まいっか、、的にハッピーエンドを迎えていた作品が多い語作品ですが、この一冊はどちらかというとその抑えれた切なさが前面に出た、やるせなさも含んだ短編集です。
表題は、両親を失くし養子に行った親類宅で父親からセクハラを受けている高校生・巧が、いつも訪れてはぼーっと景色を眺めている場所でバスで見かけた男・弘樹と出逢うことから話が始まる。
義理の親との距離を感じ、本当の自分というものとのギャップを深く感じている巧と、訳ありで人生に絶望した弘樹。
彼らの心が寄り添い、お互いが救いの関係になる部分が痛みを感じる。
友人と自分の恋人は同じ人物だった!?
そこから、その友人への恋を自覚する『チャキ』は、まだまだこれからだよーというエンドが。
恋に傷つきながら、大人の男の元へ戻っては、また出て行くを繰り返す『嘆くなり我が世のファンタジー』では、大人の子供の恋を見守る姿を
シューマイのトラウマ(?)を乗り越えて、嫌いだった新人と恋人になる『哀愁とシューマイ』
いずれも身体の関係やエロはただ快楽の為だけでなく、心を通わせ、傷を癒す行為として登場しているのは、必然要素として、ただのエロを狙ったものではないことがわかる。
それら切な系の話の中で幾分『シークレットエージェントマン』と『クリスマスだからって訳じゃないけど』はおバカ要素な話で、作品の暗さに一息つける役を担っている。
全体を通してもバランスのよい、作家の持つ根底部分が出た作品ではないでしょうか。
過去に表紙買いした作品。
短編集の中で私が一番好きな作品は、哀愁とシュウマイです。
過去のトラウマでシュウマイ嫌いになった受けと、なんでもそつなくこなす金持ちイケメン攻め。攻めを気に食わない受けが、嫌がらせで始まった関係がズルズルと続いて・・・。口では何とでも言えるけど、初めから攻めが気になっている受けの変に虚勢を張っている所が可愛い。攻めは元々ノンケのはずですが、受けの態度に惹かれていて、嫌がらせや嫌味を言われても受けとの関係を止めない所にキュンときました。
その他の短編は、すみませんがあまり好みではなかったです。。。あ、でも「チャキ」は結構好きです。
シスコさんらしい短編集。
養子にもらわれた先で、養父にいけないことをされる日々。何やら思うところありげな養母。耐えられない境遇の中、隠れ家のような別送で出会った青年。
雰囲気のある設定ですが、その青年にも訳がありそうで。。
シリアスな作品です。
他に、シューマイのトラウマを乗り越える話があります。リーマン同士。何でもできる後輩にいたずらしたら好かれてしまい、最初はひねくれていた主人公も次第に。。
「クリスマスだからって訳じゃないけど」は、ヤクザの息子とつきあっていたが倦怠期。無理矢理知らない男にされてしまうが、意外に優しい人なのか?
最初は痛いが後に甘くなる展開のお話が多いです。ただただ好き同士、というわけではなく、痛さも適当さもあり、人間くさいお話が作者さんらしいです。