月代ファン、若衆髷ファン待望の本格派大江戸BLが登場!!

とりどり(表題作 色に見篭は山吹の盛)

toridori

とりどり(表題作 色に見篭は山吹の盛)
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神1
  • 萌×26
  • 萌4
  • 中立4
  • しゅみじゃない0

--

レビュー数
4
得点
45
評価数
15
平均
3.3 / 5
神率
6.7%
著者
雁皮郎 

作家さんの新作発表
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媒体
漫画(コミック)
出版社
KADOKAWA(エンターブレイン)
レーベル
B's‐LOVEY COMICS
発売日
価格
¥679(税抜)  
ISBN
9784047344242

あらすじ

花のお江戸を艶やかに、男同士の色恋模様が咲き乱れる――。
井原西鶴の「男色大鑑」を原作に、仇討ちに燃える美少年と没落武士の恋、歌舞伎若衆とやんごとなき身分の方の恋などを鮮やかに描く。
ほか、人情味あふれる江戸の長屋で育まれる、同心と町医者の恋色と恋など、とりどりに彩られた、江戸の男たちの恋模様をお楽しみあれ。
圧倒的筆力を持った新人・雁皮郎の記念すべきデビュー作。

表題作とりどり(表題作 色に見篭は山吹の盛)

浪人(元松山藩士)
松江藩の小姓

同時収録作品形見は弐尺三寸

26歳、元同僚
18歳、小姓

同時収録作品ふきよせ長屋

同心
医者

同時収録作品蕎麦屋と幽霊

蕎麦屋
幽霊

同時収録作品身代り花嫁

一之助の姉と結婚を控えている
慶太郎の許嫁の弟

同時収録作品忍びは男女床違ひ

女形

その他の収録作品

  • 描き下ろし

レビュー投稿数4

カバーが豪華

劇画風味の圧倒的筆力が、江戸時代を舞台にした作品にとても似合っている短編集。
絵のひとつ一コマはすごく素敵。
髷も着物も蓑傘も、こんなにちゃんと描いてあると、とても安心して江戸の世界に浸れる。
ただ、最初の2作品は、どうしても「井原西鶴の「男色大鑑」を原作に」ってあたりで、ダイジェスト版的な忙しさというか、説明文が多くて全体に駆け足な感じがちょっとわかりにくかったかな。
オリジナル作品の方がゆったりほんわかで好みでした。

0

いろとりどりの江戸の花

時代物BLという新たな分野となるのか、なるとしたらぶっちぎりで第一人者となるであろう恐るべき新人「雁皮郎」さんの、これがデビュー作であります。
先だって「男色大鑑」の3部作がコミックスで発表済みではありますが、一冊丸ごと江戸時代、という斬新さには「BLにはまだこの鉱脈があったか!」と驚かされます。

「色に見籠は山吹の盛」
「男色大鑑ー武士編ー」が初出。
ストーカー武士と美小姓の話。ラストシーンの花の枝に頬を寄せる小姓の姿が美しい〜!

「形見は弐尺三寸」
「男色大鑑ー無惨編ー」より。
仇討ちもの。小姓が凛々しいです。ハッピーエンドで読後感も良いです。

「ふきよせ長屋」
同心x町医者(坊主頭)。坊主の恥じらう姿になんとも言えない萌えを感じますね。
BLとしては寸止め感あり。

「蕎麦屋と幽霊」
初出は「性癖BL」だと思います。濡れフェチのお題。
作者様のオリジナルだと思いますが、本当に江戸の物語みたいな空気感を感じますね。
タイトルに幽霊とありますが、怖い話じゃないです。江戸っ子の気風が爽やか。

「身代り花嫁」
エロシーンもあり、BLっぽい一作。
内容は切ないです。みんなが不幸になってしまったのかな……

「忍びは男女床違ひ」
「男色大鑑ー歌舞伎若衆編ー」より。
人気女形の吉弥が公家のお屋敷にお呼ばれしたが、呼んだ姫君よりその兄に見初められて喰われちゃう、という少しコミカル?なお話。姫君は腐女子のようですよ。
着物や装束もとても美しく描かれています。

「描き下ろし」
蕎麦屋、同心(ふきよせ長屋)、身代り花嫁の3組が行き合う雪の晩。余韻を絵に描くとこんな感じ。

一冊全部江戸時代なのですが、時代物に興味がわかない、どんなもんだろう、と思う方にも是非一度読んでみてほしい作品です。
ちょんまげや着物、言葉つかいなどにも新鮮な面白さ、驚きがありました。

3

衆道の魅力たっぷりのお江戸BL

井原西鶴『男色大鑑』をコミカライズした二篇と、オリジナル四篇を収録。
確かな画力で読み応えある時代劇BL集に仕上がっています。

■「色に見篭は山吹の盛」(井原西鶴『男色大鑑』より)
元松山藩士の義左衛門(攻め)は、松江藩小姓の主馬(受け)に一目惚れし…

身分違いの恋が描かれた切ないお話。
想い合っていても、立場の違う二人が結ばれるには多大な労力と時間が必要で、当時の恋愛の大変さが伝わってきます。
王道として、短編集の第一話目に相応しい一篇。

■「形見は弐尺三寸」(井原西鶴『男色大鑑』より)
ややトウのたった小姓・勝弥(受け)は、母の遺書から父を討った男の正体を知り、敵討ちへ。
旅の途中、かつて同じ屋敷に仕えていた源介(攻め)と再会し…

職を失い落ちぶれた源介の姿に切なさはあるも、最後はハッピーエンド。
恋の成就より、敵討ちという本懐を遂げた勝弥の誇らしげな顔の方が印象に残る爽やかな物語です。

■「ふきよせ長屋」
同心の杉浦(攻め)は、医者の寿心(受け)の住む長屋に入り浸り。
ある日、その長屋でちょっとした事件が起き…

ちょっとしたミステリ要素のあるお話。
ちゃらんぽらんに見えて鋭い杉浦が探偵役として良い味を出しています。
寿心も、平常時の真面目そうな顔と、床で恥ずかしそうにしている姿とのギャップに萌があり、なかなか良い坊主受け。
続編が読んでみたいお話です。

■「蕎麦屋と幽霊」
蕎麦屋の千吉(受け)は、身投げした幽霊だという百助(攻め)の家に泊まることに。
その夜、彼に抱かれる夢を見て…

幽霊相手に説教する千吉がなかなか良い江戸っ子男前キャラ。
タイトルから怪談かと思いきや、ほのぼのコミカルな雰囲気の一篇です。

■「身代り花嫁」
許嫁に逃げられた慶太郎(攻め)。
彼女の弟・一之助(受け)の提案で、彼女が見つかるまでの間、女装し姉になりすました一之助と夫婦生活を送ることに…

哀しい三角関係の物語。
結ばれてめでたしめでたし、ではなく、一之助の心にはこれからも姉が生き続けるであろうことが予感されるラストに切ない余韻が残ります。

■「忍びは男女床違ひ」
人気女形の吉弥(受け)は、ある高貴な御方の屋敷に呼ばれ、そこの兄(攻め)に女性と間違われ、彼と床を共にすることに…

細かいことは気にしない御前様がなかなかの良キャラ。京言葉?も彼の鷹揚さを引き立てています。
甘めでハッピーエンドな一篇。


描き下ろしは、作中出てきたキャラたちが間接的に共演するという内容。
ワケありでも何とか暮らしているらしい「身代り花嫁」の二人が見られて良かったです。

Hシーンは各話数ページくらいなので、エロや分かりやすい萌を求めると物足りないかも。
しかし、骨太のしっかりした絵柄と話運びは時代激安漫画としてなかなか読み応えあり。
BLでこうした味のある作品を描かれる作家さんが出てきたことは嬉しく、次回作も楽しみです。

8

美しい髷


雁皮郎さんの初コミックスです。
美しい髷と衆道に惹かれて買いました。
男色を題材に書かれた井原西鶴の短編小説集「男色大鑑(なんしょくおおかがみ)」。これを原作に描かれたお話と、作者さまオリジナルのお話が三話ずつ、計六話が収録されています。


【形見は弐尺三寸】
『男色大鑑』が原作のお話です。
両親を失くし、小姓として殿に仕えていた中井勝弥(なかいかつや)。
最初は殿からの寵愛を一身に受けるも、数年もすると殿の心は別の者へと移ってしまう。いっそ命を絶とうとしたその矢先、母の遺書を見つけた勝弥は己が父を殺めた男の存在を知り、敵討ちの旅へ出る。
その道中、かつて勝弥へ想いを寄せていた男、片岡源介(かたおかげんすけ)と再会。互いに昔を懐かしみながらも夜は明け、旅立つ勝弥に源介は己の刀を渡し、勝弥は自分の刀を渡して互いの形見とする。

この時源介が勝弥へ渡した刀の長さが題名の「弐尺三寸」。
物語は勝弥の敵討ちが中心となっておりますが、勝弥と源介の迎える結末が気持ちの良い終わり方で好きです。


【ふきよせ長屋】
とある長屋に住む医者、寿心(じゅしん)の元には様々な人がやって来る。同心の信さんもその一人。
今日もふらりとやって来ては部屋でゴロゴロ。
「俺は先生を口説きに来てるんだ」「勝手になさい」
実はこの二人、以前褥を共にした仲だが、信さんの正直な気持ちになかなか素直になれない寿心。
そんな二人をよそにやって来る近所の人々。話題は新しく長屋に住みはじめた鳶職の男から巷を騒がせている女泥棒の話となり……。

こちらはオリジナルのお話。
小気味良いテンポと市井の人々の姿や話し方など読んでいて楽しかったです。
男前な信さんとちょっと謎めいた寿心。
剃髪(というか坊主頭)が好きな私としてはこの二人にとても萌えました。
髷も坊主も良いものです。

その他、身投げした謎の男を助けた蕎麦屋、やんごとなきお方に気に入られた歌舞伎役者など、様々な男の生き様、恋模様が描かれています。
特に【色に見籠は山吹の盛り】などは、浪人がひたすら一途にある小姓を想い続けるお話ですが、読みながら、どうしてそこまでするの?なんて思ってしまうかもしれません。
しかし、電話もメールなく、身分の差で想い合うこと、共にいることすら許されない時代。人の生き死にが今よりもずっと不安定な世の中です。
だからこそ愛した人への情も強く、時には恋にだって命をかけられる。
明日は我が身と知れぬからこそ、夢でも恋でもなんだっていい。出会えたからには叶えたい。
そんな風に感じられました。

また、髪型や衣装、台詞なども丁寧に描かれており、江戸の世界にとっぷり浸れました。時代物は数あれど、こうした本格的な作品にはなかなかお目にかかれないように思います。
人情味に溢れた江戸の物語は心に染み入りました。

次回作があればぜひとも読んでみたいです。

6

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