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triple sec
あらすじと冒頭から、ずいぶん予想外のところへ転がって行ったなあというのが一番の感想です。
専門学校で仲の良い3人組。
真面目で将来の計画をきっちり立てて、そこに真っ直ぐ向かっているタカオ。
年上だけど自由奔放で無邪気なサビ。
一歩引いて周囲を見ている樹。
樹目線です。
あらすじから分かるように、3人で飲んだ帰りに樹の家でサビが酔ったタカオを襲います。
それに気付いた樹がぐるぐる悩んで考えて…という展開なのですが、あらすじを読んだ時点ではサビ⇄タカオ←樹だと思い込んで「あー、これは読むのがつらいやつ」と読み進めたところ、全然違った!
昔から傍観者で周囲の反応ばかり気にしていた樹は、周囲がどうしたいかが優先で自分の気持ちに疎い。
偶然知ってしまった秘密のこともあってサビのことが気になるけれど、サビの気持ちはこうで、タカオもきっとこうだろう、と勝手に決めつけて、それを受け入れようとしながらも何かが引っかかる。
本人の話を聞けないまま引っかかっているので、決めつけがどんどん固まっていってしまう。
その一方でタカオはタカオなりに答えを出していて、サビもサビで事情を抱えているから、樹のぐるぐるだけが取り残されて、自分がどうしたいのかも分からないまま暴挙に出てしまうのですが、この辺りはすごく読み応えがありました。
ぐるぐるする樹がバイトしているバーの先輩バーテンダー(いい味出してるおじいちゃんです)の言葉がいちいちカッコイイ。
中でもこちら。
「顔色を見てから考えるんじゃ遅いんだ」
グッと来ました。
レビューのタイトルもおじいちゃんバーテンダーの言葉です。
深い。
そんなわけで6話までは樹目線で卒業後まで描かれているのですが、3人が出した答えに「若いなあ」と感じてしまったわたしはおばさんです。
あんなことがあっても、いつもしていたようにボーリングに行って、飲みに行って、また前のように戻れる。
若さの持つ柔軟性って時に素敵ですね、と微笑みながら迎えた最終話。
この話だけサビ目線になってます。
いい話なんです。
よくあるサビ⇄タカオ←樹というのでも、タカオ→サビ←樹というのでもなくて、「この3人だからこそ」という関係が見える。
その均衡が最終話で崩れます。
この結末、好みが分かれそうですが、わたし的にはこれも良しかな、と。
6話で終わるのもアリだけど、まあ、そういう何かが始まる終わりも良いかな、と。
ただ冒頭からの流れでこの終わりだとサビっていう子を愛せないなあと思ってしまったので萌評価に留まってしまいました。
ちなみに6話で終わっていたら、萌2をつけようと思っていた次第です。