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きっちり躾けてやるから覚悟しろよ?
tsusnagare kamare koiwosuru
洋菓子店が舞台とは思えない表紙。
さらに本編でも洋菓子店オーナーは893のイロにしか見えず。
絡まれて傷だらけだった天涯孤独で施設育ちのヒロを拾ったのは、洋菓子店オーナーの楢崎。
ヒロを「犬」と呼び、こき使う胡散臭い楢崎に憎まれ口を叩くものの、ヒロの本心は…。
飼い主と野良犬ですが、実は似た者同士です。
親の顔も知らず施設で育って、何もしていないのに疎まれて絡まれて、という人生を送ってきたヒロ。
無条件の愛を受けたことのない彼は、ひとが自分に親切にしてくれるのは偽善者か、何か目的があるはずだと思うけれど、変に優しさを見せるわけでもないし横暴な楢崎はどちらにも当てはまらない。
そもそもヒロを家に住まわせて雇うことに、何のメリットもない。
じゃあどうして楢崎はヒロを拾ったのか。
楢崎自身が寂しい人間だったからです。
幼い頃から店にかかりっきりの両親からは寂しい思いしかもらった記憶がなく、大人になって親孝行をしようと思ったときにはもう…、という状況で、両親が遺した店を継ぐという形で、最初で最後の親孝行をする彼もまた、天涯孤独の身。
証券マンという職を捨てて店を継ぐこと自体、すごいことで。
自分から両親を取り上げ続けた店ですよ。
そこを継ぐという決断をするまで、どれだけ自分と向き合ったんだろうと思いますよね。
そんな寂しい2人の生活で、最初に飼い犬が飼い主の手を噛みます。
19才の若者が、職場でも家でも好きな人と一緒にいて、しかもスキンシップ過多な状態に我慢が効くはずもなく。
そこからのヒロの変化が目覚ましい。
さらに読者には、ヒロに対する楢崎の気持ちもちらちら見えているから、にやにやしながら読めます。
最大の切ないポイントは、何と言っても言葉の受け取り方を間違えてすれ違ったところです。
何回か読み直してますが、ここ、何度読んでも目頭が熱くなるんですよ。
もともと何も持っていないヒロだから、元の状態に戻るだけ。
だけど今のヒロにはたくさんのものがあるのに、それを全部切り捨ててもいいと思えるくらい、楢崎が大事になっていたというふうに読むと、胸が苦しくて。
このシーンだけで萌2に評価が跳ね上がったと言っても過言ではありません。
犬、犬と言っていますが、むしろ孤高の狼のようだったヒロが、初めて損得なしに自分を見てくれるひとに出会えた。
そしてこれからも2人が一緒にいられる喜びを味わえる作品でした。
同時収録は生活能力に欠ける隣人の世話を焼くパティシエ(?コック?)。
職場で泡立て器を使っていたので、てっきり楢崎の店の従業員かと思っていたのですが、店構えが違うのと、ヒロだと思い込んでいた同僚がセンター分けだったので違ったようです。
こちらも言葉の取り違いによる誤解が切ない話でした。
リーマンが神戸、コック?パティシエが洲本という、関西圏に住む人は「おや?」と思うネーミングもツボでした。
表題作と、短編1作品収録。
「繋がれ咬まれて恋をする」
施設育ちで、施設から出た後野良犬になった比呂。
喧嘩して倒れてたところを、洋菓子店オーナーに拾われ、同居かつ店で働くことになる。
素直じゃ無いしすぐ唸るような野良犬が、初めて自分への愛に触れて次第に…
…というまあテッパンな展開。
ただ意地っ張りというより、きちんと自分で考えて自分を変えていこうとする比呂がなかなかいい奴。
一方、ただの気まぐれ飼い主のように見えた千歳の方が、実は心に素直になれないわだかまりを長年抱えていた。
一見何の接点も無さそうでその実似たもの同士の2人は、きっとベストパートナー。
「堕落と恋の調味料」
マンションの隣人もの。
ろくな食事を取らずにマンション入り口で倒れていた静哉を助けた飲食店勤務の洲本。それから甲斐甲斐しく朝食を作りに行っているのだけど…
一見迷惑そうにしてる?と思いきや、本当は嬉しかったんですって。
短い話なので拗れず素直に好意を伝えています。良かったね。
タイトルと内容が合ってないです。
「繋がれ咬まれてほだされその後」
比呂20才の誕生日エピソード。
施設では誕生日なんて空しかった。でも今は店のみんなも千歳もいる…
そんな幸せが嬉しい比呂です。