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gekkabijin
大きく3つの作品による短編集。
「月下美人」
あらすじからはオカルト?と思ったけど違いました。
宿に出る心中事件の幽霊が恋を叶えてくれる…そんな謂われと重なるように叶うはずのない恋が叶う夜更け。
文芸的なしっとり感と、現実的な男感覚が融合した感じ。
「月の下じゃなくてもいい」
「月下美人」の続きで、一度寝たら深山に執着して溺れる平田の姿。深山は邪気なくにっこり。深山には良かったね。
「積もる恋、雪の記憶」
軽井沢の閉ざされた洋館に迷い込んだ葉鳥。洋館の住人は、美青年の主人・スイをはじめ、館には複雑な事情が絡みついて…
いざ洋館から辞しようとした葉鳥だが、館を出た後振り向いた途端頭がぼんやりし始める。
読んでいくと、実は葉鳥は…というストーリーになっていって、これがなんともミステリアス。延々とリフレインするエンドレスな呪いのような。
年月を経て今度は自分が動くことにしたスイ。これが最後になるでしょうか?多分ついにリフレインが止まりそうな希望を感じさせるエンディングです。
「君静か、春爛漫」
好きな子が、好きな人ができた!と恋に光り輝く。でも男とのHはどうやったら?と相談されて、試してみる?と。
身代わりでもなんでもいい、この時間はオレだけのもの。切な苦しいね…
「記憶のかけら」
「〜、雪の記憶」から5年。館から離れたからなのか、葉鳥とスイはなんと続いてる!
これまでの呪いは一体何だったんだろうね?
オカルトではないんだけど、ちょっとゾッとするような味わいはありますね。
アプローチも絵柄も、良き少女漫画的な作品のように思いました。
表紙の美しさよ…。
本編は線の細い少女漫画的タッチの中に、オリジナルの味も感じます。
【月下美人】(前後編+後日談) 萌2
ミステリー研究会に所属する親友の深山の付き添いで、幽霊が出ると噂のある温泉宿にやって来た平田。
旧家の令嬢と使用人が心中した部屋に命日に泊まった2人は、夜が更けるにつれて…。
幽霊に取り憑かれているのか、雰囲気に飲まれただけなのか。
深山の態度に違和感を覚えつつも、自分自身も衝動的な感覚を抑えきれず…という話で、平田目線なので読者も平田と一緒に不思議な感覚を味わうことができます。
深く突っ込もうとしたり、解釈しようとするのは困難だし無粋なのかな。
主人公と一緒に狐につままれたような気分で、芽生えた気持ちに戸惑う主人公を楽しむのが良いのかも。
【積もる恋、雪の記憶】(前後編) +【記憶のかけら】(描き下ろし) 萌2
旅の途中で吹雪に倒れ、呪われた不思議な屋敷で保護された小説家の話。
屋敷に住むのは麗しい主人のスイと執事、それにスイの叔父。
見たものは現実か、それと幻か。歪んだ関係や執着が絡まって…。
こちらも不思議な話です。
なぜ屋敷を出ると記憶が失くなるのか、ループする家庭教師と恋や、叔父のことなど、ベースにあるのが「母の呪い」なので、こちらも解明しようとしても難しい。
だけど屋敷でいつ戻ってくるか分からない家庭教師を待つ以外の選択肢を選んだスイに、明るい未来を感じるラストでした。
描き下ろしでは、呪いはもう解けたという雪解けを感じられました。
【君静か、春爛漫】 萌
ずっとひそかに片思いしてきた親友に、好きな男ができた。
無邪気に恋を語り浮かれるヒロに、ハルは…。
短い作品ですが、作画の繊細さも相俟って切ない。
最後の短編を除いて、幽霊だとか呪いという「不確かなもの」に翻弄される人々が描かれているので、はっきりすっきり白黒!というよりも余韻を楽しむ感じかな。
作画と雰囲気が合っていました。