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愛に飢えた男のひたむきな恋情
mumyou no naha
井上ハルヲ先生の作品は「デンパ男」と、オハル名義の「SH」と読んでます。この「無明の華」はSHに雰囲気は近いでしょうか、シリアスでハードボイルド寄りですが、意外に読後感は爽やかでした。
攻めは刑事の木崎。受けは十五年服役した狭山。47歳と35歳のアダルトなお二人です。
この狭山が大変に苛酷な中を生きてきて、15歳で食べるために男相手にウリをしていたところを木崎に保護され、何と刑事の木崎がヤクザの親分の高島に狭山を託します。高島が殺され、仇を討った狭山は十五年服役して、木崎に再会、そうして始まる物語。
狭山の設定がとにかくヘビーで、木崎も訳あり刑事(実は隠れ公安なるもの)なのですが、それほど重みのある展開にはなりませんでした。
良くいえば読みやすくもあるし、難をいうと折角のヘビーな設定が生かしきれずにサラッと終わってしまったかなー、という感じです。
ですが、井上ハルヲ先生は文章がしっかりしておられるので、そこは読ませてくれます。
エロ場面がとにかく艶がある感じです。男と男のエロを堪能できるんですよね!
それから、作中に何かとラーメン、それもカップラーメンが出てきて読んでて食べたくなりました。
痛い場面は・・・ラスト前の敵対ヤクザとの場面ですね、狭山が酷い目(指ボキッの、瓶を尻に!)に遭いますが、ここさえ越えれば彼は大丈夫になります!
木崎は、刑事よりもヤクザ的な雰囲気の男ですね。47歳、オッサンの色気がある感じかな。
こういうアダルトな二人というのも萌えると思いました。井上先生の次作も楽しみです。
この作者さんの最近の作品をイメージして読むと、かなりダメージを受ける事になります。初期の頃の作品を彷彿させる、ひたすら暗くて重い作品です。暴力描写も凄まじいです。本当に「やめてー! やめてー!」と震え上がりました。かなり打ちひしがれるのですが、読み終わった時には深い感動も味わえる良作です。ホント、ダメージもハンパないんですけどね…。
心酔している組長を殺された復讐の為に殺人を犯した狭山(受け)は、15年の刑期を終え出所します。元親友で今は組の若頭である飯塚に保護されますが、そこではドラッグ浸けにされ犯されるという飼い殺し状態。そんな時、過去に助けてくれた刑事の木崎(攻め)と再開し…という内容です。攻め、受けの両視点が入るので、お互いへの心情が分かります。
狭山、木崎、そして飯塚、更に過去の出来事が複雑に絡み、話が進みます。攻めである木崎は、この中では一番理解しやすいです。食えない所もあるけれど、昔ながらの情にあつい刑事といった所。親からの虐待を受けていた狭山を保護し、その後も何かと面倒を見てくれたのです。
しかし、理解に苦労するのが受けの狭山です。親からは虐待され、家を飛び出してからは食べるために身体を売りと、かなり悲惨な過去の持ち主です。そして組に入り極道となりますが、そこで見返りを必要とせずに面倒を見てくれた組長の高島に心酔し、同じ組の構成員である飯塚と友情を育むのですね。誰も助けてくれなかった過去の中で、信用できる人が大切なのは分かります。しかし、襲撃の時に来ずに裏切った飯塚に対して、何故そこまで尽くす事が出来るのか…。出所してからもドラッグ浸けにされ、犯され、更に組の為に売り渡されるという目にあってるのに、飯塚の事を全て受け入れるのですね。「アホか!!」と言いたくなる程イラつきつつ読んでいたのですが…。 でもですね、読み終えた後にじっくり余韻に浸っていると、そういう人なんだなあとストンと落ちて来るのです。一度懐に入れると、その相手の全てを受け入れちゃうタイプなんだろうなぁと。もちろん、負の感情も持つのですが、それでも最終的には許しちゃう。非常に生きにくいタイプで、不器用なのですね。
終盤に驚愕のネタバレあり、そこで腑に落ちなかった全てのピースがカチッとはまり、色々な事に納得がいきます。ひたすらゲスいと思っていた飯塚を、ちょっと哀れに感じたり。決していい人では無いけれど、本当のクズでも無かった!みたいな感じですね。
ひたすら暗く重い話ですが、最後はささやかな幸せを手に入れ、希望が見えるといったエンディングです。
そして、短編で甘さを補充出来ます。短編では、ややぎこちないながらも甘々な二人を堪能出来ます。
本当に、最後のささやかな幸せを手に入れた狭山の、メールを読んで微笑む所なんかにはジーンと胸がするのですが、暴力描写があまりに痛いので『萌』にしました。攻めの存在感が、ちょっと薄く感じる所も残念。とりあえず、暴力系が苦手な方は注意して下さい!
あとがきにも書かれているように、かなり暗く重苦しい雰囲気のヤクザもの。
BLにしてはバイオレンスな表現が多いので、苦手な方は要注意です。
攻め受け両視点あり。
あらすじ:
刑事の木崎(攻め・47歳)は、15年の刑期を終え出所したヤクザ・狭山(受け・35歳)とある夜偶然再会。
組長の敵をとるため敵対組織に乗り込み、殺人と殺人未遂の罪で服役していた狭山。
現在の彼は、15年前彼を裏切った現組長・飯島に囲われているらしく…
狭山は、若い頃は獰猛で強かったらしいですが、今は心身共に弱り気味の長身美形ヤクザ。
15歳の頃、売春と窃盗を繰り返していたところを木崎に保護され、彼の知り合いのヤクザ組長のところへ預けられたという経緯があります。
その組長を殺した敵対組織に一人で報復を果たしますが、そのときの怪我で腎臓を片方失い、現在は体力が衰え気味。
出所後は、かつて兄弟の盃を交わした飯島(現組長)に、ホテルの一室に匿われています。
この飯島は15年前、狭山との約束を破り仇討ちに参加しなかった裏切り者。
狭山の服役中に敵対組織と協定を結び、組長の座に収まった人物です。
出所後の狭山に連日ドラッグを服用させ、激しいセックスを強要する飯島ですが、彼の真意はどこにあるのか?
自身の組内での体面と、狭山への執着心との間で葛藤する姿が伝わってきて、悪役的立場ながらどこか人間臭く憎めない人物です。
木崎は、一見常識人なオジサンですが、自身の飼っているエス(情報提供者)への態度にはなかなかの迫力があり、喰えない雰囲気のある人物。
一応語り手の一人であるものの、秘密を握る人物でもあるため一歩引いた印象があり、狭山に比べると存在感は薄め。
年上攻めらしい包容力はあるものの、やや出番が少なく魅力が伝わり辛いかもしれません。
物語終盤で明かされる衝撃の事実については、それまでにも思わせぶりなシーンがあったので、予想がついてしまい、意外性はいまいち。
この手のジャンルの映画やドラマではかなり使い古された設定なだけに、ただ事実を明かして終わるのではなく、その背景や細かい因果関係をもう少し掘り下げてもらえないと物足りないな、という感じでした。
クライマックスで狭山が敵対組織に売られ、リンチに遭うシーンはなかなか過激。
指を一本ずつ折られたり、酒瓶を突っ込まれたりと痛々しいです。
しかし、そのシーン自体は短く、すぐ助けが入るため、ガッツリハードな描写を求める方には物足りないかもしれません。
その後明かされる上記の衝撃の事実についても、なぜ狭山だけが知らなかったのか?という疑問も残り、ややモヤっと。
狭山が組長の死の真相を追いつつも、やってることはただ飯島に再三裏切られそれを受け入れているだけなので、ストーリー展開的にもゴールが見えず、やや入り込み辛さを感じました。
狭山と木崎が惹かれ合った背景にも、もう少し決め手が欲しかったかも。
特に狭山は、組長のことが好きだった筈なのに、木崎に対してずっと前から好きだったと打ち明ける等、いつの間に?感が拭えず。
若い頃の狭山と木崎の過去エピも殆どないため、二人の20年来の奇妙な縁や絆を感じ辛い点もマイナスだったかもしれません。
全体として、設定は魅力的なものの掘り下げが足りず、ダイジェスト感を感じる一冊でした。