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証明してやる 恋することの愚かさを――
romance
またやられたー。
カシオさんは物語作りの天才なんだと思います。
科学者で大学教授、非科学的なことは認めないリチャードと、降霊はお手のもの、読心術を駆使する霊能力者ユーリの話です。
設定的には天才マジシャンと超能力者を描いたウディ・ア◯ンの映画を彷彿とさせますが、カシオさんの作り出す世界観もストーリーもうっとりするくらい素敵で、そこから出たくないと思ってしまう。
恋を知らない科学者は、気持ちを伝える術を知らずに「I love you」ではなく「I want you」と言ってしまったり、自分の気持ちと向き合うよりも相手が自分に何かをしたと思い込んで責めて侮辱したり、不器用に無様に気持ちを伝えたりと、それまでの冷静沈着なケインズ教授はどこへやらのすったもんだを繰り広げます。
ユーリはユーリで、不思議な子。好きな人と肩を並べるために会わないでがんばるという選択ができてしまう、思いっきりの良さがありました。
「ロマンス」の使い方がまた粋です。
上流階級のパーティで教授とユーリが踊ろうとした曲がベートーベンの「ロマンス」。
再会した翌朝にユーリが口ずさむ「ロマンス」のメロディ。
そこに締めの言葉が効いてくる。
使いすぎず、散りばめすぎず、「ここ」というところだけにスパイスとして使われるのが、何とも素敵じゃありませんか。
BBC制作のシャーロックホームズやポワロが好きなひとにはたまらない雰囲気と、ハンサムに美少年。
カシオワールドに浸ってみませんか?
女性経験は多くても恋を知らない教授と霊能者による王道なラブコメ作品。全体に白黒映画の恋愛作品の様なレトロな空気が流れていて心地良いです。リチャードの粋なスーツ姿や、ユーリのサスペンダー付きのオーバーサイズなシャツ姿も良いです。
他のダークなカシオ作品とは違いリチャードの初恋に揺れる様やユーリの愛らしさを安心して堪能出来ます。「俺が不細工なら相手しなかっただろ」の攻めの台詞が身も蓋も無いけど好きです。
作家さん買いだけどやっぱり面白かった!!恋をしたことない攻めが受けが好きになって嫉妬と執着の塊になるにがはらはらドキドキした。それとなんか腹黒っぽい受けがうぶなどころがあって萌えた。
カシオさんの繊細な絵のタッチとレトロな時代背景、社交界がタイトルに負けず劣らず素敵な世界でした。
偏屈な科学者リチャードがキャバレーの地下で霊能者をしているユーリと恋に落ちる話なのですが、科学者と言う立場上、霊能力は信じられずペテンだと食って掛かったり、公爵家のアベルと寝たんだろ!と疑ってストレートにいっちゃったり、論理が吹き飛んでどうかしちゃう様子が面白かったです。それが嫉妬だとか、恋だとか言うことに気づいて優しくなっていく教授なんですが言葉が上手くないんですよね。でもその不器用さが逆にいい!
最後のオチもとてもお洒落でカシオさんっぽいなと思いました。
この他に売り専ボーイくんのお話が短編で収録されています。