ボタンを押すと即立ち読みできます!
珈琲店の定食が紡ぐ、教師と生徒の優しい物語
nakamachi coffee ten
表紙のイメージ通り、純情ほのぼの系です。
カウンターの椅子に座って見上げているのが32歳、国語担当の西先生。授業で生徒が音読する走れメロスを聴いて泣いちゃう描写が冒頭にあるのですが、ああ、いいな、と。個人的にツボに入りまして人柄を見込んで読み進めることにしたのですが、最後まで期待を裏切ることはありませんでした。
カウンターの中にいるのが生徒の郁で高校三年生。分厚い前髪が示すように人との接触をする事なく学校で孤立しています。
学校裏のベンチでポツンとお弁当を広げている郁を見かけて声を掛けた西先生。そのお弁当がとても美味しそうだったので褒めたところ、お裾分けをいただいたことから毎日、お昼休み一緒に昼食を食べる事になります。
少しずつ郁と話すようになり、郁の事を知り始める西先生。やがて郁からの誘いで夜ご飯も郁のお兄さんがやっている喫茶店で食べる事になります。
日々絶賛している郁のお弁当も、日替わり夜定食も本当は郁が作っているのだけど、兄が作っていると嘘をついている郁。そこには郁の前髪とも関係する過去がありました。
ずば抜けて優秀な兄を持つ郁。弟という事で兄と同様の働きを期待されるもやがて失望されるという事が続いた中学時代、自信を失った挙句、人の視線が気にならないよう分厚い前髪をお守り代わりにするようになってしまったのです。(あらすじで「いじめ」とありますが、いじめはありません)
日々、郁と接するうえで郁の良いところを少しずつ引っ張りだし、一歩を踏み出す勇気を与え、学校生活でもサポートとする。これぞ教師の鏡。
郁からの告白も悩んだ挙句、出した回答はさすが西先生。私が冒頭で人間性を見込んだだけあって期待を裏切りません。
無事、大学生となって付き合うようになった二人だけど、一挙に関係性が進むわけでもなく何をするかと思ったら、毎日夕食を食べに来た後は部屋でハグですよ、ハグ!ぎゅーっとハグ。このハグがいいんだなぁ。
大学生になった郁も相変わらずスレていなくて素直で純情だし、とにかくこの二人がいいんです。
結局最後までエロはないんですけどエロが入っていないほうが二人らしくて良かったです。(紙書籍でもないようです)
美味しそうなご飯がちょこちょこ登場するので、お腹空いてるときは覚悟のうえでお読みください。
あ、郁のお兄ちゃんとその彼氏がちょこちょこ登場するんですけど、そっちもいい感じで二倍美味しい本です。