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nanshoku ookagami
▶本朝若風俗巻七の三「袖も通さぬ形見の衣 阿弥陀しずく」←大悲話
阿弥陀しずくさん作画。 阿弥陀しずく先生の画風が浮世絵風で早之丞がとても艶美。綺麗な分、憐れさが増してホントに悲しい。
子安地蔵の予言通りになってしまった早之丞。予言するなら助けてやればいいのに。助けられないなら、預言しない方が親切。一寸先は闇、そのままの方が今を楽しめます。
若衆=この当時の役者の舞台衣装は自前。若衆遊びは、花魁や芸者遊びより数倍お金がかかるので、金持ちのステータスシンボルだったそう。
▶上方の大和屋甚兵衛座の戸川早之丞は、末は太夫と大事にされた美貌の人気役者。
でも恋人に義理立てして贔屓客を断ってしまう。(これは人気に嫉妬した恋人が悪い)
正月明けの初舞台で早之丞は恋しい兄さんに綺麗な姿をみせたかったが、大晦日に借金のカタとして舞台衣装を全て持ちさられて一枚も無い。新年の初芝居の舞台出演直前にそれを知る。
すると、笑って「浮世ほど ままならんもんは無いなあ」と二階に上がり、書置きを残して自害する。
「衣装が無ければ死ぬしかない。」早之丞が義理立てして死ぬ、ここの西鶴の描写はするすると、あっという間の出来事になっています。
・・・この話を初めて読んだ時、強く衝撃を受けて哀しくてたまらなくなった。今読み返しても切なくなります。
巻七の三に登場する戸川早之丞は、解説に(念者に入上げ極貧で借金苦から自害)と簡単に書かれているけれど、優しい真正直な子が好きな人への義理だてしたことが起因の貧乏なので、簡単に「借金苦」とだけ書かれると、可哀そうで辛い。泣けるでしょうが。
★原典を讀もう。確認したいのは「袖を通さなかった形見の衣装」とは、誰のどの衣装のことなのか、意味が分かりません。
★念者=男色における兄分、早之丞の恋人は役者仲間だったそう。
▶本朝若風俗五 面影は乗り掛けの絵馬 ←ちょっとイイ話
湯島の吉弥に逢うために佐渡の男は金を貯めるが、逢えば吉弥は元服男
首筋が美しい戸川早之丞と言う役者がいた。
すれ違った時の首筋を見て一目惚れした商人が、金子を用意して会いに行くと、自分より身長が伸びた元服後の役者になっていた。
▶本朝若風俗六 忍びは男女の床違ひ
吉弥、貴なる女に招かれる。女姿を当主に見破られるが良い関係に
これは上方の上村吉弥のお話。湯島の吉弥とは別の、他人。
貴族宅に呼ばれた吉弥。妹に呼ばれたはずが、兄と伽することになって、パトロンを得ることが出来た。
▶第7巻 蛍も夜盤勤免の尻 九州男児
いつも見えない知人に話しかけている美しい僧がいた。その僧は、昔若衆だった。
芝居小屋にホタルを仕込んで、落下して死んだファンを弔っている。
▶本朝若風俗八 別れにつらき沙室の鶏 ←これは笑い話。
峰野小曝 明け方前に鶏を鳴かせて客は帰る。
鶏の声を聴いて、早く帰ってしまう鶏は恋の邪魔?
▶本朝若風俗八 小山の関守 ←これも凄みある話(吉原には、練り物の偽小指を売っていて、偽装切断したそうですが、この話は、本当に切断してしまったらしいです)
上村辰弥 心中立てに指を切って見せる
役者の吉弥が兄、辰弥は弟。
辰弥が山で舞の練習をしているところを見て、ひとめぼれした僧。辰弥も一目惚れ。
伽を檀那に断る際に、親指を断ち切って詫びた。(心中立て)
▶5-1 涙の種は紙見世 ← 悲恋ののちハピエン 鬼婆がホントに鬼顔
桜の枝を手にした藤村初太夫は、狼藉者に絡まれたとき、助けてくれた美貌の風流男に恋に落ちる。真剣な恋。でも鬼母に詰め寄られて、十郎衛門は死んだことにする。本当に死んだと思った初太夫は出家して僧になる。
十郎衛門の墓参りに寄ると、そこに生きている十郎衛門が居た。喜びあう二人。
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本朝若風俗他物語のカタログを見ても、悲話が目立つ。
http://hatopia.webcrow.jp/books/e-catalog.htm
「武士編」に続いての「歌舞伎若衆編」です。
収録作は「武士編」と同じく7作。(最終作になんとARUKU様作画の一編あり!これだけで私にとっては買う価値ありあり〜!)
この「歌舞伎若衆編」はタイトル通り、春をひさぐ事も込みの役者稼業の若者が中心となっています。
そして読んでみると、今で言う「物語性」、起承転結がはっきりあるようなものではなく、唐突に終わったり結末がうやむやだったりという話もある。
売春行為に対しても非常に中立的で、蔑みもせず神格化もせず、自明のこととして描かれている。そのような解釈に裏打ちされている展開だからこそ面白いように感じました。
今作にはギャグも一編。「別れにつらき沙室の雞」。
多分既婚者の攻めとの逢瀬の夜。明け方に時刻を知らせる鐘の音を、誤魔化しているのに容赦なく刻を告げて鳴くニワトリに怒りまくる受け。攻めは笑いながら、妻の待つ自宅に帰っちゃうんですよね。同性で、しかも役者稼業の受けにとってはつらい仕打ち!ニワトリに当たり散らす受け、というオチ。切なさとおかしみと。
「武士編」に引き続き、巻末の畑中千晶教授の解説が非常にわかりやすく、素晴らしいです。
そして同様に、表紙のZAKKさんが素晴らしいです。
ARUKUさんの『涙の種は~』
他の人は史実重視で月代なんですが、こちらの主人公CPはキラキラサラサラの美形男
一方で、おばあちゃんの顔がギャグかホラーか
あまりの落差に笑っちゃいました
あと801チンチラは、こんな昔から定番の展開なんですねw
KADOKAWAさんには古典の漫画化を是非続けてほしい
この手のって著作権料フリーなのにまだまだ未開拓で少ないんですよ!(『菊花の約』だけは妙に見る気がするけど)
今度はローマ・ギリシャ史なんてどうでしょう?
ヘリオガルバスとか、アレクサンドロスとヘファイスティオンなんてBL的においしくないですか?
あと森茉莉の漫画化ってどこもやらないの?
平凡社さんは古典BL小説集を漫画化してね!