薄雲
aozora no Lorelei
蒼穹のローレライの番外編同人誌。
本編では書かれなかったラバウルでの三上と塁の日々、城戸や秋山から見た彼らの日常などなど、辛い戦争の中でも読んでいてほのぼのとする話で大半は構成されてます。
個人的に、三上が塁とじゃんけんで遊ぶお話がとても好きでした。
じゃんけんの強い三上に意地になって挑戦する塁が愛しくて可愛くて、ふたりの間だけの秘密の三日月型石を大事にする姿に熱いものがこみ上げてきます。
他にも秋山から見た恒、塁、千歳、斎藤、藤十郎を書いた「搭乗員覚え書き」は短い話ながらそれぞれの個性が良く出ていて吹き出すほど面白かったです。
そして後半は三上と塁の睦みごと。
一生懸命三上を誘おうとする塁が何だかもう健気でいじらしくて堪らなかった。
その気持ちに応える三上も包容力の塊で、優しくて男らしくて最高に格好良い。
ふたりのイチャイチャも存分に堪能できた上に、翌朝の塁の軍手くんくんはもう抱腹絶倒。可愛いすぎてもみくちゃにしたいくらいで、にやけ顔が元に戻らなくてしんどかったです。
そして表題作の「青空のローレライ」は、終戦後18年経った三上のひとりでの年越し話。
これは1番最初の「面影」にも少しリンクするようになってます。
塁のいない日々に否応無しに慣れてきた頃、雪の降る大晦日に昭和19年当時のままの塁が三上の家に猫を抱いてやってくるという展開。
うっすらね、うっすら期待しちゃったんです。「恥ずかしながら帰って参りました」とかいう展開になるんじゃないかって……。
まぁそんなご都合展開なんてあるわけもなかったし、三上自身もそれとわかっていて塁との僅かな邂逅を楽しみます。その姿に、ふたりの様子に、表情に、仕草に、その時間のあまりの無常さに読んでいて涙が噴き出しました。
感動の再会ではあるけど、ここで桃色シーンを挟まないのは最高に良かったです。
そしてふたりにとっても大事な懐中時計の別れのシーンで涙腺完全崩壊。
この同人誌を出して下さったことに心から感謝したい。
このお話を読んで、少し心の整理がつけられたような気がします。
泣ける泣ける。とにかく泣ける。いくつかのお話が入っていますが お目当てはローレライの二人です。死にたくないと想いながらも散っていった塁が一人戦後を暮らす三上 の元を訪れる一夜のお話です。ファンタジーの括りになっていますが迎える三上の心がとにかく切なく思いやりに溢れています。本編が逢えないまま死に別れとなる二人なので このお話を読んで僅かながらでも救われた気がします。
大好きな1945シリーズ。
その中でも契りはしたけれども、添い遂げられなかったお話なのでどうしても切なく哀しい思いと共に心に刻まれてる『蒼穹のローレライ』。
その番外編同人誌です。
長らく品切れで読めませんでしたが、この度再販頂けてやっと読むことができました。
その他の1945メンバーの短編もあります。
涙が止まりません。
今まで塁の存在に切なくなるけれども、残された三上の生涯を思うと胸が張り裂けてました。
でも、表題のお話はファンタジー要素ありのものですが、少し救われました。
ただ、これから純露見る度に涙しちゃいそうです( ;∀;)
同人誌は品切れると次手に入れるのが難しいと思うので、もしも迷っている方がいましたら絶対に入手お薦めです。
1945シリーズの同人誌。
奥付を見ると何回も何回も再版されていたことが分かります。
一番最後は2024年改訂版となっているので、復刊を契機に作っていただけてとてもありがたいです。
後から知った私のような者でもこうして手に入れることができて嬉しいです。
「面影」三上×塁
「城戸とヘルブック(web再録)」三上×塁
「搭乗員覚え書き」恒、塁、千歳、斎藤、谷、秋山 それぞれのSS
「明日、恋を知る(web再録)」三上
「ふたりあそび」三上×塁
「ここからいちばん遠い星。」六郎×恒、三上×塁
「『 』」 三上×塁
「軍手のひみつ」 三上×塁
「青空のローレライ」 三上×塁
の9本収録です。
ものすごいお得感です。
それぞれレビューすると大変なことになるので、気に入ったお話を。
「青空のローレライ」
戦後、三上がひとりで新年を迎える大晦日のお話です。
泣かずにはいられません。目次に、「ファンタジー要素を含みます、お気をつけ下さい」と注意書きがされているとおり、不思議なお話ではあるのですが、このお話によって救われる魂が存在します。現実は変えられない。けれど、あって欲しい。
SSだし年末年始だしこういう夢なら見てもいい。というか、見せてあげてよかったと、私は関係ないですが尾上先生にお礼を言いたい気持ちでいっぱいです。
もちろん現実に会えるわけではないので、三上は再び喪失感を覚えるでしょうけど、それでもこういう幻を味わって少しでも三上が救われるならいいと思うのです。
というような感慨にどっぷり浸り、いまも涙が。
読めて良かったです。
「ここからいちばん遠い星。」
クロスオーバー風味ですが同時期にラバウルにいたので、別にクロスオーバーでもないんですよね。
でもここまでがっつり2組が絡むのはどうも稀有な感じがして、嬉しかったのです。
直情的な恒が、塁の横暴に怒り狂うのは良く分かるし、それを六郎が理性的に「浅群とは関わらない方がいい」と判断するのも、らしくて良かった。
言葉が届かないことを海王星にたとえるのも恒らしい。
「軍手のひみつ」
これは塁が可愛すぎてですね、なんといいますか、もう可愛いしか出てこないです。
軍手を三上の一部だと思っていて、三上21型とか名前つけるんですよ、内心で。
はめてみたりするんですよ。尊すぎてどうにかなりそうです。
「ふたりあそび」
じゃんけんに弱すぎる塁が可愛すぎる。
もう可愛いしか言ってないんですけど(笑)レビューでもなんでもないじゃないか、と。
裏の裏の裏の裏の裏を読んで結局負ける。なんなんでしょうこの生き物。
じゃんけんは勝ったり負けたりするものだと思うのですが、ここまで負けが込むのは。
だからきっとたまに勝つと、絶対にすごく嬉しそうにすると思うので、三上的には何もかもが美味しい遊びなんですね。