ココナッツ
akebonoiro no rakujitsu
原作コミックの17巻に収録された番外編のその後を、一ノ瀬さんが描かれた物です。
なので、17巻を読まれた方が感慨もひとしおです。
拳を合わせるところまでは原作で描かれています。
なんかね、帰り岩ちゃんのお家で及川が試合の後一緒にご飯を食べるのですが、そこが本当にじわ〜っとくるんですよ。
岩ちゃんのご両親は高校最後の試合に負けた二人を気遣って、そのことに触れない。
でもそこは及川が自ら話をし出して話しやすい空気にするんだけれど、それをご両親は有難いと思いつつ及川の精神的な心配もするという。
つねに周囲の空気を読んで最高のトスを上げる及川は、甘えることができないんじゃないかと。
岩ちゃんが自分の不甲斐なさを及川に責めて欲しいと叫んでも、及川はそれを受けとめてしまう。
さらに岩ちゃんを信じてることを告げる及川は、確かにご両親の心配通りなのかもしれない。
でもそんな及川が初めて「はじめちゃんと行きたかった」と感情を吐露し、岩ちゃんの前で泣くのがもう…わたしの涙腺決壊。
くー、青城に全国行って欲しかった!と本当に思いました。
いくら原作がつねに試合相手の学校側も丁寧に描いてくださっているとはいえ、やはり青城は脇ですからね。
どうしようもない切ない気持ちを、一ノ瀬さんのこの作品で救って頂きました。
若いっていいな、幼なじみっていいな、青春ていいなと素直に感じることが出来ました。
一ノ瀬さんは一応及岩路線ではありますが、特にこの本はその辺りを特化させず男同士の友情が描かれています。
普段二次は読まないけど及川と岩泉が好きなのという方にも、お勧めできる内容です。
そして相変わらず岩ちゃんの頭突きは最高にカッコ良かったわ(苦笑
ジャンプ本誌、原作17巻、そしてアニメと結果がわかっていても涙を流さずにはいられない。
原作17巻に収録されている番外編のあとをイメージしてのお話です。
原作での悲しくツラい設定が一瞬にして力強く光を放つ「これぞ二次!」な作品だと思います。
試合で渾身の一撃がわずか一歩、敵わなかった痛み。
岩ちゃんのエースとしての矜持と及川さんの司令塔としての自信と、誰よりも近くにいたふたりの終わってしまった高校バレーへの郷愁と愛惜に歯を食いしばりました。
結局は同じ時を共有したふたりの姿を思い、そのかけがえのなさに涙腺決壊しちゃうんですが。
及川さんが泣けて本当に良かった。
岩ちゃんが泣けて本当に良かった。
原作でもあの日のことは一生忘れられない呪い宣言ではあるけれど、路上の誓いだけではなく、ここに描かれた岩ちゃんの部屋でのことも忘れない誓いになるでしょう。
「落日」という言葉はいつも寂寥感をかきたてるのですが今回は明日へ繋がる景色を紡ぐ黄金色の糸に感じます。
「蜘蛛の糸」のように細く伸びる一本の糸は私自身の[青城、全国へ]という仄かな願いかもしれません。
カンダタみたいに一人じゃなく青城みんなで登り続けてほしい!!
徹底した絶望の果てに希望の光を手にいれる。
夜が明け始め、東の空がほのかに明るんでくる状態が「あけぼの」だそうです。
暁の終わり頃や、朝ぼらけの少し前の時間。
夜明け前はいちばん暗い。
この言葉をひっさげて、コートを制す!!彼らを楽しみに待つプレリュード的な一冊です。