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ura katanakami no ki
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
16年も前の初期の作品とは思えない完成度の高さと画面の美しさです。当時はカラーをPC処理で描き始めた時代だったのかと思います。口絵や表紙など、小笠原先生の挑戦的姿勢が伝わっています。
小笠原先生の凄いところは、始めから絵が完成されているので、初期でも最近でも画が殆ど変わらないところです。相変わらず美しいですね。
この作品は実に人を選ぶと言いますか、読者にある程度の想像力と知識を要求してくる、かなり水準の高い作品であると言えます。近年のBLとは一線を画す作品である事は間違いありません。順を追った物語展開ではなく、一巻の絵巻物の、必要なところを抜き出して繋げ、必要であるならまた他の要素を付け足すような、1度目を通しただけでは完全には理解できない作りです。
ですがそれ故に、物語の雰囲気と緊張感を、最高までに高めていると言うことが出来ましょう。読者に全く親切でないように思ってしまうかもしれませんが、読者側が近づく努力をすれば、世界の門戸を開いてくれるのです。
小笠原作品全体について言えることは、小笠原先生は、性交渉の場面を、読者へのサービスや「萌」としては描いていないと言うことです。それは実に、「BL」と言う世界が本質的に内包している「死」「脱俗性」「儚さ」「真実性」を表現するための重要な手段であり、脈絡のない交渉シーンに思えても、必要不可欠な場面なのです。最近の「刀剣」人気に先駆けた舞台設定で、昔のBLを読むとしみじみさせられますが、偉大な先人達は既に、あらゆる「萌」に気が付いていたのですね!
主人公を始めとする登場人物は不死身で、刺されても死なない。自分の想いに気が付かない主人公が、想い人である綱家(攻め)に、交渉中に刺し殺されますが、非常に美しく、この作品以外では見ることが出来ない場面ですので、一見の価値があります。主人公の新改は中々に強情で、400年経っても自分の想いを認めようとしません。その理由がもの凄く深く書かれる訳ではないのに、不思議と納得できてしまう。素直になれない喧嘩っプルの元祖とでも言いましょうか、いじらしい感じがして、とても可愛いです。
同時収録の『比翼の鳥』も形よく収められた美しい物語で、主人公が想い人への気持ちを自覚するまでの心理が、小笠原先生独特の手法で表現されています。
素晴らしい作品です!皆様に読んで頂きたい作品です!
刀モノです。
これは刀の神によって生かされ続ける二人の男の、命を奪いあう執着的鬼ごっこの話です。
表題作をこれだけ読んだらきっと、消化不良でものすごく不満が残るはずです。
いきなり主人公死んでしまってますから!?
殺すか犯すか、いや犯しながら殺すのか。
殺され続ける新改と、殺し続ける綱家、この二人の関係はAct2の過去の話によって、少し推測するのみです。
殺される為に生き返る新改に、ずっと付いている刀の神・シヴァの飄々とした姿と二人の姿はまるで一心同体の夫婦のようなのに、それでも執拗に綱家を追い続けるというのも、不思議な関係。
刀が吐精するというのは初めて見まして、とても斬新でした♪
全ては二巻へ・・・
そしてこの本の半分を構成する『比翼の鳥』
不思議な力を持つ彫り師・凍上と、彼によって生を与えられるヤクザの響、彫り師への道を開こうとする医大生・蓮島、響を支え続ける紫乃宮。
この凍上の力に運命が開こうとする、周りの人々の姿と壮絶な刺青にエロスが光ります。
この作品の関連作『地上の鳥』が載っていないのが残念!
ないとなると、何としても読みたいです(涙、、国会図書館しかない?)
これを読むだけでは、話の全体像が見えてきませんね。
始まって数ページで受けが犯され、さらにその数ページ後に殺されたのには、とても驚きました。
その後も受けは定期的に犯されていますし。
うまく表現できませんが、この作品においては、性行為がモラルの届かない場所にあるように感じます。
ところで、この作者さんは、陰毛をはっきり描くんですね。
なんだか独特な描き方だと感じました。
リアルではありませんが、このモサモサした感じが個人的に好きです。
表題作は正直、手に余る展開です。
この巻に収められているのは恐らく物語の導入
部分に過ぎない筈ですので。
物語の脈がしっかりと提示されているのではなく、
ひたすらに伏線が張り巡らされ読者はその伏線を
整理しながら物語を追わざるを得ないと言う。
初出がSMを主題としたアンソロジーであるので
そう言う描写が主であるのは仕方ないのですが。
併録作は刺青に籠められた魂とそれに魅せられた
男達の群像劇。冷ややかですが熱く美しい物語です。