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sayounara ikka
はぁ〜〜〜。すっごく素敵な表紙だと思いませんか?
私はまず表紙に一目惚れでした。
眼鏡の男性を愛しげに見つめる視線。二人のシルエットに重なって、
夜のネオンの街並に溶け込む宝石と夏みかん。
ただただ華やかなだけではない、銀座というより有楽町とか新橋寄りの、
大都会だけどほんの少しだけうらぶれた雰囲気。
そこへきて、このタイトルです。非常に想像力を掻き立てられました。
一穂さんと草間さんのタッグだし、もう間違いないだろうと。
結果。ナイス先見の明、私!でした。
私は作者買いの作品でも、主に収納場所による事情で、
基本的にレビューを吟味してからようやく購入に至るのですが、
こちらは上記のような理由で、書影が発表されてから発売日を心待ちに。
で、買ってすぐに読んで、中身にもはぁ〜♡♡♡となって、
今までもう10回以上再読しています。
そして。ふとレビューを見てみると。
ん?
自分評価と皆様の評価に乖離があるのに気付き、
一穂さんの作品の伝道師(イヤ。ほぼ伝導していませんが気持ちは…!)
としては黙っておられず、レビューさせていただいた次第です。
ものすごく長い前置きで申し訳ありません。さて。
ストーリーは皆様が既に書いてくださっているので、
個人的なお気に入りシーンをご紹介させていただこうと思います。
<その1>
物語中盤までは分かりやすい色気はほぼ皆無です。
とは言え、座波が矢神を特別に感じていく様子は
かなり最初の方からちょいちょい伝わってくる。
例えば、『湿舌』という気象用語のエピソードで、
読者は座波の気持ちがほのかな性欲を孕むものだと気付かされます。
一穂さんはご存知の通り、引用やダブルミーニングを用い、
非常に印象的な言葉まわしをされる方ですが、
この作品では、台風を中心としたお天気用語ですね。
ふと気付くとその巧みさに感心してしまいます。
<その2>
矢神の部屋、妻の話をしている最中、
諍いの渦中にいる辛さを訴える矢神を落ち着かせる座波。
興奮する矢神をベッドに寝かせ、眼鏡を外してやる座波に、
矢神『…何でもじょうずなんだな』
じょうずなんだな、っておい!かわい過ぎでしょ…矢神サン。
『じょうず』がひらがなで尚かわい。
<その3>
最後の一番萌えたところと甲乙つけがたいのがここ!
112ページ、お互いのネクタイを、
ここではまだ、ただリラックスするためだけに(←重要)解き合うシーン。
解いて投げてうねって重なり合う2本のネクタイを見て
『蛇が戯れている』ようだと感じた座波。
そしてそう感じた後の彼の衝動について書かれているのですが、
あんあんしてたり、擬音でずぶ濡れな感じ(も勿論好きですが!)より
ずーっとエロい。
<その4>
そして最後。ここが秀逸でした…!!!!!
台風が原因の偏頭痛に悩まされて店に泊まっている座波。
前段のエピソードとは違い、漏れてくる電気もないのに、
そこには座波がいると確信を抱く、休日出勤帰りの矢神。
ここのエチも含めた一連の流れと表現が大好きです。特にこのくだり!
『榛名の手は温かかった。寝起きの、しっとりと高い体温のままで
子どもみたいだとかわいくなる。でも携帯をズボンのポケットに
突っ込んで比呂の腰を抱き寄せる強さは当たり前に大人の男で、
ギャップにくらくらする。』
私も!くらくらする!!
最近気付いたのですが、BLの攻めに対する私の評価は、
自分の好みかどうかということのようですw。
八神さんに夢中の座波さん。かわいくて男っぽくて超タイプ。
ちなみにこのシーンには草間さんの挿絵もあって美味しさ倍増。
いや〜個人的な萠えを長々と、大変失礼いたしました//////。
こんな意見もあるということで、皆様も是非読んでみてください!
大好きな作品で今まで何度も読み返していますが
座波くんと矢神さんが出逢った涙の日(7月3日)に、と
思い立ってまた読み返しました。
過去に六股も経験した事がある男なんて
リアルでならイヤでしょうがないはずなのに
そのわりに女に執着しない、優しいのかどうかよくわからない座波くんが
性別以外の共通点なんて何も無さそうな矢神さんに
どんどん心が乱される様子が楽しいのです。
勿論矢神さんは意図的にそうしているわけではないし
いくら矢神さんが他人の機微に多少疎くても
いつだって真剣に接してくれているから
座波くんの戸惑いに共感しつつ
ノンケで女にだらしなかった男の本気の恋にときめいてしまうのです。
攻め視点というのも大好きな要因のひとつですが
あ、こういうところで気になっていっちゃうんだ、
というエピソードの数々が些細なことのようだけど
それ見逃してたらこうはならなかったかもだったり…。
ひとつひとつの出来事の積み重ねが自然で
そつのないタイプだったはずなのに今までになかった感情の波も
すべて矢神さんに向かってしまう気持ちが止められない。
秀逸だったのは床に落とした互いのネクタイのシーン。
そこで一気に性的に意識してしまった座波くんのしんどさがたまりません。
実際いたら、もしかしたら付き合いづらいかもしれないと思ってしまう矢神さんの
長所も短所も座波くんにとっては愛しさや歯がゆさだったりなので
ああもう恋だなぁ、と。
エピソードのひとつに、座波くんの部屋の鍵が
金属疲労で折れてしまっていましたが
この作品の発売数日前に私の以前の車もコレになり
めちゃくちゃタイムリー!と一人で笑ってしまいました。
(私の場合はスペアがあったので大丈夫でしたが)
ホント、物も人も何もかも見掛けだけじゃわからないですよね。
だから面白い(ジャ○ポケ)
草間さんの描かれるスーツ姿の男性はやはり最高で
作品の世界観にとても合っていましたし
夜のまとう雰囲気とか素晴らしい!!
大きな事件ドーン、大きな感動バーンというわけではないのですが
設定と登場するアイテムが活かされていて
心情の変化が非常に大好きな作品です。
草間先生の挿絵が素敵な一冊だった。
座波榛名、27歳、中古宝石買取店勤務。
矢神比呂、30歳、眼鏡でバツイチ、大手飲料メーカーに勤める技術者。
7月3日の涙の日の夕方、座波の勤める店に
婚約指輪を売りに来た男、名前は矢神。
「間違えて失神って書いたりしねーのかな」などと思う座波だったが
なぜか彼が気になり、雨宿りを勧めて夏みかんをご馳走すると、
その男は涙を流す……
何事にも執着せず、最後に泣いたのはいつの日のことか……
如才ないはずの座波がラブホテルの前で女に叩かれてしまう事態に
偶然居合わせて再会した矢神と、友情のような奇妙な関係が始まる。
付き合う女に不自由したことのない男と、
結婚していたこともある男。
全く対照的なタイプだが、共に流れに任せて関係を生きて来た二人。
いい大人が、恋らしきものもしてきたはずなのに、
初めて本当に自分の心が動いて、抗い難く誰かに惹かれていき、
そして新しい自分を生き始める物語。
高性能ポンコツロボットと言われる矢神の
不器用でまっすぐな生き方も、
要領よく生きているような座波の純情も
どちらもとても好感が持てて愛おしかったが、
個人的には、ぐいぐい引き込まれるような萌え……ではない。
繊細な筆致で描かれるそれぞれのエピソードのうまさは相変わらずだが
大きくテンションの上がるようなものではなく、
一穂さんの軽妙なセンスも控えめ。
滲むような夜の風情を背景に描かれた
じっくりと炙り出されるような物語だった。
そんな草間先生の挿絵がよく似合う一冊だったが
草間先生の漫画にあるようなやるせなさが薄い分、
インパクトというか求心力には欠ける印象があるかな。
作者らしい細部の美しさは健在で、
個人的には気持ちよく読み終われる
まとまりのいい話だと感じてなかなか好きだが
退屈……と感じる人もいるかもしれない。
前半の『さよなら一顆』は座波目線、
その続きの『またきて一過』は代わって矢神目線。
あとがきは、矢神目線のホテル前で再会したシーン、
何かが始まる時……と心に伝わり情景が見える短いSSのうまさが流石。
深く想い入れたり魂鷲掴みとはならなかったが、
トータルには筆者らしい味わいのある一冊だったと、評価は「萌×2」です。
一穂ミチという作家さんは「日常」を描くのが非常にお上手な作家さんだと常々思っているのですが、この作品もまさに「普通の男」の「日常」を描いたお話でした。内容はすでに書いてくださっているので感想を。
人外が出てきたり、けた外れのお金持ちが出てきたり、そういう非日常のストーリーではありません。特にこれという出来事も無く、毎日が淡々と過ぎていく、それだけの話なのにこの作家さんが書くとグッと話に引き込まれてしまう。
まず出だしが上手なんだな、と。人物や背景の描写の描き方が非常に上手で手に取るように分かるのに、それでいてそこかしこに撒かれた謎が一体何なのか、気になってページを捲る手が止められない。
社交的で、女性とも軽く付き合える。それでいて酷い男かと言えばそうでもない、攻めの座波。
真面目で、それゆえに人付き合いが苦手で妻に出ていかれてしまった受けの矢神。
どこにでもいそうな、ごく普通の二人の男。婚約指輪を売りに来た客と、その店の店長というきっかけがなければ接点すらない二人。その二人が、お互い少しずつ相手を知り、距離を縮めていく。
何か事件があるでもなく、淡々とした日常を描いたストーリーなのでややもすれば退屈なストーリーと感じる方もいらっしゃるのかもしれない。
けれど、その普通感が非常にリアルで、個人的にはとても良かった。
飄々としていて誰とでもうまく付き合える座波が、矢神に対する恋心を自覚してからはどうしていいのかわからずオタオタしてしまうところも可愛らしかったし、「高性能だけれどちょっとポンコツなロボット」と言われてしまう矢神(またこれが言い得て妙)が、座波という存在を得て少しずつ「人の感情」という面が成長していく様は、まさに割れ鍋に綴じ蓋っていう感じで読んでいてホッコリしました。
あと挿絵の草間さん。
草間さんは作家買いするくらい好きな作家さんですが、草間さんの挿絵がこのストーリーにピッタリすぎてちょっとびっくりしました。小説の場合、挿し絵が好き、とか反対にちょっと苦手で、ということはよくありますが、読んでいて一穂さん作品というより草間さん作品として脳内で再生されてしまって、途中で「ん?一穂さん作品だよね?」と作家さんを確認する、という行為をしてしまった…。小説の挿絵って誰が決めるのかいつも常々不思議に思っているのですが、このストーリーに草間さんの挿絵と決めた方、天才!と思ってしまいました。
一穂さんはあとがきで番外のSSを書かれることが多い気がするのですが、個人的にこのSSがとても好き。本編を捕捉しつつ、余韻を残す。文章の書き方が本当にお上手な作家さんなんだな、といつも感心しつつ。
一穂さんらしい、ほっこりと温かく、可愛らしい作品でした。
本を手にする時に瞬時に分からないタイトルが好きです。どういった意味のあるものなのだろう、と馳せながら読むのがわくわくするからです。
こちらの一冊も同様に。
勉強不足で恥ずかしいですが「いっか」なんていう数え方を初めて知りました。(すみません。漢字が出てきませんでした……泣)
宝石をきっかけに進んでいくストーリーです。
わたしもどちらかといえば攻めの榛名さんに似た考え?のタイプなので受けの比呂さんが面白く感じました。
きっと表情は乏しいはずで淡々とした口調なんだろうけど言っていることがどうにも面白い。自分と違い、そんなこと気にもせず考えたこともないので惹かれる。十分に攻めに感情移入出来ました。
受けの過去の精算の部分には全くといっては?状態でしたが……重い話のような突拍子もない考えのような理解が出来ないような分かるような…その辺は女であるわたしにはちょっと分かりませんでしたが、そのわけの分からなさが男性であるということなのかな、と。
キュンと、した部分は大半攻めと同じポイントで、あれ?私もこういう人が好きになるのかな?と錯覚まで起こしてしまいました。
ネタバレはなしで書きました。
タイトルの意味をもう少し考えてみたかったのもありますが…(読解力が乏しくてすみません)
後半は受け目線で進み、正確な両思いにまで至りますが後半、ぐっと受けが変わったように感じ微笑ましかったです。
お互いが自然に引っ張られる素敵な恋愛模様を見せて頂けました。
追伸。草間さんのイラストはやはり絶品です。一穂さんが夜のイメージなので夜のシーンが多い、と仰っていますが確かに色気が語ってます。(可愛いところも多分にありますが)欲を言えばもう少しイラストが欲しかったです……(中5枚です)それは贅沢かな…
こんばんは、snowblack様。
ペーパーにブログまであるんですね〜ペーパーは手に入れてないので可愛いタイトルに惹かれてやまないです!教えて下さりありがとうございます!
小説を一読すると一旦置き自分なりに解釈を整理したりしてまた手に取り確認、そして新たな発見→また置く→再読と繰り返す厄介な質ですので未ださ迷っていました……汗
snowblack 様のレビューを拝見しおぉ!なるほど、と思い参考になりました。貴重なレビューありがとうございます。
私もダイヤモンドになぞらえて過去とのお別れかな、と思っていましたがそれだけではないような…と腑に落ちないものがあって悶々としておりましたが、頂いたsnowblack 様のご意見にハッとさせられました!そして同時になんて洒落たオチなのだろうと目から鱗です。過去とのさよならと座波とのあやふやな未来とのさよならだったなんて…!
自分では気づけなかったであろうポイントをお教え下さりありがとうございます!
一穂さんは「世界のまんなか〜」しか知らなかったので益々過去作品にも興味が出てきました!
いつもレビュー拝見しております。勝手ながらに応援もしていましたので(何の?w )今回はコメント頂き嬉しかったです。
Kays様、こんばんは。
『さよなら一顆』、なんだろう?と興味を唆られるタイトルですよね。
後半が『またきて一過』、ペーパーが『やきもち一匙』
作者のブログの小話が『こがらし一人』と、
言葉遊びみたいな統一性があるのも楽しくて好きです。
ところで、タイトルの意味ですが、
私は一粒のダイヤモンドに象徴された過去との別れという意味と
告白後の場面で(注:ネタバレしてます!)
↓
↓
いつかセックスしてみたいという座波に対して
「それは『いつか』じゃないといけないのか?」というやりとりの
『いつか』と、両方の意味があるのかなぁ、と思って読みました。
kays様はどのようなことを連想されましたか?
ノンケのイイ年したサラリーマン同士、ふとした出会いから始まるラブストーリーなんて、激しい一目惚れとか、監禁しちゃうとか、やたらセックスシーンが多いとか、記憶喪失とか、男を引き寄せるフェロモンとか、実は義兄弟とか宇宙人とか多重人格とか、そういう要素でもない限り退屈なものになるんだろうなーと思って手に取ったのに。いやぁ…悔しいほど面白かったです。
タイトルの印象の通り、静かに時間が流れていく物語です。一穂ミチ作品の魅力の一つですが、全く異なる場面なのに通じ合うような言葉がふと登場して、それが登場人物の行動や思考に繋がって行く、その面白さがこの作品では更に効果的に表現されているように思いました。また草間さかえさんのイラストの雰囲気がピッタリで、クライマックスの静かな緊張感が伝わってきました。
暗い雰囲気の表紙絵にページを開くのを躊躇っていたのですが、早いとこ読めば良かったです。
頭痛くなったり、気持ち悪くなったりするの、本当にあるよね。
一穂さんの作品って、こういう気象現象とかをエピソードに絡めるのが上手いなぁっていつも思う。
確かにラブはなかなか捗らない。
坦々とした、すれ違っていることすら認識してもらえないようなすれ違いが続く前半は、この二人、本当にちゃんとラブに行き着くのか忍耐を試されるようではあるけれど、この、座波から矢神への、受け取ってもらえない感を描くのは、矢神を描く上の必然だと思えるので、私としては矢神がいつ目覚めるのか結構わくわくしながら楽しんだ。
草間さんの挿絵は、読んでいる最中はいつもほとんど印象に残らなくて、それはストーリーにとけ込みすぎていて、変に気分を途切れさせたりしないって意味で、逆に凄いんじゃないかな。
あと、私も、座波と榛名、矢神と比呂が混在するのはわかりにくかったです。
セルフツッコミ
これと同じ日に読んだのがまさお三月さんの新刊。
期せずして同じようなキャラの話が続いてしまった。
矢神が自分に対してのことには反応が薄いのに、他人に対して、世間話でさえ考えたり。
なんで元嫁には出来なかったのかな?
中身はすごくまじめで不器用な人で、愛おしいキャラクター。
座波は人当たりも良いし、もてそうで適当すぎるくらいの遊びの恋愛をしていて、別に不自由なく今を過ごしているのに。
矢神に惹かれるのは無いものねだりなのかな?
お互いが相手に出会って、少しずつ変わっていくような。矢神は人間らしく、座波は恋愛観が変わったり。
矢神は恋愛自体はじめての経験ぽいので、ゆっくり噛み締めながら幸せになるのだろう。
大事にね。
中古金属買取店で働く榛名(攻め・27歳)は、エンゲージリングを売りに来た男性客・比呂(受け・30歳)とひょんなことから飲み友達に。
バツイチで不器用な比呂の人となりを知れば知るほど、彼のことが気になり…
榛名は、既婚者含め不特定多数の女性と緩く関係を持つ、スマートで要領のいい若者。
ここ何年も泣いた記憶のないほどドライな榛名ですが、何気なく渡した夏みかんを手に涙を流す比呂に心を動かされ、少しずつ彼に惹かれていきます。
年上の恋人の天然な言動にドキマギしたり、焼き餅を焼いたり、どんどん可愛くなっていく様に萌がありました。
比呂は、仕事はできるが同僚との世間話一つまともに出来ない、真面目で不器用な人物。
天然ボケでもあり、比呂に告白されても全く動じていなかったり、唐突に松ぼっくりの「ぼっくり」の意味を尋ねたり等、大真面目にボケるシーンの数々が笑いを誘います。
こんな二人が飲み友達として親交を深め、比呂の離婚問題等プライベートな話も打ち明ける仲になり、些細な嫉妬をきっかけに榛名が告白…という流れ。
他作家さんで言うとかわい有美子さんあたりがよく書かれるような、分別ある大人同士のほのぼのラブといった趣の作品。草間さんの挿絵も素敵でした。
ただ、各エピソードをさらりと流す描写にセンスの良さは感じるものの、その分掘り下げは浅く、登場人物の言動に説得力を感じにくいという難点も。
特に比呂が子どものことを語り出すシーンには唐突さを感じてしまいました。
また、ラブシーン描写がやはり個人的にピンと来ず。落ち着いた大人が、濡れ場となると断続的にアンアン喘ぎ続けるのにはどうも違和感を感じてしまいました。
しかし、全体的には一穂さんらしいセンスの良さと誠実さを感じる素敵な作品でした。
中古貴金属買取チェーン店「百顆」に勤める座波榛名は、閉店間際に婚約指輪を売りに来た矢神比呂に、気まぐれで夏みかんを振舞います。
その夏みかんを食べて、それまで淡々としていた比呂がぽろりと涙を零します。
比呂のことが妙に心に残った榛名。
数日後、榛名はセフレ(女)の機嫌を損ねホテルの前で打たれるのですが、その現場を偶然比呂に見られてしまいます。
比呂が榛名の腫れた顔を手当てしたことをきっかけに、二人は客と店員から、知り合い、そして友達のような関係になっていきます。
比呂のことを知るうちに、榛名は少しずつ彼が友情とは別の感情で気になり始め・・・という物語です。
他の方も書いていらっしゃるように、読み始め、なかなか入っていけませんでした。私この物語合わないかも・・・と思いながら読み進めました。
どこからか・・・多分、榛名が恋心を自覚したあたりから、やっと面白さが分かってきた感じです。
なので、榛名が告白してからの『またきて一過』は凄く萌えました!
比呂が榛名のことを好きなのに伝えられないところ、そんな比呂に榛名が振り回されるところ、ここがメインでガッツリページ数があったら良かったのに・・・と正直思っています。
想いや気持ちの”分量”のくだりも胸に響きました。「顆」の部分も、もう少し掘り下げて欲しかったです。
比呂のキャラクターが、なかなか掴めませんでした。
自分でも放り出したいのに手放せなくて、どうしていいか分からなくなる・・・気持ちは分かるけど、それが比呂にとっては親権なのが納得し辛いというか。う~ん、そこ拘るんだ?みたいな感じでした。
「高性能だけどちょっとポンコツ」感がもう少し早く掴めていたら、もっと比呂を好きになれて、榛名にも共感出来たのではないかと思います。
読みながら、色や映像が思い浮かぶ作品です。そこは凄く綺麗だし、素敵だと思います。
後味は悪くないので、大人な恋愛ものが読みたい方にはオススメできる作品なのではないでしょうか。
比呂に告白するまで、榛名が女性とかなり遊んでます。浮気もへっちゃらなクズ男です(笑)
比呂も離婚した元妻がいますし、登場人物に女性の影がチラつくので、苦手な方はご注意を。