お買い得商品、セール品、中古品も随時開催中
tori no kuni no hanayome
月東さんの異世界トリップものということで発売を楽しみにしていましたが、今回も面白かったです!読み終わって、月東さんの書かれる健気受けが大好きだと、改めて思いました。
お話は、動物と話せる大学生の悠が、異世界を救うために花嫁として連れて行かれ、ファッサード国の神官と恋に堕ちる…というものです。
そこは、創造主が作り、創造主の言葉を人に伝えるための御使い様という鳥がいて、人間よりも鳥の方が偉いという世界です。そして、その御使い様と話せる人間が神官と呼ばれる人達なのです。だけど、神官と呼ばれる人達が誕生しなくなった頃から、国の大切な大きな生命の樹が枯れて聖なる泉が涸れてくるようになって…。
その原因を知るには創造主に聞く以外に方法がないのだけれど、聞くのは番の神官しかできません。でも、若い神官はもうエルドラドしかいなくて。そのために、異世界でエルドラドの番相手の動物と話せる人間を探していて、悠が見つかったのでした。
この悠が、いつでも自分よりも相手のことを考えて、本当に健気です。異世界に攫われてきたのに、エルドラドやファッサード国のために頑張ろうと決めて、女の子のふりをして儀式に臨もうとするし。他の国の神官に誘拐された時も、エルドラドに心配をかけまいと気丈に振る舞うし。終盤登場する自分勝手な創造主たちにも、皆のために果敢に挑むし。
一方のエルドラドは、子供の頃から神官となるべく親と引き離されて育ち、唯一の神官として孤独に生きてきて…と悲しい生い立ちで。それでも、国民に対して慈しみを持って優しく接しています。
そんなエルドラドの心根を知って、どんどん惹かれていく悠。エルドラドの方も、健気な悠と知り合って、一緒に過ごして悠の温かみに触れる内に、自分が孤独だったと気付くのです。そして、その心地よさを手放したくないと思うのですが、悠がこの国に居るのは20日間と決めていたから、別れる日はどんどん近づいてきて。
2人とも恋愛に慣れてなくて、エルドラドなんて手が触れただけで真っ赤になるので、なかなか本心を告げれないのがじれったくてドキドキします。やっと一緒に生きるのを決めたと思ったら、またもや離れ離れになる展開になって、最後までハラハラしました。
だけど、その分、その後の仲睦まじい2人にニヤニヤが止まりませんでした。
悠の頑張りのおかげで、ファッサード国も元気を取り戻して、皆の幸せそうな様子にめでたしめでたし…という結末に、読後は胸がホッコリと温かくなりました。
神官には翼が生えていたり、キスは瞼にしたり(眼球を舐めるシーンもあります)、神様がちょっと残虐だったりと、独特の世界観も面白かったです。
♪ある日ある日佐倉悠は
助けたオウムに連れられて、
竜宮城ならぬファッサード国に行ってみれば
絵にも描けない美しさ……? 金髪の神官さま〜♪
というお話。
何故か動物の言葉が分かる大学生の悠は、
そうして異界のファッサード国に迷い込み、
『生命の樹』が枯れかけ滅びかけている国を救う為に、
金髪美形の若き神官エルドラドと番いになって
創造主様を召還して、樹を救うことを願うことに……。
この神官には翼があって(出し入れ自由)
番いになると相方にも翼が生えるのだけれど、
エルドラドの翼が生え替わった時の羽が取ってあって
それでチクチク偽の翼を夜なべして作るのだが、
偽だと見抜かれそうになって、一か八か
本当に体を繋ぐことに……
悠はいったんは戻るのに、エルドラドが大好き、
ファッサードが大好きと自らあちらに移住を決める。
彼の健気さ前向きさ潔さ……とも言えるのだが、
こんなに簡単に異界に移住しちゃっていいの?という気もする。
まぁ、エルドラドは優しくて美形だし、鳥たちも楽しいし
ファッサード国は確かに美しくて穏やかな桃源郷。
その割に創造主の神様達(男2女2)が残酷で俗っぽいのが
なんともおかしく、いかにもではあるがよく出来た世界観、
全体には、表紙のイメージのままの
優しくて可愛い綺麗な色彩に彩られたファンタジーで
楽しく読了。
月東さんというと西アジアなイメージなのだが、
このファンタジーな国の風物も西アジア風なのに
ふむふむと思いながら読みました。