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natsu no kodomo
魚住くんシリーズ最終巻です。
「リムレスの空」は、これまで断片的に窺えた、幸福ではなかった魚住くんの子供時代がもう少しだけ、分かります。
感情が目覚ましく豊かになりつつある過程で魚住くんが見る、忘れていた切ない頃。土管から見えたリムレスの空。
久留米が住んでいたボロアパートがついに崩壊し、実は研究者として優秀な魚住くんにアメリカ行きの話が持ち上がる、今までのものが変わっていこうとしている、変化の序章を示すエピソードにもなっています。
「アイ ワナビー ア フィッシュ」、個人的にはこれが最終章のように思ってます。
久留米との関係が順調に流れている中で突如、魚住くんにPTSDの症状が。
一人、自らの心に向き合う魚住くん。
さちのちゃんの死から一年になるクリスマスを経て、お正月にはアメリカ行きを決心するのですが、一番きたのはクリスマスイヴの場面です。
イヴというと何かロマンティックな萌え展開を期待したくもなりますが、何もありません。
魚住くんはさちのちゃんの事故現場を訪れ、久留米は魚住への思いに耽りながら携帯を手にしている、そんな地味なイヴですが、私は非常に感銘を受けたのです。
こういう、相手への思いやりとか分かり合ってる感じがいいなと、自分にとっては一つの理想を見たような気がしました。
ですが、レビューを書くためにその場面を読み返してみると、これこそ男同志だからかもしれないとも思いますかね。久留米は男で、魚住くんも男だから、自分のことはちゃんと自分で決めていく。
魚住くんは男であり、久留米も男として認めているからこそ、静観してるんだな、と。
表題作「夏の子供」。ここで、視点が第三者に変わります。魚住くんでも久留米でもなく、本当に子供の太一少年です。
二人のどちらかの視点で、その後の物語をもっと密に知りたかった気持ちはしますが、やっぱり素敵な話です。
魚住くんは立派な教授になりましたよ!
「ハッピーバースデーⅡ」はまたその後のお話。
自分で自分の誕生パーティーをやった魚住くんから大人になったもんだとしみじみきます。久留米がアメリカの魚住くんの所に行ったくだりが良かったです。
人生は決して思い通りにいくばかりではなく、魚住くんと久留米にもこれからいろいろあるんでしょうね。すれ違ったり、相手を思いやるばかりに一度か二度くらい別れたりもしながら、一生続いていける二人じゃないかと思いました。魚住くんシリーズは私の大事な宝物です。
魚住くんシリーズ最終巻。
前作では無事に結ばれて晴れて恋人同士になった2人。
恋人同士になったからと言って始終くっついてる様な関係じゃなくて、お互い仕事や研究で忙しいしイチャイチャもままなりません。
でもスイッチ入ると久留米の求め方が情熱的で素敵。
車のブレーキ音が引き金となり魚住がPTSDを発症します。
こんな時は恋人と甘々な時間を過ごして2人で乗り越えて欲しいというのが私の願望なのですが、魚住も久留米もお互いに過剰に心配したり、依存したりせずにむしろ離れてるんですよね。
心配で仕方がないのに自分にはどうにもできない久留米の無力感が伝わり胸が痛い。
こんな状況でアメリカへの留学は出来ないだろうと踏んでいたのですが、こちらの予想も外れ魚住はアメリカ行きを決意します。
個人的には行って欲しくなかったのが本心。
久留米が引き止めないのは分かってたから、胸がチクチクしました。
2人の間でどういうやりとりがあったのかは語られません。
数年後も魚住はアメリカで研究の一任者として活躍しているようですが、遠距離恋愛は続いている様子でちょっと安心しました。
時々帰国したり、久留米が会いに行ってるんだよね多分。
1巻から思い返すと嘘みたいに人間らしさを取り戻した魚住でした。
繊細が故に鈍感にならざるを得なかった不幸な青年が大切な人達との出会いや別れを経験しながら、少しずつ強く逞しくなっていくヒューマンドラマでもありました。
完結巻を読み終えてしまい、寂しさでいっぱいです…。
しばらく余韻に浸りたいと思います。
魚住くん最終巻。
突然のPTSD発作に苦しみながら生活する魚住くん。
久留米もそれをすごく心配しているけど、会えて会いにいかない。そして魚住くんもあえて頼らない。
この二人の距離感が最初の頃はもどかしかったけど、お互いの気持ちをしっているから安心して読めます。
でも魚住くんのアメリカ留学の話が持ち上がり、微妙な雰囲気が。
どうするんだろーと気になっていたところ、突然アメリカ留学に行って数年後の場面に切り替わっていました。
しかも、太一くんという突然現れた第三者目線の話。
んー、個人的には離れている間の二人のことが知りたかったです。(魚住くんか久留米視点で)
でも成長した二人・幸せそうな二人が見れてホットしました。
シリーズ最終巻。まとめ方が綺麗でじわっと感動させられるけど、読後に悲しみや辛さが残る。最後の魚住にたくさんの感情が生まれたが、その中で一番強かったのが寂しさな気がして。PTSDと向き合う描写に物足りなさも感じる。
魚住と久留米の関係性は好き。個人的には前作がピークだった。
留学話が持ち上がるなか、PTSDを発症する魚住。さすがの久留米も普段通りではいられない様子で、二人のバランスが崩れそうな気配が。依存と共倒れを心配する友人たちをよそに、隣に居場所を求めながらも、二人ともが自分の中で戦っている。
印象的だったのは、徹底的にひとりで考える魚住と、たくさんの人と関わりながら自己を取り戻していくかのような久留米との対比。その最終地点すら交わらない二人が、しっかり唯一無二の相手だと思えるのだからすごい。
また、ずっとすごいと思ってるのが、読みながら(私が)言いたくなったことを、各々が良いタイミングで言って(思って)くれること。作者の意図通りに各人物像がこちらに伝わっているからこそ、これらでスカっとできるということで、解釈一致の心地良さを味わえた。
ただPTSDの経過に関しては希望的観測のようで、描き切った感がなく、異国へ飛び立つには不安が残ったままな気がして心配だった。が、次の話はいきなり新キャラ視点に移ってテーマは命。そしてまた数年後へと。
最後は葬式から始まる物語。魚住が、自分が死んだ時に、と考える一連の心理描写が、孤独じゃないのにあまりにもひとりで生きている人間の内面で、辛くて悲しくてたまらなくなってしまった。
頼らない、依存しない関係は素敵だと思う。でも死後を考えてあのモノローグなのはとても寂しい。自立していても、隣に在るもうひとりを意識して欲しい。
シリーズを読み始めたときは、魚住と「死」の距離が遠のくのかと思っていた。今の印象は、「死」は変わらず近くに在って、「生」が近付いたような。
漠然とした不安が広がる感覚に似た余韻が長く続いている。いつかまた、年を経てから再度読んでみたい作品。最初の話以外は神。
最終巻のコメント欄にコメントさせてもらいます。
欲を言えば大洋書館から出版されたハードカバー、またはクリスタル文庫のものを購入したかったのですが色んな意味で断念しました。
この5巻に関しては久留米と魚住のラブラブな所もあり、PTSDと戦う魚住。
魚住はもっと久留米に依存しているのかと思ってたのですが、あえて一人で病気と向き合い、戦っている印象をうけました。久留米が存在しているからこそ一人で戦える、そんな感じがしました。
魚住の祖父祖母がいい人で本当によかった!5巻は何度か泣ける場面があります。
魚住の人生は近しい誰かの「死」を経験することが多く、それが心の疲弊にも繋がるのですが最後は「生(せいめい)」もあるのだと読んでる私も感じることが出来ました。(魚住の心境にシンクロしてしまったので)
心が温かくなってここでも涙が出ましたね。(マリさん誰との子供ですか・・・!!)
泣ける作品と聞いて読み始めました。
全体の感想になりますが私にとっては恋愛の涙ではありませんでしたが泣ける作品ではあります。
魚住が悲しみの涙を流し、苦しんでる姿に共鳴して自然に涙が出て一緒に苦しくなったり、全巻を通して魚住がどんどん人間らしくなっていくような、それを見守ってる一人になってるような感覚になる作品です。
久留米が魚住とやりたい衝動がなかったらこの2人はうまくいくことはなかったのかな?久留米よくやった!と言いたいです。
一般の出版本というくくりで出版されている以上、濃厚なBLのそれを期待してはいけないし、期待をしているわけでもなかったのですが、私が思ってた以上にBLでした。何か変ですね・・・そもそもがBLの出版社から出てる作品ですものね・・・BLには間違いないんですが・・・(笑)
最後のあとがきで魚住くんシリーズが榎田さんの初作品、そして作品を書かれた年齢が二十代の半ばと書いてありそれにもびっくりしました。榎田さん本当にすごいです。
この作品のメモリアルブックが出ているそうです。
見てみたい!!のですが、某所では値段が定価の4倍ほどに上がってて断念。
メモリアルブックの再販!しないですよねきっと。
長々と失礼しました!!