恋してる、生きていく

koishiteru ikiteiku

恋してる、生きていく
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神55
  • 萌×225
  • 萌13
  • 中立8
  • しゅみじゃない12

--

レビュー数
20
得点
422
評価数
113
平均
3.9 / 5
神率
48.7%
著者
夕映月子 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
みずかねりょう 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
発売日
価格
¥620(税抜)  
ISBN
9784403523847

あらすじ

心臓が悪い梓は、山岳写真家の穂高に惹かれつつも、その想いを受け入れられずにいた。だが穂高が事故に巻き込まれ・・・?「Solitude」待望の文庫化!

表題作恋してる、生きていく

石井穂高,山岳写真家
渡邊梓,高原のホテルオーナー

その他の収録作品

  • solitude
  • la petite mort
  • あとがき

レビュー投稿数20

泣いた。。( ; ; )

作者である夕映先生の、山に対する愛がひしひしと伝わってくる、美しい作品。。
読んだらきっと、夏山に上りたくなってしまうと思います。(読んだ時期が絶賛、冬!!で残念…)

以下、ネタバレありのレビューとなります。




梓(受)の手術後の登山と、二人がやっとやっと繋がる描写に、読みながら涙がつつつ…と流れ出て、止まらなくなってしまいました。

年下の山岳写真家 × 心臓病を抱える山のホテルオーナーの恋。

普通の人よりも短いであろう寿命を、細く静かに生きることを受け入れていた梓。
そんな梓が穂高と出会い、「共に生きていきたい」と強く願うようになり、動き出していくー

梓の踏み出す一歩に、まるで彼と一体化したかのようにドキドキ・ワクワクし、手術を乗り越え、穂高と一緒に山頂に辿り着いた場面では胸がいっぱいに。。
文章で綴られているのに、そこに本当に山頂からの景色が見えるような夕映先生の美しい描写にも、圧倒されました。

そしてそこにズドンと刺さる、みずかねりょう先生の挿絵!!!
山頂で穂高が指輪を贈るシーンの挿絵が本当に美しくて、じいっと見入ってしまいました。梓の左手薬指に光る指輪が眩しいよ…

物語に登場する木々の描写や、梓の飼い犬ボルゾイちゃん、二人が愛を交わす描写など全てが美しく、本当に芸術品のような物語でした・:*+.

あとがきによると、先生のデビュー作に登場したカップルが出てきていたとのこと。
順番が逆になってしまいましたが、そちらも読んでみようと思います(๑•̀ㅂ•́)و

0

関連SS

ペンネームにも表れているけど、著者は山や大自然が好きな人
自然豊かな場所を背景にした作品 著者の人柄が現れている
タイトル通りの読後感良い内容の小説。

夕映先生のブログが未だ閲覧可能で
関連SSも読める状態だったので、メモ

「Live, Love, Laugh, and be Happy. 」          
――『恋してる、生きていく』SS
http://yueinfo.blog.fc2.com/blog-entry-51.html
シルフ視点でみたアズサ

0

優しく希望に溢れる作品

夕映先生の風景描写から山の美しさが伝わる。梓は諦める事に慣れてしまっていて、そんな梓にとって穂高は憧れで希望だった。先を考えて穂高を受け入れないのは解る。身勝手とは思わないけど、後悔ばかり残る気がした。篠原と蟠りが消えたのは良かったけど、穂高は寂しかったと思う。梓の気持ちが変わって良かった。恋人になっても遠慮がちな2人がもどかしい。梓が手術を受けて、穂高が献身的に支える姿は微笑ましい。ここからは感動の嵐。穂高の「この傷は、梓さんの気持ちでしょう」って言葉に感涙。優しく希望に満ちた作品

0

厳しさと美しさと

山岳BL2作目。
しかしながら、収録の「solitude」は元々デビュー作の「天国に手が届く」より前に書かれたそうです。
登山が趣味だという作者様の山への思い入れが充分伺える作品。

レビューも多いので感想だけ。

私は、物語を大きく見せようとするがためのわざとらしい演出などが嫌いです。
大袈裟なドラマの詰め込みが苦手です。
正直、この物語。
私的には苦手な要素が入り込んでいます。が。
いつもならうーんとなるような部分も非常に巧みに美しく物語の中に織り込まれ、ため息が出るような切なさで読ませます。
例えば受けの生まれつきの心臓病。
屈強な攻めでも、山の滑落事故に巻き込まれたら死に直面すること。
これらはいつもの私なら「ドラマチック過剰」とバッサリ斬るところ。
しかし、幼い頃からい色々な事を諦め、目を背け、生に積極性を求めない梓。
静かで美しい森の精のような梓。
一方、素直で優しくて逞しくて、の山男の穂高。
森の精にかしずく従者のように梓への愛を語る穂高。
この2人が紡いでいく愛の形は、崇高に美しい。
それは、人間が存在する前から何万年もそこに在る山たちの神性を映しているかのようで。
一歩間違えたら単に難病ものに転びそうな主題だけど、そこに在ってある季節は雪と氷に閉ざされ、また花が咲き、風が吹き渡る…そんな山々の厳しさと美しさが物語に芯を与えている、と感じました。
また、受けの梓が決して儚げでも聖人でもなく、愛情と肉欲が結びついている。
梓にとってセックスはこれまで手に入らないものだった、でも穂高を愛して生を欲する、そこと結びついているからこの作品におけるセックスは単にエロではない。
そんなところも読みどころのひとつ。
切なくて綺麗。素敵。

2

清らかな風を感じます

”あなたを好きになりたくない”から辿り着きました。
こちら読んでから、改めて”あなたを~”に収録されていた後日譚を読んだら
前回読んだときより尊く感じました。(当たり前か…)

他のレビュアー様がすでに指摘していますが、BL設定じゃなくても…難病ものの恋愛小説(男女)でもいいんじゃ?的な印象もなくはないのですが、舞台となっている土地の自然の繊細かつ雄大な描写にワクワクしたり、穂高と梓が相手のことを想いあう美しい気持ちにじーんとしたり、生きるということの意味について考えさせられたりと、読み応えはたっぷりありました。そして、夕映先生って結構スケベがハード目な印象なのですが、これは受が難病ということもあって慈しみあうような交わりが、むしろめっちゃ尊くていい、、と思いました。互いの鼓動をじっくり確認しあい、大切なものに触れるボディスキャンというような趣が素敵でした。

みずかね先生のイラストは神ですね。特に、カラーイラスト、ボルゾイを連れて森を散歩する2人(美人なオーベルジュオーナーと爽やかで優しい山男)は眼福でしかありません。素晴らしいです。山岳シリーズ、もっともっと読みたいです。

1

清々しい

高原が舞台のゆっくり清涼感のあるお話。
生まれつき心臓疾患のある梓が恋を受け入れ、積極的に生きることを選ぶ姿、それを見守る穂高。ずっと諦めてた登山を成功させての改めての告白に感無量~生きるって素晴らしいな。アルプス(?)の山々の描写も爽やかで元気が出ます!
エチも爽やかで!本当に描写が丁寧で!!山に触れてる気分になれるの良いですね。穂高くんの逞しさも目に浮かんできます。じんわり染み渡る素敵なお話でした!

0

ボルゾイ、きれいだよね

積み本から発掘した本。
多分、表紙買いで、カバーイラストに、私の好きなボルゾイがいたので目に留まったものと思われます。
山の小さなホテルを舞台にした、胸を打つ純愛スロウ・ラブってことで、ホテルの若きオーナーと、年下の山男とが築いていく関係は、ひっそりともどかしく、高原の清々しさや、おいしそうな料理の描写も美しい。
病気持ちの主人公が、恋をしたことで色々なことを克服していくストーリーは、瑞々しいとも言えて、懐かしく、趣き深かったです。

1

雀影

セルフツッコミ
病気がかわいそう系のお話って昔、結構流行ってたなぁって懐かしかった。

安心して読めるスロウラブ

最近読んだ小説ではダントツに面白かったです。描写がとにかく美しく山や高原の景色が脳内にありありと浮かびました。イラストもまた秀逸。透明感がある物語にピッタリです。
ドキドキというかハラハラする展開がほぼ無いので光の腐女子も安心して読める内容ではないかと感じました。
スロウラブが好きでは無い方やエロ多めがお好みの方には物足りないかもしれませんが私はこの作品で夕映月子先生にどっぷり心酔しました。

5

とても美しい物語!

なんて美しい物語でしょう!
生きているという言葉が何度か出てきますが、本当に生きていることを考えさせられました。

穂高の穏やかで優しくて気遣いできて愛情深いところがとても好感が持てます。梓に告白を断られても諦めず2年も梓のホテルに通い続け。

梓も心臓の病気の為色々諦め我慢して生きてきました。穂高を好きになっても持病のために辛い想いをしたくない、させたくないと告げるつもりもなく傍に居られたらと思っていて。

しかし穂高が踏み出しとうとう気持ちを明かすことに。
穂高が梓の気持ちを知っていても言ってくれるまで一生待つつもりだったとかもう!本当に泣けます。

滑落事故で梓もいつまでも穂高がいるのが当たり前ではないと気付きやっと自分から告白します。
お付き合いが始まりますが心臓の負担があるのでエッチはあまりできません。それが梓は心苦しく物足りなく。穂高はこれで充分だと言ってくれますが。

穂高のお店のオープンのコンサートでロープウェイに初めて乗って梓が山の景色に感動するところは涙が出そうでした。小さな世界から初めて外に出て世界が広がり、山への渇望にも似た想いがわき上がります。

ここからがまた美しいお話なのです。
梓が穂高と一緒に生きたい、同じ景色を見たい、最後まで体を繋げたいと心臓の手術を受けることを決めます。

無事に手術は成功しとうとう一緒に登山へ。
穂高が頼りがいがありますます男前です。
頂上での梓の涙。こちらもホロリときます。やっと来れたね!
そして穂高から指輪をもらい。誓いの場所にふさわしいですね。
穂高の夢もいい!ずっと一緒に生きていく道ができましたね。

その後とうとう初エッチ。
お互い感動で愛しくて嬉しくて幸せで。こちらも幸せでした。

梓が死を身近に感じながらただ生きているところから穂高に出会い恋をして生まれ変わって穂高と生きたいと考え手術を受け、体も生まれ変わってもう普通の人と同じように何でもできるようになって穂高と愛し合えて本当に良かった。

梓の傷跡を愛の形だといとおしむ穂高もいい!

山や植物の描写も素敵でした。山ってロマンがありますよね。
そして美しいイラスト!表紙も素晴らしい!
お話の先が気になってイラストだけ先に見ちゃいました。
大満足です。ありがとうございます!

5

やっぱり風景描写が素敵

小説Dear+で続編を読んだので、気になってこちらも読んでみました。
やっぱりこの作家さんの風景描写はいいなあと改めて。
お話は無難な展開というかイラストの素晴らしさにかなり助けられてる気がします。キャラが挿絵に喰われているような…。
気になったのは心臓病の受けについて医療知識の付け焼刃感が酷い。
山の描写がリアルで詳細に文章で描かれているので同じレベルを期待してしまうのがいけないのかもしれませんが、続編と合わせて危ういラインでした。
この作家さんの専門外の分野に関する描写は下調べが足りないのか筆力が足りないのかは素人には分かりませんが、山の描写が良すぎるために落差がすごいです。
それでも山岳モノ(BLじゃなくてもいいかも)はもっと読んでみたいと思わされる作品でした。

2

直球で美しいお話だと思います

電子書籍で読了。挿絵有り。

『楽園暮らしはどうですか?』が気に入ったので、評価が高いこのお話を読んでみようと購入。
読みやすい文章、美しい風景描写、頑張る健気な主人公、主人公をないがしろにしないフェミニン(男性×男性でこういう書き方で良いのか大変疑問ですが)な攻め様、受け攻め以外の登場人物の性格を理解させてくれる言動の描写等々、全て好きになる要素満載なのですが、私には合わなかった……
何と言うか、綺麗なものの前を素通りするような印象でした。
こっそり恋情を抱いている相手が命の危機に瀕する経験をしてしまえば、価値観は大きく変わるだろう。それによって、今まで躊躇っていた大きな決断をするというのは解ります。でも、そこがあっさりしている様な気がするんです。その所為かな、と思います。
いや!ひょっとしたら、この美しい物語を純粋に楽しむのには、私自身の心が若干汚れているからかもしれません。それくらい美しいお話です。

2

描写が綺麗

デビュー作品『天国に手が届く』が素敵で購入しました。一番最初に抱いた感想は、
「やっぱり夕映先生の風景描写は上手い」
山、大自然を綺麗に描いてます。山岳地方に旅に出たくなる。
そして次に抱いた感想が、
「人物描写も上手だな」
攻めの穂高はアウトドア用品店員で山岳写真家。なので逞しい身体つきの青年。
受けの梓は病弱ですが、高原ホテル経営者だからか、上品さのある年上美人。
そういった魅力が目に浮かぶように描かれています。イラストを誉めている方多いですが、この文章にぴったりで綺麗だな、と自分は思いました。

3

山で生きる!私とは別世界゜。+゜(*´-`)。+゜。゜

皆様とダブってしまいますが、みずかねりょう先生のイラストが本当に素敵。ページを捲る手が止まり、ついイラストに見入っちゃう。表紙&巻頭カラーイラストももちろん良い!!のですが、挿絵のペン画イラストがめちゃくちゃ上手いのです。プロのイラストレーターさんの絵に上から目線の物言い☆⌒(σゝω・)σゴメンネ
ですがその状況や設定にピッタリ当て嵌まったイラストが、情感豊かに、丁寧に、細かく描き込まれているのを拝見するたび、「すごーい!綺麗!!」と一人興奮を抑えられません(笑)イラスト集があれば是非購入したいです( ´艸`)

それはさておき本作品、2部からなっております。

そのうち1部目の「solitude」ですが、なんと!デビュー作「天国に手が届く」よりも以前に書かれた作品とのことで、その質の高さに驚かされました。「solitude」は「天国に手が届く」のスピンオフ!それゆえ今作を読まれた方の多くは「天国に手が届く」を既読の様で、羨ましい限りです。私も、今後電子化されるようであれば、是非読ませて頂きたいと思っております。

さて、あらすじにも書かれている通り、受けの梓は生まれつき心臓に持病があります。よって愛する人との愛の行為が困難です。でも攻めの穂高の愛は果てしないほど崇高でした。肉体的な満足よりも、精神的な満足の方を尊ぶ人物、それが今作の攻めです。

濃厚なエロや傲慢な攻めを求めている方にはお勧め致しません。ですが癒しや切なさ、ほのぼのとした人の心の温かさを求めている方にはお勧め作品です。あ、もちろんエロが全くないわけではありません。これがまた特殊な方法で描かれております(゚m゚*)
でも、エロの部分よりももっと愛の部分の比重が大きいです。私は、こんな山のように大らかな攻めが実際にいたら、絶対好きになると思いました。

2部目は「la petite mort 」で、書き下ろしとのことです。この作品を書くためだったのでしょうか。1部目を随分と加筆修正されたとか。
この2部目では、受けがいよいよ手術を受けることを決意し、無事に愛を交わすことが出来るまでが書かれています。ですが…あくまで私の推測ですが…本当は1部目を書いた当初、受けの心臓病は治らない設定にしていたのではないでしょうか。下衆の勘繰り誠に失礼極まりなく、邪推もほどほどにしろと叱って下さい(≧≦)
だけどもしもそうだったのなら、最後手術が成功しハピエンにして頂いたこと、心より感謝いたします。だって…死の恐怖に怯えることなく、二人にはずーっと長く寄り添って生きて行って欲しいから。

最後になりますが、作品全体を通して思ったのは、夕映先生の山に対する愛です。今作品を読み終えた後、先生のツイッターをちらりと覗きみてまいりました。ああ、本当に健脚の持ち主なんだなぁ、すごいなぁと思いました。私はどちらかと言うと出不精なため、このように静かで澄み切ったお話を書ける先生が、こんなにもアクティブで、登山大好き人間だと言うことに、羨ましさと驚きを禁じえません。

10

イラストに★1つプラス

みずかねりょうさんの美しく荘厳なイラストに★1つプラスです。

私は山岳地帯で暮らしたこともなければ山登りにもあまり興味はないのですが、かつて長野県を旅行した際に見た早朝の南アルプスを思い出して、山や自然の描写にはなんだか深呼吸をしたような清々しい気分になりました。

ただ、BLという点では…うーん…全体的にゆったりとした優しい展開で、山岳エリア独特のおおらかさとも相まって雰囲気の良い作品だとは思うのですが、受が女性のほうがしっくり来るタイプのお話だなーと感じました。

ちゃんと病気と向き合っていく二人のひたむきさはとても良かったです。

2

ごめんなさい、みずかね先生への評価です

夕映先生、ごめんなさい、ほんとにごめんなさい。
でも、どうしてもみずかね先生の絵に対して評価いれたくて
ごめんなさい×100万回。

みずかね先生の絵がもともと大好きで
この本に到達。
絵を見るためだけにこの本買ってもいいぐらい
美しいーーーーーーーーーーーーーーー
ありえない美しさです。
攻めさんと受けさんの森の中の散歩シーン(だったはず)では
木漏れ日が動いて見える!まじで見える!
スーラって画家さんがいらっしゃるのですが
その方の絵を思い出すような光の使い方・・・
すばらしい。。。。。。
やはり一生ついていきます、先生。

で肝心のお話の方。
山のお話の 透明感がとても著されていて
読んでると「いい空気」すった気分満点!
森林浴のようなお話です!
えっちシーンがないと物足りない という方には
別の作品をお勧めします。

私的には、この本は、山の空気と先生の光の絵を強く推奨!

9

命ある限り

『天国に手が届く』を“動”とするなら、こちらは“静”といった感じでしょうか。

どちらも好きですが、純愛モノに弱い私は、今作の方がより胸を締め付けられました。

心臓の病気を抱える梓は、穂高の想いを受け止めることができず自分の人生をどこか諦めていた。それと同時に、穂高と恋人同士になってしまえば、自分を失ったときに傷付くだろうことまで考えて、一歩を踏み出せない。
穂高の方はといえば、告白を拒まれてもめげずに梓の元へ通い続ける。そんな二人の関係が、滑落事故をきっかけに動き出す。

梓が心臓の手術を終え、弓ヶ岳の山頂で穂高が指輪を渡し、愛を誓うシーンは感動しました。
その後、二人が初めて身体を重ねるところも、どこか神聖な行為を行っているみたいでした。みずかねりょうさんの絵がまた、美しいのなんの。

小田切と佐和がゲスト出演していたのも、嬉しかったです。いつか四人で登山に行ったりするのかなぁ。

5

綺麗すぎて記憶に残らない

※辛口注意※
【天国に手が届く】がもの凄く良かったので期待していたのですが、ちょっと期待はずれだったというか、悪くはないけど特に印象に残らない話という感じでした。

攻は年下ワンコ攻。
受は生気に欠ける病弱受。
題材は【天国に手が届く】と同じ山男ものです。
ちょろっと小田切と佐和も出てきていたので、そこは非常に嬉しかった。寧ろそこだけ空気に色が付いたみたいで、他のほとんどのシーンは色のない世界というか、グレーっぽい印象でした。
何だか読んでいて、受の病気に対する気持ちとか、そういった「病気」を中心に全ての話が進んでいって、読んでいてあまり気持ちの良いものではありませんでした。

もちろん、山や自然の描写は相変わらず素晴らしく、瑞々しい空気まで伝わってきそうな感じなんですが、受視点のためか折角の美しさまで沈んでいるような……。
静かで美しいというか、静かすぎて本当に受がどんな風に世界を見つめているのかが伝わってくると言うか。
そういう点では非常に文章力に優れている作家さんなのではないかと思いますが、今回のお話はそれゆえに起伏もなくいまいちでした。
正直、物足りないの一言に尽きます。

攻もワンコなんですが、強引さといったものとは程遠く、ここまで消極的で後ろ向きな受の相手としては、はっきり物足りない。物足りなさすぎて、つまらない。
何でもかんでも受を気遣い、まるでペンより重いもの持ったことないお姫様扱いに、んん?っと疑問を感じる。
気遣いも大切だけど、そうじゃないよね……というか、好みの攻ではなかった。絵に描いたような優等生で何の面白みもありません。
終盤は手術をきっかけに受がまるで人格まで変わったかのような変化を見せましたが、それも何とも言えない置いてきぼり感で、結局最後までさらっと読んで終わってしまいました。

読みやすいので普通に読めますが、印象に残らなかったので読み返すことはないと思います。【天国に手が届く】の2人の様子を見ることが出来たのが一番の収穫でした。

3

山と生きる

本屋さんで何気なく手に取りました。
実はタイトルが何だか照れ臭い感じで、ちょっと躊躇。
(先生ごめんなさい☆)
でも裏のあらすじを見たら、山男の話とあり。
高所恐怖症の私には、羨ましい憧れの世界。
ぜひ読みたい!となりました。

夕映月子先生は初読み?と思っていたら。
BL小説初心者の頃、雑誌の方で他のお話を読んだ事あるみたいです。
記憶力悪くて申し訳ない…。
このお話は、先生のデビュー本前の投稿作品だそうで。
2009年春号に掲載されたものだそうです。


「solitude」はデビュー本前の雑誌掲載作品。
「la petite mort 」は書き下ろし。
どちらも梓(あずさ)視点です。

北アルプスの麓の高原。
母と時々手伝ってくれる姉と、小さなホテルを営む渡邊梓(わたなべあずさ)。
先天的な心臓病のため、山の麓に生まれ育ったのに山へ登った事が無く。
地元の皆は梓の病気は知っていますが。
客は彼の病気の事を知りません。

数ヵ月に一度ホテルを利用する、山岳写真家でアウトドアショップ店員でもある石井穂高(いしいほだか)。
三年前からの常連客で、過去に梓に告白をした事がありますが、断られています。
その後も変わらずホテルを利用してくれる穂高は、梓の病気の事は知らず。
さりげなく山へ誘ってきます。

ある日穂高が連れて来た家族連れの客。
夫の男は梓と中学時代知り合いで、何となく気まずい空気で…?


このお話。
梓が心臓を患っている為、穂高と思いが通じても、普通のエッチが出来ません。
と言うか、自慰も長年控えていたと言うから驚きでした!
もうね、もどかし過ぎる二人の触れ合いがね、たまりません!
このもどかしさを楽しむか、物足りないと思うかは好みがわかれそうですが。
私はかなり好きでした。

それにしても、ホテルや旅館を家族経営している人達って、いつ休むんでしょうね?
梓が穂高に会うため休むには、お母さんに無理をさせなければならない訳で。
30才近い梓のお母さんは50代後半?
お姉ちゃんが仕事手伝うにしても、オーナーの息子に休まれるのは大変そう☆
そんな余計な心配をしてしまいました。

一番好きなシーンは、梓が怒って穂高の胸を叩く場面。
梓が怒りの感情を激しくぶつけるのは、この場面だけだったので。
体格差のある二人なので、穂高の胸はさして痛くも無いはずですが。
おそらく梓の激しさに驚いて、痛い、と言ったんだと思います。
みずかねりょう先生のイラストがまた、すごく良かった。
拗ねた子供みたいな梓が可愛かったです。

私にとって物足りなかったのは、穂高の素晴らしすぎる性格かなぁ。
ちょっと出来すぎくん。
例えば、部屋が散らかっているとか。
実は味覚音痴だとか。
もっと嫉妬で失態するとか。
なんかそういうアクのある部分が欲しかったかも。
だって、あまりにキラキラくん過ぎて、私には眩しかった~☆

そんな贅沢な注文以外は、山の入門編のようなお話で楽しかったです。
ちょうど読んでいる時にテレビで乗鞍岳の雷鳥の事をやっていて。
高山のお花が見たくなりました。
そのうち必ずデビュー作品の方も読みたいと思います。
夕映先生、ありがとうございました。

4

とにかくエッチシーンに萌え

山岳カメラマン×心臓に疾患を持つ、山の小さいホテルの息子。年下攻め。

心臓が悪く、激しい運動のできない受けを思いやりながら手探りでのエッチシーンがダダ萌えでした。山男でガッチリ体格の攻めが、丁寧に丁寧に受けを抱くのが、もうしびれるくらい優しくて切なかった。エッチに至るまでのいちゃいちゃもすごい萌えた。
でも書き下ろし? の後半はちょっとダレたなぁ。展開はゆっくりでいいんだけど、いらない描写が多すぎて…。もちょっとさくさく進むとよかったな。

12

山を舞台にした、優しい物語

山を舞台に描かれたデビュー作『天国に手が届く』で
すっかり魅せられた作者の、2009年雑誌デビュー作とのこと。
これも山の話と噂で聞いて読んでみたいと思っていたのだが、
この度加筆修正され、出版。

         *   *   *

北アルプスの麓で母と家業のホテル L'hotel de la Montagneを営む梓。
彼に想いを寄せる年下の穂高は、
セミプロの山岳写真家でアウトドア用品店勤務の好青年。

梓には実は心臓病の持病があり、
誰ともある程度以上親しくならないように生きてきたが
穂高の訪れを心待ちにするようになり……。

             *   

ストーリーは、梓が女の子だったら古典的な話で
山を舞台にしていると言っても、本格的登山場面もなく
デビュー作の男と男が魂をぶつけ合うような厳しい美しさはない。

それでも筆者の描く山の風景は魅力的で、文章は読みやすく
細部の繊細な描写には心惹かれる。

そして!この作品の個人的萌えポイントは、
心臓の悪い梓のH場面!
負担を避けて一線を越えない行為やそのもどかしさ
それでも触れ合える喜びなどが、とても萌えた。
さらには、ここで梓が妙に恥ずかしがったりしないで
案外積極的なのも加点。

             *   

後半書き下ろしの『la petite mort』には
『天国に手が届く』からのお二人が、ゲスト出演している。
どうってことのない一場面だけれど、
この二人が大好きだったので、とても嬉しかった!
SSでいいから、どこかでこの二人のその後も書いてくれないかなぁ!

このタイトル、とても素敵なのだけれど
後半何が起こるかの見当がついてしまうところは、どうなのだろう?
小さな死を越えて、梓は新しいを生を得、
憧れ続けた山頂からの眺めと、恋人と本当に結ばれる喜びをも得る。

         *   *   *

挿絵は可愛いボルゾイ♡(Sylph)の絵も含めて、挿絵はなかなか素敵。
評価は萌×2で。
探してみたら、『天国に手が届く』も同じ評価をつけていたが、
『天国に手が届く』>>本作。

8

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