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ここにいたいって、思うんだ
yasashii heya
■プロローグ
幼少の頃に自分が「女に興味を持てない人間」であったために周囲の人間の人生を壊してしまった過去を背負っている町田 春臣(まちだ はるおみ)。
そんな春臣に「ふとしたきっかけ」から知り合った実直で、良い意味でバカな吉野 悠(よしの ゆう)。
心に黒い影を落としている春臣に、心配なのか、ただ気になっただけなのか、自分でも分からず徐々に惹かれて行く悠。
全5話構成で送る現在・過去・未来の二人の恋物語。怒涛のストーリー展開が貴方を待っている!
■感想
個人的な感想ですが、今まで読んだ本の中で一番「読む人を選ぶ作品」だと思います(良い意味で)。
ストーリー展開は、前半を読む限り「奇を衒っている」ように感じましたが、後半のどんでん返しで見事に心を射抜かれました。
実直でバカな悠と、幼少期のトラウマに取り憑かれている春臣。二人と、二人を取り巻く環境や苦悩が見事に一冊に描かれています。
「読みもの」として非常に興味深い作品だったため、評価を「神」とさせて頂きます。
作者の初コミックで、同人誌をまとめ加筆修正したもののようです。
エッチシーンはありませんが、
同人誌の説明によるとノンケ(表紙左) × ゲイ(表紙右)となっています。
ゲイの苦悩がノンケの存在と行動によってゆっくり癒されていくお話で、
ゲイの過去や家族との確執が丁寧に描かれ、胸に迫るものがあります。
同じ大学の3年生同士のふたり。
いつも人の輪の中心にいるタイプのノンケの攻めは、
ある同級生(受け)が、
教授の大切にしている鉢植えの枝を、密かに折る姿を目撃する。
そのことと受けの人を寄せ付けない態度に興味を惹かれ、
受けのゼミに入り浸るようになり、
その時間は攻めにとってとても居心地のよいものとなる。
なのにある日、
受けは大学を辞めて家の仕事を継ぐと言い、姿を消してしまう。
約1年後、
攻めはもらっていた内定を蹴って受けの元に引っ越すが、
受けには単なる自己満足だろ…と言われ、喜んでもらえない。
でも、次第に攻めは、
その地元で受けが置かれている環境、過去について知るようになり…
話の流れ的にはとても好きなのですが、
なんでノンケの攻めが単なる片想いなのに、
就職の内定を蹴って引っ越ししてまで追いかけるほど受けが好きなのか、
それがぼやけ、その想いに説得力が感じられないのがとても残念。
でもゲイの受けが、そんな攻めの想いを拒否する背景は、
とても丁寧に描かれて、それは辛かっただろうな…と感情移入しやすい。
受けの過去の話にはすごくページが割かれているのです。
これは元の形体が同人誌だからなのかな?
攻め受け共にそれぞれ親にカミングアウトするという流れは、
ちょっと出来すぎなところもあるけど、感動を誘います。
そして、
親を前にしてのノンケの攻めの態度は男前で、
でもヘタレた部分も時々見え隠れする等身大なキャラでもあって、
シリアス調ながらも温かさを感じられたのがよかったです。
印象に残るセリフも多くて、恋愛色はあまり強くないけれどいい話でした。
できれば前後巻で読みたかったな、そうしたら神本だったかも。
次回作に期待大です☆
同性愛者ということに悩む町田と、その町田に恋をした吉野の、大学生~社会人までの恋を描いたお話です。
家族とか立場とか、ゲイだという悩みに向き合ってしっかり描かれたお話です。
しかし、最初に吉野が町田に恋をするまでが少し駆け足な気がしたので、自分が少々そこで乗り遅れてしまった感がありました。二人が大学で過ごした日々は短く、その後退学した町田を追って、吉野は内定を蹴って町田を追いかけていきます。
最初の二人で過ごした期間が短かったので、吉野がなぜそこまでして、(二年も経っても忘れられず内定を蹴ってまで)町田を追いかけたのか、それに充分納得できるほど、全部捨てても彼を追うという気持ちを読み手が納得できるほどに冒頭で描ききれていなかったと思いました。
やはり一話が大事なので、ここにもう少し時間を割いて描いていたほうが良かったと思いました。(もとは同人誌という形態から難しいかもしれませんが)
現実的な意見ですが、大学生の時にちょっと恋をした・・・という相手は、二年以上たてばせつなくも思い出として消化できそうなので、就職を蹴ってまで追いかけていくのはよほどだと思います。
設定は好きなのですが、ちょっと重たい感じでした。最初から最後まで、言い方は悪くて申し訳ないですが、雰囲気は陰欝です。
これが味である作品ですが、私には合わなかったです。けっこう暗く苦しい展開が続きますので、好き嫌いは分かれると思います。
タイトル通り優しいお話だと思いますが、しかし、きゅんきゅんな恋を楽しみたい、とか、明るく萌えたいという時にはオススメできないと思います。
もう一つ自分に合わなかった箇所は、台詞が詩的で大仰な感じがしたことです。登場人物、特に町田の兄や父親がなんだか舞台の役のシーンというか、現実感の薄い台本を読んでるような…なんとも奇妙な感じがしました。うーん、現実にはこんな大げさな身振りで堅苦しい詩のような台詞を喋る人たちはそんなにいない気もします。
そして町田というキャラクターがかなり暗かったので・・・それが少々苦手に感じました。暗いキャラだとはかかれてるんですが、何故そこまで・・・というほどでした。
このキャラクターが苦手というのが多分一番のネックだったと思います。
しかしその分吉野が明るいのでバランスが取れてるのかな?
おそらく組み合わせとしては良い二人だと思います。
もちろん暗いだけでなくちゃんとコメディー部分もあります。
しかし、普段は明るいものが好きという方には向かない作品だと思いました。