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natsu no arashi suisei keiyu
うーむ…。
このつかみどころのない感じは何なんだろう?と思ったら、全編モノローグなし、すべて台詞で物語が進行していたからでした。
思考の吹き出しがたまに出てくるものの、ごくたまに。
主人公はいる。
主人公に絡んでくる人たちもいる。
だけど目指すストーリーラインが見えない。
そんな作品でした。
【花のたより金星経由】
バイトをクビになったことを家族に言えず、公園のベンチで途方に暮れていたちひろ。
「俺の家で働かないか?」と和装の変な男に声をかけられて…。
主人公のちひろが小説家の鞠川の家へ一応「家政夫」のような形で通って、鞠川の抱える事情や居候の隈川とのことを目撃する立場になっていきます。
鞠川と隈川の関係が主軸になっていて、ちひろは「第三者」としてその2人のことを語るストーリーテラーかと思いきや、そうではないんですよ。
2人に巻き込まれるけれど何も語らないし、考えない。なので、2人と出会ったことでちひろが成長するわけでもないし、ちひろの存在で2人が変わることもない。
この作品の一番の山場として、ずっと抑えていた本心を鞠川が吐露する場面があるものの、それを受けた隈川は逃げる→これまでと変わらない生活に戻る。
この結論に至るまでの隈川の心理描写もない。
逃げている間、ちひろのところに身を寄せていたにも関わらず、ちひろは隈川はもちろん鞠川の様子も読者に語らないし、2人のために何か特別に動くわけでもない。
難しい。
流れ的には生活能力のない鞠川と接するうちに、(「ほっとけないな」と感じるようになるちひろ)→(隈川の登場でもやっとするちひろ)→(このもやもやは何だろう?)→鞠川の隈川に対する気持ちを聞いたちひろ→そんなちひろのところに逃げ込む隈川→(昼間は鞠川、夜は隈川に会わざるを得ない状況で、2人の様子からいろいろ考えるちひろ)→(隈川を叱咤するちひろ)→鞠川に会いに行く隈川→(残された鞠川の横顔に何かを感じるちひろ)みたいなことを想像するものの、カッコで囲んだ部分は起こりません。
とにかく拾われる→片付けさせられる→居候帰ってくるみたいな流れを、誰の心理描写もない状態で淡々と見せられるだけでした。
何だったんだろう?という読後感が残りました。
【夏のあらし水星経由】
こちらも物足りなさが残るんですよ…。
ちひろの財布に入っていた4年前の水族館のチケット。
そのチケットをくれた同級生との再会なのですが、圧倒的にちひろの心理描写が足らない!
すごく萌えそうなお膳立てが出来ているのに、萌える要素をくれない…。
さらに高校時代のちひろと同級生の見分けが「ピアスをしてる方」と「してない方」というくらい、描き分けが…、ごめんなさい、出来てないです。
もったいない作品でした。
あと「モンペ」の使い方が間違っているというか、あの場合のツッコミは「過保護か!」もしくは「父親か!」だと思いました。
もうひとつ、【スーパースターは気付かない】というおちゃらけ系人気者のDKと、彼に恋するDKの話が収録されていました。
すごく長くなってしまいましたが、心理描写って大事と思った作品でした。
あと最後のキャラ設定を見て、年齢はせめて+3が妥当じゃないかと。
20才で編集者というのはちょっと現実的ではないかな。
二組のカップルが出てくる、一軒家を舞台にしたお話です。
がつがつしたラブストーリーではなく、かなり緩めでふわふわした作品でした。
しっかりしたストーリーはあまり無い感じでしたので、気楽に重くないお話を読みたい時にいいかもしれません。
しかし、ストーリーはなんだか説明し辛い感じですね;
もう少し起承転結があれば個人的にはよかったと思います・・・。ただ、こういう起承転結は少なめでふわふわしたお話は流行ってるのかもしれません。
えろシーンも薄めで、このレーベルさんらしい本だと思います。
隈川と鞠川のカップルですが、若手作家と放浪癖のある男性という不思議な組み合わせでした。二人ともちょっと不思議ちゃん系なところが似てるような気がします。
受け攻めはあるのですが、似たタイプに思えてしまい、あんまり萌えはなかったかも・・・。
主人公は千尋と言う名のやんちゃなフリーターですが、こちらのカップルのほうが好みでした。ただ、こちらもラブストーリーと呼べるようなガッツリした展開ではなくゆるふわで可愛らしい感じでした。
タイトルといい、雰囲気を楽しむ作品な印象でしたので、もう少しストーリーで楽しませてくれる要素があればよかったと思います。
■感想
本書には「花のたより金星経由」「夏のあらし水星経由」の2作品が収録されています。
主人公の赤星 千尋(あかほし ちひろ)が作家先生の毬川 澄(まりかわ とおる)に声を掛けられる所から物語は始まります。
ところがどっこい、ストーリー展開は掴みどころのないシュールなギャグストーリーの嵐!
と思ったら、ギャグパートの伏線を颯爽と回収していく後半戦が待ち構えていたり…!
作画や表情の描写もバッチリで、終始非常に面白おかしく、また楽しく読める一冊でした。
評価は「神」とさせて頂きます。
表題作+関連作と、短編一つが収録されています。裏表紙に「巡り巡ってまわる恋」とあるように、表題作のカップルの、再会から恋が動き出した様子にキュンとなりました。
高校生の時に接点の無かった千尋と二井宮は、家庭科の居残りが縁で仲良くなります。エプロンを作るのを千尋に手伝ってもらった二井宮は、お礼に水族館に誘います。チケットを渡して約束していたのですが、二井宮の突然の転校で約束が果たされることはなくて。
そんな2人が、共通の知り合いの作家を通して再会します。
二井宮は黙って転校したことを、ずっと後悔していて。でも、あげたチケットを今でも大事に持っていた千尋に勇気をもらって、また仲良くしてほしいとお願いします。
それから一生懸命だった二井宮が可愛くて萌えました。
ただ、これから…というところで終わってるのがとても残念で、続きが読みたかったです。
関連作では、付き合いの長いカップルの話でした。
放浪癖のある恋人を持つ作家の話で、離れてる間の不安や孤独が切なくてキュンとなります。でも、彼氏の方は、旅行中に浮気をしてるみたいで、その身勝手さに若干引きました。
もう一つの短編は高校生同士の話で、片思いしてるコの粘り勝ちのような、これから恋が始まりそうな予感にキュンとなりました。