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natsu no yuugi bijutsushitsu no himitsu
「溺れる」と非常に似て非なる作品で、こちらも恋煩シビトさんお得意のねじれた三角関係モノです。
ねじれ方はこちらの方がややこしい!
『なつの遊戯 美術室の秘密』
後藤という共通の人物を通して面識を持った二人(後藤に憧れる〔安部〕と、後藤の幼馴染み〔吉沢〕)のおかしな関係を描いた作品。
溺れるに比べると、こちらの二人の関係はだいぶんイタイ方向にねじれていて「そう来たか!」と。
25ページの短編なんですけど、オチに思わず唸らされました。
溺れるはハチ→馳男→次郎でしたが、これはそうではないので安部と吉沢の関係に救いがなくて痛々しいです。
ひねくれた展開が好きな人にオススメです。
表題作の他に、表題作の関連作品が1編と、全く別のお話が1編入っています。
『あきの遊戯 友達だけど肉体関係?』
表題の関連作品で、〔後藤〕が主役のお話です。
これがまた面白い。
後藤は女をとっかえひっかえタラシ込んでる超遊び人なんですが、どれだけ女の子と寝てもどこか満ち足りない気持ちを抱えていて…
ずっと満たされていなかった後藤が男とのエッチで浮かべる満足そうな顔が堪りません。
と言っても、「抱く側じゃなくて実は抱かれたかった」ってな展開ではなく、後藤そうだったのか…とちょっと気の毒なお話でした。
『幽霊と秘蜜の性活~みだらに同棲中~』
事故で死んだ恋人が幽霊になって現れるお話。
幽霊になって現れるってことは何か未練を残したまま死んでしまった訳で…
これは切ない!
そして「ん?」と思う、曖昧な含みの残るラストも良いです。
短編集ながらもどれも面白かったです。
エロ描写が多いのはレーベルの仕様でしょうが、ピアスの短編集(愛玩マゾ教室)を読んだ時も思いましたが、分量の多さがそこまで気にならないように仕上がってるのもまたこの作家様の巧いところな気がします。
こちらの作品、現時点では電子書籍でしか読めないので、そのうち単行本化されるといいなと思います。
【なつの遊戯 美術室の秘密】
シビトさんらしい一筋縄ではいかない三角関係ものです。
後藤という人気者と、後藤に憧れる吉沢、そして後藤の幼馴染という三人が登場します。
くっつくのはそこかい!という思わず突っ込みを入れたくなってしまう歪んだ展開でして、直接向き合う事ができなかった弱さが切ない痛みを伴います。
安易な3Pものなどに流れないところが流石です。
【あきの遊戯 友達だけど肉体関係?】
後藤視点のお話です。数々の女を食い散らかしている後藤。その彼が気づいた事とは…。
うわー、もっと早く気づいていれば…と思ってしまう。もう昔のようには戻れないのでみんな前を向いて進んで欲しいです。
【幽霊と秘蜜の性活〜みだらに同棲中〜】
学生時代につきあっていた相手が不慮の事故でこの世を去ってから5年。ようやく事故現場を訪れる事ができるようになり、帰宅をしたら死んだはずの恋人がいた。
つきあっている時は、口が悪いうえに天邪鬼でどうやっても好きと言ってくれなかった恋人。あんなに聞きたかった言葉が今は一番聞きたくないというのが切なすぎる!
タイトルだけ見れば、どんだけエロ特化なのかと思ってしまいそうだけどそんな事ないです。これが一番好き。
ブックパス読み放題
3つの短編が読めました。
そのうち2つは登場人物が同じで読み応えありです。
【なつの遊戯】
女子だらけの高校の美術部に女子目的で入部した後藤。その後藤の絵に惹かれて入部した安部。後藤の幼馴染の吉沢。
安部の気持ちに気付いて口止めのように安部を抱く吉沢と、吉沢の目的が見えないまま後藤に抱かれる安部を中心にした話です。
予想がつく方もいらっしゃるとは思いますが、ぜひ読んでください。胸が苦しくなります。恋煩シビトさんならではという展開もよんで味わってほしいです。
【ふゆの遊戯】
前作で出てきた後藤が大学生になってからの話です。
相変わらず女子を追いかけ回している後藤と、そんな様子を見ていて近付いてきた石川。
遅すぎる自覚と後悔と救いの話です。と言ってしまうと堅苦しく感じますが、堅苦しさはないのでご安心を。前作の2人のその後も少し見られます。
【幽霊と秘密の性活】
タイトルが…。なぜこんなタイトルにするのか…。
タイトルに反して切なさ満載のお話です。
体の関係はあるものの頑なに気持ちは言わないままだった友人と遺された男。
わたしの予想とは違いましたが、ラストは「え…?」という驚きがありました。
2014年発表の電子限定短編集。
「なつの遊戯 美術室の秘密」
1人の屈託のない明るい同級生・後藤を軸にして、言葉にならない心理状態を持て余す2人の少年のお話。
後藤は何も知らない。
幼馴染の吉沢と後藤の明るさに憧れる安部が、お互い心に後藤を浮かべながら奇妙な関係を築いていく…
吉沢は長年屈折してたみたいだけど、安部の方は意外とこの関係の突破口を見い出したかも⁉︎
「あきの遊戯 友達だけど肉体関係?」
「なつの〜」の後藤のターン。
後藤は女たらし。だがある日大学の中で男の子に声をかけられる。ゲイの素質があるよ、と…。
物足りないという自覚があった後藤は…
女の子を取っ替え引っ替えしてたのは、というお話。後藤が求めていたのは、友情も満たされる相手だった、らしい。
そして、友達だった吉沢と安部がくっついて自分がはじかれた事に傷ついていた。
この短い2編でそれぞれの心の深くに隠れた複雑な心理をさらりと描写する。これぞシビト劇場。
後藤はこの新しい「友人」ときっとうまくいくと思う。
「幽霊と秘蜜の性活〜みだらに同棲中〜」
恋人だった同級生が事故で死んでしまった。
5年経ってようやく心の整理をつけて事故現場に花を手向けに行ったら、そこに鳩羽の幽霊がいて…!
鳩羽は何が言いたいのか、言い残したのか。わからず毎日幽霊と求め合う。
生前、意地っ張りで絶対「好き」と言葉にしなかった鳩羽。もし今その言葉を口にしたら。
あれほど聞きたかった言葉が、今は絶対に聞きたくない。言わせない…!
切ないです。
ラスト、どうなったのかの曖昧さが好き。余韻というか。
ところでこのタイトルはニュアンス違うな〜。