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kanawanai koi wo shiteiru
以前ノベルスのほうで読んだことがあったのですが、こちらのほうが書き下ろしで神谷さん目線でのフォローがあるぶん、印象は良くなったように思います。
それでもやっぱり神谷さんはダメダメ男なことに変わりはないけど、彼のどうしようもない後悔や、寂しさ、弱さは、わかってあげたいな。という気持ちになりました。
繰り返しになるけど、神谷さんは本当に弱い男です。
苦労を知らず、人の傷みを知らず、傲慢に生きてきて、気づいた時にはなにもかも失って。
失意や後悔に溺れているなかで、暁に似た志貴に出会い、志貴を身代わりに、罪滅ぼしに、優しく接して自分の虚しさを埋めて。
そして志貴を愛しはじめてしまったら、今度は暁へのうしろめたさや多貴からの警告を理由にサッサと逃げてしまうし。
志貴の真実を知っても、お金で解決しようとする…
志貴をいっぱい傷つけてること、分かってない。
そんな神谷さんに対して、志貴の献身や愛情深さったらない。押しつぶされそうな重圧にも、耐えてみせる強さがある。正直もったいないくらい。
自分が神谷さんのまえでは「お気楽な大学生」でいることでひととき安らいでいたように、神谷さんが自分の前で「できる大人の男」でいようとした、そんな悲しい虚勢への共感もあるのかな。
神谷さんの空虚な心に種を植えるように、ひとつひとつ生き方を教える志貴の愛情や優しさは、神谷さんを少しずつ変えていきました。
バイク事故の勘違いがなければ、神谷さんは果して志貴に正直な気持ちを伝えられていたかな?
たぶん、その後もちょいちょい様子見にくる志貴に甘えて、ずるずるしていたような気がする。ほんとにヘタレ…
いろんな偶然の重なりに感謝して、神谷さんには志貴の献身にしっかりと報いてほしいです。
とにかく一番心に残るのは、やはり志貴たち4人兄弟のお互いを思いやる家族愛でした。
それぞれの苦労や我慢があり、一つ屋根の下支え合って暮らす4人には、胸を打たれっぱなしでした。
大黒柱として支える志貴はもちろんだけど、特にすごいと思ったのは多貴。家事にバイトに、下2人の世話、兄のフォロー。神谷さんのことまで。多貴がいなければ、みんなで一つ屋根の下、暮らせていなかったでしょうね。
由貴、仁貴も、それぞれ子供なりに考えて頑張ってる姿にはじーんときました。
どうしてもモヤっと感が残ってしまうのは、神谷さんが離婚前に事が進んでいることや、心の病気で通院していることが、のちのち明かされるからかなと。
離婚に関しては、お受験待ちというのは本編で明かされますが、妻の方にも別に相手がいることや、再婚することなどは書き下ろしでとってつけられた言い訳のようにも思えるし、心を病んでいれば、もう何も言えなくなるっていうか。
娘に関しても、片岡家の兄弟たち同様、これからはしっかり目を向けていってほしい、とリアル目線で思ってしまいます。心の傷みを知って、神谷さんはきっと強くなっていけると思います。
神谷さんのことをつらつら書いてしまったけど、やっぱり大きいのは志貴の頑張りです。
神谷さんに甘えていいから、これからたくさん幸せになってほしいな。片岡家に幸あれ。
何度か再刊された人気作。
でも、現実社会では有り得ない設定。
神谷:離婚処理中の妻子持ち。商社営業課勤務。暁の死を知り、鬱。
暁 :脳腫瘍で亡くなった神谷の恋人。志貴と似ている。
志貴:両親の死亡後、3人の弟を扶養。神谷から「暁の代理」を請け負う。
大学中退の19才が、いくら頑張っても3人の弟を養いきれる訳がない。
志貴が神谷の支援を受けることに導く設定だとしても、どうして弟3人にしたのか、謎。
神谷には、忘れられない死んだ恋人が居る。
やり手の商社営業管理職の神谷は、「理解出来ない事は斬り捨て」で処理してきた。
神谷は「妻子と暁、双方大事にしたらよい」と割り切って、暁と交際。
海へ向かう途中、暁は具合を崩す。実は、暁は悪性脳腫瘍で余命僅か。
神谷に暁はそれを告げない。(告げられない暁の気持ち・・コレが神谷を苛める。)
「また行けば良い」と暁を説得して、家に送る。
「さよなら 神谷さん」と告げる暁。不愉快な神谷は振り返らず去る。
その後、暁は神谷を電話もメールも着信拒否。
神谷は、暁の行動が理解できず怒り、存在を脳内から消す。
暁の死を知ったのは、死の半年後、暁の友人から。
自責の念から神谷は自我崩壊。不眠になり妻子も失う。
志貴の弟の一件で、別れを告げる神谷に、志貴は一か月の同居を申し出る。
一か月の間、志貴が要求したのは、家の埃の掃除とゴミ捨て。
最後は、神谷の暁への想いの整理。
志貴は両親と死別した体験を元に、神谷と向き合う。「暁の事は、忘れないで欲しい。」
神谷は、暁の思い出を大事にしながら志貴と生き直すことを決意。
その後のSSはコメディ。松坂牛5キロ。
★著者が書きたかったのは、神谷の心の整理と、志貴の対応?。
過去の自分の振舞いのタラレバを引きずる神谷みたいな人は、昔からいる。
古典の「伊勢物語; 芥川」でも「露と答へて消えなましものを」と、
亡くした姫を想って泣いている。
四社合同フェスタ「不憫受け特集」でリストアップされていたので、以前から気になっていたこちらをついに読んでみることに。
「叶わない、恋をしている」というこれ以上ないほど切なげなタイトル。
そしてあらすじの「交通事故で他界した両親に代わり、三人の弟を育てている」という健気そうな受けが、援助と引き換えに、攻めの亡くなった恋人の身代わりになるというやつ。
これは涙なくしては読めないだろうなぁと覚悟して読み始めたんだけど、一回も泣かなかった……。
あれれ?
私が期待する不憫受け作品って、懐が深い攻めに出会って健気な受けが救われるというやつなんだけど、この作品は懐が深いのは受けのほうであって、割とというかかなりクズで傲慢な攻めが救済されていたわ……。
で、その攻めに対して、別にこんな男、救わなくてもいいのでは?みたいに感じてしまったもんだから気持ちの持っていきようがなかったです。
亡くなった恋人をどれだけ深く愛していたのかと思いきや、まさかの不倫。
しかも自分が妻子持ちだと知ったうえでつきあい始めたのだから、納得してると思ってたと言ってのけるし、好きの程度も「好ましいと思ってた」程度だし……。
(その愛し方を、ガラスの花瓶に生けられた切り花に例える表現がとても好き。)
この作品の中で一番不憫なのは、亡くなった恋人だと思いました。
そして幼い攻めの娘も不憫で、後半、受けの兄弟達を可愛がる様子にモヤモヤするというか、あんたは本当は我が子とこうやって接するべきだったのに、他人の子で何やってるの?と言いたくなる。
辛口ですみません。
攻めに関しては「しゅみじゃない」けれど、受けの兄弟達が頑張る様子が良かったので、萌です。
そして攻めを救うために、受けが押しかけ女房をするのかと思いきや、あの方法を取るというのが、私には思いもつかなくて、そこは素直に感嘆してしまいました。
「叶わない恋をしている」読了
タイトルから切ない。内容もタイトルに裏切らないほど読んでいてつらい。こういう片思いにほんと弱いです…
タイ料理店に連れられて実は辛い物苦手なのに暁の好物だったらしいから平気なふりにスープを飲んだ志貴が愛おしい。
幸せになって本当に良かったです。
しかしわたしから見ると神谷さんは本当に最低なクズです。不倫の上にこうして人を利用して自己満足なことばかりしている。志貴はいったい神谷さんのどこに惚れたんだろうなぁ…
次男の言った通り、こんな立派な男は神谷さんの様な人間がデザート食いみたいな感じで味わえる人じゃない。
金があるからって何してもいいわけないだろうが?それに娘さん本当に可哀想…こういう中途半端な男本当にどうしようもないほど最低。
よってこの評価にします。
曇天の空のようなお話し。
その重く重なった雲の隙間から、淡い光が差し込むような少しほっとする結末。
志貴が神谷を甘やかさずに支えるやり方が新鮮。
とにかく志貴の兄弟達に救われる一冊。
志貴の頑張りと、神谷の後悔が切ない。
スパダリかと思ったら、神谷はとんだヘタレだった!
箇条書きのレビューになってしまいましたが、
どう落ちるのかと、一気に最後まで読んでしまいました。
凪良さんにしては薄い気はしましたが、改訂版と知って納得。
個人的には、三男由貴が気になるので、由貴の話が読んでみたいですv
電子書籍版を購入。
表題作の「叶わない、恋をしている」、その後を描いた「shine」、そのまた後を描いた「chill」が収録されています。
凪良ゆう作品は、私にとってはギャンブルのようで、ものすごく感動するものと、そうでないものとの差が大きい。
それだけ引出しが多く、色々な作風にチャレンジされていらっしゃるのでしょうね。
で、本作は……
残念ながら、あわないほうでした。
あらすじからは好みっぽい気がしたのですが。
どこが、あわなかったのかな?
うーん、一言でいえば、きれいにまとめ過ぎているってところかもしれません。
表面だけを繕ったというか、あらかじめ決めたストーリーに従って淡々と登場人物を動かしただけというか……
みんな、あと一歩が足りない。
そう、人間ドラマが足りない。
ドロドロ好きな私としては、本作は、物足りなくて、浅いって感じてしまいました。
話の内容は、嫌いじゃないのですけどね。
当たりばかりの凪良作品を読んできましたが、これは普通かなあ。
ちょっと無理がある展開(大学生が小さい弟全員引き取ったり)だったり、色々無茶だなあと思うところがあったりしましたが、漫画なら結構こういう感じの話はある気がします。
小説がよくて漫画が悪い、もしくはその逆という事は決してないのですが、同じページ数ならば小説の情報量の方が媒体的に多いのは当たり前なので、何となく小説の方が物語の重みを期待してしまう気がします。私の場合ですけれど。
そういう意味では、薄いかなあ。同じ話でも、掘り下げが少ないのでそう感じるのかも。中途半端な印象です。
でも、この話は古いんですよね。
最近のものばかり読んでいたので、まあ、こういうのもあるかなあという感じでしょうか。
嫌いではないですが、大好き!でもないので普通に「萌」で。
あー、ってかスンマセン。
ホント、ゴメンナサイ。
でも「シュミじゃない」っていう意味じゃないんです。
はっきり言っちゃえば、「つまんない」です。
(えっ、もっと悪い!?(汗))
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今まで私の中では、
そんなに良い評価を残していない凪良ゆうさん。
でも、物語としてはすごく考えさせられたんです!
一冊一冊と、真剣に向き合って、
「あーでもない、こーでもない」と、色々考えながら
レビューをしてきました。
でも今回の話ははっきり言って、「内容がない」。
萌は少しはあるかもしれないです。
でも、内容はペラいです。
薄っぺらのぺらぺら。
考えようとしても、「考える」「内容」が
ないんです。正直。
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唯一、心がほんわかしたところは、
4兄弟のやりとり。絆。
ここはほだされました。
ああ、家族っていいなぁ。
長男の志貴(主人公・受け)、
毎日すごく頑張ってるんじゃんか。
お疲れさまだよ……。
この4兄弟はみんなそれぞれ頑張ってて、ふんばってて、
見てて微笑ましかった。
でも、しかし、ここしかいいところって
なかったなぁって感じです。
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一見完璧に見えそうな男・神谷(攻め)が
志貴(受け)を
「亡き恋人に似ているから」という理由で
援助交際を申し出るところから話は始まります。
でも志貴は神谷の前では、「お気楽な大学生」を
演じます。
本当は、弟3人を養うために日々働き通しな苦労人なのに…。
これには「???」
何故隠す必要があるんだ?
別に神谷にフツーに話したっていいじゃないか。
志貴はこれを「隠し事」として後ろめたく思います。
えー、何故???
そしてなんだかんだしているうちに
二人は一線を越えることに。
エッチシーンはエロかったけど、
ここまでの過程で必然性を感じない。
既に志貴は神谷に恋心を抱いていたから、
「恋は盲目」の名の通り、後悔すると分かってても
こうなってしまうのかもしれませんでしたが…。
うーん、なんかここまでの筋が薄いっていうか、
根底があやふやなまま…っていうか…。
曖昧模糊としてて、釈然としません。
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物語も中盤。
いよいよ佳境となって、
物語にグイグイ引きこまれても良い筈なのに、
全然それがない。
逆に、「もういっか」と本を閉じて、
そのまま二度と読まずに売るか捨てるかしようかと
思いました。(失礼でスミマセン)
うーん、でも折角の本だしな。
とりあえず、もうちょっと付き合ってみよう、と
またページをペラリ。
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そして神谷に妻子がいることが判明。
あー、最悪男がまた更に株を下げたわけか。
別にいいけどね。
でも、次男!
君、いいね!
神谷に食って掛かって、志貴が学生でも何でもなく、
苦労人で、毎日ヘトヘトになるまで働いていることを
ずばーーっと、叩きつけてやるとか!
次男、もっとやれ!
君、かっこいいぞ。
で、「傷を癒しに来た」とか言って
神谷の家に一ヶ月住み込む志貴。
そして、お互いがどれだけ大事か分かって、
終わり。
ハピエン。
……って感じでした。
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うーん、やっぱり内容がペラい。
考えさせられるところが何もない。
殆どありきたり。
どこかで読んだような話を拾ってきて
つぎはぎしたような感じの話でした。
凪良ゆうさんってこんな感じの話も
書く方だったんだなぁと新発見。
しかし!
もっと色々と良い作品が書ける方だと思うので、
他の作品も是非手を伸ばしてみたいとおもいます。
ただ!
今回の作品に関しては、残念としか言い様がないです。
あまりにもありきたりで、内容がなかったです。
他の作家さんだったら、
こんな風に言わなかったかもしれないのですが、
今まですごく印象に残る物語ばかりを読ませてもらった私としては、
かなり悪い新発見をしてしまったというか…
今回は、深く印象に残る本ではなかったので、残念…。
申し訳ないですけど、この本は二度と読まないと思います。
でも、次作には、またすごく期待をしてます!
待っています!
あやちゅけさま
こんばんは!コメありがとうございます(*^O^*)
凪良さん作品は印象に残るものが多いですよね。
私はどちらかと言うと切ない系よりコメディ系の凪良さんの方が好きです☆
★追伸
あ、当てちゃいました?w
レビュー作品にリコメした方が目につきやすいかな~と思って前回はちょっとイレギュラーにしてみました♪
こちらの小説(新装版)、
タイトルと「攻めがヘタレ」という前情報だけは
以前から頭に入っておりましたが
確かに攻めがダメな大人でしたw
しかし低評価の理由はそこではなく、作品として
訴えたいテーマが見えにくいと感じたためです。
設定にリアリティを感じないせいか、
「叶わない、恋をしている」受けが健気というより
恋に懸想するぼんやりさんに見えてしまうせいか、
切ない片想いモノとしても
清貧ホームドラマとしても
ガツンと響くものがないのが残念。
※ちなみに新装版書き下ろしは巻末の「chill」のみで
「shine」は旧版にも収録されています
(旧版の作品ページ参照)。
主人公の志貴(受け)は
両親を事故で亡くし、弟3人を養う長男。
大学をやめ、知人の会社で営業マンとして働く傍ら
夜もバイト三昧…という苦労人なのですが、
個人的には「良い子」というより「独り善がり」
に思えてしまいました;
世話を申し出てくれる親戚がいるのに
「兄弟で暮らしたいから」
という理由で自分一人で頑張るのは
あまり利口とは言えないし、
せめて大学を卒業して就職した上で
弟たちを引き取った方が
弟たちにも苦労をかけなくて済むような……。
家族愛を演出するためのエピソードなのでしょうが
設定が非現実的に思え、どうも乗れませんでした;
そんな志貴に目をつけたのが
エリート商社マンの神谷(攻め)。
亡くなった恋人に似ている志貴と(肉体関係なしで)たびたび会い、その度に金を渡してきます。
神谷は、亡くなった恋人とは不倫関係にあり
恋人が病死するまでは彼のことも遊び程度にしか
考えていなかったドライな人物。
恋人も妻子も失い、死んだように生きている神谷が
志貴によって変わっていく展開は
良かったと思いますが
弟たちを残して神谷の家に押しかける
志貴の行動は無責任に感じますし、
神谷を思うあまり風呂場で号泣&溺れかけ
弟に助け出されるというエピソードも
切なさを演出するにはやりすぎな気がしました。
おかげで志貴のキャラクターが男前とも恋愛脳とも
つかない中途半端なものになっているような。
志貴の貧乏設定をやめて片想いドラマ中心にするか
神谷をまともなキャラにして
志貴の貧乏エピソードだけで泣かせるか、
一つに絞った方が良かったのではないかと思います。
Krovopizzaさま
レビューを読ませて頂いて、確かにそうだなーと私も思いました。
貧乏設定はいまひとつだし、片思い設定もいまひとつですよね。
「ガツンと響くものがないのが残念」ってそのとおりだと思います。
私も思いました。
もっと心にドカーンと響くものが欲しかったです><
凪良さん作品は期待しているだけに、今回は残念でしたー。
●追伸
この物語と全然関係ないのですが、前コメントのリコメントが
あんなところにあるなんて、びっくりしました!
一言も作品名を言ってなかったのに、私が評価した作品を
当ててしまうなんて! Krovopizzaさまは超能力者ですか?(笑)
凪良さんは作家買いする作家さまなんです。大好きなんです。でもこれはいまいちツボに入りませんでした。イヤ、ごめんなさい。でも凪良作品で「中立」を付ける日がくるとは…。
2010年にSHYノベルスで出版された作品に書き下ろしを加えて文庫化したものになります。内容は、というと。
大学生の志貴は突然の事故で両親を失い、弟3人を養うために大学を辞め働き出します。まだ若く、大学を卒業してもいない志貴の稼ぎでは家族を養うことができず、会社が終わってから夜のバイトを始めることに。
そのバイト先で、ある男性に声をかけられます。「亡くなった恋人に似ている君に、恋人の身代わりの役をしてほしい。時間を拘束する分の報酬は払う」という内容に、びっくりしつつもお金に釣られて時々会うようになるのですが…。
というお話でした。
志貴の一番下の弟はまだ7歳。さらに中学生、高校生の3人の弟を、まだ21歳の志貴に金銭的な意味で育てられるの?子どもって大きくなればなるほどお金がかかるよ。何らかの支援が受けられるはずなのに。とか思ったのはちょっとおいといて。
すぐに縁が切れるだろうから、自分の不幸な話は攻めの神谷さんに話さない、とか。
弟3人抱えてめいっぱいがんばるところとか。
どんどん攻めに惹かれていくけれど、神谷さんが愛しているのは自分ではなく亡くなった恋人だから自分の気持ちは受け入れられないだろうと思って切なくなるところとか。
そんな志貴の健気さにほホロリときたりしたけれども、でも優等生すぎちゃって「んん?」とも思ったりした。神谷さんとの関係も、「お金のため」って割り切った関係から入っても良かったんじゃないかな。
それと神谷さんのクズっぷりが無理でした…。亡くなった恋人の面影を志貴に見てるっていう話かと思ったらそういうオチですか!もちろん完璧な人間なんていないし、神谷さんも志貴と出会って変わった部分もあると思うのだけれど、人としてどうなのよ…、と思わずにいられなかった。
前半がナイスガイだった分、後半の神谷さんのダメさにちょっと悲しくなってしまった。
個人的に好きだったのは次男くん。彼のスピンオフ、出してほしいなと思いました。
文庫化にあたっての書き下ろしですが、内容をざっくりと。
前回のノベルス版を手に取っていないので、もしノベルス版に入っている話でしたらご指摘していただけると嬉しいです。
「Shine」
暁が亡くなり精神的に不安定になった時にかかり始めたメンタルクリニックで、主治医の先生と神谷さんが話をしている場が舞台になっています。
始めはただ薬を処方してもらうだけだった神谷さんが、志貴や志貴の弟たちと係わることで徐々に自身を振り返ることができるようになっていく過程が描かれています。
暁の事も忘れるわけではなく、暁への感情が消化していく様が描かれていて、暁にとっても神谷さんにとっても良かったなあ、と思いました。
「Chill」
片岡家ですき焼きをすることになり、神谷さんがお肉を用意する係に。男の子4人いる片岡家にどれくらいのお肉が必要かさっぱり分からず5kg買っていく神谷さん。高い、美味しいたくさんのお肉にテンションが上がる片岡家の男子たちですが…。
というお話でした。
すっかり志貴の尻に敷かれた神谷さんに笑い、可愛いあひるたちに癒され、片岡家に受け入れられて幸せそうな志貴と神谷さんに安堵した、ほっこりとしたストーリーでした。