カップ一杯の愛で

cup ippai no ai de

カップ一杯の愛で
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神41
  • 萌×243
  • 萌16
  • 中立6
  • しゅみじゃない3

--

レビュー数
16
得点
431
評価数
109
平均
4 / 5
神率
37.6%
著者
可南さらさ 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
カワイチハル 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
シリーズ
カップ一杯の愛で
発売日
価格
ISBN
9784403523748

あらすじ

あなたがそばにいてくれたら、毎日はきっと一番星より輝く。

腕はいいのに口が悪く、度々客を怒らせてしまう美容師の夏生。
その日も失敗し、知らずに入ったゲイバーでヤケ酒を飲んでいたところ薬を盛られてしまう。
犯人は蹴り倒したものの気を失った夏生は、翻訳家の山沖に助けられる。
山沖もゲイだと知り警戒する夏生に対し、山沖はあくまで穏やかで紳士的だった。

だが薬のせいで自由の利かない体の熱を、山沖に鎮めてもらうことになり…?

年の差スイート・ロマンスv

表題作カップ一杯の愛で

35歳,翻訳家,大学臨時講師
25歳,美容師

その他の収録作品

  • カップいっぱいの愛で
  • あとがき

レビュー投稿数16

日常を追うのが楽しい

こんな美容師に当たったら気分最悪だろうなと、ページをめくってすぐの序盤も序盤で「あ、この受け無理かも」と思った次第です。

決して口が良いとは言えず、介抱をしてくれた攻めに対しても口汚く罵る受けの図に辟易してしまい、はたして私はこの本を最後まで読めるのだろうか?なんて思いながら読み進めていくと…あら不思議。
根っこはとても素直なくせに、いかんせんまだ人間が出来ておらず、言葉であれこれとやらかしてしまう夏生が次第にかわいらしくなっていくではありませんか。

設定とストーリー展開的には、疑問点やすっきりとはしない部分がなかったと言えば嘘になります。
でも、なんだかこの2人の甘く穏やかで時々揉めごとが起きる日常を追うのが楽しかったんですよね。
レビュー冒頭に書いた通り、25を過ぎた接客業でその性格と言葉遣いはさすがにないわーの気持ちでいっぱいだったものですから、山沖と出逢って少しずつ素直に変化していく夏生の姿におーっ!となりました。
山沖は蓋を開けてみればとびきり甘い人だったけれど、ただ甘くやさしく夏生に言葉の大切さを教えるわけではなかったのが良かったかな。
言葉で人を傷付けた人間が誰かにやさしくされながらあっさりと改心するのは違うと思うので、きちんと痛みを知って後悔をしてから成長する内面の描き方は好みでした。

恋愛面に関しては、かなりのゲイ嫌いだったはずのノンケがこんなにすぐゲイを好きになるもんかなと思いつつ…
初めての恋にうろたえる夏生も、自分の好みを具現化したような夏生への好意を隠せていない山沖もかわいらしかったです。
ムッツリ攻め、やっぱり良いですよね。
攻め視点の愛おしさよ…もう、夏生のことがかわいくてかわいくて仕方がないんだろうな。

お砂糖ひとつでは足りないくらいの甘いいちゃつきと穏やかな雰囲気の中にはチリチリと痛む過去も描かれていて、お互いの過去を知った上で手を取って寄り添い合える2人に自然となっていくんですねえ。
苦味よりも甘み多めの良い後味の1作でした。
スピンオフ作も追ってみたいと思います。

1

唐突に恋する主人公にぽかーん( ゚д゚)

ホモ嫌いだと叫びキレ散らかす主人公が突然男に惚れてぽかーんとするお話。
特に何が起こるわけでもなく、平坦な日常が進む中でいつのまにか好きになっている。それなのに、こんなに好きになった人は生まれて初めて、なんてところまでいってしまい一人で盛り上がっている……ちょっとついていくのが大変だった。
そもそも導入が、落ちている男を拾ってわざわざタクシーで家まで持って帰るという、BL定番のありえないシチュエーション。そこに媚薬が加わるのもお約束過ぎる。ついでに相手を“タラシ”扱いするのは流行りなのか様式美になっているのか。
次々放り込まれるエピソードは、またかと思うものばかりだった。

受けの夏生は威勢がいいのはほんの序盤だけですぐ大人しくなってしまい、話の流れも起伏も何もない中でキャラの感情だけが手のひら返しのようにくるりと変わる。山沖は微妙に地に足が付いていない二次元感がすごく、少女漫画の王子さまのよう。
告白の流れもまさにご都合夢系少女漫画。好きになったら何もしなくても相手から告白される。ページ数制限のせいなのか、掘り下げが全くなく、ただくっつけただけの読み応えのない話が出来上がっていた。あれだけホモ嫌いを強調していたのだから、攻めにそれを覆すほどの魅力を付与して描いてくれなければ説得力がない。

後半はカップルのごたごたが描かれるが、終始会話が噛み合っておらず、一つ一つ説明し合いながら歩み寄る。その速度は前半の気持ちの変化とは打って変わってゆっくり。カップル成立までの話で、いまいちなぜそこまで惹かれ合ったのか分からない状態だったので入り込めなかった。
場違いな職場に颯爽と現れ、「俺のものに触るな」はもう笑うしかない。また定番人気のシチュエーションを入れ込んできたな、と。漫画だと画的なインパクトで胸きゅんシーンになるけど、字だと細かい説明が必要になりごまかしが利かない。なんか読んでて居た堪れなかった。

人物描写が薄っぺらく、二人にも二人の行く末にも興味を惹かれなかった。エロシーンは飛ばした。
リアルを完全に切り離して少女漫画的夢世界に浸りたいときに読むといいのかな。挿絵は絵柄がとても好き。

1

なかなか良かった

美容師なのに口が悪くてお客さんを怒らせてしまうわ、催淫剤を盛られて雨の中ぶっ倒れていたのを助けてくれた攻めに対して、お礼どころかホモ呼ばわり&変態野郎だと叫ぶ受けに対して引き気味だったけれど、育ってきた背景を知るとその言動も仕方ないか……と思えるものが用意されているので、いつまでも受けへの嫌悪感を引きずらなくてすみました。
口は悪すぎるけれど、それも自分を守って生きていくための術だったんだなぁ…みたいな感じだし、心根は真っ直ぐで不器用な男なんだというのが伝わってくるので。

何も気にせず思ったことをそのまま口にしてしまう受けが、言語を専門にしている翻訳家である攻めと出会うことにより、言葉の持つ力について一から学び直している姿がとても印象的でした。

例えば攻めが「言葉がときに刃物にも花にもなり得る、だからこそ伝え方が大事なんでしょうね」と語るのを聞きながら、こういう彼だからこそ彼の傍はこんなにも居心地がいいのだろうと思うようになったりします。
そしてそんな彼に次第に惹かれていくようになるのですが、かつて自分が攻めに対して放った凶器のような言葉がまるでブーメランのように返ってきて、攻めが言っていた「唇から出た言葉は決して元には戻らない」という意味を痛感し、激しく後悔するんです。

そうやって言葉の力を実感した受けが、少しずつ成長して変わっていく姿がとても良かった。

攻めはちょっと歯の浮くようなセリフを時々言うので読んでて照れてしまったんだけど、古典詩集を訳したりしてる人なので、きっとそういうロマンティックな言葉の引き出しを沢山持ってる人なんだろうなぁと思います。
(これがただのリーマンだったら、えっ!?くさすぎるーって思うレベルだけど、表現自体はキラキラしててとっても素敵です)
あと穏やかな年上なんだけど敬語責めで結構ムッツリスケベなところが意外で楽しめました。

受けは冒頭ホモファビアだったのに攻めに惚れて、しかも抱かれる側になるというのはかなりのミラクルだと思うんだけど、読んでて展開が強引だなと思うことはなかったです。
でもちょい乙女っぽくなってるような気がして、そこが少しばかり引っかかった。

お互い足りないところを補うような素敵なカップルになっていくところが良くて、攻め受けの過去もなかなか重いものがあるにも関わらず、柔らかい印象に満ちている一冊でした。

最後は、デロ甘バカップルだし「カップ一杯の愛で」から「カップいっぱいの愛で」になってるところも素敵。

可南さらさ先生、初読みだなぁ〜、お名前も初めて聞いたなぁ…なかなか良かったから他のも読んでみようとちるちる検索したら「微熱の引力」既読だった…(しかも神)
絵で覚えるコミックと違って、小説家さんのお名前がなかなか覚えられないのが最近の悩み。

3

フランク

初読みから5年経過して、何度も再読している本。
読めば読むほど好きになって、なんで神評価にしなかったのか……!!!と後悔してる。

最愛の恋人

初読みの作家さんです。甘々が読みたくて手を出しました。

甘い!満足です。
自分のことを全てを受け入れてくれる、愛した相手が自分のことも愛してくれる奇跡、ジーンときました。

いつも穏やかでニコニコして人の良すぎな山沖が実は凄絶な過去があり、しかもその過去にも本当の真相があり、それゆえに今の山沖があるわけで。

人の良すぎなと思ってたら実は山沖は夏生を一目見たときからひかれていて、介抱も善意と役得で、夏生がノンケだとわかりゲイを拒絶されて絶対に叶わないと思いながらも夏生を愛する予感があったんですね。
まっすぐで正直で口は悪いけど素直で一人で立派に生きている夏生をますます好きになる山沖。

夏生視点だったので夏生の片想いだと思ってたら嬉しい両思いで。

言葉の凶器や柔らかなナイフという表現が心に刺さりました。

『カップいっぱいの愛で』
では元カレ登場や夏生の仕事やらですれ違いましたが、山沖がビシッと決めてくれましたね。

ニューヨークについていくつもりの全力応援宣言も誤解を生みましたが。

お互いが初めて手に入れた大切な星、俺のもの、一緒に生きるなどキュンキュンしました。

すぐ赤くなるのも可愛いですね。

意外と絶倫な紳士な山沖に夏生は存分に可愛がられるといいでしょう!そして毎日コーヒーをいれてもらったり、おかえり、ただいまを言い合って幸せに暮らして欲しいです。


3

山沖先生の授業は解りやすいだろうと思う

電子書籍で読了。挿絵有り。

確かに、美容師ってトークが上手な人が多いですよね。
でも、夏生くんのように腕は良いのに言葉を飾らないから客が激怒する美容師って、どこかにいそうな気がする。彼の場合、似合うに合わないを正直に言った方がお客さんのためになるだろうから言う訳なので、自分に非があるとは思えない。でも、客を怒らせたい訳じゃないからどうすれば良いのか解らない。
どうしてお客さんが怒るのかを、お客さんの心理から教えてくれる山沖のような人が、自分を必要としていたら、そりゃ「惚れちまうだろーっ」と思います。優しいだけじゃない。もう一歩前に出るために必要な人だったんだろうな、と思いました。

どこかにあるような日常の中で、必要とし必要とされることの幸福を描く
ふんわりとした優しいお話。

2

ほんわかしました❢

無口で優しい攻めと口は悪いが真っ直ぐな受けの可愛いラブストーリー
攻めの雰囲気すごく好きです。
お話しに出てくる一軒家暖かくて
良かったです。

4

ツンデレ最高

ツンデレな主人公が人を好きになっていく描写を楽しめました。しっかりとした感じのクールな攻めが、受けにぴったりだと思いました。受けがゲイバーでとある男性に媚薬をもられたという設定のため、それをなんとかするためにすぐに攻めに手淫を受けますが、そのシーンの心理描写も嫌がっているのに堕ちてしまう感じがかわいらしかったです。
 もどかしいやりとりを見ていると、早く素直になってという気持ちでいっぱいになりましたが、だからこそ、このジレジレ感を楽しめたんだなと思います。

2

「可愛い人」とは?

あーちゃん2016さんのレビューに
「しりとりで教えてもらった」とありますが、教えたのが自分だと思います。

主人公の受けは、長身でそれなりに筋肉もあり、目つきも鋭く。常に乱暴口調で「可愛らしい」とは言えないかも。
しかし中身は、他人に真っ直ぐ向き合い、そして自分の気持ちにも素直。攻めの理想の「可愛い人」なんです。

読んでいても確かに、攻めへの愛情に気がついたときの「なんでこんなにアイツの事ばっか考えてんだよ⁉︎」という主人公のジタバタ描写はすっごい可愛い。
穏やかな雰囲気につられて自分の苦しい経歴を語り、それを聞いた攻めさんがくれる褒め言葉に楽になる、という流れも可愛いです。どんどん攻めに懐いてるぞ、と笑ってしまいました。

そんな主人公に、知的な男前の攻めが「可愛くて大好きです」なんてさらっと告白する場面も素敵です。
穏やか敬語攻めに乱暴ツンデレ受け。そのカップリングがさらに好きになった作品です。

6

コンデンスミルクな攻め

しりとりで教えていただいた当作。
カワイ先生目当てでgetしていたのが 
なんと手元に2~3日前に届いたところだったので、こりゃ読まねばと
手に取りました。

ファンタジーで異世界放浪が多く、
現実世界で、しかもゲイを忌み嫌方々が出てこられるシチュが久しぶりで
なんだか「ををを、こんな世界だったかー」と ちょっと くらくら。

それをただ現実としてしっかり受け止め、擦れるでもなく、いじけるでもなく
ただ自分らしくしっかり立っている攻めさんに、BLうんぬんではなく
人間として尊敬、感動。

ただこの攻めさん、恋愛面では 
コンデンスミルク並みにぴっとり甘かった(笑)
一回絡みついたら、洗っても落ちひんで 的な。
この甘さは、実は寂しがりやろ な 受けさんは、
きっとちょうどいいんだろうと思いました!
睫毛まで俺のもんだ! 宣言には参りました(爆)

その甘さに私があてられたのか、記述のうまさなのか
エッチシーンは超色っぽく感じました。
照れるんだよ、攻め受けとも。
(耳まで赤くなる という記述が何回か出てきた気がする(恥))
こっちが恥ずかしくなるやんけ! と一人突っ込んでました。

さっぱり軽い生クリーム的な甘さでは足りない!
イチゴにはコンデンスミルクよ! という方にぜひ(笑)と思います。

5

ムッツリスケベにご用心 Σ>―(*・д・*)→

うん、読んでみて正解でした。とっても面白かったです。
ムッツリスケベなゲイの敬語攻めと、口が悪く男前なのに可愛いノンケの受けの、甘いラブストーリー。
それぞれのバックグラウンドは暗く、脛に傷持つ二人。というのも、攻めの山沖は学生時代に男同士で駆け落ちし家族に疎まれる存在で、受けの夏生は施設育ちの過去を持っております。
ともすれば暗い展開になりがちな物語なのに、そうはならず比較的明るいノリのほのぼのとした楽しいお話でした。

最初、夏生が接客業(美容師)なのにめちゃくちゃ口が悪く、お客様を怒らせているのに反省をしない、そんな印象だったため、「あちゃー…」と思っておりました。でも読み進めていくうちに、最初のころ感じた印象が徐々に変わり、夏生の性格が少しずつ変化してきて、可愛く思えてくるようになりました。
たぶん接客が不慣れだったためで、お客様の気持ちに寄り添うことになったおかげで周りからも認められるようになったんですね。

それも皆、山沖のお蔭です。山沖は翻訳のお仕事をしているため、言葉には造詣が深いんですよね。言葉というのはときに刃物にも、花にもなる、だからこそ伝え方が大事なんだ、ということを教えてくださいました。山沖は何気ない会話の中に、こうした教訓をさりげなく盛り込んだため、お説教臭く感じさせることなく、自然と夏生の心に入っていったんだと思います。

二人の出会いはゲイバーで、薬を盛られ倒れている夏生を山沖が救い、自宅まで連れ帰り、しかも薬のせいで興奮が抑えられない夏生を介抱したことから始まりました。ノンケの夏生は、過去の嫌な経験からホモ嫌いだったため、最初は強く抵抗しました。ですが薬の威力がすごすぎて、結局は山沖の手中に堕ちてしまいました。(安心してください!手&口のみですから(^m^)

とはいえ山沖の方も、嫌がるノンケを無理やり抱くなんて思いもよらないことでした。薬のせいとはいえ、苦しんでいる夏生を見ていられず、人助けの意味でした。けれども正気に戻った夏生が山沖を非難したため、ゲイとはいえ好みがあると言い、それは夏生とは異なるタイプだと告げたのです。もちろん、ゲイ嫌いな夏生を納得させるための詭弁だったとも言えるでしょう。これには一応納得する夏生。そして、その後もなんだかんだと二人は会い続けることになります。

それは義理堅い夏生が、タクシー代や洗濯代、それに介抱してもらったことの口止め料として、差し入れのケーキと現金の入った封筒を山沖に渡しにきたことがきっかけです。差し入れは別として、封筒を受け取ることを山沖は頑として拒否しました。その代わり、と山沖は言います。「コーヒーを一杯淹れて貰えませんか?」と。

山沖は「自分で淹れたものより、誰かに淹れて貰ったコーヒーの方がずっと美味しい」と嬉しそうに笑います。タイトルの「カップ一杯の愛で」を彷彿とさせるエピソードですよね。山沖は優しい男、けれども、どこまでも心の寂しい男だったのです。そんな山沖にだんだん心を許すようになってくる夏生。これには私も読んでてほのぼの、「嬉しいっ。優しいっ。大好き」と勝手に叫んでおりました。

口が悪いのは相変わらずですし、体もほっそりしてるものの比較的大きい夏生。ゆえに、私の中では男前10%、可愛さ90%の夏生。余談ですが、対する山沖はもっと図体がデカイ、らしい。(アソコも…アハハ(^◇^)

読んでいると切なくって、可愛くって、もう!二人とも何を遠慮しているの?早くくっ付いてしまえ!と何度も叫びだしたくなりました。もちろん、結ばれます、当たり前です、こーんな甘々なバカップルなのですものヾ(●・v・人・v・○)ノ

最後に一言。
私は今まで、ムッツリスケベってどうかなぁ?あんまり好きじゃないかもって思っておりました。ですが、この小説の山沖みたいに、どこまでも親身で優しく大人な敬語攻めだったら、絶対OK、好きになるって思いました。ということで、まだまだ書きたいこと、感想は沢山あるのですが、これ以上長く書いても顰蹙買いますのでお終いに致します。長々とお読み頂き、有難うございました<(_ _*)>

8

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