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private prince
あさとえいりさんの唯一のコミックスです。『1』と巻数がついていますがこれだけです。そこが問題です。
つまりですね・・・『 続きはどうなったんですか!?』ってことです。何よりもそれが言いたいよ。
大昔、ヨーロッパの国の王子様が黒魔術師に人形にされてしまいます。
時は流れ、現代日本の老舗紳士服ブランド・ヴィエルヌには象徴的マネキンが。
新入社員で希望して販売に来た薫(受)は、そのマネキン『ミスターヴィエルヌ』の担当になります。
あるとき、薫がひとり残業しているとマネキンが人間に!?
どうやら、薫が王子・サードの『呪い』を解いたらしいのですが、完全に人間に戻るにはさらに条件が・・・?
いかにも『ガストコミックス』らしいというのか、ラブよりもHへのハードルが低めのラブコメディです。
連載なので初Hは3話目ですし決して『それだけ』ではないんですが、そのあとは結構簡単にHしてます。←一応、薫には葛藤はあるんだけどね。一応ね。
ただ、確かにHの回数自体はそれなりに多いんだけど、H描写そのものはかなりソフトで綺麗です。
むしろ『エロ』を期待し過ぎたらハラ立つかもしれないとさえ思うくらい、描写はむしろ『控えめ』だと思う。
よくも悪くも、まったく『エロ重視!』という感じではないですね。
設定も、荒唐無稽でアホらしいと言ってしまえばそれまでですが、ファンタジックなあまあまとHとコメディがうまくミックスされていて、ホントに面白かったんです。
それに、あさとさんの絵がとても綺麗です。
あさとさんは、小説挿絵ではよく拝見しますし個人的にすごく好きなんですが、漫画もいいな~と。しかし、驚くほど絵柄が変わらない方ですね(もちろん、すべてが同じではないですが『絵柄そのもの』はやっぱり変わってないと思う)。
これが『初BL・初連載』だったそうですが、そうとは思えないくらい安定してます。←同人ではもっと前からかなり描かれてますけどね、BL(的なもの)。
しかし!この作品に対しては、設定が・キャラクターが・ストーリーが・絵がどうこうと言う以前に、何よりも『続きは!!!』に尽きます。それに比べたら他はすべて些末と言ってもいいとさえ思う。
ホントに面白いし、先が気になるからこそ『なんでここで放置!?』と言いたくなるんです。
単なる『あまあまらぶらぶ』やごく日常的な『誤解・すれ違いで云々』なら、まあ暴言かもしれませんがどこで切ろうが(細かいエピソードはともかく)結局のところストーリー展開としてはだいたい予想がつきます。
でも、こういう基本的な設定から謎がある場合はそうは行かないんですよね。さらに次々と伏線追加してますし。
もう、ストーリーの行き着く先(ラストはハッピーエンドだとしてもどんな形で落とすのかも)が気になってしょ~がないんだけど!
1巻が出てからもう13年近く。
もちろん、とっくに版元は存在しないわけですから、このまま(ガストコミックスで)続刊が出ていないのはよくわかるんですよ。
後に作家さんが番外編同人誌を2作出されていますが(2003年と2008年に)、そのそれぞれに『商業での続きについて』触れられているんですよね。一度はかなり具体的な(別出版社での)発刊計画についても。
しかし、結局はいま現在この状況です。さすがにもう出ることはないんだろうと諦めていますが・・・
というわけで、万が一このレビューで『どんなもんかな?』とその気になった方は『あからさまな続き物で未完のまま』だということだけはお忘れなく。
・・・決して薦めませんよ、私は。
それでも、こんな中途半端な気持ちを持続させられているにも拘らず、読んだことを後悔はしていません。
『どうだったか』と訊かれれば、複雑なものはあれどもやっぱり『面白かったし好きだ』と答えます。
この作家さんは絵柄が好きで、小説で挿絵をされてる作品ではお見かけしたことはあるのですが、漫画は初めて読みました。
それもそのはず、この作品があさとさんの初BL、初連載、初コミックスという記念の作品で、どうやらこの作品の続きは未だに単行本になっていないようです。
雑誌で続きが描かれていたようなのですが、その巻を入手するのはもう古本しか無理(?)かもなので、もしかしたら続きは読めないかもしれませんが、あさとさんの漫画を読めただけでも個人的には満足です。
タイトルからも分かる通り、王子様が登場しますが実は黒魔術をかけられてしまったいう、ファンタジーでお伽噺のようなお話です。
舞台は日本なのですが、王子様は外国人。なんで?という感じですが、あさとさんのキラキラな絵柄と帰国子女の薫、上品な紳士服を扱うお店のお陰で違和感は感じませんでした。
まだまだ伏線が隠されていて、お話もこれから大きな展開がありそうなのですが、ここまでしか読めないかも…とやはりちょっと残念です(泣)。
メルヘンチックなお話でほのぼのとコミカルなところもあって安心して読めました。