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gozen niji no kirei
凌晨2时的美丽
痩せてごつごつした手がいいな。
表題作は、深夜2時に怪我したネコと一緒に拾われて部屋についていって手当てしてもらったら、そのままサクッといただかれちゃって、うっかり気持ちよかったんで、なんとなくずるずる付き合うようになっちゃったんだが、これって、ええと…と悩むお話。
初出がgateauなので、いったい何をどこまでいただかれちゃったのかはボンヤリとしか描かれていないため、いまいち主人公の危機感が伝わってこないのがちょっと残念。
ワンダフルワールドは、ストーリー展開がちょっと懲りすぎかな。
絵のタッチは繊細で好きな感じなので、これからが楽しみな作家さんだと思う。
表紙とタイトルに惹かれました。エロ度薄め方面でとっても今っぽいです。初めて読んだ時は個人的に「好きな感じ」と「苦手かもしれない」の危うい路線を行ってるなぁと感じましたが、何度か読み返すうちにジワジワと来るものがありました。
表題作は社会人と大学生の行きずりの関係。生々しさがなく、タイトルにもあるように「きれい」に纏められています。行きずりで身体の関係に至るのに理由はいらないと言われたら、…そうでしょうね、で終わります。そこから恋人になるまでの挽回が萌えポイント。気になる人とだから気持ちが良いの?他の男の人と試してみてもそう思えるのかな…。(←ノンケ主人公の戸惑い。)短いですが、ミニミニメッセージが込められたお話でした。
同時収録の「ワンダフルワールド」と、「ゆるやかに毒」は作家さまの持つカラーを感じた作品。
「ワンダフルワールド」は、大学生と若い自称画家同士の一風変わったアートなお遊びから始まる物語。少し現実離れしたオープニングで、このお話がダーク系なのかそれともファンタジーなのか、結末までそそられてしまいます。かつて小説家を目指していた大学生の創(はじめ)は突然、見知らぬ若い男に声を掛けられる。一年に春夏秋冬を感じさせる最も美しい時節の四回だけ、その男がある場所に行く。そこに残したメッセージをヒントに、創にその場所を探し当ててもらうゲームをしようと誘われ…。男の正体が明らかになり、切ないエンディングに遭遇した後、二人の出会いとは、人生において一体何と名付けたらいいのだろうと考えてしまいました。こういったミステリーっぽい雰囲気はBLというよりは匂い系っぽいですが、もっと読んでみたいテイストだなと思いました。
「ゆるやかに毒」は、保健室の先生(もちろん男性)と嗅覚に敏感な男子高生との特別な関係を描いたお話。こちらも設定の響きが持つ卑猥さはなく、妄想で味わうタイプ。どの作品もそれなりに緊張感を持たせつつ、最後はちょっとだけ希望を仄めかす終わり方に好感を持ちました。収録されているそれぞれの後日談がコンパクトながら良かったからかも。
これからどんな作品を描いていかれるのか気になる作家さまです。
おそらくとても言葉を大事にしてらっしゃる作家さんなんだと思います。
言葉の響きや、キーワードをいかに効果的に使うかを計算して作品を組み立てているのではないかと。
惜しむらくはその綿密に練られた部分が、読者を突き放してしまう逆の作用をしてしまっているように感じてしまったことです。
繊細で美しくて儚そうなんだけど、それだけにリアルを感じない、机上に収まってしまっているのです。
表題作の「午前2時」というキーワードは作者さんの中では重要だけど、果たして読者には?出会った時間が午前2時、その後に出てくる時間は1時13分。「いつも午前2時に会っていた」というモノローグもないので、最後で無理矢理タイトルとの辻褄合わせに来たな、という印象しか残りませんでした。
そもそも「きれい」は?
「ワンダフルワールド」では四季に准えていくつも並べられる美しい言葉、「世界を止める」というキーワード。「時間を止める」よりも「世界を止める」の方がパワーワードだけど、詩的すぎて「ん?」となってしまう。この作品のように謎めいた物語を読む上で、この一瞬の「ん?」が命取りでした。一気に現実に引き戻されて、もう一度「ん?」とならないように物語の一歩外に引いてしまいました。綺麗な話だっただけに残念。
「ゆるやかに毒」は「嗅覚」と「用量用法」でしょうか。
全体を通して台詞が綺麗すぎて、台本を読んでいる感じがしてしまいました。
作画も雰囲気があるので、作者さんの世界に読者を巻き込めないのがもったいなくかんじました。
「ワンダフルワールド」は「好きだから一緒にはいられないけれど覚えていて」というフランス映画の「髪結いの亭主」のテーマを彷彿とさせるような深くて切ない話だっただけに、物語の中にもっと入り込みたかったです。