華闇の褥

不幸過ぎる受けに胸が痛いです

両親が負った借金のために（現代版）遊郭で働かされた少年とそのオーナーとの、不幸過ぎる境遇に胸が痛くなるラブストーリーです。

両親の死、両親の借金と立て続けに不幸に見舞われたのは、高校生の悠也。おまけに、借金返済のために、たった一人の妹（１０歳）をソープに売ると脅されます。
そんな窮地に陥った悠也の前に現れたのは、元ヤクザで、今は闇金融で高級クラブを経営する剣持でした。
剣持は、自分がまとめて他の金融会社の借金を返済するから、この兄弟を預けてくれと言います。助かったと悠也が思ったのも束の間、悠也が連れて行かれたのは、剣持が経営する現代版遊郭でした。そこで借金返済のために、働かされる日々。辛い時に思い出すのは、可愛い妹と憎い剣持のことで…と、シリアス＆ダークでお話が進みます。

救いなのは、悠也が、芯が強くて自分の意思をしっかりと持っていることです。苦境の中でも前向きになって、お店でもナンバー１になるし。かと言って、心までは闇の世界に染まらずに清いままで。
一方の剣持も、悪人になりきれない心の奥に優しさを隠しているし、過去に辛い体験をしているから人の痛みも知っていて。
そんな２人の純愛ともいえるような、人を深く愛することの意味を考えさせられるような、ラブストーリーにキュンキュンします。

この２人の話だけだったら、迷うことなく萌え萌え評価です。でも、剣持の弟分のヤクザが、自分の手下たちに悠也を凌辱させる場面があって…。必死で剣持の名を呼ぶ悠也の姿に、胸が痛くて痛くて…。それがキッカケで仕事は辞めることになるんだけど、その後もその男のせいで、剣持も悠也も危ない目に合うし…。最後の最後まで、ドキドキして胸が苦しかったです。

不幸過ぎる受けが苦手なので、２人の純愛は好きだったけど、それ以外では地雷な展開でした。だけど、主役の２人は好きなキャラです。お互いに一緒にいることを選んだ２人に、これからの幸せを願わずにいられません。