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plastics to futatsu no kiss
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
「魚住くんシリーズ」の2作目にあたる作品です。
サラリーマンでおおざっぱな性格の久留米と、生活能力のない大学院生とのお話です。
つかずはなれずの生活をおくっている久留米と魚住でしたが、魚住の前に、日下部という男性があらわれて、事態がかわっていきます。
トラウマ満載で、感情が欠如してしまった魚住がかかえる過去があきらかになっていき、よんでいて、かなしい気持ちにもなってしまいましたが、ものがたりとしては、おもしろいとおもいます。
シリーズ二冊目。榎田さんて昔からこういうの書きたかったんだなあと思った。弱者擁護の思想をキャラに込めて吐き出す主張強めな作風。名作や伝説と言われる理由がこっち方向にあるなら、期待とはズレるかも。
魚住が監禁される、不穏なお話から始まる。貴史は本当に何をしに来たのか。魚住を見てみたかったからとは言ってるけど、手錠を準備して押しかけて来て、ただ見てみたかったなんて嘘くさい。そんな男と仲良くなる魚住も緩すぎるが。
魚住が日下部に背を向けたエピソードは鳥肌モノだった。ただの偶然であっても、たくさんの死に近い魚住に起こった時点で奇跡に思え、そんな奇跡を起こした久留米とのつながりに運命的な何かを感じてしまう。
誕生日のエピソードはとても好き。魚住は可愛いけど、可哀想の気持ちも大きくなって、だから同情しない久留米が良いんだと実感した。どこかでマリがそう言ってくれたのもスッキリできて良かった。
るみ子の話はモヤる点が多い。男→女のセクハラは、行為そのものや同性同僚の無理解など、問題提起と被害者の反撃まで描いて丁寧に取り上げている。対して魚住から伊東への男→男のセクハラは扱いが軽い。
また、男女二元論で女性の不満を語らせているのに、男性側の言い分がない。メインに男性キャラを据えておきながら、女性に理解を示してばかり。一応マリが反論する役割を担い、サリームが中立に配置されているっぽいが。
読者層的に共感されやすいとは思う。個人的にはフラットな方が読みやすく、この偏ったバランス感覚は合わない。一方的で角が立つ主張。
最後はサリーム視点のお話。どちらかというと新キャラとの絡みより、いつものメンバーで過ごす日常がサリームにどう見えているかをじっくり読みたかった。やっぱり魚住や久留米やマリといった愛着あるキャラたちがサリームに与える影響を知りたい。
今後あるか分からない貴重なサリーム視点だけに、良い話だったんだけどでも……と思ってしまった。
ちょっと散漫な印象で、続きが気になることもなく、次を読むかは迷う。
魚住くんシリーズ2作目。
情報がたくさん詰まっている文体なので、そんなにサクサク読める作品じゃないと思うのですが、面白くて早々に読了しました。
魚住の育ってきた環境がまた少し明らかになって、魚住という人物を形造ることとなった背景がまだぼんやりとですが見えて来て、少しだけですが魚住に近づけたような気になります。
別に死ぬ事など怖くない、感情をどこかに忘れてきたような魚住が久留米や友人たちと過ごす中で何かを取り戻していく。そんな兆しの見える巻でした。
魚住の不安定さに引き寄せられた者たちの1人、日下部という心理学講師の弟の訪問や、魚住初の海外研修、久留米の会社のるみ子の登場などの出来事が起こる中で、前作より2人の距離が近づいたような近づいてないような…まだまだもどかしい関係です。
ただお互いへの気持ちはもうハッキリしてきていて、自分の気持ちより身体が先走ってしまいそうなのを必死でブレーキかけてる状態ですかね。
友達以上だけど恋人にはならない2人の距離感とブレーキをかけながら進むような、ささやかなスキンシップに萌えさせられました。
サリーム目線の最終話はとても切なく痛みの残るお話で、心に響きました。
3作目も楽しみに読みます。
魚住くんシリーズ2巻目です。私が買った時点での帯に、「エンタメにして文学。これが恋愛小説の進化形」とありますが、正にそうだなと。しみじみ納得なのです(因みに夏の塩の帯は「いま、一番読みたいキャラクター文芸はこれだ!」でした)
手紙形式から始まる「プラスチックとふたつのキス」、これはドキドキしました。
魚住くんは凄い美形にも関わらず、感情のネジが何個か欠落してしまってるような、ある意味子供のような人。にも関わらず美貌ゆえに周りが放っておかないというか、やっぱりいろいろあったんですね。
かつて魚住真澄に魅入られるように恋した男、日下部槇彦と彼の弟貴史。過去絡みの兄弟と、魚住くんの現在を担う久留米の対決の話でもあります。
プラスチックの手錠で魚住を拘束する貴史と、あっさりそれを壊して魚住を解放する久留米。
貴史との妙な具合のキスと、バター飴を巡る魚住くんから久留米にしたキス。
過激な場面などはないですが、非常に色気を感じました。
「死ぬのは怖くないんか?」と問いかける貴史に微笑で答える魚住。
続く、この男はいったいどんな荒野に立っているのか。の一文。
ここですね!忘れられない、グッときた場面です。
ラストの、数年後が描かれたところは、シリーズ後半になって意味が分かります。
次は「ハッピーバースデー」のその一。魚住くんが自分で自分の誕生日パーティーを企画して、実行するお話です。「何なの、お前」って突っ込む久留米がナイス。
「彼女のwine、彼のbeer」、徐々に距離が縮まっていく魚住くんと久留米の間に、久留米の同僚の女子が絡んできます。
この女子が最初はちょっと余計な、苦手な感じがしましたが読んでいくうちに好感がもてました。
この巻のラスト、「月下のレヴェランス」はサリームが主になった話です。
サリームと出会う少年がなかなかに切ないのです。
総じて、魚住くんがますます好きになった2巻目でした。
魚住くんシリーズ第2巻。
魚住くんと久留米、そして二人を取り巻く仲間たち。
それぞれが抱えている問題も含め、お互いに尊重しあっていていいですね。
それにしても、魚住くんはまだまだ感情が欠如しています。
味覚障害がなおったり、表情が多少豊かになったり、これでも改善しているんですけどね(笑)
こんな憎めない魚住くんだからみんなが集まって(引き寄せられて)くるんだと思います。
引き寄せられる人が負の過去を背負ってしまっているのが辛いとこですが・・・。
早く久留米の力で魚住くんに幸せという感情を与えてあげてほしいです。
ちなみに、自分がゲイかを確かめるべく、研究室の仲間(男)にキス実験したのは笑えました。
魚住くんの思考回路って(笑)