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kazoku ni narouyo
大好きな月村先生の待望の新刊が同時に三冊発売された嬉しい十二月!!
本作はその中の一冊です。
月村先生の作品に出てくる受け様は、基本自分に自信がなかったり、夢や希望が持てなかったり、自分の暗黒部に後ろめたさを感じていたり、コンプレックスを抱えていたり、良い子であろうとしながらもまじめすぎて罪悪感を感じて苦しんだり・・・という感じで、読んでいてとても共感が持てます。
受け様が深刻過ぎるぐらい思い悩む感覚もとても分かるな・・・と。
だからこそ、そんな受け様が幸せを掴んだ時は心から嬉しくて、どうしても感極まってウルッときてしまいます。あと、すごく羨ましくもなります。
だって、攻め様がもう無償の愛レベルで受け様を愛してくれて、全てを受け止めてくれて、心も体も束縛執着で、その上とても素敵だから・・・
今作の攻め様も、月村作品ならではの束縛執着攻めで、更には今回はノンケ攻めだったので、私はとても嬉しかったです。
攻め様の家族(実は皆血がつながっていないという・・・)もとても温かくて、素敵な人達で、同棲の恋人である受け様の存在を喜んで迎えてくれて・・・。
嫌な事や辛いことの多い現実社会ですが、物語の中ぐらいはありえないぐらい超Happyで、Happy Endingで、しかも出てくる人達も優しくて良い人たちばかりの世界でも良いじゃない!!!と思います。
あ、物語のキーアイテムでもある消しゴムのおまじない、懐かしかったです。
この本は、空が身を引こうとする描写が印象的でした。両想いだからと言って、素直に自分の幸せだけを考えるのではなく、相手の幸せを考えている彼がひねくれているけれども、素敵な人間だと思いました。
恋愛要素は薄いかもしれませんが、就活生の苦悩が書き綴られていて引き込まれました。自分が苦しいとき、周りの人間の幸せが願えなくなるようなことがいやだというような言葉に共感しました。
また隼人の『泥だらけになって何かを取りにいかないといけないときもある』というような言葉がかっこいいなと思いました。
ネガティブ受けが好きな人にお勧めです。
月村奎さんの作品は大好きで、以前の本で家族愛が出てきたときも
涙腺が緩みました。
ああ、家族愛って本当にイイ!
そして、こんな気持ちにさせるなんて、ズルい!
◆◆ ◆◆ ◆◆
《CP》
洋食店を経営する隼人 × 就活生・空
両親を早くに亡くした空(受け)は、大学3年生の就活生となって
内定を取れずに焦っていました。
そこに洋食屋勤務の隼人(攻め)と出会い、
そこに暮らす家族の暖かさに触れ、やがてそこに理想の幸せを
見出します。
そして、どんどん隼人に惹かれていき…?
というのが序盤から中盤までの流れです。
月村さんお得意(?)のネガティブで悲劇の受けです。
でもこれが何回読んでも止められない!(><)
何度でも、主人公の空(受け)に感情移入しちゃいます。
空は自分で思っているより、性格はめっちゃ良いと思います。
だからそんなに自分を過小評価しないで欲しいなぁ…。
自分を卑下しないで欲しい。
空にだって、幸せになる権利があるんだよって伝えたくなります。
そんな空を救ってくれたのが、隼人(攻め)であり、その家族。
おじいちゃんはほんわかおっとりしているし、姉は元気いっぱい、
そして子供2人は更に元気で良い子たち。
あたたかな家族。 とても理想的です。
こんな家庭にいたからこそ、隼人(攻め)は一見怖そうに見えて、
実は優しい。
隼人の告白は優しくて男らしかったし、
それをオドオドしながら受け止める空の態度も可愛かった!
だからこそ、両想いになったにも関わらず、隼人とその家族のために
身を引いて、わざと隼人をふる空を見ていると哀しくなりました。
再び隼人(攻め)から恋心をぶつけられた空(受け)は、
心も体も一緒に……。
エロシーンはサラリとしています。
でも隼人の台詞には笑いました。
空の「今、この瞬間に世界が終わればいいのに」と言うのに対し、
「今世界が終わったら、俺は激しく後悔する。
まだ1回もイッてない」と言う隼人。
エッチしている最中に、こんなギャグが言えるなんて!
大爆笑です。
それからすぐに隼人の家族に2人の関係はバレてしまいます。
でも、奇跡的なことにみんな空のことを家族として歓迎します。
ああ、もう、このシーンです!
幸せな家族の一員となれた空。
喜んで受け入れてくれたあたたかい家族。
現実離れしているシチュエーションかもしれないけれど、
それでも良いじゃないか!
猛烈に感激して、ウルリときてしまう涙を必死でこらえたラストでした。
◆◆ ◆◆ ◆◆
隼人(攻め)と空(受け)の関係は、ハラハラしながら見ていました。
グイグイと迫ってくる隼人と、その隼人と幸せから逃げようとする空。
でも、両想いになって良かった。
何より家族になったことが嬉しかったです。
隼人の言葉じゃありませんが、幸せばかりじゃないけど、
幸せのほうがずっと多いと保証しますよ、私は!
だから空はみんなを信じて、幸せになって欲しいな。
月村さんと言ったら「ネガティブ受」と勝手に決めつけていますが、この作品もまさにそれでした。ウジウジ後向きな受のぐるぐるした思考が面白くって一気読み。今回は「家族」がテーマで、天涯孤独な大学生が情深いバイト先の店主とその家族によって冷えた心を溶かされてゆきます。読んでいてじ~んと胸に染みるお話でした。
あとがきの「マスターいつものやつお願い」には、まいったな~。
様々なジャンルだったり、毎回全然違うカップルを書いて楽しませてくださる作家さんもいるけど、毎度おなじみな感じだと、それはそれでホッとしたりもするもんです。
で、このタイトル。どうしても長崎出身の全然年取らなくて怖いよいったいいくつだって人を思い出すけど、これ以外にないタイトルだなと納得のお話でした。
自分でねじけてると思い込んでるし色々と自信のない空が、幸せになる価値があるんだとわかる日がくるのを楽しみに読み進めたけど、もうちょっとそれを噛み締めてるとこが読みたかったなあ。
というわけでペーパーのお誕生日話!こういうのを待ってたんだよ。隼人は絶対ムッツリだと思うので、もっとその辺の描写もほしかった。
身寄りなく将来の夢も希望もない就活中の学生 空が主人公です。
生活するだけでいっぱいいっぱいの余裕のない毎日の中で
奨学金返済のために安定した企業に就職したいのに内定が出ず焦るばかり。
なんで自分ばかりが不幸なのかと心の中で他者を羨んだり、うまくいっている人からの励ましや温かい言葉も皮肉か自慢かと素直に受け取れない自分の汚さに落ち込んでしまうような純粋ないい子なんです。
そんな自分を嫌悪し心根が悪いからうまくいかなくて当たり前だなどと思う空が可哀想で抱きしめてあげたくなりました。
いろいろうまくいかないときに成功した友人に心から祝福できなくてもそんなに自分を責めないでよ、と。
自転車事故をきっかけに知り合った善意の塊のような一家に、冷たく凝った心が温められ幸せを感じながらも束の間の幸せなのだとあきらめたような悲しい思いが切なかったです。
幸せだったと言いながら別れる場面では泣きました。
好きで好きで大好きな人に想いが伝わり同じ想いが返される奇跡。
でもこれは相手の家族の誰も幸せにしないだろうからと
引き裂かれる思いで嫌われるよう仕向ける空の決意が哀しいです。
別れのあと座り込んで泣くイラストの後ろ姿も切なすぎます
でもそれを鵜呑みにせず諦めなかった隼人に感謝です。
末長い幸せを…
就活で行き詰まっている大学三年生・空 (受け)。
ひょんなことから商店街で洋食屋を営む隼人 (攻め)と知り合い、度々彼の店を訪れるようになる。
ゲイで、両親を早くに亡くした苦学生で、
なかなか内定も取れなくて……
と、かなり苦労人の空。
隼人や、彼の家族との触れあいが
空の心を癒していくような温かな物語です。
就活で悩む空の心情描写は、自分の学生時代を思い出したりもして、なかなか引き込まれるものがありました。
不採用通知に落ち込んだり、
大手に就職が決まった友人を妬んだり、
バイト先の塾から正社員にならないかと誘われるも、大企業への未練も捨てきれなかったり…
綺麗事ではない、切実な等身大の学生の想いが
ストレートに伝わってきます。
そんな空に親身になってくれる隼人がとても男前。
隼人に惹かれる空ですが、昔ストレートの男性に告白し拒絶されたトラウマから、想いを打ち明けることができない。
塾の子どもたちに教わった、消しゴムに好きな人の名前を書くおまじないを実践…なんて乙女な行動が隼人にバレたことで、二人の関係が変わります。
以前から空のことが気になっていた隼人と付き合うことになるも、ずっとこの幸せが続く確証が持てず、自ら別れを切り出す空。
このネガティブさは人により好みが別れるかもしれません。
個人的には、空の苦労の多い生い立ちを思うと、降ってわいた幸福に戸惑ってしまう気持ちも分かる気がしました。
空の真意に隼人が気付き、空に歩み寄ることで破局回避。
隼人の家族にも受け入れられ大団円という、とても幸せなラストです。
空の周囲の人間皆が空に友好的で
彼らの方から空に歩み寄ってくれるという
ご都合主義な展開がちょっと気になりました。
もう少し自分から行動する空の姿を見たかったです。
しかし、ずっと一人で生きてきた空が家族として迎えられるラストには温かな感動がありました。
男前ノンケ×後ろ向きゲイという
月村作品によくある(?)組み合わせが好きな方に
お奨めです。
月村奎先生は、雑誌掲載小説もしくはコミックの原作でしか読んだことがありませんでした。
原作コミックはすべて読みましたが。
積み本のままの購入済み未読本が3~4冊あります。
ほんとスンマセン☆
コミック読んだ&レビューした勢いで、最新作のこのお話を先ず読みました。
家族とお金に恵まれない上に、将来の奨学金ローンに悩む就活苦学生、空。
空がぶつかって軽い怪我をさせてしまった男性(堤家父)の長男、隼人。
そんな二人と、堤家の父・姉・姉の子供二人を交えた、家族愛のお話です。
空の就活話はなかなかリアルで、読んでいてちょっと胃が痛くなりました…。
就職どうなるの?!とそこが恋以上にやたら気になったり。
人から見る自分と本当の自分とのギャップに悩むあたりとか。
共感できるところが沢山ありました。
リアルでネガティブな空の描写に対して。
隼人や堤家の人々、空のまわりの人々が優しくあたたかで。
そこはやはりファンタジーを感じたのですが。
その優しい~お話の感じが、心あたたまる良いお話でした。
パンチは無いですが、ほっこりほんわか。
後書きに先生が自分の作品を、「マスター、いつものやつ」と表現しておられまして。
なるほど、月村先生の作品はこういう感じなのか~、と妙に納得!
安心して読める優しいお話ばかりなんだなぁ、と思いました。
ちょっと残念なのは、挿し絵が合わない気がした事でしょうか?
この絵師さん、なんとなく絵が変わった気がするのは私だけでしょうか?
でも堤家の父が渋かったのは良かったかな♪
二人のシーンの絵がサラッとしていて、印象が薄いような感じでした。
そこら辺がちょっと残念。
よくも悪くもワンパターンな、安定の月村作品。
自分に自信のないネガティブ受けは好みじゃあないのだが
繊細で丁寧に描かれた、切なく暖かい世界は
やっぱり読みたくなってしまうし、一定の満足感がある。
今回もまたそういう作品だったが、後半が物足りない。
家族に恵まれない苦学生の空が、
ふとした縁で暖かな定食屋の一家に出会う。
有名商社を退職して母の思い出の店を継いだ店主の隼人に
どんどん惹かれていく空。
乙女のようなおまじないをしている、いじらしい彼の思いには、
かなりキュンキュンしていたのだが……
そこから先がサクサクとご都合主義過ぎる感がある。
隼人の姉の男前っぷりも好みだが、
そうやってマンガチックとも思える周囲のパワーによって
話がまとまっていくのが、個人的には残念。
不幸に耐えて健気に生きてきたヒロイン(ヒーローじゃあないのだ!笑)が
そうやって魔法のような展開で幸せになるのは、おとぎ話の定番だが。
堤家の子供たちを含めて、登場人物は生き生きしているし
小さなエピソードのそれぞれにも味がある。
明るく円満な堤家に迎えられた空の行く末は、
きっと幸せなものだろうと、読後感は悪くないのだが
もう一息、惜しい!という感じかな。
挿絵の宮城さんは、雰囲気のある挿絵を描かれる方だと思っていたが
このところのバランスの悪さに、
なんとも見ていて落ち着かない気分になる。
これまた惜しい!
父母を早くに亡くし、施設や親戚の家を転々としながら暮らしていた空と、あかね亭を経営する隼人のお話です。
空は就職活動の帰りに隼人の父、昭介と自転車で接触してしまいますが、あかね亭に呼ばれ温かいもてなしを受けるのです。祖父である昭介、隼人の姉のかなえ、かなえの子であるひなたと佑太。天涯孤独な空からしたら、隼人の家は恵まれた家庭ですが、彼の家は、両親の離婚や再婚でできた家庭で、血の繋がりは極めて薄いのです。
それよりも、一番興味深く読んだのが空が直面している「就職活動」という話でした。何社受けてもなかなか結果が出ない空、先に内定をもらった友人の関根。関根のことを表面上は喜んでいるのに、心の中では実は妬んでしまう空。空は、自分自身に自己嫌悪する場面があるのですが、私は空が一番人間らしいと思ってしまいました。
隼人と結ばれて、ひとりの人と深い関係になって、また違う日々が始まる。辛いことの方が多い日々の中で、ほっとするようなお話でした。