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tsubakirou cantarella
椿楼禁断之毒
ほぅ…。
溜め息しか漏れません。
美しかった…。
そして切なかった…。
大正7年。
両親の借金の形に男娼として売られた門倉家の御曹司だった慎吾。
そこで禅一郎から手解きを受けることになるが…。
楼閣ものは「好きな相手がいるのに、自分の意に反して好きでもない男たちに抱かれなければならない」というのと、ついて回る「許されざる恋」がつらくて、進んで読みたいジャンルではないのですが、羽柴さんの美しい作画に釣られました。
何もかもが美しかったです。
腹が据わった瞬間に見せる音羽(慎吾)の表情は、研ぎ澄まされるような冷たさと燃える情念のような熱さを合わせ持った美しさがあって、禅の意地を切り離したような表情も冷たいのに美しい。
慎吾の父親の慰み者になって命を落とした母の仇という憎しみを、音羽にぶつけることに苦しむ禅も、禅の内面に触れてこころが傾いていく音羽も美しかった。
後半は宝くじが当たるようなラッキーが起こりますが、そこに至るまでが本当に切なくて胸が千切られます。
好きだからそばにはいられない。愛しているから二度と会わない。
そう決めたのに、手を取り合って、こころもからだも通い合わせてしまった後のさらなる悲劇はもう、切なさで心臓が壊れるかと思いました。
極限まで揺さぶられたこころを緩めるように、ラストは明るい仕上がりでした。
描き下ろしも明るくて、引きずられずに済む仕様になっていたのがありがたかったです。
蛇足ですが、大正時代の3万円は現代で言うと1548万円だそうです。
借金パネェ。楼閣って儲かるんですね。
この大正時代の米騒動は、本当に深刻だったそうです。
この作品の主人公は強い、不条理を生き抜けて良かった。
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和もののこの作品は、静止画は綺麗なのですが、動作が奇妙で、棒人形が動いているような描写です。デッサン下手で、面白味半減・・勿体ない。
米騒動で店が破綻、両親が首つり。主人公は、遊郭へ売られることに。いきなり始まる仕込み教育。
・・仕込み教育についての場面、これは何か手引書を参考にして書いたのでしょうか?「百と卍」でも仕込み教育が面白かったのですが、この作品も仕込み手順が興味深くておもしろかった。
大戦前の日本の文化は、今より情緒があって綺麗で豊かだったんだなーと、思った作品でした。
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▶陰間茶屋は、記録にあるけれど、男鐘楼は、記録にあるの?興味津々。陰間とほぼ同じなら、年齢の上限は20才。お坊ちゃまは、学生。花街の現役期間は短いのによく買ったと思います。
陰間は自ら志願するアルバイト:女装して客を取る、歌舞伎役者志望の美少年。
お客は女性もいた。陰間茶屋は、歌舞伎関係者の経営が多かったので、地方巡行する「飛び子」もいた。12~14歳-20歳くらいで引退。
▶九州の米騒動は、遅れて起きて長く続き、深刻化していた。
大正7年(1918)富山米騒動と全国的展開
大都市の米騒動は8月16日までにほぼ終息しますが、8月17日に山口県宇部炭鉱、福岡県峰地炭鉱で米騒動が発生し、主に山口・九州地方の炭鉱に展開し、世界遺産に登録されている熊本県荒尾村の三井三池炭鉱万田坑で9月12日に収束するまで続いた。
ときは大正。
長崎の商家の御曹司・慎吾(受け)は
借金のカタに遊郭に売られ、客をとるため
楼主の息子・禅一郎(攻め)に身体を慣らされる。
慎吾に恨みがあるらしい禅一郎との
過去の因縁とは…。
一応シリアスな話なのでしょうが
展開がかなりご都合主義な上
大コマでの人物のアップがギャグにしか見えず、
成功しているとは言いがたいです。
ツッコミどころが多すぎて
指摘するのも疲れてくるというか(--;)
親を自殺に追い込んだ男に
あっさり惚れる慎吾の気持ちが意味不明だし
花魁なのに蛍を見に飛び出したあげく転んだり
身請けされることが決まっているのに
禅一郎と寝て、そのことが相手にバレても
「承知のうえだ(キリッ)」と大コマで決めてみたり…。
たぶん設定的には
身体を売っても矜持は失わない男前受け、
みたいなキャラなのでしょうが
そのわりにプロ意識なくカッコつけてるだけ
という印象で言動が伴ってきません。
攻めの禅一郎も、
親の敵で慎吾の父親に借金を負わせたはいいが、父親が自殺して慎吾が路頭に迷ったら「一生をかけてでも償う」と誓った…って
復讐を企てたわりに計画性がなさすぎます。
出会いから慎吾には好意を抱いていたようですが、父親に復讐したら好きな人が傷つくことくらい予想できたんじゃないかと。
慎吾の元使用人に刺されて
「気が済んだか?」と説教するシーンも
自分がやったことを棚に上げているので
全くカッコよくありません。
万事において魅力のない二人でしたが
唯一面白かったのは
舞台が長崎の丸山遊郭ということで
方言や異人さんが出てくることでしょうか。
メインの登場人物たちは標準語ですが、花魁が客を「しゃま」という敬称で呼ぶのはちょっと可愛いと思いました。
それ以外は遊郭の描写にオリジナリティはなく、
先輩花魁が慎吾に情事を覗き見されていることに気づきニッと笑うシーンだったり、
身請け客が慎吾にあまりに都合のよすぎる良い人だったりと
どこかの花魁物で見たことのあるエピソードばかりでした。
羽柴みずさんのコミックは今回が初読みでしたが、
変にシリアス物を書かれるより
ラブコメとかの方が
向いているのではないかと思いました。
遊郭物はあの時代の文化として興味があるので、BLでも色々読んでいますが、矢張り存在しないからか、微妙なものが多いかも。
そもそも、男娼で遊廓と同じシステムの店が存在したのでしょうか。
調べた限りではないと思うのですが、吉原と横浜だけなのでもしかして丸山遊廓ならあったのかも?ないだろなあ。そこらへんは矢張りファンタジーなんですかねえ。
そこらは置いておいても、出てくる人たちの思考回路が理解出来ない事が多くて、「???」となる事が多かった気がします。
子供時代の話から始まるので、昔から好きだったけれど立場の違いから叶わぬ恋だと攻めが想いを押し殺してしまうのかな?と思いきや、母親の仇の受けの父親を死に追いやって、その息子には妓楼で客を取らせる。なのに、云ってる事は、受けにその償いはする。
炭坑に行くよりはマシだけれども、これって償いですか?
それで陰で「嫉妬でギリギリ」されても、しらんがな。
自業自得というか、何というか。
あと、主人公もエドさんの扱い酷くないですか?
仮にも大金はたいて身請けしてくれるという相手を、こうも容易く裏切っていいのか。
もう少し、同じネタで王道展開でも読ませる事は出来たのではないかなあと、ちょっと勿体なく思いました。
そういえば未だレビューを書いていないですが、この作者さんの初めて読んだ作品はアラブでした。
アラブの次が遊廓。
今度は普通の話を読んでみたいです。