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flag
人の頭にその人の心を表わす旗が見える。
人がこわくてひきもりになっている少年・聖が主人公の2巻は
1巻で彼に友達が出来た事で激怒した兄・日高が家を出て行ってしまった事から始まります。
外へ目が向いて世界が広がった少年。
お前はひきこもっていればいい!と普段の自分の駄目な部分を棚に上げて聖を縛りつけようとする兄。
それによって少年は更にひきこもるのではなく、そこに兄の弱さと寂しさを見て、自分が大きくなる事を望みます。
そして、光の母親が聖の家の事で大変に忌み嫌う理由に日高が関係していると感づいた聖は友人たちと、それを探る探偵団を結成します。
そうして見えてきた日高の生い立ち。
それによって明らかになった日高の本当の気持ち。
少年の成長が、内にこもることをせずにまっすぐに伸びていく若木のようなみずみずしさを感じます。
そして、旗の示すもの。
それは目印であるのですが、帰る場所なのではないでしょうか?
精一杯の存在を主張して、ここにいるよ、帰る場所はここだよと指し示すもの。
恋愛というよりは、家族愛に近いものかもしれないが、幅広く「愛情」なのです。
人の感情が旗になって見える腹違いの弟と、弟が旗が見えない唯一の人間・兄との、家族以上恋人未満の不思議な同居生活が描かれた、最終巻です。
2巻では、過去を乗り越えて、成長した兄弟に胸が温かくなります。
と同時に、明らかになった兄の日高の過去が切なくて、胸が痛かったです。
そんな過去から聖を縛ろうとする日高に対して、今まで甘えてきた自分が、今度は守ろうとする聖の健気な姿にキュンとなります。引きこもりから卒業して、自分達の過去と向き合って、前に進めたのが本当に良かったです。
そして、明らかになった旗の秘密と、日高の旗が見えなかった理由。
それらも昇華した聖が、一生懸命に日高と向き合うことで、日高も良い方向へ変わっていきます。
結局、別々に暮らすことになった2人だけど、お互いが大事な2人だから、これからも良い関係で一緒にいるんじゃないかと思える結末でした。
おまけに、最後の家族写真ではホッコリしたし、聖にソックリなパパが微笑ましかったです。
そして、最後まで読んで、『フラッグ』という題名の意味の深さに感動しました。2人が、本当の帰る場所を示す旗…そんな心温まる素敵なお話でした。