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kokonotsu no yoru no tobira
波津彬子さんといえば、一昔前のJune界には欠かせなかったイラストレーターさんではないでしょうか。
しかしご本人の作品では、BLはほとんど描かれてないかと思います。
私もこちらの一冊しか存じ上げず…。
このなかには全9話ありますが、
うち5話が小説麗人等に掲載されたBL色のある作品、
他は主に各々の大人と幼い子との心の交流を描いた作品になります。
ご本人も巻末で言われてますが、
今時のBL風な展開は微塵もない作品集です。
確かにBL色があるな、という程度。
行為の描写も1度、さわり程度のものがあるだけ。
しかし改めてこのBL色のある5話を続けて読むと、なんとも味わい深いのです。
こういう描き方だからこそ出てくる余韻を堪能しました。
ちょっと古めかしい西洋~中華~和の雰囲気にサスペンステイストを加え、
BLジャンル向けといっても非常に波津さんらしい作品たちです。
苦しい片思いを描いた「夜の幻影」、
黒髪美少年と金髪青年との絵が美しい「錦繍の夜」、
画家が示したプラトニックな愛を描いた「花の家」、
恋人との思い出に沈む「THE END OF THE WORLD」、
プラトニックだからこそ想いを残した「たとえば白い花の下に」。
巻頭にあるカラー絵がまた色っぽい!
憂いのある表情、匂い立つようなほのかなエロス…。
波津さんの絵には物語性をも感じさせるよう。
BLではない作品も楽しめるのですが、
正直全作品BLであればなぁーと思ってしまうので、その点だけで☆1つ減らしました。
ちなみに、幻のデビュー作でありBL作品である「波の挽歌」は、現在「千波万波」に収録されてるそうです。