クリボウ
hiibi shoushou
晶々とは『きらきらと輝くさま』という意味だそうです。
けれど、この作品は高緑のきらきらと輝く恋愛事情を描いたものでなく、緑間の高尾への想いと執着を描いています。
そして天才ゆえの孤独。
これまで『人事を尽くす』ことによりあらゆることを手にしてきた緑間。
でも、人事を尽くしても運命が微笑むかどうかわからない、唯一の、そして初めての恋。
冒頭で放課後の教室のシーンで高尾のジャージに口づける場面が切ない~。
高緑なんですが、河井さんの作品ではわりと見かける受攻が逆っぽい感じ、好きです!!
硬めの線が細くて儚くて思いつめる薄暗い歪んだ感じが表現されていて素敵です。
そして中谷監督!!
マー坊ォォォォォ!!
緑間の想いを否定するでなく、かといってマイノリティとして生きる険しさも伝えられる、こんな大人になりたい!!
監督の高校時代の『ささやかなモテ話』(捏造エピ)としてクラスメートに想いを寄せられていた話がさりげなく語られるんですが、高校生:中谷監督が1カットしか出てこないのにやたらカッケー。
こんな麗しい高校生いたら惚れるわ(笑)
その話を聞いて好きでいることの強さと諦めることの強さが緑間にのしかかります。
ウィンターカップ洛山戦で披露した『とっておき』3Pアリウープの練習をする高緑。
体がついていかない高尾を心配する宮地先輩。
高尾を信じているからこそ期待して過度な練習を重ねるふたり。
成功したもののケガをした高尾に謝ろうとする緑間を制した高尾の台詞にしびれます!!
まさに『とっておき』の台詞!!
あ~もう、強気の高尾が大好きです!
この作品ではまだ告げられていませんが真ちゃんに惚れていなければ言えないであろう言葉!!
その言葉を残してこの作品は終わります。
ふたりのその後は描かれておらず(続きを描いてくれそうな感じですが)読み手に委ねられている状態です。
これで終わるのもリリカルな傾向が得意な河井さんらしい気もします。
恋をしたら想いを告げて、という基本の流れではなく緑間ひとりの心のもやもやを情緒的に綴った一冊です。
ハイテンションじゃない高尾の高緑も良いものです。