snowblack
saigo no ai no ohanashi
「愛はね、」「ぼうや、もっと鏡みて」の番外編。
既出の同人誌、ペーパー、web企画の再録に書下ろしが一編。
同人誌とペーパーに関しては既読だったが、こうしてまとめて読めるのは喜ばしい。
私は断じて樋口作品が好きではない。
なのに、好きじゃない……と言いながら度々心を乱され泣かされ……
そりゃあ好きってことじゃないの?と突っ込まれるのには断じて頷かず
なんで泣かされちゃうのよっ!と悔しさに歯噛みを繰り返すのだ。
この作品も、本編「愛はね、」では望にイライラし続け、
続編の「ぼうや、もっと~」では俊一にムカムカしながら読んだのだが、
結局最後は号泣。ああっ!
この番外編では、まだ付き合う前高校時代の二人や
ずるかった時代の俊一に始まり、
共に暮しすっかり幸せな夫婦になっている二人までのエピソードに加え、
兄や友人など脇役視点の話も加わり、話にふくらみを与える。
描き下ろしのプロポーズ編「望の幸せ」は俊一視点。
好きな人と美味しいものを食べて、美味しいねって言い合うのが一番幸せだと語る望。
意を決した俊一のプロポーズだが、やっぱり望の凄さには敵わないのだと思う。
何気ない幸せがどれほど幸運なことか、
それをどれ一つないがしろにせずに生きる望は、聖なるものか。
そして俊一だけじゃなく、兄や周りの人々がどれほど彼に救われているか。
愛の本質を描く作品だなぁ、と改めて涙ぐんだのでした。