ぼうや、もっと鏡みて

bouya motto kagami mite

ぼうや、もっと鏡みて
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神55
  • 萌×225
  • 萌14
  • 中立6
  • しゅみじゃない13

--

レビュー数
19
得点
423
評価数
113
平均
3.9 / 5
神率
48.7%
著者
樋口美沙緒 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
小椋ムク 
媒体
小説
出版社
白泉社
レーベル
花丸文庫
シリーズ
愛はね、
発売日
価格
¥600(税抜)  
ISBN
9784592876649

あらすじ

大学生の俊一は、幼馴染みでゲイの望の気持ちに応える気もないのに、望を傷つけてはその気持ちが自分にあることを確かめずにはいられない。自分の気持ちをもてあまし、戸惑う俊一だが……。
「愛はね、」から一年、俊一の出した結論とは!?
(出版社より)

表題作ぼうや、もっと鏡みて

本山俊一,21歳,幼馴染の大学生
多田望,21歳,幼馴染の調理士専門学校生

その他の収録作品

  • ぼうやの恋人
  • あとがき(&おまけSS『愛のありか』)

レビュー投稿数19

た ま ら ん !

うひー、
面 白 か っ た !

前作『愛はね、』のストーリーはまるまる記憶してたので、本を入手してからすぐに読み始めたんですが、数十ページ読んでから、「うわ、これは名作になる予感」と思って『愛はね、』を読み返しました。
望の視点で綴られる『愛はね、』の物語を読みながら、ひたすら俊一の気持ちだけを考えてました。以前とはかなり違ったスタンスの読み方です。
で、自分の感想が気になってちるちるに書いたレビューを読んでみると、トンチンカンすぎて自分を殴りたくなりました。ただまあ「続編で評価が変わるかも」と書いてたので、それを予感した自分は誉めてやりたいです。ええ、まるまる変わりましたとも。

キーワードは「許し」ですね。
俊一は、なんでも許してしまう望の性質に苛立っていた。
たしかに望の許しは弱さや諦めや意思のなさの象徴ともいえるもので、誉められるべきものじゃなかった。
前作『愛はね、』では、望の許す性質を否定的に(見えるように)描いていたし、読み手はそんな望に俊一とともに苛立ったりもさせられた。
でも望は確実に成長していて、今作ではそれは望の芯の強さや優しさの象徴となっている。
べつに望の根っこの部分が変化したわけじゃなく、本質は変わらないまま少し成長したということで、私はこの見事さに感動しました。
しかも今作で許されるのは俊一なのだ。ずっと望を守り、望の許す性質を否定的に見て苛立っていた俊一が、まさにその性質によって救われるのだ。
同時に俊一は、自分が望の寛容さに甘えていたことにも、傲慢だったことにも気づかされる。

まあでも、迷った挙げ句決意してメーター振り切ったカシコは怖いね!
愛情だだ漏れで俊一がすっかり骨抜きの色ボケになってる番外編には、ニヤケ笑いが止まらなかったです。

11

鏡の中に見つけたもの

前作の『愛はね、』は望視点のお話でしたが。
今度は俊一視点で一年後のお話です。

『愛はね、』の感想を書く前に、こちらの数ページを読んでしまい。
「いかん、これを読むとこっちの話に引きずられる」と思い。
前作のレビューは、とにかく焦って書きました。
そしたら、ストーリーそのものの感想ではなく、二人のキャラクターへの感想のみになっていました。
結果的に引きずられていたからかも?


読み終えてみて思いました。
この二人は何年かかったとしても、こうなる運命みたいなものを。


『愛はね、』とはまた違う意味で、エンディング手前までず~っとイライラしっぱなしです。
もうね、とにかく腹が立って仕方がない。
どちらに、ではなく、二人ともにです。
こんなにキャラクターに対して怒りや憤りばかり感じる話、でも大好き。
その溜まったフラストレーションが、一気に解消される時が気持ち良い。
そんな瞬間が、俊一と元友人の会話、俊一が一人の時に二回起こりました。

その俊一が一人の時のあるシーンでは、心の中で号泣してしまいました。
読んでいたのが人がいるところでなければ、本当に泣いたと思います。
それでも本が読めないくらいには涙が滲み。
今まで沸々とした気持ちが、一気に涙で放出されて。
すーっと穏やかに静まる瞬間を味わいました。

『愛はね、』では見えにくかった俊一の本音は想像以上に最悪で。
その自己中心的な思考が、誰しもの中にある闇の部分だなぁと思います。
結局、望の「許す」という性格は、男達の闇を引き出し拡張てしまうのかもしれない。
一番近くにいた俊一は、その闇で望を壊してしまう事が怖くて。
結果的に物凄く歪んだ関係になっていたんだなぁ、と思いました。


このお話の中では、有り得ない位周囲の人々との偶然があります。
五島とか、大貫とか、篠原とか、結城とかとのエピソード。
一~二ヵ月に一度程度しか会わなくなった二人なのに。
不思議なほどの偶然の数々でした。
そこに違和感はあるものの。
もしもそんな偶数が無かったとしても。
二人はいつかは、あのエンディングの結果になるんだろうなぁ。
そんな気がします。

こんなに早くそこへたどり着いたのは、あまりにも沢山の人達の言葉でした。
俊一のアルバイト先の編集者、河合さんもそうだし。
篠原や結城、五島だって!
この沢山の人達のくれた言葉の数々。
更に、この一冊の中には、続きのお話が二編あるんですが。
その中での、望側のある人物の一言。
俊一の脳天にガツンッ!と衝撃が走ります。
もう私自身はね、その人物に、惚れてまうわ~♪と心で叫んでいました。

…ネタばれしすぎないようにと感想を書いていたら。
やはり、ストーリーがよくわからないレビューになってしまった…。
本当にすいません。
今回は特に、自分の中の爆発寸前な何かを放出するために書いたような気がします。
この忙しい時期に、徹夜して読んだし…。
毎度ながら、自己満足レビューで申し訳ありません。

樋口先生があとがきに。
「愛はね、…」の…の部分は、この物語の中にあります。
と書いておられまして。
私が勝手にかんがえた言葉は。
“愛はね、本当の自分を映しだす鏡なのよ”
ではないかな?と思いました。
先生、違ったらすいません☆

8

愚かで愛おしい。

BLの様式美から脱線気味の話であるので好き嫌いはあると思うのですが、あとがきで著者の樋口美沙緒さんも書いてますが良い人でも悪い人でもないそういう普通の人の話でしたというのがストンと胸に落ちしっくりきました。人間関係なんて濃くなれば傷付け合うことは生きていれば往々にしてあり、理解を深めたいと思う気持ちからや、又は感情の行きようの無いところで理性を失い人は傷つける事もあります。傷付け合わずにはいられない側面があるのです。望と俊一のビジュアルだけBLの様式美に乗っ取ってますが、他は泥臭い愚かで愛おしい凡庸な2人でした。読み終えるとそこが何とも良いんです、俊一は(攻)キャラクターとしては絶対に人気薄だろうし、(受)キャラとしての望も然り。たいして魅力のないキャラなのにこんなにも物語惹かれてしまうのは、普通の人だからなのかも知れません。勿論、著者の巧みな心理描写や物語の運びとかありますが、突拍子もないものではなく様々な軋轢で苦しむ若い2人の恋は地味だけども胸に迫り来るものがありました。読みながら、何度となく涙が溢れてきては俊一に悪態を吐きながら、潔くないなと歯噛みしながらも俊一の苦悩や葛藤を思うと一方的に責める事も出来ないこのもどかしさを感じながら時折「あぁ~もうっ、、」って胸中で叫びつつの読書は正直疲れました。読み終えると涙で拭ったティッシュの山がゴミ箱を占領してました。元々、俊一の方が先に望に魅了されてたので、ラブラブになってからの愚かさ加減は可愛いですが、あまり男として器の小さい狭量な俊一は好きなキャラにはなれそうも無いけどもこの話は最大級に好きな話です。上半期は素敵な作品が幾つかありますが今のところ群を抜いて心を揺さぶられた話であります。あと今回も小椋ムクさんの画が素晴らしくて俊一と望との世界にすんなり入っていけました。心揺さぶられる話には大概素敵な絵師さんが担当してる確率が高いなとつくづく思いました。

7

グルグルしながら到達した愛の話

『愛はね、』の続きの話

幼馴染を思いながらそのむ割れない思いを受け入れ前向きに生きようとしている望と、そんな幼馴染から思われながら同じ気持ちを返せない自分の気持ちを持て余す俊一の成長物語。

前作に引き続いて俊一のイライラがひしひしと伝わってきます。
何度だまされてもまた信じてしまう。
殴られても強姦されても、優しいときもあったし悪い人じゃないとから、心から謝っているのだからと簡単に許してしまう。
だから、過去に望に酷いことをしながら元サヤを狙って望の周りをうろつく輩が許せないんでしょうし、嫉妬心もたっぷり含めてついつい望にきついことも言っちゃうんですね。
そのくせ望は自分には会いに来ないし…
そばで見ていると歯がゆいし怒りが湧いくる来るでしょうね。

俊一のじれじれした気持ちと望に対する自分の気持の折り合いがつかずにイライラをぶつけてしまう俊一の荒れた気持ちも、それを向けられる望の悲しみもよく分かるだけにこのすれ違いが切なかったです。

あっちこっちと寄り道しうんと遠回りしながら、やっと自分の気持ちと向いあって遠くの地に就職してしまった望に会いに行く決心をした場面で思わずやっとだよ、おっそいよ!と本のページに向けてつぶやきたくなりました。

3年後の『坊やの恋人』
遠距離恋愛を経てやっと帰ってきた望望と同居話の顛末。
守ってあげたい幸せにしてやりたいとの思いは本心からでも、どこか俊一は望を下に見ていた部分もあるんだなというお話。
好きになったほうが負けっていうじゃないですか。
ずっと好きでいた望に対して、一緒に住むと言ったら大喜びですぐにでも来ると思ったら親の許可が…とかいうのを聞いて、むっとする。
望の兄に「幸せにします」といった時に「君も幸せにしてもらうんだろう」というのがよかった。
一方通行じゃなくてお互いが一緒にとかお互いが甘えたり助けたりして幸せになっていくんだということに思い当たった俊一でした。

4

苦しかった……ラスト数十ページのために読みました。

「愛はね、」があまりにも苦しい終わり方だったのでそちらを読み終わって即購入しました。望の気持ちにはどうしても共感し辛く、あまりにもお人好しすぎて理解不能でした……でも俊一の「俺を好きにならなければいいよ」という言葉はあまりにも残酷で、しかも望からの好意をわかった上でというのがまた酷いなと思いました。でも、BLを長く読んでるせいで『ノンケ ほだされ』などのワードが結構当たり前で、どのBLを読んでもノンケの人が結構簡単に体を許してるのに気付きました。本当はそんなに簡単なものではなく、もっと悩み、それこそ俊一のような選択をするしかないのかもとも思いました。同性と交際するのはそれくらいハードルが高い、体だけでなく交際することで圧倒的マイノリティに属されてしまう訳ですから。日本ではまだ考えが古い部分も多いですし。そう考えるとやっぱり俊一のことが憎めなくて、でも望のことも好きだから、すごく葛藤しました。人一倍読むのが苦しかったです(笑)この巻で交際始めることがわかってたから、二人の幸せが見たいから何とか最後まで読み進められました……付き合い始めてからは、今までの苦しみが全部昇華するくらい甘々で読んでて楽になりました……泣
樋口先生の作品は昨日パブリックスクールを全巻読破してからの二作品目です。「虫」シリーズのイメージが強くて、何となく読むのに抵抗があって手をつけるのが遅れました汗
「虫」の擬人化BLがどうしても想像出来なくて、、評価がいいので良作なんでしょうが……
他のはどうか分かりませんが切ない、苦しい、だからこそ切実なお話を書かれるのが上手な方だなと思いました。虫シリーズ……食わず嫌いせず手をつけてみようかな、、

3

言葉にできない痛さ

続編は読まない方が良かった、という方もいらっしゃるようなのですが、私的にはこの作品を読んでこそ、きっちり完結したなぁという印象でした。

しかしながら、全編を通して、涙、涙、涙。
自分でもなにがこんなに突き刺さってくるのかわかりませんでしたが(不思議なことに本当にわからなかったんです)でも、言葉にできない痛みがずっと胸の内に渦巻いていて、読むのが辛いのに止められず、愛はね、同様一気読みしてしまいました。

望も俊一も、私的には全然タイプではないんです。
そもそも同級生ものにも興味はなくて、樋口先生の力量がわかっているからこそ作家買いと言いますか。したわけなんですけれども…大正解でした。

望も俊一も好きじゃないのに、どちらかと言えば、俊一の傲慢さや望の弱さは嫌いな部類なのに、作品としては間違いなく神評価で、本棚に大事に大事にしまわれる推し本の1つとなりました。

内容を簡単に説明できず、恐縮です…

けれども機会があれば、ぜひ手に取ってもらいたい作品の一つです。

1

「マンボウは何故三億個の卵を産むのか?」

昆虫の生態と人物を合体させて作られた物語、「虫シリーズ」読了後に
電子版で「愛はね」と「ぼうや、もっと鏡みて」の二冊購入、読み順を間違えてこの本を先に読んでしまった。
どっちから先に読んでもいいけど、人物の内面を深く掴むなら、読み順は以下をお薦め。

① 「愛はね」 2010/12/17 
   ・・俊一は、知人・篠原に望を紹介した後、篠原に殴られた望を見て・・  

② 「ぼうや、もっと鏡みて」 2011/06/17
  ・・「愛はね、」から一年後、俊一は小説家。

高校の授業で「マンボウの卵」の件、「三億の卵から育つのは、その中で二つだけだ」と教師。
「マンボウは何故三億個の卵を産むのか?」の問に、望は「食わせる為だ」と答える。
・・「たった二つの卵を守る為に、食わせる犠牲の卵」・・これがこの物語のテーマ。

『愛はね、』から続く望の片思い。望はマンボウの犠牲の卵を食わせ続けている。
望は、大好きな俊一の代理を探しては、傷つく。
傷ついた望を抱きしめて慰める俊一。
・・俊一は自分の気持ちに向かい合わず、偽り続ける。

タイトルの「ぼうや、もっと鏡みて」は、俊一が高校生時分に書いた小説。
少年が夢の中で少女を探し続ける泣ける純愛物語。
高校時代の同級生女子が、俊一の小説を盗用してコンテストに応募、受賞候補にノミネート。
実は、俊一が書く小説に登場する「少女」のモデルは、常に望。
潜める「望への気持ち」・・俊一は望を愛している。

調理師になる望は、俊一の部屋に盗作した女性が居るのを見て、俊一に福岡へ行くこと告げる。
別れ際の望の言葉が、切ない。「一回だけ手紙を出していい?」

望から連絡が途絶えて、やっと自分の気持ちに向き合う俊一。
葛藤していた「常識」の壁を捨てる、そして望が居る福岡へ向かう。
俊一の気持ちを望は受け入れ、俊一を赦す。・・望が緩い性格で、良かったよ。 

東京に望が戻ったら、一緒に暮らす約束をする二人。
妄想癖がある小説家の俊一は ちょっとのことで望に嫉妬するようになる。
素直になった俊一の、望への態度の豹変が面白かった。

---
★調べたら、マンボウの生態は、いまだに謎らしい。三億の卵説の実際は、謎。

0

幼馴染のふたり。

愛はずっとずっとそこにあるのに、目を逸らし続けた年月。
でも、それはきっと必要な時間だったのだと思いました。
その分うんと幸せになってくれることを願うばかりです。

正しいとか正しくないとか、そういうことで大切なものを失くさないでほしい。

『愛はね、』
『ぼうや、もっと鏡みて』
タイトルが素晴らしいなと思いました。

愛はね、の続きは何だろう...
もう一回じっくり読もう。

帯にある通り、長く苦しく優しい物語でした。

0

与えられた無償の愛に対する答えは…

俊一(攻め)を視点に描かれた物語です。

前作「愛はね、」の続編なのですが、俊一は相変わらず酷い!
望(受け)に対する態度や言動が酷すぎる!
「ムカー」っときます。

それに対し、望(受け)は成長しましたね。

「俊一、好きだよ。一番好き。
 おれはでもこれだけでいいよ」

と、俊一(攻め)から何も見返りを求めることなく、
ただ自分の気持を貫き、愛を俊一に与えることだけを宣言します。
何も見返りを求めず、堂々としている。
そんな望の姿が美しく思います。

それに対して、最低男の俊一は、
一体どうするのか。
そこが今作の見どころだと思いました。

「愛はね、」から一年後の話です。

-------------------

俊一は「望を受け入れることは出来ない」という事以外、
何も答えを見つけられないまま、一年を過ごします。
彼女も一年間作らないまま……

対する望は自立し、料理学校に通っています。
以前のように、愛されたくては
色々な男にフラフラするのではなく、
完全に自立し、告白されても
「好きな人がいるから」と
相手に断る勇気を持ちます。

ここは、ただただ、望の成長ぶりが嬉しかった。
そして、偉くなったなぁ……と。
俊一と比べて、この差はなんだ!
俊一、いっぺん天国言って、頭を清めてこいよ!!
この、バカっ!!

最初は、何故俊一視点でこの物語が描かれたのか
分からなかったんです。
「俊一なんてどーでもいいから、
 望視点で、
 望が幸せになってくれるところだけ
 書いてくれー!!」
って思いました。


そのうち、俊一は望の一挙手一投足に
ひとつひとつ影響され、流され、考えこむようになる
自分に気が付きます。

そう!
もっと、自分を見ろー、俊一!
鏡を見るように自分を見ろ、俊一!
お前の一番大事な人はだれだ?
と、呼びかけたくなりました。

んー、でも前巻の「愛はね、」でも思ったんですが、
なんで望と俊一は恋人同士でないと
お互い知っていながら、キスをする仲なんでしょうかね?
普通、マウストゥマウスのキスって、
恋人にしかしないもんじゃないですかねー?
でも、二人は、それをしてる……。
頭がハテナマークです。

この巻でも、俊一は最低ヤローでした。
特に怒りが爆発したのは、望を押し倒した時。
「男でも望を抱けるじゃないか」と
自覚したのはいいんですが、この一連の流れの
俊一の心のぐらつきようが、自分勝手で、
怒髪天です!!

「この淫乱」とか口にしたり、
望にまだはっきりとした気持ちがないのにもかかわらず、
望を好きな様に抱こうとしたり、
気休めに「好きになれないとは言ってない」なんて
無責任なことを口にしたり…と、
本当に最低です。


でも、俊一はもうとっくの前に気づいていたんでしょう。
自分が一番大事にしている人は誰か。
自分が愛しているのは誰か。
もっと鏡をじっとみれば、その愛に気付けたのに、
鏡を見ようとしなかった自分。

でも周囲の目が怖かった。
男を好きになる自分。
結婚して子供も出来ない自分。
普通の暮らしが待っていない自分。

でも、それを捨ててでも、
やっぱり望を愛していると言って欲しかったです。
こんなにもフラフラとずっと悩んでないで、
最低な態度を望にとっていないで…。
愛に対して、もっとがむしゃらになって欲しかったです。
望を愛しているともっと執着して欲しかったんです。

-------------------

最低男の俊一がグズグズしている間に、
望は俊一から自立し、
単身、福岡に行って働くことを決意します。

ああ、めっちゃ成長してるよ、望。
ずっと立ち止まったままの俊一とは大違いだよ…。


そして、ついに俊一は望への決定的な愛に気づき、
「もし明日死ぬなら望に会いたい」と
思います。

ああ、ここの言葉は嬉しかった。
やっと俊一が自分の気持を見つけた。
ずっとずっと望が俊一に与え続けた無償の愛。
それがこうやって実を結ぶのだと。

福岡に行って、望と会う俊一。
告白しますが、望はなかなか信じようとしません。
そりゃそーだろーよ。
あれだけ拒否っておいて、今更好きですなんて
言われてみても、信じられんわ!!
自業自得だぞ、俊一!


そしてエッチシーン。
お互いの気持が通じあったというより、
望が俊一に対して申し訳ないという気持ちが強くて、
そこが健気で可愛いシーンとなりました。
長年の夢が叶い、嬉しくて夢のような気持ちの望が
ただただ、暖かい気持ちにさせてくれました。
望、良かったね。
本当に良かった。
俊一、自分の気持に気付いてくれて、ありがとう。
そう言いたくなりました。


それから、福岡から東京に帰ってくる約束をする望。
これから、ふたりで
どんな小さな幸せも共有して
生きていってね…。

-------------------

「愛はね、」も「ぼうや、もっと鏡みて」も
ずっと望視点で私は物語を見てました。

望がただただ、健気で一途で可愛くて……。
そして、どんどん強く成長しているさまを
見るのが愉しくて…。
そして、俊一に対して、無償の愛を送り続けるのが
本当にいじらしくて…。

でも、結果、二人は結ばれました。

どんな困難がきても、
ここまで迷い続けて辿り着いた愛は、
つよくその困難を弾き返すことでしょう。

名作だと思います。
ありがとうございました。


10

自分本位な俊一も人間くさくて好きでしたw

俊一激変ですよ…こんなに変わるもんなんですね。読んでてビックリですw

前作ではいいやつだったんですが今作になりついに本性がみえてきました。すごく自分本位なんです。なんでも勝手に嫉妬して望の行動1つ1つにキレて怒って責め立てて望を傷つける。。。

自分の手により傷つく望を見て、これまで望と付き合ってきた他の男だちと比べて優越感に浸り、「まだこいつは俺のことを好いている」と安心する。なんだかんだ言って、俊一もこれまで望を傷つけてきた男たちと変わらないんですよ。

自分本位な俊一、望が俊一のもとを離れていったときに初めて自分の過ちに気付きます。とにかく前半は俊一にイライラしっぱなしですが、それでも私は俊一嫌いではありませんでした。人間くさい、一番汚い部分って誰でも持ってるんだから。

優しく望を甘やかすだけの俊一じゃなくて逆に良かったです。

望は前回に比べてホントに大きく成長しました!!すごく頼もしくなった。望のいいところ、どんなにひどいことされても人を許すところはこれからもずっと変わることはないでしょう。原作にもありますが、それが望なんだからしょうがありません。

形あるハッピーエンドが見れて良かったです。これからはこれまで傷ついてきた望はもっと愛されて欲しいし幸せになって欲しい。俊一も最後は結局望にメロメロです。こんなに人って変わるもんなんですね…。これからしっかり傷つけてきた分望を愛して欲しいな^^

5

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