咲人
sannmai to syujin gokigennaname
オリジナルのファンタジーものです。
世界観は「坂の上の魔法使い」とリンクしていません。
坂の上~は「魔法使い」で、こちらの作品は「魔導師」です。
◇表紙絵の手前の金髪が使役のサンマイで、奥の帽子を被った人が魔導師です。
■【サンマイと主人】
ヒルのような形をした生き物が人間に叩かれていました。
人間たちはその生き物を「虫」と呼んでいます。
そのうち「虫」は歌を歌うと殴られないことに気がつき、歌を歌うようになります。
すると今度はカゴの中に入れられて、露店で売り出されるようになります。
しかし「虫」は歌が下手くそなため、なかなか買取手が現れてくれません。
そこに通りかかった一人の魔導師。
売れ残ったのは歌の下手くそな「虫」ですが…
「私は運がいい そいつをいただこう」と、その「虫」を買い取って行きます。
その時「銅貨3枚」で買ったので、魔導師はそのヒルに「サンマイ」と名前をつけます。
魔導師の家に着き、サンマイはカゴから出されたのが嬉しくて、
キュイキュイ歌ってみせるのですが、
「うるさい だまれ」と魔導師に言われてしまいますw
魔導師様はどうやらドSツッコミがお得意な俺様タイプのようです。
さて、歌の下手くそなサンマイですが、それは本当は「虫」ではなかったからでした。
魔導師の術で元の姿に戻ると、サンマイの姿がドラゴンになりました。
サンマイが買われたのは、魔導師にはサンマイの本当の姿が分かっていたからなのでした。
そしてサンマイは使い魔として、魔導師と一緒に暮らすようになります。
人間に擬態することもできるようになります。
やがて、ぐーたらな魔導師様のために、
サインマイはお金がなくなると辻に出て歌を歌ってお金をもらうようになります。
魔導師様が俺様&ぷー太郎で、予想外にアレな人でしたwww
サンマイの健気さにキュンとしました。
■【ごきげんななめ】
サンマイは魔導師が作業をしている横で、ご主人ために今日も歌を歌っています。
しかし魔導師に「その歌 やめてくれないか 別の歌にしてくれ」
と言われてしまいます。
サンマイはご主人の出生地である「白の島」の歌を歌ったのに、
どうしてそんなことを言われるのかと困ってしまいます。
サンマイは歌は歌えますが、本質が人とは違うため、人の心に響くような歌が歌えないのです。
だからやめてくれと言われてしまったのでした。
実はサンマイは魔導師から言われたような経験をすでに辻で歌った時にも通行人に言われており、自信をなくしてしまいます。
特に恋愛や旅愁を感じるような歌には向いていないようでした・・・。
そして魔導師に「しょせんお前の歌はサルマネだ」
と言われてしまい、ショックを受けます。
サンマイには歌を歌うことしかできないのに…その歌を否定されてしまった。
彼は途方に暮れ、捨てられるかもしれない、と森の中で「虫」の姿に戻っていたのでした。
魔導師はサンマイがいないことにすぐに気がつき、森に探しに行き、「虫」の姿になっているサンマイを見つけます。
さて、その後サンマイはどうなったのでしょうか。
それは読んでのお楽しみです。
とても心あたたまるラストに思わず胸がギュっとなりました。
サンマイちゃんの健気さと、Sだけど根は優しい魔導師の二人のキャラクターがとてもツボでした。
心に沁み入るハートフルなお話で、ぜひ続きを描いて欲しいな~と思いました。