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keiji to odore
1冊丸ごと表題作です。
コミカルかつオカルトっぽい作品です。瀧川の目線で進んでいきます。
瀧川(受け)と君島は、幼い頃からダンサー仲間でライバル。ある日、落ち込んだ君島が「脚を痛めた。もう踊れない」と帰ってしまう。追いかけた瀧川が発見したのは倒れた君島。目覚めた君島は、自分は鳥谷という刑事で昭和54年に居たと言い…。
最初から気になっていたのですが、結局君島はどこにいったのか不明のままで終わりました。鳥谷は1979年に殉職しているので、中身が入れ替わったのなら、君島はそのまま死んでしまった事になります。君島は瀧川より将来性を買われていてアメリカ留学の話も出ていたと更に不憫に追い討ちをかける設定がなんとも気の毒でした。
君島が実は悪い人間だったとか、常々鳥になりたいと言っていたという背景を持っていて実は庭でちゅんと鳴いていたとか、アメリカで誰かになっていたとか、もう少しなんとかできなかったものかと思いました。
瀧川は鳥谷を連れてアメリカ留学というハッピー具合なんでしょうけれど、君島が気になって気になって、二人の恋愛に集中できませんでした。ただ、最後の君島が戻ったかのようにふるまった場面は、面白かったです。
鳥谷は、瀧川は君島が好きだと誤解しているのですが、その辺がちょっと分かりにくかったので、もう少し描写が欲しかったです。犯人探しに重きを置いてしまった感がありました。
不満は残れど、二人の恋愛模様に犯人探し、バレエダンサーとしての将来も入っている盛り沢山の内容です。よくまとめられており、駆け足な感じはありません。
犯人探しミステリー、バレエダンサー、精神入れ替えものがお好きな方にお勧めです。全体的に明るめの楽しい作品です。
昨年話題のアレじゃないのですが、「入れ替わっちゃった!?」系の超常現象がベースにあるお話です。しかし、中身が入れ替わってしまった片側の行方が結局分からないままなので、モヤモヤが残る……というのは、先にレビューして下さっている皆様方とほぼ被る感想になります。
そのまま存在が消えてしまった「身体の持ち主・君島」が気の毒すぎますよ……。
主人公・瀧川が中身の不安定な相手に切ない想いを抱く様子や、ダメだと思いつつも惹かれあっていく様子などは、キュンとさせられてさすがの描写力なのですが、前提条件が気になって、ラストなど「これでいいの!!??」 という気持ちでいっぱいに……。
君島と瀧川を妬んで犯罪行為に及んでしまうキャラのエピソードを入れるのなら、君島(の中身)の顛末に納得出来る何かが、やはり欲しかったです。
想いを通じあわせてから結ばれるシーンの描写は、とても美しくかつ官能的でした。
モヤモヤは残しつつも、やはり上手い作家さんだけに全体的には楽しく読める本になっているとは思います。
火崎さんのファンタジーなお話。
でもこのファンタジー、結末のハッピーエンドに喜んでいいやら悪いやら(ションボリ)
複雑な気持ちにさせられるのは自分だけでないはず。
入れ替わりモノなのですが、その入れ替わったもう一方がね、、、
ダンサーが職業ダンサーとしてやっていける為のダンスカンパニーに所属するソリストの瀧川と、出会った子供の頃から切磋琢磨して仲間でもありライバルでもある君島。
その君島が、瀧川と飲んで別れた晩何ものかに襲われて倒れているのを、偶然戻った瀧川が見つけるのだがどうも様子がおかしい。
外見は君島なのに魂が鳥谷という昭和58年からやってきたある事件を追っていた刑事となってしまっていたのです。
瀧川はどうやら君島を好きだったのかな?
だけど、鳥谷の30年近い時代のギャップと自分がこの時代に来てしまった事実を自分の目で確かめて確認する作業に瀧川が付き合っていくうちに芽生える鳥谷への憐れみや慰めてあげたいという気持ち。
そして鳥谷が刑事であることから、君島が襲われた事に対する事件性と更に瀧川が襲われたことからその事件を解決するという流れを見せて、二人が恋人として成立していくお話。
この事件性の部分にはバレエダンサーという職業を生かして、競争社会であることの妬み嫉みなども盛り込んで結びついておりましたので、案外にわかりやすかったかも。
身体は君島だけど、中身は刑事の鳥谷と恋をする過程というのはとても穏やかで落ち着いています。
何しろ、瀧川はゲイだと最初から鳥谷にカミングアウトしておりますし。
鳥谷は、未来へ飛ばされてしまいもう戻れない(過去の自分はその直後に殉職して死亡しているという驚愕の事実が!)ですから、生きていくのに瀧川を頼るしかないですしね。
そんな背景もあるので、瀧川の健気さが鳥谷を突き動かしたとは思うのですが、ちょっぴり恋愛という部分においてはおんぶにだっこ的で弱さを感じるかも。
キャラの魅力もちょっと感じられなかったかな?
前向きでいい話ではあると思うのですが。
それにしても、一番気になるのが入れ替わってしまった君島です!
彼は、カンパニーの公演のソリスト役を瀧川に奪われて落ち込んでいました。
足が悪いと嘘をついてまでバレエを辞めるかもしれない事を示唆していたくらいですから。
そんな彼、もし鳥谷と入れ替わって昭和の鳥谷の身体の中に入ったとしたら、君島はすぐ死んじゃったって事!?
何か報われなくね~(涙)かわいそうだよ~
不思議現象故に、どうして入れ替わったのか、何がきっかけだったのか、どうして君島だったのかも不明ですから、その関連性もちょっと気にならなくはないのです。
いつもそこそこのレベルは保つ作家さんで、今回もほどほどで悪くはないのですが、グサっとクるものがなかったのでこの評価です。
火崎勇先生の作品は結構好きなのですが、今回の作品はちょっと意味不明かな。
プロダンサーの瀧川とその友人で同じくダンサーの身体に別の人格が入り込む
SFファンタジー系で、その入り込んだ相手が刑事で、過去の事件で殉職した男。
過去からやって来た鳥谷と瀧川との恋ですが、何となく唐突な気がします。
ソリストとしてライバル関係にあり、子供の頃からの友人が今度の舞台で
ソリストに選ばれなかったことがキッカケの一つでダンスを辞めると告げる。
それも気持ちだけでなく足の故障が原因だと聞き、慰めの言葉一つでなかった瀧川。
しかし、気になって友人のマンションへ行ったとき友人がマンション前に倒れ、
血を流している姿を見つけ、気がついた友人の言動のおかしさに不安を抱く。
そして、冷静になったところで姿は友人だけれど中身は別人で、それも過去の人間だと
初めは信じられなかった瀧川だが、話しているうちに真実だと実感。
過去から来た男に恋をするのですが、そのキッカケが今一理解出来ない。
瀧川がゲイだと鳥谷に告げての同居生活がスタートするのですが、
その中でいつ、そんな思いになったのかがちょっと解らない。
それにタイトルの意味、刑事と踊れって踊ってないし、鳥谷が殉職した過去の事件も
繋がりもなく、ただ友人がマンション前で倒れたことと後に瀧川が暴漢に
襲われるのですが、その犯人が同一人物でその犯人を鳥谷が暴く内容でした。
それに入れ替わった後が何の展開もなく、ただただ不明のままで、友人がどうなったか
今後の鳥谷がどうなるのか全てが行き当たりばったりで、相愛になっても
ハッピーな感じがしない内容な気がしました。
火崎さんには珍しいファンタジーだと思って手にとってみました。
しかし、設定が大まかでいろいろ気になることで引っかかりあり萌えきれませんでした。
幼馴染の友人でありダンサーとしても仲間でライバルが、突然消えてしまったのに大して悲しみも心配もしないで薄情だと思う。
瀧川が恋に落ちるきっかけもちょっと弱いかな。いろいろ失ってショックを受け泣き叫ぶ様を見て慰めたい、守ってあげたいから思いが深まるようですが…
そもそもなんで昭和の刑事が現代のダンサーの体にきてしまったのかよくわからないままだし、そういった瑣末なことはどうでもよくなるような展開でもなかった。
何処かに行ってしまった君島はどうしてしまったのでしょうね。刑事さんの体で死んでしまったのかと思うとなんだかかわいそう。きっと両親や友人にも真実は語れないでしょうから、その消失は誰にもしられず不憫です。ダンサーとして世界に出て行けるかもしれないところまで来ていたのにね…
瀧川は見込みなさそうだった刑事さんと思いが通じたし、一緒に渡米しダンサーとしても前途洋々、といってもいつまた、鳥谷さんが消えてしまうかと思うと刹那的で危うい感じで悲壮感が漂います。
深く考えさせる話も好きですが、単純にハピエンでよかったーで終わってほんわかするのが好きなので心配事や不安を残したままというのは微妙なんです。