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futtara doshaburi
◾️一顕(かずあき,彼女持ち,営業)×整(総務,会社の同期)
女の静かなファイトシーンが一番興奮しました。彩子さん病院行くかな。「本当に家じゃ役に立たない人ね」に感じる毒の強さ。ヒヤヒヤしちゃう。
一穂先生って割と女性へのフォローがないというか、辛辣な印象がある。女性に対してか男女関係に対してか…考察できるほど一穂先生の本は読んでないけど。
ただ今作については男も、「男性がセックス以外に考えていること」の本が真っ白なように、脳内がセックスにまみれた書き方で、まぁまぁ偏ってるのかもしれない。それが真実か、人によるか、誤りか、私は男ではないから知らないけれど。
登場人物誰にも共感できないし、誰にも愛着が湧かなかったのに面白い作品が割に好きで、今回はソレ。本文中にも「俺だって他人の性欲なんか「汚い」って思ってるじゃん」とか「猿」とか出てくるけど、この本にまぁまぁ近しい感情を抱く。そうはいいつつ、宿泊の延長をお願いする一顕に口笛鳴らしたくもなる。
なんせ登場人物に愛着は湧いてませんから、このままこの男女全員が散り散りになって、別々の人生を歩んでも好きでした。でも、一穂先生はそういう作家さんではないよね。
萌〜萌2
一穂ミチさんは名前隠して本文のみでも作家名を言い当てられる、数少ない作家だと思う。クセの強い独特の言い回しを抜きにしても、人物の浮き上がらせ方が上手い。描き方が一般とラノベ(BL含む)のいいとこ取りみたいな印象だった。
内容はとにかくテーマがすごい。女が出るだけで嫌悪するBL読者もいる中で、よくここまでファンタジー感を強めずに書いてあるなあと。
一顕は最初から最後までずっと悩み続けていて、自然と幸せを願えるキャラクター。たまに示される誠実さがBLキャラとしても魅力的。整はちょっとつかみどころがないと思った。
整視点でのみ語られる和章は、まるで整が作り上げた亡霊のように実体のない人間に見えた。心情を吐露した後も、結局和章を形成するものは一体なんだったんだろうと空虚さが残る。その後が語られないせいか、彼について考えてしまう割合が一番多かったかもしれない。
かおりは好きでも嫌いでもないが、彼女に辛辣なレビューは読みたくないと思うので、他の人の感想が気になっても読めないジレンマが発生して困っている。
ストーリー前半はこの設定の醍醐味といえる、いつバレるのか?のドキドキがあるし、バレ方もなかなか面白い。だが後半に衝撃の展開が怒涛のようにくるせいで、全てが吹っ飛ぶ。読後に思い出すとメールのほのぼのやりとりなんか遠い昔のように思えるという、キャラの追体験ができた。
お互いの相手と別れても、すぐくっつかないところも良かった。勢いのままくっついてしまうより、お互い冷静になっても気持ちが相手にあることを確認してからの方が安心して読める。
登場人物たちが抱える問題は、そこらへんに転がっているある種身近なもので、一つでも人生の中で大きな転換点になりそう。そんな問題がいくつも出てくるため読後の疲労感がすごい。幸い客観視して読める点は助かった。
BLキャラとして理想をスパイス程度に添加されているため、現実のどこかにいそうでいない感じが絶妙。この作品世界の中では確かに生きていて、人物造形に強固な輪郭があり、この作品世界の中でのリアリティを持たされている。思考に整合性があり読みやすいのも良い。
入り込んだり共感したりというよりは、終始世界を覗き見させてもらっている感覚だった。
印象をどうにか文章で表現してみたかったが、上手く言えてないかも。ただ「神」てだけでいいかもしれない。
あまりBLの小説は読まないのですが、この作品はすごく良かったです。
知らない相手とメールor手紙をやりとりする間に惹かれていくという展開自体はありがちですが、メールがご送信された理由やその後の展開にひねりがあり最後まで楽しんで読めました。また一顕と一顕の彼女の関係がなんとなくリアリティーあってよかったです。BLにおける女性キャラクターの描写は本当に重要で、変に悪役にされるのも妙に理解がある過ぎるのも不自然に感じるのですがかおりさんはちょうどいいバランスでした。
ただ終盤の和章は罪悪感から整に手を出せなかった………みたいな展開は少々強引というか唐突に感じました。あと半ば強引に整に手を出すのもなんだかなあ、エロシーン入れたかったのかなと思ってしまいました。
ただ文章の雰囲気がさっぱりしているため性描写も気軽に読めました。
ハッピーエンドで読後感が良かったです。
感情移入してしながら読むタイプなのですが今回の作品では第三者目線で読みました。
すごい大人、というかリアルというか…
二人にはそれぞれ帰る場所があったけど色々あって不倫?みたいになってしまう
こんな恋愛の形もあるんだなぁと。
雨が降っているとこちらの作品をふっと思い出します
BLだけど個人的には一顕とかおりの異性愛関係の描き方がとてもよかった。二人はきっとまともにお互い好きで、それでいて将来を想像できて、気持ちに多少のすれ違いははるけれどそんなカップル(あるいは夫婦)など世の中掃いて捨てるほどいるだろう。一顕のかおりを求める気持ちもよくわかるが、P304で吐露されたかおりの気持ちだってよくわかる。そういったすれ違いに折り合いをつけて付き合いあるいは結婚することは決して間違ってはいないし、むしろありふれたことだと思う。一顕もかおりもお互い器用な人間ではあるので、子供を作るためのセックスをして、家庭ができたとしたらなんだかんだまともな家庭を築くのでは…と思う。一顕の言う、大人の一級、二級…と進級していくような。そんなある意味利口で器用な関係性が、突然降り出した土砂降りのような恋によって閉ざされたこと、とても切なくそれでいてロマンチックに感じられた。
ありふれているけれど繊細で、切なくて…そんなリアルな人間関係がとてもよく描かれていてとてもよかったです。
一穂先生の作品を読むのは、この本も合わせて5冊目になります。文章もキャラクター造形もどれを取っても、私の中ではハズレのない作家さんだなと思っています。『ふったらどしゃぶり』もとても良かったです。
読む前はあらすじなどから「これは不倫ものってことかな…?」と少し尻込みしていたのですが、決して変にドロドロした内容にはならず、逆に展開が気になって寝る間を惜しんで一気に読むほどでした。
雨の描写も、音や匂いや湿気が伝わってくるようで素敵でした。
恋人とセックスレスの一顕が、メールの誤送信をきっかけにメル友ができ恋人に関する悩みなどを相談していく。やがてその相手が同僚の整だと分かり…。といったストーリーです。
二人はやがて一線を越えます。でもそこまで泥沼展開はありません。
恋人とセックスレスとはいえ浮気は浮気ですから、書きようによってはもっとシリアスにもできると思います。それをドロっとさせずに、それこそ「ふったらどしゃぶり」といった感じに一つの瞬間的な事件・出来事として書かれているのが余計にリアリティあるなと思います。
溜まりに溜まった相手への不満が決壊して、一夜だけ過ちを犯す。世の浮気とか不倫ってこんな感じに始まるのかもなあ、なんて。
不貞は一夜だけで、次の朝からはまた恋人との生活に戻る。これは恋人との関係を円滑にするために必要なんだ。そう自分に言い聞かせていてもそこは人間、そう簡単にリセットなんてできないですよね。
『ふったらどしゃぶり』でも、一顕と整が一夜の肉体関係でお互いに本気になってしまいました。まあその前から惹かれあってはいたのかもしれないですが。
この辺が登場人物への評価が分かれるところなのだろうなと思います。
例えば整がもし女だったら、普通に不倫です。じゃあ男と男では不倫ではないと? もちろん不倫です。
でも男と女が不倫するのと、ノンケの男と男が不倫するのとではなんかちょっと違いますよね。男女はハナからそういう対象としてスタートできるけど、ノンケの男が男をそういう対象としてみることは滅多にないです。だから結果として不倫してしまった時、そもそも下心あって近づいたか、成り行きでそうなったか、捉えられ方が大きく変わると思います。
もちろんそんな簡単に分類できる話でもないのですが、おそらく赤の他人からしたらそう見えるのではないかな? そしてそれを一顕たちは利用したのだろうなと。男はそういう対象じゃない、だから男と関係を持っても心の浮気にはならないと。
この心理が上手いなと思いました。
男同士であることを利用してストレス発散し、結局お互いの人生を大きく左右する事件になってしまった。一顕たちの行動を厳しく見ればそう書けるのですが、一穂先生の魔法がかかると切なくてほろ苦い、そして萌えるお話になるのがすごいです。誰かに特別感情移入することはなかったのですが、それでも胸がキュンとなりましたし夢中で読みました。
私は一顕たちの無意識な打算に、ジェンダーと不倫についての社会での捉えられ方的なものをなんとなく考えてしまいましたが、読んだ人によって違った問題や主題が見えてくる作品のように思います。
セックスレスについて考える人もいるでしょうし、かおりや和章について掘り下げて考える人もいるでしょうし。色々な角度で楽しめる要素の詰まった、読めば読むほど味わい深くなる作品だと思います。
もうすぐ雨の季節ですし、雨音を聞きながら読むのもいいかもですね。
雪よ林檎の香のごとくがとても良かったので、評価の高いこちらも読んでみましたが…。
結果はハズレでした…すみません。
性交渉を拒まれる辛さに主人公二人が悩み、苦しみ葛藤するという構図であり、視点が主人公二人であるので当然主観的な語りにはなるのですが…
お前達ちょっと自分のことばっかり可愛すぎやしないかい??という感想を持ちました…。
二人はメールというツールを使ってお互い言いたいことを言い合えるフラットな関係を作っていきますが、一方でお互いのパートナーには踏み込みきれず言いたいことを曖昧にするずるい状況を作り上げています。
攻めも受けも二人とも一度も泣いたり喚いたり自分の意見を相手に聞いてもらって、その上で相手の言い分を聞こうと努力をしなかったよね??と…。もちろんパートナー達もその状況に甘えているのでずるいのですが、一番誠実でない方法でパートナーの心をこじ開けてやっと本心が得られて、何の意味があるのでしょうか…。
かおりさんの過去も、もっと一顕がちゃんと受け止めてあげればお互いが納得できる形で解決策があったかもしれないし(ぶっちゃけかおりさんの理由は没性交渉になっても仕方ないと思えるレベル)きょうびカップルセラピーもある時代なのに、最大限の努力をしたのかと思うと…ホンマに彼女のこと好きやったんか!?(笑)和章に関しても、整はあんなに長きに渡ってに支えてもらったのだから、この人はこう言ったらこう反応すると決めつけていかないでぶつかるべきだったと思います。たかがセックスというけれど〜と開き直る台詞がありますが、この台詞で完全にキレましたね(笑)自分が傷つかないように逃げた挙句が開き直りかよ…と。怒りが湧いてきました。
主人公二人とももう少しパートナーの内面に気を回す余裕があればな…と思い中立評価です。
俺に飽きても、俺の身体には飽きないでねというセリフも意地悪く『こいつはわからねーぞー』と思ってしまいました…。
救いを求めて和章さんのスピンオフも読んでみようと思います。
評価が高かったので読んでみましたが、全く好みに合わなくて残念でした。
何が駄目なのか、何が共感できなかったのか… 一番の原因は攻め側の彼女「かおり」という存在だと思います。BL作品に於いて、女性の存在が出てくるのは自分にとっては「いらないキャラ」なのですが、その「いらないキャラ」がいい味を出してくれる作品も多々あるのも重々承知。
でもこの作品に於いてサブキャラである「かおり」「かずあき」の存在は重要な位置づけにあるのだけど、そのサブキャラに最初から最後まで嫌悪感しか残らず、メインのふたりの恋模様が、どしゃぶりの中にかすんでしまいました。
もしかして…作者さんは、そこも狙っていたのかな?って思えば、神作品なのかもしれません。
萩原は、同棲中の彼女にセックスを拒み続けられる日々を送っていた。同じ会社の総務部で働く整は、両親が事故死し、自分を支え一緒に暮らしてくれた幼なじみ和章に報われない愛を抱えていた。そんな2人が間違えて送ったメールから出会い、惹かれていくお話。
メールは、普通の会話から始まり、何となく送ってみようかなぁと感じてしまうやり取りから、徐々に自分たちの今の状況を話すように。
会社は同じなので、顔を会わせているけど、まさかメル友の相手とは気づいていません。このドキドキ感も良かったし、運命的な感じで、ある絵を見て同じ内容のメールを送りあって分かったところも良かったです。
心は少しずつ惹かれているのに、お互いの現状に縛られている状態。でもあることがきっかけで萩原が電話をします。整に「つらい」と言ったら「じゃあすぐいく。待ってて」と返すところに、うわぁ!となりました。
すっごくいい流れの展開で、この後もドキドキしながら読みました!会社の同僚。いきなり恋人みたいにはいかないもので、甘々ではなかったのですが、これが徐々に甘々に!
この書き方がいいんです。
色々なしがらみがある2人ですが、結果は大満足。
一つだけ引っかかった事が、かおりの存在や考え方がリアルで、悪者って訳ではないのですが、同じ女として見ると、ただただBLを楽しむ為に読んだ場合、心にざわつきが残る感じがありました。
リアリティがあるお話を求めている方には、すごくいい作品だと思います。