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fuyu ni banya nagamochi no naka
昔の大映映画のような(?)そんな雰囲気を持ち合わせ、ポルノと文芸が融合したような表題2編と、SFチックな1本が間に挟まったこの単行本。
ゲイ漫画であることは間違いないので、BLと比較すると萌えとかで語ることのできない世界であるのですが、田亀作品にあるエンタメと文芸の両者を併せ持つ映画的表現に実は強く魅力を感じるのです。
かくして時折感動さえ呼び、あまつさえ涙も誘われる始末。
今回も思わず泣いてしまった自分・・・日本人でよかったと(その根拠はいかに?)
【北の番屋】
冬の間閉まる鮭漁の番屋の留守番をする男の元に届けられたひと冬の食糧と一人の男。
普段なら、女性が性欲処理兼飯炊きとして連れて来られるのだが、今回はこれで我慢しろと置いて行かれる。この男、会社の専務と身体の関係があり、彼に嵌められて横領の冤罪で借金のカタに売られてきたのだ。
男などありえない番屋の男は、連れて来られた男の顔に袋を被せ本当に吐き出すためだけに口だけで奉仕させる。
それがひと冬の時間の経過で結末がどうなるのか。
健気に奉仕し、旦那さまと呼び、尽くす男。
切り離された世界でたった二人の生活なので変化がないわけはない。
普通ならあまりに健気すぎる男に嗜虐心を持って身も心も奴隷として貶める男というパターンも考えうるのだが、今回のこの話はここに人情があった。
何でもない、派手さもなにもないむさい男(番屋の男は初老の白髪にヒゲ)ただ健気が取り柄の薄幸の男、だからこそそこにドラマが生まれた時に同時に感動も起きてしまうのかもしれない。
【ACTINA】
人体改造の、実にマニアックな作者さんの得意な想像の産物であるSFチックなもの。
屈強な男が男性器を切り取られ、いわゆる肉便器として調律・改造されていく過程です。
エロスというより人体の不思議。
いかにもな、元国防相エリートというゲイゲイしい風貌の主人公が改造され、最後にもっと犯してくれー!と叫ぶ姿。
SM調教にも共通する人間としての矜持も失わせるほどの変化が特徴です。
【長持の中】
ヒゲにガチムチのおやじ作品が多い中、ショタ臭のある作品。
お前は淫売の子だとののしられ、母親の再婚相手に長持の中に閉じ込められ悲惨な虐待を受ける少年。
長持の中でどんなに汚物にまみれようと、義父に犯されるよりはましだと矜持を保つ彼だが、時の経過と共に頭が真っ白になっていく。拷問のような数々の仕打ちは現代のDVや虐待に通じる姿で、悲愴感極まりないのだがこの少年の淡々としたモノローグが救いだ。
時代設定が大正。
時を関東大震災に合わせ、奇跡が起きた!?
・・・はずだったのだが・・・
こうしたエンドが実に映画を想わせる。
今回のこの本も実によかった!
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