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anata to jigoku e hitotobi
立刻和你堕入地狱
表題作以外に4作入った短編集です。
「とける」
恋人以外にセフレもいる主人公聖斗。恋人を愛しているのにセフレも持つのは人に愛してもらっているという「実感」が欲しいから。2人のうちどちらが、より愛されている実感を与えてくれるか比べているふしがあります。
こういう両者の間で揺れるお話はけっこう好きなので楽しめました。
「あなたの地獄へひとっ飛び」
「とける」で脇キャラだった高嶋が主人公。ゲイである上司にちょっかいをかけられているうちに惹かれていく…というもの。
両方のお話とも、せつないモノローグでじっくり読ませるタイプのお話だったので意外に感じました。
面白かったけど、漫画に大して動きがあるわけでなく、会話だけでくっついてしまった感があって、せっかく綺麗な絵なのに勿体無いと思いました。
もうちょっと何か織り交ぜてくれないと、記憶に残りにくいお話な気がします。
「やまない病」
評価を高めにしたのはこの短編がすごく気に入ったからです。
年上の貧乏用務員と年下の金持ち大学生のカップリング。年下攻めで身分差、というのが非常にツボに入りました。
表題作とうって変わってコメディ路線。でもせつなくなるシーンもあり読んでいて笑えるしきゅんとくる所もあります。貧乏なのに必死に働いて高価な鞄を買おうとする受けが可愛い。
全体的にせつない系でまとまった短編集でした。でもギャグ部分も面白いです。次回も買ってみようかな~と思える作家さんだと思いました。
表題作のスピンオフ作品に加えて、3編のお話が収録されています。
「あなたと地獄へひとっ飛び」
大手流通会の広報部で働く髙嶋は、元同僚への失恋から「それ以上の恋がしたい」とゲイバーに入るけれど…そこで遊び人と噂される神霜部長と遭遇してしまいます。
配送部から本社勤務となり、失恋した同僚とも離れることが出来て前向きになれた矢先のアクシデント。
神霜部長はゲイだと自ら周囲にカミングアウトしており、すっかりネタ扱いされていますが、神霜部長と違いバラされたら立場が危うい高嶋は弱みを握られてしまい、神霜部長のワガママに振り回される日々。
ワガママと言ってもランチに無理矢理つき合わされる、トイレに押し掛けてくる程度です。
普段は何を考えてるいるのかよくわからない飄々とした神霜部長。
そんな神霜部長も高嶋の元同僚に誘われたことがあるらしく、高嶋の前で意地悪な笑い方を見せる一方で寂しそうな顔をする神霜部長。
今まで見たことのない神霜部長の一面を垣間見た高嶋は神霜部長のことが気になってしまって…。
結局のところ神霜部長は高嶋のことがずっと好きだったというお話なのですが、過去の苦い思い出から男同士の好きには未来はないと感じていて素直に好きだと言えなかったんです。
意地っ張りで意地悪な神霜部長が可愛いです。振り回される高嶋の時折見せる男らしさにキュンときました。
「とける」
表題作、高嶋の同僚であって高嶋が失恋した相手 聖斗のお話です。
取引先の会社の税理士 甲本という恋人がいながらセックスが好きな聖斗はセフレを作ってはセックス三昧。
時には同僚にも声をかける始末。
優しすぎる甲本は付き合って三カ月になるというのに聖斗にキスすらろくにしてきません。
その愛情表現に不満だらけの聖斗。
身体の関係だけならまだ許せるけれど、セフレにまで恋人のような期待をする聖斗が受け入れられませんでした。
こっちでも振り回され気味の高嶋がちょっぴり気の毒ですわ。
「さよならからはじめよう」
こちらのお話が一番好きです。
好きだったツナハルに告白したら「セフレ一号」と言われてしまったモモ。
初めのうちは、体だけの関係でもツナハルと一緒にいれるのなら幸せだと思えたモモでしたが、やがてたくさんのうちの一人でいるのには耐えられなくなってしまって。
メールのやりとりが増えた、直に誘ってくれるようになった、そんな些細な出来事に喜んで期待してしまうモモが切なくも可愛らしかったです。
「やまない病」
親のコネでなんでも思いのままにしてしまう康仁と用務員として働いている桂。
庶民の自分と大金持ちの康仁とは価値観や話も合わないのに、好きだというだけで付き合ってこれたことに不安を抱く桂は康仁と釣り合う人になりたいと思っているのですが、すれ違ってしまいます。
古めのお話のせいか絵柄がどうも安定していない感じです。
桂が抱いていた不安も大金持ちの康仁の力の前では大した問題ではなかったようです。
康仁の為に健気に頑張る桂の苦難はまだまだ続きそうです。
「ずっと好きだったんだぜ」
収録作品の中ではファンタジー色強いお話。
どうやら死んでしまったと思われる主人公 中嶋の前に現れた幸手という男。
中嶋が想いを寄せていた西脇への未練を果たす為に、西脇の体か心どちらかを選べと幸手に持ちかけられます。
体を選べば中嶋の妄想通り西脇の体を貪り、心ならば西脇に中嶋が恋人だったという記憶を残すというもの。
しかし、そんなことよりも仲違いしていしまった西脇に謝りたいと申し出る中嶋なのです。
この幸手という男は果たして何者だったのでしょうかね…。
描き下ろしでは「あなたと地獄へひとっ飛び」の中嶋と神霜部長の後日談。
二人の関係にいつか終わりが来てしまうのではないかと不安になる神霜部長。
神霜部長の不器用さにまたちょっと中嶋が振り回されておりました。
絵柄も綺麗でベッドシーンは扇情的に目を引くものがあります。
表題作タイトル、作中でも伝えたいことは何となくわかるものの雰囲気が軽めのせいかイマイチ感情移入ができませんでした。
表題作以外、統一感のようなものが感じられずにいろいろ散漫してしまったような印象を受けます。
神霜部長の不器用さがとても可愛く感じられたので萌評価にしました☆
大人で遊んでいてちょっと意地悪な神霜さんステキです。
あと、なんか、淋しそうで儚い部分が良いです。
でも、遊んでいるのは自分で作ったキャラらしく一度も男と寝たことないんだとか。
でも、自分はゲイだと言ってます。
高校生の時に好きあってると思っていた相手に本気の告白したら、相手を泣かせてしまったようで、その事が一歩踏み出せない足枷になっているようです。
(泣いてしまった子も神霜が好きだったと思う。でも、男同士というのを越えられなかったように思えます)
高嶋のことは好きだし最後は高嶋に押しきられてカップルになりました。
弁当屋のポイントシールを集めると貰える魚のぬいぐるみ。
2メートルって大きすぎ。
しかも、3枚おろし仕様になってるようです。
弁当屋の企画がすごいなと。