浪漫のお国で逢いましょう

roman no okuni de aimashou

浪漫のお国で逢いましょう
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神41
  • 萌×244
  • 萌16
  • 中立4
  • しゅみじゃない4

--

レビュー数
23
得点
433
評価数
109
平均
4 / 5
神率
37.6%
著者
木下けい子 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

媒体
漫画(コミック)
出版社
徳間書店
レーベル
Charaコミックス
発売日
価格
¥619(税抜)  
ISBN
9784199605581

あらすじ

時は大正、世はモダン――。英国留学から帰国した糸井は、とある港町の学校で英語教師になることに。
そんなある日、生徒と娼妓のかけおち事件が発生! 関係した生徒の兄である手塚と出会う。
海軍少尉だという手塚は、年下のくせに強引で尊大。そりが合わずに言い合いをする二人だけど、
真面目な一面を知って、次第に距離が縮まって…?

表題作浪漫のお国で逢いましょう

23歳,教え子の兄で海軍少尉
24歳,英国帰りの英語教師

その他の収録作品

  • 番外編 今宵月で逢いましょう

レビュー投稿数23

これぞ恋なりけり

時は大正、世は浪漫。舞台は横須賀、
1919年(大正8年)7月7日 には、初恋の味「カルピス」も発売。
英国帰りの英語教師・糸井と、海軍少尉・手塚の恋のお話。

前作『今日も月が綺麗』のレビューでクリボウ様が、
英語教師時代の漱石が、「I love you」を「月が綺麗ですね」と訳した
エピソードに触れていらっしゃいましたが、
木下先生の中でそのエピソードがモチーフとして繋がっているんだなぁ、と
思わせられた作品。
後半でまさしく、
ー そうか、だから、I love you =「月が綺麗ですね」と彼の人は訳したのか ー
という台詞があります。

話は特にドラマチックな珍しい出来事もないのですが、
お互い気になった二人が少しずつ近づいていく感じが、
舞台設定もあってロマンチックできゅんとするし、
木下先生らしい優しくて時々コミカルな雰囲気に惹かれ、萌えながら読了。

手塚の背筋の伸びた硬派な、でも時々ふざけた感じや妙に可愛い感じがいい。
糸井も、柔らかくて純情なんだけれど、芯に男らしさがある感じでまたいい。

まだ20代前半の青い若さと、でもあの時代には十分大人だったであろう男っぽさ。
クラシックな台詞回しや衣装や風物も素敵なんだけれど、
そういう感じが、ちょっとした表情や体つきや仕草や、絵で伝わってくるのも
木下作品の魅力です。

糸井が担任している手塚の弟や、下宿先のご夫婦、など
愛すべき脇役も良い感じで、読んでいて幸せな気分になれますし、
表紙がまた素敵。
バックには、浅草十二階こと凌雲閣やツェッペリン号が描かれ、
そして艶やかな白菊の花(笑)
小さな青いドームはニコライ堂かな?

手塚が呟く「明日の月日はないものを……てね」は、
当時ロングヒットを記録した「ゴンドラの唄」の歌詞ですね。

ちなみに、この糸井の勤務先の三浦中学。
おそらく元首相小泉純一郎氏やノーベル賞受賞の小柴昌俊氏を輩出した
かつての横須賀中学(旧制四中)、現代の県立横須賀高校ですね。

評価……
萌×2かなぁとも思ったのですが、少々個人的な思い入れがあり「神」つけちゃいます。

13

大正浪漫

時代モノと軍人モノが好きなので、木下さんの作品では一番好きです。派手なストーリーやエロエロな物が好みの方には微妙かもしれませんね。

イギリスから帰国し、英語教師として働くことになった糸井。彼の教え子が友人の駆け落ちに手を貸したことをきっかけに、手塚由人と出会う。由人は教え子である真人の兄で海軍少尉。第一印象は良くなかったものの、次第に二人は惹かれ合う。由人の方には見合い話も舞い込んでくるが、彼にその気はない。不安に思う糸井へ「一途にお慕いしております」と告げキスする由人が男前すぎてヤバいっす。

1

なんてロマンチック!

大正ロマン。軍服。
大好きな世界観がギュッと詰まった作品です。

強引な年下のイケメンの手塚(攻)に振り回される糸井(受)が可愛くてたまりませんでした。

手塚の上官の娘である滋子が、手塚に恋い焦がれるも、片思いを受け入れられない姿が切なくて…。
そんな娘の恋を見守る上官は、手塚の気持ちも娘の気持ちも尊重する、いい上官であり、優しいお父さんで、脇役だけどいいキャラだと感じました。

糸井が手塚に気持ちを伝えるシーンは、本当に映画に出てきそうなロマンチックで大好きです。

全体的にエロは少なめですが、ストーリー、世界観、キャラクターがどれも魅力的で、自信を持って神評価をつけられる作品です。

0

恋があふれる浪漫の時代

自分の大好きな要素がつまった1冊に思いっきり胸キュンして、萌え転がりそうになったですよー♪
キャラ的には木下作品の『由利先生~』を少しほうふつとさせる組み合わせなのでありますが、それが自分の好みなのでまた嬉しv
そして時代がノスタルジー溢れ、作中エンドにも語られる
「近頃都で流行る物、帝劇 三越 モボにモガ オムレツ カフェに円タク 博覧会」
まさにその時代の大正の、しかも洋行帰りの英語の先生と、自分的超萌えツボの白の軍服の海軍軍人☆
学生達は、念弟を作るのが当たり前に存在し、
登場人物のセリフもまた洒落ていて、どれもこれも全てみ~んな自分の大好きなモノがちりばめられている。
まさに題名通りの【浪漫の国】ビバ大正♪

留学から帰国して中等学校の英語教師に赴任した糸井先生。
生徒たちが遊女と学生の駆け落ちの手伝いをしたことが発覚して、その生徒の一人の保護者として海軍軍人の手塚の兄がやってくる。
彼等の友情を尊重する糸井と、軽率な行動を叱る手塚兄。
二人は一見ソリが合わなさそうな最悪の出会いをするのだが、実は考えていることは同じで、それがわかったことで気になる存在に。

弟には厳しい身内なのに、糸井に対しては何故か優男のような素直に感情を向けてくる手塚兄。
弟が自分の受け持ち生徒でもあり、彼がブラコンで糸井に相談を持ちかけることもあったりして何かと接点が増えて、手塚に翻弄されて顔を赤くしたりうろたえたりツンデレる糸井の姿がとてもかわいらしい。
出会いの時、手塚を自分より年下のくせに、、などと言っていたが実際1こしか違わないじゃないか(笑)
また、手塚弟が先生にほのかに恋心を抱いている姿もまたかわいいのだ。

手塚も海外でふと糸井を思いだして日本にかえりたくなってタイピンを土産に買ってしまったと、割と素直に最初から好意を口にして率直な人だなと思う。
だからこそ、初心な糸井が翻弄されてアタフタするのですね。

軍人らしく厳しさを持ちながらも恋愛に関してはリベラルな手塚兄と、外国生活をしてリベラルな発想をもっているのに恋愛に関しては奥手で古風な糸井、このキャラクター対比が魅力的でした。
セリフも中々時代を映していて、「遅かりし由良之助」だのキスを「キッス」とか「口吸い」とか愛の告白は「あなたをお慕いしております」とか「月が綺麗」とか・・
こういうのって萌え萌えしちゃうんですよね♪
手塚が見合いをすると聞いて、一年発起するシーンなど顔がにやけてたまりませんでした。
とってもほんわかして夢があって素敵な浪漫チックなお話に夢を見ました。

13

大正浪漫の香り

『由利先生』シリーズを彷彿とさせる、短編連作のような作品。
大正時代のレトロな雰囲気や粋な時代口調、
少しずつ縮まっていく関係が楽しめるほのぼの日常譚です♪

英国帰りで身なりは気取っているが根は真面目な中学英語教師・糸井。
生徒の兄で、海軍少尉の手塚はそんな糸井の可愛さを見抜き、
1歳年下とは思えない気障ったらしい態度で口説いてくる。

「愛している」という言葉が一般的でない時代。
視線や態度、比喩を駆使した愛の言葉で思いを伝える関係が
駆け引きのようで素敵でした。
純情でツンデレな糸井先生をからかって遊んでるような手塚ですが
肝心の言葉が伝えられず赤くなったり、意外と可愛いv
糸井は、手塚のこと満更でもないけど、
男子たるもの男にときめくなんて・・・とグルグル。
でも、手塚弟にハッパをかけられ
(糸井先生に淡い恋心を抱く(?)この弟、健気でめちゃ可愛かったw)
覚悟を決めてからの行動は男前。
手塚の見合いに乗り込んでの告白台詞は潔くて痺れます。
それに応える手塚もまた、気障な台詞が嫌味なほど決まっていて
まるで映画のクライマックス、
花嫁を結婚式から連れ出すワンシーンのようでした。

このまま自然と恋人になるのかと思いきや
描き下ろし『今宵月で逢いましょう』がまた小粋。
手塚が軍の遠洋に発つ前の晩。
夏目漱石の逸話「(あなたと居ると)月が綺麗ですね」
を思い浮かべると共に、二人の胸には同じ気持ちが。
そしてベッドの上で異国の言葉を交わしながら・・・
「Love me do」「Yours forever」からの、
「このケツまくってる姿目に焼きつけます」ww
ロマンティックなようで、
いざというときは男らしく直球勝負な二人が好きでしたv

大正時代、戦争もなく一般的には平和とされる時代のイメージと
木下先生の優しい絵柄、ほんわかした作風がガッチリ嵌ってました。
ノスタルジーを感じる様々な小ネタの中でも特にファッションが素敵で、
三つ揃えのスーツに帽子、サスペンダー固定のズボンに萌え。
女の子の庇髪や、ストールをまとった着物姿も可愛かったです。
強烈に萌えたり感動したりということはないですが、
レトロ感溢れる素敵な世界に酔ってのこの評価です☆

10

大正浪漫は乙女の浪漫♪

あまりにも個人的な萌えツボが多く、萌転がってしまいました!

木下先生で『由利先生』シリーズ風・大正浪漫をモチーフに作品を描かれてると知ったその日から、首をなが~くして待っていた新作です♪
なんせ大正浪漫という設定が大好きで!
更に年下の海軍少尉・手塚×純情英語教師・糸井というこのカップリング、
私は木下先生の「押しの強い攻め」×「純情受け」が大好きなので、
もう買うしかない、いやむしろ買って当然くらいの勢いで買いました。
見た目が今までの作品のナニガシと被っていようとも、いいんです!
好き設定なので全く問題ございませんでした。

のっけから手塚少尉様が漢(男)らしく弟を叱る場面を読んで少しばかりドキュン。
手塚の叱り方は軍人らしく若干乱暴な叱り方ではありましたが、弟思いの実に良い兄なのです。
また、軍服萌で床ローリングです!
軍服は反則です~フェチが止まりません!
海軍服の白が眩しいっ~!
学ラン姿も良いですが、軍服のほうがテンションが上がりまする!
他、糸井の帽子やサスペンダーなども、ノスタルジックでときめきます。

手塚と糸井は最初こそ最悪の出会いをしましたが、弟の不始末の一件から、
今度はお互いが案外良い人であったことが分かり、交流が始まります。

この時、やはり手塚のほうにはっきりと糸井に対する好意が見えるのが良いですね。
男らしく、押しの強い様が潔くて素敵です。
そしてそれに戸惑う糸井。照れてる糸井が可愛いです!

途中、手塚の見合い話が出て、お相手の滋子さんという女性キャラが出てきます。
結構しつこいので女性キャラが出現するのが苦手な方はご注意を。
でも滋子さんはきっとあの後、手塚と糸井の仲を応援する腐女子に目覚めたんじゃないかと、
大真面目に考えております。

そして描き下ろしの『今宵月が綺麗ですね』。
かの夏目漱石先生が「I love you」を「月が綺麗ですね」、と訳した部分をストーリーに重ね合わせていてとても素敵でした。
「月が綺麗ですね」って言葉はよくよく考えると夜に顔を合わせる仲、
つまり恋仲だからI love youとつながるのかぁと、何気ない言葉ですが奥が深いと思います。
前作のタイトルも少し言葉が被っていますが、ひょっとして、
いや間違いなく木下先生は意識してつけられたような気がします。

そして今作のタイトル「浪漫」も確か夏目漱石先生の造語ですよね。
もしもそこまで意識してつけておられるならこれはなんと素敵なタイトルでしょうか。
大正時代は乙女の夢、木下先生の意見に激しく同意です☆

それにしても海軍少尉という設定、少しばかり切ないですね。
一旦海に行ったら何ヶ月も帰ってこないんですものね。
でもあの二人ならきっと大丈夫。
手塚は男らしい一本気な性格ですし、何と言っても糸井にベタ惚れですし、
そして糸井はあの性格ですから、いつまでも待ち続けることでしょう。
大正浪漫ただよう情緒あるカップルの物語に乾杯です♪
感動して泣くようなお話ではないので萌萌評価にしましたが、
気持ち的には神よりの萌萌評価です。

9

snowblack

咲人さま、初めまして。
お好みが結構重なっているなぁ、と思いながらレビュー拝見しております。

大正浪漫♪
本当に、設定だけでも萌え転げちゃいますよね!
その上キャラが愛おしいこと。

おっしゃるように、「浪漫」は漱石先生の当て字と言われていますね。
BLによく出てくる非道いも、沢山も。

タイトルも、糸井が英国留学帰りの教師という設定もですし、
そういうユーモアとセンスのある言葉遊びを沢山wされた漱石先生から
インスパイアされているのかなぁ、と思いながら、
さて、お次は?と楽しみしたいと思います。

では、ありがとうございました〜。

素敵なロマンス

時代背景とイラストがばっちりマッチしたとても素敵なほのぼのした浪漫。
ロマンでは無くて浪漫と感じで当てはめるのがやっぱり雰囲気的にも合うのです。
年下軍人で硬派かと思えば情熱的な一面もある手塚、海軍姿も素敵萌えします。
そして、英国帰りの英語教師の糸井、二人の出会いは決して互いによくないけれど、
だから余計に何気ない行動が心に残る。
そんな出会いをした二人の素敵な浪漫ですが、意外に潔い手塚とは違い、
意地っ張りでツンデレ気味の先生が、悪足掻きしながらも心には逆らえないみたいに
行動を起こすのもまた素敵、同性同士だからの障害やら時代背景の暗雲は
描いていないから、純粋に二人の想いが育っていく過程が初々しいやら
ほのぼのしていて読み終わった後もここ良い余韻が感じられる素敵作品でした。

5

大正時代は乙女の夢

そんな夢の世界が、とっても木下先生の作風に似合っていました。

きっちり締めたネクタイと、丸眼鏡に帽子。
詰め襟の学ラン。
海軍の白い制服。
胸元のゆるい、部屋着の着物姿、寝間着姿。
しっかり耳のでた髪型や、すっきり伸びた背中。
ちょっとお堅いしゃべり言葉も、素敵。

この作品、雑誌連載中に1度くらい読んだことがあった。
その時は、思いこみの激しい許嫁候補が登場していて、この手のキャラ嫌いなんだよって感じたけど、コミックスになってみると、まあ許容範囲かな。

それにしても、いつも思うが、特に木下先生のカラーページはコミックスでもカラーにして欲しいなぁ。
このハーフトーンの微妙なタッチ、モノクロ印刷されると、ほんと残念。

4

浪漫は乙女の夢です!

お気に入りの『由利先生』シリーズと似ている雰囲気の作品でした。
こういう時代背景と木下先生の世界観は本当にピッタリ!大好きです!

海軍少尉の手塚 × 英国帰りの英語教師の糸井の恋に落ちた大正浪漫男子のロマンチックなラブストーリーです。

大正時代ってとてもロマンチックな時代だったんですね。
服装に言葉遣いに立ち振る舞い、港や歌舞伎座と浪漫に溢れた作品でした。

特に手塚のビシッと着こなす白い軍服姿がかっこ良かった♡
糸井への絡み方がちょっと軽めで、ツンツンタイプなのかと思いきや⁉︎
その押しの強さは一途さ故の想いの現れと…
年下攻ながらも落ち着き、しっかりもしていて、男気もあって…
かと思えば恋愛に対しては年相応の可愛い部分もハニカミさせてもくれて、そのなんとも言えないバランスがたまらない、イケメン男子で好きでした。
イケメン繋がりだと、手塚の弟君も将来有望なイケメン男子。
糸井先生への恋は実らなかったですけど、先生を後押しした彼の優しさはいい味出してくれていました。
学ラン姿も美味しかったです。

そして糸井先生はボンボンみたいなんですけど、気取ってなくてとても人間味溢れたいい人だったのが好感でした。
糸井先生の背広の洋装に丸眼鏡も美味しかったです♡
年上ながらも純情で、手塚のアプローチに対する反応が毎回可愛くて仕方なかったです(笑)
あと、彼の考え方や言葉の数々が奇想天外で、その天然さが楽しくて可愛くて、お見合いパーティに乗り込んでの大告白展開は、まさに浪漫のお国だからいいのですって感じでほのぼのでした(笑)
真面目な所では、「明日の月日はないものを…」と言った手塚に、
「違うよ。明日もあるんだ。そのために出会うんだから」と言った糸井の言葉もジーンと心に染み渡り大好きです。

何か事件が起こるわけでもなく、浪漫の時代に出会う2人が、なんとなく気になり始め、じんわりじんわり恋する気持ちを確かめあっていく恋模様がとてもロマンチックでした。

まさに浪漫尽くし!
この時代特有の言い回しの数々にも萌♡
「キッス」に「口吸い」、「ふらちな…」や、「一途にお慕いしております」とか「貴方と想いを交わしたいのです」とか…
思わず、こんな綺麗な言葉で押し迫られてみたい!…と自分の願望を膨らませてしまいました(笑)

描き下ろしの『今宵月で逢いましょう』は凄くロマンチックで本当に良かったです。
有名な夏目漱石の「月が綺麗ですね。」の解釈が素敵過ぎでした。

2人の和装姿も結構登場していて、普段ビシッとした装いが、休日の着崩した感の色香のギャップにも萌でした。

軍人と先生の恋って書いていたのでもう少し暗いお話かと思って読んだら、全然明るく穏やかで浪漫溢れたお話にほのぼの癒されてました。

私的に残念なのが、もう少しこの2人のロマンチックなお話を読んでみたいな〜と!
若干中途半端に終わっている感じを受けたので、続編を期待しての萌×2にさせて頂きました。

3

ほんのりしっとり咲く恋の花

このくらいの時代もの、いいですね。
木下先生の画風にスリーピースと軍服が似合う。

英国から戻って教師の職に就いた糸井。
学生たちはちょっとしたいたずらはあったものの、概ね真面目で勉強熱心。
そんなある日、学生のひとりが置屋の娼妓と駆け落ちするという事件が起きて…。

時代ですねぇ。
洋行帰りで中学校で教鞭をふるう、順番は逆だけど夏目漱石のようです。
大日本帝国海軍の軍港があった横須賀。三浦中学校も横須賀に実在した私立の学校ですね(現在の三浦学苑高校)。海軍があったのが昭和20年まで、三浦中は昭和23年に高校になっているので、作中の漱石の超訳逸話から鑑みて、既に漱石が作家として名を成していた明治終わりから大正、昭和初期の第二次大戦勃発前のどこかの話…。23才で少尉というのは「遊女と同じ/貧乏な子」なんていう兵役グループではなくて、山本五十六に近い超優秀スーパーエリートレベル…。
と、何かキーワードがあるとすぐ裏付けを調べたがる悪いくせが出まくってしまいました。
いけない、ここは「浪漫のお国」です!!

冒頭に描かれた手塚兄弟と糸井のニアミス、駆け落ち事件で真っ向から対立するふたり、置屋でのことをきっかけに、立場上の違いはあっても相手の心根に感服し合う。拳をぶつけ合ってはいないけれどケンカの後に寝転んで「お前やるな」「お前こそ」みたいな印象でした。
手塚兄の弟への手紙の追伸がいいですよね。一番気になっていることを最後に付け足しのように書く。あの聞き方では「先生は元気です」以上の情報は得られなそうなのに、その一文だけでも糸井とつながっているような幸福感があるんでしょうね。
お土産のエピソードも本当に素敵。見つけて買ったときも手渡す前もそれを見るだけで糸井の喜ぶ顔を思い浮かべていたんだろうなと、手塚兄の糸井を慕う気持ちの強さを感じました。
「喉に刺さった小骨」という月並みな表現にこれほどきゅんとするなんて!

手塚弟の先輩とのいざこざ、手塚兄の女性問題いろいろなど、胸がぎゅうっとなる出来事がいろいろ起きますが、その度に糸井が自分の気持ちを自覚していくのがじたばたしていて可愛いのです。パーティ乱入のシーンは、読んでいておなかがじわじわ胸がきゅんきゅん、こっちまで赤面してしまうほどでした。

時代特有の言葉遣いや街の雰囲気も合わせて、漂う空気感ごと楽しめる作品でした。
大佐が親ばかでも物分かりの良い方のタイプで良かったー。

2

この作品が収納されている本棚

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