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ro ro ro romantic
猫田さん好きなので、一番古いやつから順に読み返そうと初コミックスのこちらからスタート。
一番古い作品が1998年11月号なので、約20年前!20年前とは…けど古さはないです。久しぶりに読み返したけど思っていた以上に各短編が記憶に残ってて驚きました。
荒削りなんだけど魅力に溢れてて、独特のテンポ、スパーンとしたきっぷの良さ、はじけたキャラクター、印象的なポーズなどを再確認できてやっぱり好きだなぁと改めて思いました。
特に好きなのをいくつか。
【囁く者たちの部屋】
とある学校での校則会議。「不純異性交遊を禁ずについて物申したい」と攻めが言い始めます。
「異性だけでいいのか、例えばこういうカワイイ同性が身近にいたら…」と受けがどんなに可愛くて己の欲望を掻き立てちゃうのか、他の先生の前で実演をはじめちゃう攻め。
この攻めの台詞回しがシュールで超独特。独特のテンポ感。そこがとっても好きです。あとがきで「実に私らしい… 」とあるけどほんとそう思う。こんな作品描ける人、猫田さんしかいない。
【悩殺ハニー】
とある殺人依頼を受けた殺し屋×一人住まいの青年。
とある殺しの依頼を受けて世界の果てのようなところまでやってきた殺し屋。ついに目的の家を見つけ目的を果たそうとしたところ、おかえりゴンベエ!とにこやかに青年に迎えられご馳走の数々でもてなされてしまいます。
ゴンベエはツチノコを探しに出かけたまま帰ってこないらしく、殺し屋をゴンベエだと思いこみあれこれ世話をする青年と居心地の良さに居着きそうになる殺し屋だけど、本来の目的を思い出し手をかけようとするのですが…。
世界の果てのようなところで孤独に生きてきた青年の哀しみ、最期くらいは誰かに看取ってほしかったからという切ない願い。
そして殺人こそが快楽だと言っていた殺し屋が直面する死と、死がもたらすものについて…そういったものがこの短い話の中にギュッと詰まってお見事だと思います。神!
【確執的歓楽王】
98年掲載のデビュー作です。
受けのところへ「あなたの一番大切なものを頂きにまいります。」という予告状が舞い込み、友人の刑事(攻め)を呼び出し守ってもらおうとするのですが…。
実はこの怪文は攻めが出したもので、あなたの一番大切なものって処女でしょ、だから予告通りそれを頂きますと抱いてしまう攻め。
受けにしてみれば処女なんかよりももっと大切なものがあって…なぜ非番の刑事をわざわざ呼び出したか…というオチ部分が好きです。両片思いものです。
評価は萌萌か神か迷うのだけど、発売当時にもしこの一冊を読んだなら、間違いなく神!と思ったはずなので神で。
猫田リコさんの漫画は『BLを読んでいる』感じがあまりしませんね。BLを読んでいるときって、良くも悪くも多少の後ろめたさというか、恥ずかしさみたいなのを感じるのですが、この方に関してはそれがないです!
あっさりしすぎとも言えるかなぁ……。登場人物に生々しさが全然ないような気がするんですよ(特に受け!)。男性とか、それ以前に人間っぽくもなく、妖精に近いような(笑)でもそれがけして嫌いじゃなくて……、むしろ好きです。
そして、これがデビューコミックってすごいなぁ。私は和風な作品が好きなので一番のお気に入りは表題作でしたが、集録されている他の作品もどれも面白かったです!
表題作も萌えどころが満載ですが、私は「囁く者たちの部屋」と「悩殺ハニー」が好きです。「囁く者たちの部屋」は学校の職員室で新人教員が、先生たちの前で陵辱されてしまうという、すごく設定がシュールなストーリーです。
ヤラレちゃう過程をみんな見られるなんて、ちょっとSMぽくてよかったです。
「悩殺ハニー」は人殺しに快感を覚える野性的な男が、殺しを依頼された人物がすむ、家の前にたどり着くといきなり「ゴンベエ」と主の少年に知らない名前を叫ばれ抱きつかれる。そして殺人鬼は、殺さなければならない相手と、いっしょに住むことになってしまうこの超絶な展開。
ラストはおどろいて、せつなくて、涙が出てきました。
何度読んでも、飽きない本です。