ファンタスマゴリアの夜

phantasmagoria no yoru

ファンタスマゴリアの夜
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神59
  • 萌×252
  • 萌20
  • 中立8
  • しゅみじゃない5

--

レビュー数
25
得点
571
評価数
144
平均
4.1 / 5
神率
41%
著者
砂原糖子 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
梨とりこ 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
発売日
価格
¥619(税抜)  
ISBN
9784344827530

あらすじ

元人気子役で現貸金業の束井艶が、永見と出会ったのは小2のとき。
小5の時に、永見に告白されるが、艶はフッてしまっていた。

そして月日は流れ、同窓会の時、成長した永見に会う。
永見は夢を叶え、自分の店を持ち、バーテンダーとして働いていた。

永見に惹かれながらも束井は離れていくが…!?

表題作ファンタスマゴリアの夜

永見嘉博 小学生からの同級生で今はバーテンダー 
束井艶 28歳 事故で子役を引退し今は貸金業者 

その他の収録作品

  • あとがき

レビュー投稿数25

シリアス好きの方に全力でオススメしたい

砂原糖子先生の御本は2冊目。
『イノセンス』がとても素晴らしくて、先生の作品を他にも拝読したいと思っていたところに、書店で見つけてお迎えしたのがこちらの作品。
新品の紙本在庫があって良かった...(『イノセンス』は電子で読んだためイラストを拝見できなかった)

そして、何から何まで完璧な作品でした。

1ページ目から引き込まれる文章。
最後までページを捲る手が止まりませんでした。

超がつくほどシリアスなストーリー。
時間軸が何度か行き来しますが、先生の手腕が素晴らしく、すんなりと頭に入ってきました。

ふたりの出会いやタイトルの意味など、徐々に明らかになっていく要素によってどんどん深みが増していって、とにかく凄かったです。

『イノセンス』に登場した"レイダーマン"なる特撮ヒーローアニメがこちらにも登場していてワクワクしました。

梨とりこ先生のイラストも素敵です。
木原音瀬先生の『月に笑う』シリーズの挿絵も梨とりこ先生のご担当ですが、先生のイラストは裏社会系の作品ととてもマッチしているなと感じました。

2

すっごく良かった

絶対絶対、何回も読み返すと思います。
読み終えて、余韻に浸ってしまう、それぐらい良かった。

幼なじみの再会&両片想いモノです。
時系列も現代だったり過去の話だったりします。
でも混乱することなく、スムーズに読めますし、過去のエピソードのひとつひとつが印象的で、無駄なく現在に繋がっているんですね。
あの時のあの言葉はこういう心情で、とか、あの態度はそういう流れで、とか。
切ない。
読者としては、過去エピソードの小、中、高とも二人が両片想い状態なのがわかってしまうから、とにかく切ない。

父親の跡を継ぎ、貸金業を営む艶(受け)視点で話が進むのですが、この艶がもうたまらなく好きでした。
人気子役だったときの醜聞での引退、父親の遺志を継ぐ決意、継いだ後の汚れ仕事でのストレスなど、艶は若いのになかなかの苦労人なんですよ。
母親は最低な人間ですし。

学生時代から顔はキレイなのに無表情で心を隠し、ヤクザまがいの仕事では本来人情家なのに取り立ては非情、という心身のアンバランスさが危うく思えて、読んでいて惹きつけられるんです。
人に頼ることをよしとせず、歯を食いしばって向い風に立ち向かう姿がカッコいいんです。

攻めのね、永見もね、カッコいいんですよ。
取ってつけたようですが(笑)。
艶への執着度合、良いです。
読んでいる最中はあまり思わなかったのですが、この永見…ヘタレわんこ…ですよね?



タイトルにもなっている走馬灯がとても効果的に使われていて、お話全体が幻影的で薄明かりを通して綴られている、そんな感じがしました。
ゴミ捨て場に人が転がっているという不穏な始まりは、BLではありがちで、よくあるボーイミーツボーイかと思いきや…ですよ。

0

読み応えずっしり

読み終わった余韻が心地良くて、また読みたくなるような作品でした。
すごく好きです。時系列を外したエピソードの並べ方で煽ってくるような演出で、最初にちょっと不安な気分でスタートして、大丈夫かな…?どうなるのかな…?と恐る恐る読み進めて、徐々に明らかになる事実にすっかり魅了されて一気読みしてしまいました。

街金業の束井とバーを営む永見の幼馴染み再会愛です。迷走しまくる束井の想いと、子供の頃の気持ちを温め続けた永見の一途がめぐりめぐって成就する流れがとても好きでした。迂回する初恋パターンよき…。子役のスターだった束井のいびつな感情(周囲の思惑に翻弄される束井の人生が切ないんですよ…)を理解し受け入れる永見の包容力にも萌えました。表面的な糖度は控え目なのですが、すました表情の下で、めちゃくちゃ炎上している感情(溺愛)が見え隠れするのも最高でした。

主軸の2人のキャラクター(美形男気と男前男気)もいいんですが、周辺人物たちも面白くて(永見の元カレ・ヒラメやヒラメ兄のおしゃべりオネエ蜂木、強面だけど気のいい束井の部下たち、そして、もはやこれは執着愛では?とすら疑ってしまうほど束井の存在に固執する元・ライバルで俳優の大瀬良!)、物語に奥行きが出ています、さすがです。作品の雰囲気にドンピシャな梨とりこ先生のイラストもあいまって、迷いなしの神評価です。

1

萌えツボにはまる関係性

砂原さんの文章が好き。呼吸に合うリズムと柔らかい文体で、するする読める。来てほしいところに来てくれるような、しっくりくる納まりの良さがある。エロシーンでは文章が清潔感を付加してくれているように感じるところも好き。

本作は長い長い両片思いのお話。といっても受けの束井は自覚するまでに驚きの期間を要しており、片思い未満かもしれない。攻めの永見は一度振られているため、束井のことは特別枠に入れておいた感じなのかな。

序盤で語られる束井の過去はとても辛いもので、はっきり言って胸糞。だがこれはただの始まりにすぎず、終盤まで影を落とし続ける。そこらじゅうに散りばめられた傷に、読みながら心がささくれ立っていくような辛さを覚える。
そうした中、束井の中で永見は最後の砦のような存在なのだとはっきりしてくる。本当に本気で自分がダメになりそうなとき、最後の最後で頼りたくなる存在。このブロマンス的な関係性にめちゃくちゃ萌えた。ここをものすごく強調したい。好き。
落ちぶれて見られようと向いていない仕事に就こうと、無意識にでも永見を心の支えにすることで束井は立っていられたのかな、と思った。
後から思い返すと永見の出番自体は少ないが、それを感じさせないほど束井の中に永見の存在を感じていた。

ストーリーは終盤にかけてめまぐるしく動く。事件の盛り上がりに永見が直接は絡まないのが残念。とはいえ、そこに至るまでに永見がやったことは、純粋な執着愛が見えて良かった。
解決後、やっとのことで結ばれる二人。心のつながりの強さはずっと感じていたので、そこに関係性を合わせるために必要な手順を踏む二人を見ているかのよう。ブロマンス作品にその先がついてきたお得感がある、みたいな。

悪には鉄槌が下り、過去も修復傾向を見せ、二人は夢に向かって新たな出発を決める。物語は綺麗に終わり、ラストにちらっと描かれる永見の明るさに救われた。
本編後にほっこりできる二人の小話なんかも読みたかったな。

序盤からしんどい展開が長く続き、最後まで読んでやっと気持ちが晴れる。途中で止めるとモヤモヤが残ってしまうため、しっかり一冊全部読み切る時間を取って読んだ方が良いと思う。

1

脇役が好きだなぁ〜

ダメ受けを書くのがお上手な砂原先生ですが、本作の束井も意地っ張りな男でしたね。
天使だった子役が、ちょっとしたことから転落していく……
かなり理不尽で切なかったのですが、攻めの永見がなかなか素敵でした。
そして、そんな攻めより素敵だったのが脇役の妻田!
このおじさん、最高でした‼︎

音信不通になった束井と永見を引き合わせたのも妻田の作戦ですよね?
そこかしこに妻田の策略?が見え隠れしていて、それが分かると思わずニヤッとしてしまう自分がいたりして、とても楽しかったです。
妻田なしには語れない作品ですよね。

もちろん、持てる財産の全てを賭けた永見の一途な愛情も良かったし、素直になった束井も可愛かった。
サスペンス要素が絡んでくるのも意外で面白かったです。
ボリュームある作品ですが、一気読みでした!

2

人生山あり谷あり、くるくる巡る走馬灯

まさに【ファンタスマゴリア】に尽きる1冊。

映し出されくるくる回る走馬灯が1周、2周、3周…
山あり谷ありの人生を繰り返しながらも少しずつ螺旋状に上がっていく。
その中で、昔は気付かなかった気持ち・隠したかった感情が露わになっていき。

走馬灯が回れば回るほど
受けにとって攻めはかけがえのない存在なんだと訴えかけてきます。
なんでそこまで「心」が求めていながら無自覚でいられるのか…(ФωФ;)
無自覚だからゆえか、初恋を拗らせまくってただけにも見えました。

彼らの人生、ここぞのタイミングの悪さが重なるのがもどかしいです。

まず最初は小学校時代の告白のタイミング。
断る理由がなんとも子供らしく、それでいて家に帰ればドキドキしてたのが可愛い。
翌日本当はこう言いたかった、告白をなかったことにするつもりはなかった。
けれど平静を装った日常に飲まれ何も言えなかった。
そんな小学校時代エピソードにキュンとしました。

中学・高校は完全にすれ違い期ですね。
告白の返事をしないまま早数年。
攻めとしては受けが望んでいる「友達」に徹していただけなのだけど、
受けとしては何とも言えない燻りがますますすれ違いへと発展していき…。

きっと2人の間に流れる空気感が友情だけでないことに気付いていないのは本人ばかりですねw
読み手としてはもちろん、攻めがとっかえひっかえしてた彼氏連中も気付いてただろう…。
けれど受けは友達以上のものはないと思い込もうとして。
攻めはそれを尊重して友達のラインを踏み越えない。
なんとももどかしく焦れったく……萌える!!!(∩´///`∩)←DK好き

大学時代。きっと受けが人生で一番精神的に参ってたであろう時期。
このタイミングの悪さはその後10年の決定打となってしまった。
描写としては短いけれど個人的にはこのシーンが一番切なかったです。
受けの心の痛みが切なくて萌えに刺さりました…(;///;)←傷つき萌え

受けの生活は昔と一変してしまったけれど
自分の中に攻めの存在があるだけで会えなくても心の支えになってたのがグッときます。

そんなこんなで再会した現在。
くるくる巡る人生の中で変わっていくモノと変わらないモノがありました。
攻めは子供の時には出来なかったこと、守れなかったこと、
大人になった今度こそ絶対に諦めない強さがとてもカッコ良かった!
そんな攻めの姿が、受けの背中を押して、前へと歩き出す。
晴れやかで笑顔のあるラストも非常に良かったです。

0

訳ありな二人の遠回り

 束井艶は幼いころ、キッズモデルとして活躍していた。
 けれど、とある事故からキッズモデルの仕事を辞めざるを得なくなる。
 そんな時に出会ったのが、雑貨屋にいた永見嘉博だった。
 決して女らしいとは言えない見た目の永見は、店番をしながらワンピースを着ていた。それを不思議に思う束井だったが、実はそれには理由があって……と。

 そんな訳アリの二人が出会って惹かれあって、離れて、再開してくっつく……という話でした。
 永見は早々に束井が好きだと自覚をしたけれど、束井はなかなか自覚ができなくて紆余曲折。

 そんな二人でした。
 男前の二人がお好きな方にはぜひ、オススメします。

1

ファンタスマゴリアのような…

幼馴染みの再会もの。受けが貸金業ということで、893要素もあるのかなと思ってたけど、ギリギリ法的身分の会社で安心しました。

砂原先生は、自己評価の低いヤサグレ・こじらせ系受けの書き方が本当にお上手だと思います。辛い経験をして自分の殻に引き込もってしまった理由もわかるし、根っこのところでは希望を捨ててなくて、救われたいと思ってることが伝わるから、読んでてつい応援したくなります。
そんな受けから拒絶されても諦めずに向き合い続ける攻めの一途さにも、胸を打たれました。
ファンタスマゴリアのように、様々なすれ違いや各々の思いが絡まりあって、最後には一番綺麗な模様を見せてくれる、そんな作品でした。

0

それぞれの男らしさが良い

あらすじと表紙絵から勝手に少年時代からのほのぼの+切ない物語かと思い込んでいましたが、読んでみると、やさぐれ街金のすれ違いこじれまくった初恋の成就譚、でした。
というと身も蓋もないけど、元天使のような可愛い子役の艶(えん)が、子役同士の競争意識から起きた事故のために芸能界から消え、その頃出会った同級生永見との、タイミングの合わない恋物語が甘さ少なめで綴られて行きます。
小学生時代、中学生時代、そして高校での逸話が挟み込まれる形で物語は進みます。そこで象徴的に使われるモチーフが、永見の家にあった「ファンタスマゴリア(走馬灯)」のランプ。
回って、また回ってお前にまた会いたい、ファンタスマゴリアみたいに。
そう思いながら自分の心に気付かず、本心には蓋をして殻の中に閉じこもっていた艶と、友達としてずっとそばにいようとしていた永見。小5の時の告白から長い月日は経ってしまったけれど…。
そしてやっと永見に向き合う艶。
艶は受けだけど、「抱いてくれ」なんて言わない。『セックスしたい 今ここで、すぐ。』
永見は子供の頃からの一途さをもって艶を慈しみ、艶だって決して寄りかかってはいない。同級生の幼馴染の対等性が現れています。
二人が恋人になるのに長い時間がかかったけど、これからこれまで言えなかった沢山の言葉を重ねて想い合っていって欲しい、です。

3

まさにタイトルどおり

走馬灯か!ナルホドナ(*・∀・)な一冊。
お話自体がまるで走馬灯を見ているかのような作品でしたね。
現在から過去。それから今に至るまでの流れ。
そして現在に戻る。
艶が見た走馬灯を読まされているかのような作品でした。

小さいころに出会った永見とのお話。
一人だった自分と一人だった永見。
お互いを埋めあうように一緒にいて、
好きだと告白されたのもうれしかった。
でも唯一間違ったのは、タイミング。
木曜日出なければwwwwな展開があとから考えれば
至極面白い。
テレビが見たいがために告白を断り、
断ったがゆえに距離ができた。
見たいがために、断ったのに、楽しみにしてたテレビも
ぜんぜん頭に入ってこない。
そんななんともぐるぐるから、どう二人が結ばれるかを
追いかけていくお話なのであります。

あるいみヤクザな家業に身をおきつつもな受を
よく分かっていた永見。離れていてなお~な一途さに
胸を打たれ、ハジメテなのにもかかわらず、
感じてしまう初めての=な場面がすごく良かったです。

最後、艶からセックスにさそう場面。
あれも好きだなーと思いつつ。

1

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