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月夜的华尔兹
この作家さんの本久々だなーと思い手に取った一冊。
新作かと思いましたら、何と!01~07年までの古い作品を集めた短編集でした。
開くと絵柄もですが、お話もちょっと一昔前を思わせるノスタルジックな雰囲気に、幻想めいたお話が。
思わず懐かしさを感じる1冊でした。
全部で5本の短編が入っているのですが、ひょっとすると07年の作品の表題が一番ノーマル路線。
あとが、古いせいかjuneな雰囲気からレディコミを思わせる感じの路線というのが見えます。
残念ながら萌えを感じるものはなかったのですが、丁寧さと、このノスタルジックな部分で若干上げ底評価になりました。
表題
大学教授の助手である青年に恋をしている主人公の高校生は、彼をいつも側においている父親に嫉妬するほどに彼に執着している。
だけどまだ心は子供で素直になれなくて傲慢な態度で家来扱いすることしかできない意地っ張りさん。
未成年なのに酒を飲んで酔い潰れた主人公は、月夜の晩に思いを通じ合うことができる。
といった、かわいらしいツンデレ話。
一体この題名の意味は?と思ったら、その月が見てる夜の行為という意味なのだな~と、内容は子供なのに、案外エロい題名だったのです!
【夏の日】レディコミを思わせる甘甘一転ドロっと物語。
恋人同士の二人。
その片方主人公に嫌がらせの無言電話が続いている。
彼には忘れられない苦い過去があり、それを時々思いだす。
ある日恋人といつも行くバーのバーテンが揉めている場面に遭遇。てっきり振られたんだと思い込んでいたのだが・・・
この過去・嫌がらせ・恋人が絡んで登場する第三者。
現在なら3Pになるところ01年の作品ゆえか?
しかし、この主人公の変わり身の早さにビックリ仰天することとなった(笑)
【逢い状】時代モノ。
記憶を亡くした自分を引き取って育ててくれた小間物屋の主人がなくなった一人ぼっちになった主人公。
彼には恋人がいるのだが、今は遠方へ商いへ行っている。
身寄りがなくなり、ほんとうの親を知りたいと望む主人公の元へ旗本である武士が実の兄だと名乗りを上げてくるのだが。
失くした記憶と凄惨な過去。
恋人の存在意味とか、色々なモノがありながら、一体何を伝えたい漫画だったのか?
過去は過去、今は今。愛は変わらないよ、ってことかな?
雰囲気が強引に進めて行く点にうむをいわさない強さがある。
【夢幻回廊】とてもjune的なお話。
貴族の子息ヘンリーの通う学校に留学生として黒い瞳に黒い髪の中東の男子がやってくる。
彼を見ていると意識が幼いころから繰り返し見る夢に引き込まれる。
輪廻転生、とでもいうのだろうか?
とても悲恋な、そして裏切りと悲しみと執着と。
そんなものがまいなぜになり、幻想の世界を作り出す。
こういったお話、昔たくさんありましたね!何だか懐かしいです。
【白日夢】学生の主人公がぶつかって壊してしまったモノの弁償に始めたそれの持ち主の経営するアンティークショップ。
主人公はそのミステリアスな雰囲気を持ち、はかなげでとてもきれいな店主にほのかな関心を持ち始めるのだが、
欲訪れる店主の元同級生だという男性と、性行為をしているところをみてしまう。
大人側の事情と、子供の初恋と
そんな対比が描かれて、主人公は成長していく、といった青春のイページの邂逅物語とでもいいましょうか?
なので、現代の作品のようなキャラ萌えというのはありません。
作品萌えとでもいいましょうか?しかし、作品に萌えるというより懐かしさがやはり優先しているのかも?