ぼくのスター

boku no star

ぼくのスター
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神8
  • 萌×230
  • 萌14
  • 中立3
  • しゅみじゃない9

--

レビュー数
16
得点
205
評価数
64
平均
3.4 / 5
神率
12.5%
著者
一穂ミチ 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
コウキ。 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
発売日
価格
¥571(税抜)  
ISBN
9784344827912

あらすじ

アイドルオタクに邁進する高三の侑志。推しメン一色の部屋に突然やってきたクラスメート・芹沢に、登校することを約束させられて…?

表題作ぼくのスター

かっこよくて人気者で芸能人のクラスメイト
高校3年生、半引きこもりのアイドルオタク

その他の収録作品

  • あとがき

レビュー投稿数16

キラキラしてキュンキュンする

一穂先生が書く高校生は、何故こんなに瑞々しくて魅力的なんだろう。

半引きこもりの侑史は、在宅専門のアイドルオタ。
学校にもたまにしか行かない彼の生きることを支えているのは、
ベビブロ(ベビーブロッサム)というAKBみたいなアイドルグループのほたるんだ。
そこに突然突風のように登場して、彼を外の世界に吹き上げる航輝。
高3で同じクラスになったらしいけれど、顔も分からなかった彼に巻き込まれて
侑史の生活は変わって行く…
一方の航輝は、実は彼もまだ有名じゃない芸能人で、ほたるんの兄だということが分かり…

以前から一穂先生は、高校生を主人公にした青春小説を書けばいいのになぁと思っていたのだが、
(おいおい、BLファンなのに、そんなこと願ってどうするんだっ?!)
この本はまさしくそういう感じだった。
twitterやLINEといった現代的なアイテムを上手に使っていて、高校生の世界を鮮やかに描く。
Hシーンも高校生の不器用さや直裁な感じが可愛くて悪くはないが、いらなかったかもと思う。


侑史のネガキャラは、個人的にはBLの主人公として好きなタイプではないんだけれど、
彼の純粋さや感受性の強さある種の賢さみたなものが垣間見える心情の表現が、
最初から散りばめられていて、まずそれに唸る。
そう、そうなの、うん、その感じ分かる!と頷きながら読んでしまった。
世の中の評価からすればマイナスに違いない彼を、
ちゃんと本人なりの世界がある大切な人として描いているところがすごく好き。

そして、侑史が登校して航輝達の仲間と過ごすようになってからの、少年達の描写。
若干いい子過ぎだし、カッコよ過ぎの感はなくもないが、
あの年齢の持つ決して大人になってからでは取り戻せない柔らかさを、
何故こんなに見事に描くんだろう。

恋に関しては、侑史が穏やかに変わっていき航輝に惹かれて行く様は丁寧に描かれているが、
航輝に関しては最初から彼に惹かれていたんだろうな、と思うしかない。
途中のキスシーンや相互自慰のシーンは好きだけれど、そう思わないと唐突かも。


前半は、少年達のちょっとした行動やセリフにキュンキュンし、
後半(ただしH以前)は、涙が滲んで仕方なかった。

BLとしての萌えかと言われるとかなり首を捻るのだけれど、
こういう少年を主人公にして、クオリティの高い作品を書く一穂先生に敬意を表したいし、
これはやっぱり神をつけます。
素敵な作品です。でもいわゆるBLとしては薄いかも…。

11

ぼくのスター

航輝はブレイク前の俳優で妹はアイドルグループのセンター、少し子供っぽく、まっすぐな性格でみんなから好かれるだろうなと。
侑史は不登校気味の在宅アイドルオタク。
不登校になった理由が心の傷になっていて。
航輝に誘われ登校し、少しずつ馴染んで、航輝の友達とも打ち解けていくが、また、過去の問題が
もう、嫌な奴は小説の中にまでいる!
侑史は弱い部分もあるけど、潔いなあと。
何もかもを拒絶ではなく、自分で考えた最低ラインはキープしていて、案外としっかりしているなぁ。
会ったこともなかった2人が、顔見知りから友達、そして恋に落ちていく。
ふわふわしているけど、高校生らしくて可愛い。





0

芸能色は薄め

大好きな一穂さんの作品ですが、芸能界ものってあまり好みじゃなかったので敬遠していました。
けれど読んでみると、キラキラした世界を描いていたわけでなく学生達の葛藤が中心で、ああやっぱり一穂さんの作品だったんだなあと。


受けはアイドルオタクで半引きこもりの高校生、侑志。
彼の部屋はいわゆる押しメンの『ほたるん』一色。
一日の予定はほぼ、『ほたるん』のテレビ出演等にあわせて生活しています。

攻めの航輝は役者志望で侑志のクラスメイト。
ただ、ふたりはお互いが休んでばかりいるのでタイミングが悪く、顔を合わせたことがなかった。
親しい友人には自分のカッコ悪いこともさらけ出すことができる、率直な少年。


そんな侑志と航輝の初対面は、なぜか引きこもり中だった侑志の家。
航輝はいきなり訪ねて来て、侑志にちゃんと登校しろとうながしてくるのです。
侑志自身はきちんと卒業できるように調整し引きこもっている(これはまたこれで問題有りですけど)のですが、航輝は自分が出席した日になぜかいつも空いている席があることが気になって仕方ないんですよね。
そして、オーディションで引きこもりの役を演じる上での参考にしたいと、侑志の家へも足繁く通いだします。
航輝は『ほたるん』部屋と化した侑志の部屋も驚きはしても嫌悪せず、ありのままを受け入れてくれた稀有な存在で、侑志にとって他人から理解されるということはそれこそ青天の霹靂といった風だったのではないかと。

侑志は今まで『ほたるん』の存在に依存し現実から目を背けて暮らしてきましたが、航輝の登場で徐々に彼の生活軸は学校や航輝、そして航輝経由で知り合った久住・羽山へと移行しだすのです。

侑志がだいぶ登校し始めた後も、航輝の家庭環境やら仕事やら、学校内でのゴタゴタやら色々起きたりするのですが、でもそういうこともみんなで乗り越えていけると信じられなかなか青春なお話でした。

ただそれがないとBLではないにしろ、あまりえっちの必要性はないかな。キスとかだけで可愛らしくごまかしても良かったと思います。

5

「らしさ」満載。

あ~これは一穂せんせいだから許される本だね。
ギリギリBLライン。だけれどそんなこと気にせずグイグイ読ませてくれる。
これよ!これなのよねぇ。
 
キラキラで切なくて、
何かに、あるいはどこかに届きそうで届かないもどかしい感じ…青春ってこんな感じだよねぇ。
そういうのが過不足なく、ことさらに青春崇拝されることなく、でも丁寧に丁寧に重なって紡がれるストーリー。
 
こういう書き方は一穂せんせいならでは。ほかの作家さんにはできない技だ。

2

侑史みたいな子って

リアルに、いて欲しい。

ある時から不登校になって、
一日のほとんどの時間を、アイドル・ほたるんただ一人だけの事を考えて過ごしているようで、
実はちゃんと、卒業にぎりぎり間に合うように計算して学校にも行っているし、
試験もそれなりの成績を維持できるように自宅でお勉強もしている。
共働きで忙しい両親に、少しでも負担にならないように、トイレットペーパーの在庫を注意していたりもする。
そもそも不登校になったのだって、素直ないい子だったからだし。

こういう子、いいなぁ。
リアルにいい。

あと、クラスメイトの羽山と久住!
この二人の、ニュートラルな感じもすごくいい。

航輝も、登場のしかたこそ、唐突で強引だけど、そこさえ、作中の侑史の気持ちと同調して、一緒になって受け入れちゃえば、あとは、ちょいちょい可愛いところも垣間見えて,子供らしくていい。

なんというか、理想のリアル高校生だな。

2

主人公の内言に自分の痛さを思い出す

独特な句読点のくぎり。
唐突にひっくり返される文章。
耳に心地良い(人によっては、耳障りでそれ故、耳に残る。)ヘンテコな比喩。
これらで紡がれる主人公の内言は、読む人によって違うリズムで聞こえるでしょう。
私の場合、中二病だった自分を思い出し、全速力で逃げたくなりました。
人によっては幼稚さに呆れたり、内向的な自意識過剰さに イライラさせられるかもしれません。
知らず知らず頭の中に個性的なキャラクターが出来上がるから不思議です。
読んでいくと
男子高校生の何気ないじゃれ合いに
妄想を抱いているような気恥ずかしさにおそわれ、
も、もうそこまでで良いです
と少し濃い絡んだシーンが出てくるたびにやめてくれと悶絶しました。





0

やっぱりどうにもイラストが…

一穂ミチさん2冊目。
1冊目は「ハートの問題」
話は非常に良かったのだけどイラストがダメだった。
好みの問題だけど全然好きじゃないイラストだった。美形設定というのが拍車をかけてた。
今回も同じ。
話は非常に良かったのですが、イラストがダメ過ぎた。
今回も芸能人カラミの話だけど…イラストの肉付きが良すぎる。
顔がパンパン、服を脱いだらむっちむちしてそう。全然美形じゃない。
でも話は凄く好きだった。

そして「ハートの問題」同様、登場する女性が非常に魅力的だった。
なんというか、女性をモブキャラとか当て馬とかに使うのではなく、ちゃんとキャラクターとしてストーリーの中で重要な生きたキャラクターとして愛情をもって描かれてる気がしました。
ということで、攻めさんの妹が非常に良かった。
実際に本人が喋る場面はほんの数行だけなんだけど、たったその数行だけで凄く存在感があった。

攻めさんは本格的スターさんになって、受けさんはパンピーで、この2人の付き合い方は今後変わっていくだろうけど、幸せになってほしいな。
と、思える話でした。

0

爽やか

高校生の爽やかさが良いです。
物語の運び方がすごく自然で上手くて、ゆっくりゆっくりと最後に核心があらわれていく、簡単に種明かしはされなくて、薄っすらと気づけるけれど、どうかな、と思いながら読みました。
最終的に突出した嫌なヤツはいないけれど、じわりじわりとリアルさが感じられる人を傷つける行為が表現されていて、そこはやはり胸が痛みます。
芹沢の友人がまた魅力的で、そこも良いです。
このまま最後まではしないのかなと思ったけれど、巻末の数ページにきゅっとまとめれらてました。
元々自分は濃厚なエロさが大好きですけれど、こういう感じも大変好きです。
ユウシの心の表現が上手くて、マイナスな気持ちの動き方に共感するところが多かったけれど、八木のこと最後まで悪く言わなくて、そしてきちっと幸せになっていくところも良かったな。

0

アイドルオタ・・・に入り込めるかどうか

AK○48にどっぷりハマってる男の子が、
きれいでかわいいアイドルに夢中な男の子が、男を好きになることってあると思う?
そんな発想からはじまったのかなぁ~と思うようなお話。

ベビーブロッサムという競争主義のアイドルグループのトップを走る、
久保田ほたる、こと「ほたるん」が大好きな「在宅」オタがこの本の主人公の侑史。
卒業できるギリギリの日数しか学校に行かない、半引きこもり。

そんな侑史の家に突然初対面のクラスメイトがやってくる。
かっこよくて前向きで、後で分かったが芸能人(俳優)でもある芹沢航輝。
ほたるんのポスターが貼ってある部屋で、
ほたるんが出ているDVDを昼間っから侑史が見ていたのを知って、
「キモ」と陰険さのまるでない口調で言いつつ、
「欠員がいるクラスってなんか、不健全なかんじじゃん」と、学校に来るようにと強く勧められる。
次の日の朝には迎えにまで来られてしまって、結局一緒に登校、その後も……。


なんで、かっこいい芸能人が半引きこもりを構うの?
そもそもなんで、侑史は学校にあんまり行ってないの?
「在宅」のアイドルオタクってどんな感じ?
そんなに女の子のアイドルが好きなのに、男の子とどうにかなれるもん??

なーんて、色々なんで??ナゾー!と思いながら、
少しずつ、ひとつずつ、そのナゾが明らかになっていって、サクサクと読み進められました。
読みやすい本だと思います。

ただ、かわいい女の子(しかも人気アイドルのNO.1)をかなり好きな主人公に愛着を持てるかな?
そのアイドル・ほたるんも、なかなかの存在感を放っていますので、
う~~ん、万人受けはしなさそうな気がします。
自分は・・・嫌ではなかったけど、好き~♡とはあんまり思えなかったなぁ。

受けの主人公は結構ネガティブ思考だけど、人がよくて素直で可愛いと思うし、
攻めも単に明るいだけじゃなく努力家だし優しいし、でもちょっと子供っぽいところもあったり、
全然嫌いなタイプではないんですけどね。

実はCPになるそのふたりだけより、
芹沢航輝と小学校からの付き合いという、クラスメイトの羽山と久住、
このふたりと一緒に4人でいるシーンの方が萌えました~~
航輝についてズケズケ言いつつも、ちゃーんと航輝のことを分かっていて、
上手にガス抜きさせてあげたり、さり気なくフォローしたり・・・
そんな友達としてのさりげない親切に、ちょっとキュンとしちゃいまいた。

一番印象的だったセリフは、
ほたるんの悪口をクラスの女子が言っていて、それを勇気を出して侑史が注意した、
その時のことを振り返っての羽山の一言。
「女のうわさ話にダメ出しするとか、飢えたヒグマの檻に入るレベルの冒険だろ」
今まであんまり学校に来てなかった侑史が、精一杯の勇気を出したことへのステキな賛辞。
その日まで侑史と話したことがなかったふたりが、侑史を讃えて紙コップで乾杯、なんかイイナ♪

好きなシーンや言葉はあったけれど、
何度も読みたいかと言われると、正直そうでもない・・・
アイドルの女の子が好きな人は、抵抗がないかな? 
自分もキライとかではないのですけど、BL本としてはそんなに好きな題材じゃない・・・かな。
あと、かっこいい俳優とのお付き合いって大変そうで、今後がちょっと心配に・・・

4

青春の象徴

最初読み始めたとき、今を時めくアイドル(AKBみたいな)の熱心なファン=ドルオタ。そんな男子がどうやって男子との恋愛ができるんだろう?
と不思議で仕方ありませんでした。
しかし、展開するにつれて彼が半ひきこもりになり、いあゆるアイドルに逃げた(この言い方が正しいかどうかはアレであるが、自分にはそう見えた)その理由が後半になり語られることにより、彼にはその素養はあったのだということは十分にわかりえるものでした。
彼は言っています。アイドルをズリネタにはしていないと。
そういう恋愛対象でみているのではなく、あくまでも崇拝偶像、といって神聖なものとして汚さない存在として見ているのではなく、ただ勇気をもらっているだけ。
他にも彼女のアイドルとしての生き方に何か自分が感じるものがあってそれで・・・と思われる部分がたくさんあったのだと気づかされるのです。

ただ、彼に接近する同級生・航輝。
彼はあまりに唐突でした。
最初は彼も役者をやっていて、その役作りだったという接近だったらしいので、それが「なんだ~」と読者は思ったものですが、
当の主人公・侑史は怒ったりしなくて、割となんでもそうなのかー、的に受け入れてしまっている。
決して感情が薄いとは思わないけれど、彼のニュートラルな、自分を自覚している態度があるから航輝が受け入れられているんだな、という感じです。
ただ、彼が侑史の以前の友達と違うのは、航輝もさみしがりでハバにされるのを怖がっているというかちょい甘えん坊な感じがあるところ。
少しだけ主人公と似たところがあるからかもしれない。
あと、友人の存在は大きかった。
羽山と久住(彼らはひょっとして!?w)
いい友人だったから、彼らありきなのは間違いない。

そんな侑史と航輝がくっつくこの話は、触りっことキスまではあってもいい流れだと思う。
まだ未満だと思うから。
とりあえず相手に触りたい、それがもっと互いを知る近道と思えるから。
ただ、このストーリーとして、青春が全面に出ており、進路の選択であったり、青春の迷い悩み、そういったものの比重が大変に大きいきがするのだ(アイドルのほたるしかり)
だから最後のエッチは唐突すぎて、この話の中ではいらなかった。
それだけがとても残念だ。

BLというよりは、とても少年青春小説とでもいうのか匂系の強い話であり、その思春期の様子は今回のこの会話の文章や、きらきらした一穂さんの文章がとてもよくあっていたと思います。

4

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