さわらないで、壊れています。

さわらないで、壊れています。
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神6
  • 萌×215
  • 萌11
  • 中立2
  • しゅみじゃない1

--

レビュー数
6
得点
125
評価数
35
平均
3.7 / 5
神率
17.1%
著者
カシオ 

作家さんの新作発表
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媒体
漫画(コミック)
出版社
リブレ
レーベル
シトロンコミックス
発売日
価格
¥638(税抜)  
ISBN
9784799712634

あらすじ

暴力沙汰でサッカー部を退部になった才谷は、先生の勧めで天文部に入部する。その部は`淫乱'と噂される但馬先輩一人きり。やる気は無かったが、悪びれず後輩をコキ使う先輩の自由人で無邪気なところに惹かれていく才谷。だが但馬と関係をもつ生徒に「あいつはただの男好きだ」と聞かされ…。
ビッチな先輩に惑わされる後輩の学園モノから吸血鬼やタイムスリップものまで、幅広いカシオワールドがギュッと詰まった心に刻まれる充実の1冊!

(出版社より)

表題作さわらないで、壊れています。

サッカー部を退部になり天文部に入った1年
天文部の部長・高校2年

同時収録作品クロニック

予備校生
予備校教師

同時収録作品春への扉 前・後編

実験ジュ美質で出会った
父親が長期不在の高校生

その他の収録作品

  • その後、つきあった、2人、夏。

レビュー投稿数6

鋭さと柔らかさ。

好きだなぁ。
カシオさんの絵はヒョロヒョロとして、頼りない感じで、ちょっと薄幸そうで、ダダ漏れる色気。

表題作は純な後輩×ビッチと噂される先輩。
これは結局どういうことだろ。先輩はひどいことされたのかな。ほんとに噂に傷ついてるだけなのかな。
書き下ろしのピュアなお付き合いをする二人がかわいい。

生徒×塾講師(吸血鬼)は、学生が飄々として低体温な感じなのですが、童顔でアワアワしてる先生に段々執着してゆく様が萌えます。
あともう赤面顔とか涙とか血とかがエロいったらない。

前後編モノはタイムスリップ親子もの。
一番のクライマックスで幕を引くという容赦のなさ。
もう二人とも初々しくてかわいくて、こんなかわいい話をよくこんな設定にするな!という感じ。
その鋭さが好き!
すごい続きが読みたいけど、どうやっても続きが想像できない。

タイトルといい余計なことは描かない感じといい、カシオさんは全体的にズルい。
そこがどうしようもなく萌えて癖になります。

8

優しい雰囲気の奥にあるもの

夏への扉を探す猫みたいに……
うわぁ、ハインラインだ!
その上、吸血鬼に天文に、そういう細部だけで好み感が漂う一冊。

カシオさん初読み。
全体に繊細で切なく透明感があり、絵もストーリーも雰囲気があるなぁ。

最初の「クロニック」は、エロかわいい吸血鬼もの。
最後はちょっとクスッとしてしまう、
でもよーく考えると非常に執念深い(いや愛が深いw)お話。

次の「春への扉」は「≠ノットイコール」の世界。
禁断の恋、タイムスリップ……
恋の相手はほぼ最初から分かっているのだけれど、最後ちょっと説明調になっちゃったのが残念。
でも切なくも暖かい読後感は好き。

最後の表題昨は、学園もの。
暴力沙汰でサッカー部を辞めた才谷が、入部しようと訪れたのは屋上に部室のある天文部。
そこにいたのは男といちゃつく部長であり唯一の部員である先輩の但馬。

何故天文部は今は活動らしい活動をしていないのか?
何故天文部には誰も寄りつかないのか?
謎は最後まで明かされず、最初読んだ時にはあれ?って感じだったのだけれど
才谷と同じに、分からないけれど信じ、
分からないけれど但馬の痛みに寄り添うという感覚がいいのだろう。

おしまいのSSでは、その後の甘い二人も見ることができます。

柔らかく繊細な絵に騙されそうになるのだが、
どれも実は結構激しさを秘めた世界かもしれないと思いながら、読了です。

4

婉曲な表現が素晴らしい

吸血鬼、タイムスリップ、表題作の先輩後輩の3CP。
極私的ランキングでは圧倒的1位がタイムスリップ、2位が吸血鬼、3位が表題作でした。
以下、収録順に。

「クロニック」
予備校のトイレで吸血鬼に血を吸われた高校生の篁。
吸血鬼の正体が判明してから吸血を条件にからだの関係を結びます。
身体的接触が苦手な篁がどうして何度もからだをつなげるのか。その理由が分かったときには…。途中切ないですが、最後は希望が見えます。

「春への扉」
偶然、実験準備室の扉を開けたハルが出会った青年。
そこに行けば会えるけど、そこ以外では見つからない。ふたりの時間は楽しくて、離れがたくて。というタイムスリップものです。
途中から何となく予感はしますが、やはりそうだったかという結末。
運命は避けられないけれど、行き場のない想いが切なすぎました。

「さわらないで、こわれています」
ビッチと噂の天文学部の先輩と、元サッカー部の後輩。
噂と真実、何が嘘で何が本当か。自分の選択は間違ったのか、何を見落としたのか。
ストーリー的にはよくある設定ですが、モノローグが秀逸でした。

どの話も言葉選びが素晴らしすぎました。
直接的な言葉じゃなく、遠回りして核心を避けるような。
結論にたどり着くまでの逡巡をモノローグで表現するのが卓越です。
ふだん漫画を読まない人にこそ読んでほしい作品です。

0

シニカルでちょっぴり胸が痛いカシオ作品集

本当に、最近どんどんとカシオ作品って進化してきていて目が離せない!
ヒョロっとした線に一瞬頼りなげな雰囲気をまとった登場人物たち。
だけど、そこから繰り出される物語はその絵柄を裏切るように、実にズキンと胸に突き刺さるストーリーを展開させます。
そんな短編が3本入った1冊。

表題は、部員を殴ってサッカー部にいられなくなった1年生・才谷が、全員部活所属という学校方針の為に入った一番楽な部「天文部」で
男なら誰でもヤらせると評判の2年の部長・但馬と出会ったことが始まりです。
題名の「さわらないで壊れています」に反してラストの才谷の言葉は「触ったら壊れそうな気がする」
そう、但馬の自虐だったのです。
切なさがヒシヒシと伝わってきます。
彼がどんなに傷付いていたのか、誰も知る由もなく。
それに唯一気がついたのは、部員として但馬と時間を過ごした才谷だけ。
但馬の友人でさえ、彼を扱うその言動は但馬を救うためだったのか?それとも貶めるためだったのか?
しかし、但馬は多分魔性な部分を持っていて、それに男子が抗えないものを感じるのかもしれません。
才谷でさえ、その紅いくちびるに・・・
サッカー部では暴力をふるってしまったが、但馬にたいしても傷つけたのはこれもまた暴力であったかもしれないと、才谷は真摯に真面目に但馬に接そうとする。
壊れてしまった但馬が才谷によって救われるそんな話だったのだと思います。
キュンというより切なさが押し迫りますが、番外にてういういしい彼等を見られて、才谷の良さがまた光ります。

【クロニック】えろトロ収録。
あの本の中で人外(吸血鬼モノ)だったので印象深く覚えています。
その雑誌のテーマに沿ってものすごくエロいという感じは全くなかったのですが、血に欲情を感じてしまう、という設定を素直に現代のしかも予備校の学生と先生という設定で見せた点がとても斬新でした。
それた忘れらずに医者になって消えた彼を待つ元高校生。
思わずゾクゾクするようなお話でした。

【春への扉】タイムスリップもの
これは、一言でいってしまうと池玲文さんの「ノットイコール」に少し似ています。
実験準備室で偶然出会った見知らぬ生徒。
主人公は彼とそこで会うのが楽しみになる。
主人公には父親がいるのだが小さい時に研究だと家を出てから10年帰ってこない。
ほとんど母子家庭のようにしている彼に、父親が久々の帰国をすると連絡が・・・
筋は書きますまい。
未来をどうしても書きかえることはできなかった。
そんなメビウスの輪のような、運命と呼ぶには過酷な現実が待っている彼等がその後どうなったのか?
予想もつきません。
ああー胸が痛い。。。

このカラーの表紙と中の絵のギャップがありますが、とてもストーリーは秀逸です。
万人にオススメできる作家さんではないですが、ずっしりと手ごたえは感じる作家さんです。

3

やわらかくて淡い

表題作を含めて3作有りますが、切ない感じが好みでした。カラーのイラストも綺麗ですが、モノクロの方が独特の雰囲気を感じます。

掲載順に--(以下ネタバレと感想を含みます)--
「クロニック」・・・吸血鬼と予備校生のお話。一番好みの話でした。
予備校生(攻め)は、淡々とした変わらない毎日に諦めている様な学生。脇役で話しかける楽しそうな友人?(←思わずハテナを付けてしまうほど:笑)と比べると、対照的で夢中になることもなく、誰かとつるむこともなく、とても冷めたような雰囲気です。そんな時に吸血鬼に出会って・・・
吸血鬼(受け)の彼がとても綺麗で、口から垂らす血もエロティックでした。
攻めの余裕がありそうなのに、ものすごく執着してるところも良かったー(////)好み!!

「春への扉」・・・「クロニック」よりも線がガサガサしたような(荒いという意味ではなく)、アナログ風で背景の描かれ方かトーンの削られ方か、舞台が理科準備室という場所だからか、どこか懐かしいような雰囲気を感じました。
ネタバレを読まない方が面白いのだと思いますが、個人的に普段は積極的に手に取るタイプの話ではないので、事前にネタバレを読ませて頂いて助かりました(笑)
切なくて、でも切ないだけじゃなかったので、読んで良かったなぁ~と思いました。

表題作「さわらないで、壊れています。」・・・私の理解力の無さか(笑)1回読んだだけでは「???」だったのですが、他の方の感想を読んで、改めて漫画を読むとわからないですが、こうだったのかな。と考えさせられました。メガネの嫌味ったらしい脇役(当て馬?)が物凄く好みでした・・・。真っ直ぐとした才谷だからこそ、但馬には良かったのかな。
才谷の「本当のことは(気持ちも含めて)当事者にしかわからないと思う」みたいな台詞がすごく胸に残りました。そういうこと、わかってるつもりだったけど、すっかり忘れた自分にガツンと来ました。その後の二人に癒された・・・良かった(*ノノ)

3作共、系統は違うかもしれませんが、絵柄からも伝わる繊細そうで不器用な人たちが、少し切なくて、でも淡いふわっとした何かが残る気がしました。

3

柔らかく儚い線

表題作含め、三作品収録されています。うち二つは、舞台は現代だけれども内容はファンタジー。表題のみが、(他二作品に比べれば)普通の学生BL。
絵柄がものすごく好みです。
少し病んでいるのかなと思うくらいの危うげな感じ。でも、体はがっしりしているし、足に肉もついているし、独特な感じがします。カバーのカラーイラストよりも、モノクロの方がとても好みです。線の太い、細いの滑らかさがとにかく好き。

個人的に、どういうシチュエーションや結果であれ、近親モノが苦手なため、「春への扉」にはややダメージを受けました。どうにも、切なくなってしまうのです…報われなさすぎて…。
でも題材としてはすごくイイと思います。冒頭のモノローグ、【夏への扉】のオマージュですよね! カシオ先生の描かれる絵柄ともマッチしていました。
「クロニック」もそうですが、うつろな目、あぶない感じ、そういう繊細な絵のタッチに惹きつけられます。

表題が「さわらないで、壊れています。」ですが、むしろ全体的にどの作品も少し触れれば簡単に壊れてしまいそうな気がしました。すごく絶妙なところ、心のぎりぎりに在るような世界。
「クロニック」の篁は、江藤と過ごしたあの濃密すぎるほど甘美な時も感触もすべて忘れられないし、そのときに覚えた痛みが今の今までずっと残っているからこそ執念で確実な関係を持てるところに辿りつく。
…この努力とかがすごくギリギリだと思うのです。江藤よりも、篁の方に危うさを感じました。紙一重。
「春への扉」はもちろん春に。二人の関係も、結果どうなったか、にも。春が将来的に壊れないといいなと思いました。切なかったです。
「さわらないで、壊れています。」は二人とも。でも、その後の二人が見れて良かったです。これから、但馬先輩のことをずっと真っ直ぐに愛してあげてほしいです。もう彼が、嘘をつくこともその必要もないくらい、自信を持てるくらいに。望まずにはいられません。

2

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