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あとがきで、先生がおっしゃっているよう
「惚れたもん負け」
その一言に尽きます。
小野塚カホリさんのBLということで
本作もハッピーエンドとは言い難いお話となっています。甘々であったり、そういったBLが好きな方には重い内容であるかもしれません。
内容ですが、幕末から明治時代あたりでしょうか。
ある雪の日、雪の中生き倒れていた少年を、結核持ちの坂田(僕)が拾うところからお話は始まります。坂田が住むのは、大学からの友人で今は医者の羽生が用意してくれた家。
上記にある攻め受けでは
坂田×少年 (個人的には逆な気がするのですが?)
となっていますがわたしとしては
羽生(妻のいる医者で大学からの友人)←坂田 (眼鏡をかけた結核持ちの主人公) をピックアップしたい。
まず、結核持ちの友人に家を用意し、見舞いにご飯に診断に全てやってしまう羽生の、鈍感でできる男の人たらしぶり…
好きな人にこれだけのことをされているのに、その想いが報われないと知りながら、優しさを受け入れる坂田の可哀想で愛おしいこと…
こんな酷いことってありますか!最高ですか!
季節は冬で雪が積もってるというのに、どうしてこうも熱っぽいのか…時代設定や季節も相まって感傷的で耽美な雰囲気に溢れており わたしの性癖にとても…突き刺さります。
とにかく読んでこの世界感を体感して欲しい…
ということで、以下に突き刺ささった台詞を並べさせてもらいます!!!台詞が1つでも引っかかったり突き刺さったりした場合は是非読んでもらいたい…性癖に来るはずですから…!
"大学の頃から彼は文字どおり色のある男だった"
そうだ 僕は もっと小さな 子供の頃から
学校の先生を "恋しい" と思うような 人間だったのだ
「僕は昔 教師になりたくて入った大学で羽生と会ったんだ…その時からずっと… 」
「よしてくれ!何で 君はいつも 僕から大事なものを奪おうとするんだ 君は 君はいつでもわからないんだ いや わからないふりをしてるんだ 僕の気持ちだって」
「僕は 君の愛妻(の作った)弁当が 欲しいんじゃない
君の毎日の 見舞いが欲しいんじゃない こんな家が欲しかったんじゃない 僕が…僕が欲しいのは…」
「普通に女の人が好きな 君が好きで 好きで …好きで たまらない …どういう意味か わかるだろ? きっと君のおくさんにだって 負けはしないよ」
「このまま 二度と 会えなく なるのだけは 嫌だとしか 言えない …もしも もしもそういう時が来た時は その時は一緒に死のう」
ガッツリ ネタばれすみません、
最後に一言
坂田がどれだけ羽生を愛していて、その秘めた想いを熱を解放するか、そこの色っぽさが、たまりません…
普通に小野塚さんの作品が好ましいと思う方なら
併録作を褒めるでしょう。
表題作は小野塚さんの持ち味がしっかり詰まった
一編でありますがそれ故に胃にもたれ易いかと
評者は愚考します。
カバー下のワンカットこそが表題作の行き着く処で
ある筈です。ただ形通りの縁よりは。
短編+表題作の2作品収録。
「メガネをかけて」
ストーリーとしては、アパートの大家の息子・園田が上の階に住んでいる男の元に通ってきていた若い男に惹かれるお話なんだけど、何と言ってもその「上の階の男」が老人であり、その恋人だった若い男は騙されていたのでも金目当てでもなく、真性のジジ専だという…
そしてそのきっかけは何と、自分の本当のお祖父さんが初体験だったという…
ある意味衝撃作。園田の恋は実るのか否か⁈実ってほしいけどね。
「我れに五月を」
昭和初期くらいの設定?
結核持ちの小説家が1人大きな家で療養しているのだが、ある雪の日、庭で少年が行き倒れていて…
…という冒頭。
勿論作家・坂田は彼を助け、いつも自分を診てくれて色々便宜を図ってくれる友人の医師・ 羽生(はにゅう)に彼も診てくれるように頼むが、少年は口を利かず体は傷痕だらけで。
少年は坂田の心の奥底を暴くように坂田に触れてきて、坂田は感じまいとしていた熱を抑えきれなくなっていく…
坂田は羽生が好きなのです。一方羽生は残酷なくらい鈍感な男。
少年の抱えていた悲劇、坂田の喀血など死の匂いもありつつ、ラストはそれほど暗くない。みんな生きていいんだよ、みんな愛を求めていいんだよ。