楽園の蛇 神様も知らない(2)

楽園の蛇 神様も知らない(2)
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神32
  • 萌×222
  • 萌5
  • 中立1
  • しゅみじゃない5

--

レビュー数
12
得点
264
評価数
65
平均
4.2 / 5
神率
49.2%
著者
高遠琉加 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
高階佑 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
シリーズ
神様も知らない
発売日
価格
¥590(税抜)  
ISBN
9784199006999

あらすじ

世界中全部を敵にしてくれ。俺がたったひとりの味方になるからーーー
13年前、二人の孤独な少年が互いを手に入れるために犯した罪。
見逃した過去に囚われてきた刑事が、再び彼らを追い詰めるーーー‼︎

女性モデルの転落死は、事故か他殺か!? 関係者である青年社長・佐季(さき)に疑念を抱く刑事の流(ながれ)。その裏には、新人時代に担当した殺人事件で、彼を取り逃がした苦い失敗があった──。今度こそお前を闇から引きずり出す!! 過去の清算を誓い、佐季を追う流。一方、後輩刑事の慧介(けいすけ)は、佐季の幼なじみの司(つかさ)との関係を深めてゆき…!? 罪の裁きを逃れ、成長した少年達の恋と野望が、時を経て明かされる!!

表題作楽園の蛇 神様も知らない(2)

13?26歳,モデル事務所社長
13歳?26歳,花屋(ガーデナー)

同時収録作品楽園の蛇 神様も知らない(2)

28歳,刑事部捜査第一課刑事
26歳,花屋(ガーデナー)

その他の収録作品

  • あとがき

レビュー投稿数12

最終巻読むのが怖すぎる…

ちるちるユーザーさんからよくプッシュされている「神様も知らない」シリーズを手に取りました。予想以上の名作でした。不朽のBL小説100選に入らなかったのが残念です。BL小説界ではこういう作品が知る人ぞ知る…で普通に埋もれてしまっているのですね…。勿体なさすぎる。

 ドラマになりそうな伏線が張りめぐらされた実に魅力的なストーリーでした。
引き込まれまくりで、ページをめくる手を止められませんでした。DEAD LOCKでお馴染みの高階先生のイラストも素敵で想像力をかき立てられます。
 二巻では、一巻で暗示されていた司と佐季が陽の当たる場所で会えない理由が明かされました。これは切ない…。○○も無い(?)今は、一生涯なんでしょうか。
 
 また二巻は痛烈な展開が待っていました。流刑事の刑事としてのプライドをかけた執念を始めとして、色々な人の事情やしがらみが過去と現在と交差して、物語はクライマックスを迎えます。あまりにストーリー構成や描写が巧みなので、完全にBL小説だという事を忘れてしまい、ミステリー小説として没頭していました。どの人物の視点から見ても共感したり、同情してしまって誰も嫌いになれないです。

 全てを知った時、慧介はどういう選択をするのか。今から涙腺緩みまくりです。佐季も嫌いなキャラでないし、司の事を今どう思っているのか、本心が知りたい。永い時を経て人は本質的に変わってしまうのか、心変わりしてしまうのか。。
最終巻を読むのが怖いけれど、続きが気になって仕方ありません。どういう着地点が待っているのか、、今から受け止める覚悟が必要です…。


5

一巻目を読み返したくなります!

司と佐季の過去のエピソードがメインです。

酷い大人たちに追い詰められていく二人の姿が辛いけど、どんどん精神を病んでいく佐季が怖かったです。
ちょっと白夜行を思わせる感じです。
子どもvs大人(警察)がいい感じにソワソワさせてくれて、流も何かひっかかるんだけど事件は(佐季の思惑通りに)解決にすすんで、思いも寄らないピンチが司を遅い、っなぐあいにどんどんストーリーがすすむのですごくおもしろかった!
時々花言葉や童話や聖書も組み込まれていてそれがポイントにもなり、よくできたストーリーに感動します。
BL抜きに楽しめるミステリー作品です。

このエピソードが一巻目にあってもいいと思いました。改めて「神様も知らない」を読み返したくなります!
3巻も早く読みたい!!!

正直、萌えは少ない内容だけどゾクゾクさせてくれるので「神」クラスです!

あ、流刑事は現代とだいぶ違ってて爽やか熱血マンで口絵もかっこよかった☆

4

二人の聖域

シリーズ二冊目、「楽園の蛇」。この巻はほぼ過去編です、明るい庭先で出会った二人の少年、幸せな子供だった司と膝から血を流していた佐季。
二度と会うこともなかったかもしれない二人は、教会で再び出会います。酷い生活を強いられていた佐季よりはるかにマシではあっても司も追いつめられていて、不幸な少年二人は罪を共有するのです。
財産目当てで司の家に乗り込んで来た、中根寧子の死。司の手がぶつかって階段から転落した事故死なのですが、一つの死の真実を曲げようとしたがために、佐季は父親を手にかけ、二人は二度と表立っては会えないようになります。
いつ果てるとも知れない罪の共有に、秘密が眠る夜の庭。
少年時代の二人に会っていたのは、まだハツラツとしていた流だった。
その頃の流は今の慧介のように、刑事としても人間としてもまだ未熟であり、闇に沈みゆく佐季を光の差す場所に引き戻すけことはできず、ずっと心に留まっていたわけです。
現在に話が戻ると、佐季は更なる野望のためにリサという女と結婚目前です。本当に愛してるのは司なのに。
この巻を読んで、切なくなりました。

1

夜しか会えない人 

司とサキが出会った経緯。過去篇。

サキが偶然迷い込んだお屋敷の子、司。
初めてあった時から、佐希は司を手に入れたかった。
佐希にとって都合よい事ばかりが司の周りに起きてくる。

「子供を闇から引き戻すために、捕まえなければならない」と信念に燃える流一。

佐希が、弱みを握る女性と結婚。
一人ぼっちになる司の心は揺れる。
動揺する司を逃すまいと、必死の佐希。

でも司にとって、夜しか会えない佐希は言葉だけ。
佐希はどんどん闇の深くに行ってしまう。
佐希と関係が過去にあったらしい慧介と出会って、益々揺れる司。

このあたりの心情描写が、凄く良い。

0

文章力の高さと心理描写の上手さに脱帽

小難しいことは言えません。面白かったです。
面白いという言葉が作品の雰囲気と合うのかは疑問ですが、他に言葉が見つからないほど没頭して読みました。
読み手を惹きつけてやまない文章力に脱帽です。

序章にあたる1巻では、1人の女性が亡くなった事件をきっかけに、作品全体に広がる謎を繋ぐ点があちこちにそっと置かれていたような印象がありました。
第2巻目にあたる今作では、謎めいていた点と点が少しずつ繋がりそうでまだ繋がらない絶妙な引きと共に、1巻で登場した人物たちの過去が掘り下げられています。
現在と過去を行き来しながら、1人2人3人…と、複数人の視点で語られる過去と事実。そして謎。
視点が変化することによって読み辛さを感じそうなところですが、全くそんなことはない。むしろ一気にのめり込んでしまう。
掘り下げ方も話運びも本当に上手い。どの人物も魅力的でした。
複雑に絡み合う謎、執着、司の揺れ動く感情と心理描写が素晴らしかったです。

全3巻で描かれる神様も知らないシリーズ。
1巻目でも感じましたが、毎巻読後にすごいものを読んだという充実感と気持ち良さで満たされます。
果たして残り1冊で一体どんな結末を迎えるのか?
早く読みたい。けれどまだ読み終えたくない。
2巻を読み終えた今、そんな相反する気持ちを抱いています。

0

そして、続きます…

ミステリアスな雰囲気のサスペンスもの。
BLとしての面白さというより(そもそも、一体メインカプは誰?と未だに確信が持てない)
絡み合った事件や人間関係で読ませる話だと思う。
そういう意味では、萌えるかどうかは分からないが、序章だった1巻よりもさらに面白い。


前巻での登場人物を整理してみると…

広い庭のある横浜の高台のお屋敷で、花屋を営む司。
彼と幼なじみらしく、共に重大な過去を抱えているらしい、モデル事務所社長佐季。
この二人は肉体関係があるが、佐季が夜中に訪ねてくる他には接触をしない秘密の関係。

偶然司と知り合った、新人刑事の慧介。
慧介とペアを組んではいるものの、単独行動が多いアウトロー刑事の流龍一。
彼は、どうも佐季が関係しているらしい10年以上前の事件を、今も追っている。
流の大学時代の同級生で検事の日置のも気になる存在。

 *キャラバースデーフェア2012に『酒と薔薇の日々』という、流と日置の番外編があるらしい。

慧介は、犬の夜の散歩で知り合った司に惹かれていく。
そして、夜の世界で生きているかのような司も、この陽の光のような刑事に惹かれ…

               :

前巻は、ついに蛇の尻尾を掴んだとほくそ笑む流が「今度は逃がさねえ」と呟いて続くとなっていたが、
この巻では、その過去の因縁の事件が描かれる。
少年時代の佐季と司が関わっていた事件…
それ自体は詳細は別として、大筋では前巻で予想していたものであったが、
それでも先を知りたくて惹き付けられて、ザワザワとしながら一気に読んでしまった。

後半時代は現代に戻り、司の前に、やはり過去の事件の因縁を持つ中根という人物が現れ、
TVで4年前の別荘地の事件と関連する報道を見て、急に流が休暇を取って消え、
音を立てて何かが動いて行く不穏な気配を残して、
待て次巻!!!

               :              

タイトルの通り失楽園がテーマとなっており、
事件の重要なモチーフになっている赤いイヤリングは、あたかも林檎のようだ。
その他「秘密の花園」や「不思議の国のアリス」も作中にチラッと登場するが、私は読みながら、
時がテーマの傑作ファンタジー「トムは真夜中の庭で」(フィリパ・ピアス)を思い起こした。

昼間とは全く違う色合いで目の前に広がる、夜の庭園…


3

心に巣食った闇色

シリーズ2作目、前作のサスペンスの続編も期待を裏切らない内容でしたね。
この続編で佐季と司、そして刑事の流れとの過去の関わりがはっきり解る内容で、
彼らの13歳の時の出来事が全ての始まりだった事が詳細に解るのです。
そして、司と佐季との関係が、佐季の心にいつしか巣食ってしまった闇色の心が、
とても哀れでもの悲しいけれど、追い詰められた子供の純粋過ぎる思いからの犯罪。
生きる事、生存本能とでも言うべき行動だったし、初めて心から欲しいと思った
相手を手に入れる喜びに、空虚だった心が皮肉な展開で甦る、そんな気がします。

司は13歳のあの時に、佐季と出会った事で、全てが変わってしまうが、共に何かを
求めているのは同じでも、育った環境の違いで別の道を歩む感じだったのに、
司が不可抗力で起こした事件がキッカケで二人は自力で引き返す事が困難な道に向かう。
子供にしては賢かった佐季に踊らされる形で間違った事件の解決をしてしまう流刑事。
でも無事に解決した時に何処かがおかしいと疑念に感じてしまった事から佐季に
再び目が向くが、逮捕にまではこぎつけなかった過去。
この過去を踏まえての1作目だったのだと、より内容が理解できるとともに、
司の新米刑事に対する恋心がいかに、タブーなのかが解り、簡単には解決出来ない
内容になっていましたね。

そして、事件は更に複雑化していく事になるんですよね、現在の事件と過去の事件が
複雑に絡まり合って、司の前に現れる事になります。
それがきっと更なる闇への入り口に、破滅への道になっていくような気がします。
きっとこの作品には、素敵なラスト、幸せなラストなんて見えてこない気がします。
それでも、やっぱり、続きが気になる作品なんです。

3

時の流れは

結構残酷。

流さんの、
流さんが、まだ若くて、熱かった、刑事になりたての頃のお話。

この作品、三部作の2作目ってことになっているが、冒頭が佐季と司の子供時代だし、
流さん登場しても、なんか、めっちゃ初々しくて熱血なんで、前作の、あの流さんと全然結びつかなくて、前作をなかなか思い出せなかった。
でも、この過去があった上での、今の佐季や司や流って事で、第三部に話はつながっていくので、とりあえず思い出せないまま読み進めていても特に問題はなかった。
ただ、最後まで読んで、ああ、この流さんが、あの流になるのね、時の流れって、結構残酷って、しみじみしちゃったけどね。

さて、この続き、今度はストーリー忘れないうちに読めるかな。

2

佐季どこまでいくの…?

過去編がスタート。

慧介の上司流(ながれ)が佐季と司に過去捜査担当として出会っていた事が分かります。幼い2人がどこでどう繋がったのかや、佐季が計画した犯行、司がなぜ今あんなにも罪の意識に苛まれているのか、全て分かりました。

半ば予想通り佐季の家庭環境は最悪でした…。父親の暴力、連れ込んだ女にはイタズラされ、空腹も満たされない日々。パンを万引きして逃げた先の豪邸で怪我をした佐季を手当をしてくれた坊ちゃんが司だった、と。
親の愛情をたっぷり受け綺麗な庭付きの豪邸に住む司が佐季にはどういう風に映ったのか…自分とはあまりに違う司に思わず涙が溢れる佐季は本当に不憫で…。
「いつか」と呟く佐季の野心の芽生えのような描写が印象的でした。

数年後2人が13歳で最悪の状況で再会し、犯行を計画するのは同情する部分もあるけれど…うーん。
現実的な事を言うと犯行のアラ(子供が意識の無い大の大人を気付かれずに運べるのか?)が気になるとかあるけど、やはり佐季が司を闇に引きずりこんだように思えて。
事故とはいえ人を殺めてしまった司を「守る」という名目で言うなれば利用し心を支配し、瞬時に自分の父親を殺す計画まで立てる佐季はやはり恐ろしい。
佐季は精神的に司をがんじがらめにして依存させているようで依存していてる。司にちらちら迷いが見えるのがツライ、逃げ出して欲しい!ともどかしかったです。
あと個人的なあれですが、13歳のセックスは詳細に書かないで欲しかった。

良かったのが流が佐季に執着しているのは、過去一杯食わされたからではなく、自分が闇から引きずり出してやらねば、という使命感だった所。こういう真っ当な刑事さんいいなと思います。
…余談ですが日置検事と流は…アレはBL妄想して良いのかな笑?バーでネクタイに手をかける姿、私の想像では色気のある良いシーンなんですけど(電子版には挿絵が無いので全人物想像のみ涙)。

後半から現在に戻るのですが、
事件が佐季の周囲で起きている事を慧介も気付き始めたり(佐季はどれだけ犯行を重ねてきたんだろう?)、司が殺めてしまった女性の息子が訪ねて来たり
いよいよ来る所まで来た感じ。
司はもう引き返せないのかな?早く慧介に打ち明ければいいのに…

前作ではあとがきでややネタバレ感あったので今回は読まずに最終巻読もう!

2

過去はどこまでも追いかけてくる

「神様も知らない」の2巻目。
大きく言えば過去編、となっています。
佐季と司の出会い。
一番最初の犯罪。
そして、その捜査を担当した若き日の流(ながれ)。

丘の上のお屋敷の王子様。薔薇色の頬の幸せな子どもとしての司は。
優しいママが死に、今祖父も病に倒れ、おかしなおばさんが家に入り込んでいる。そして勝手にママの指輪を嵌めている。
仕事をしない父と、父が連れてくる女たち、お金がなくて、お腹が空いて、どうしてこの男の子とこんなに違うんだろうと叫びだしそうな佐季は。
あんな父親さえいなければ。
そして2人は秘密の約束をする。ずっと一緒にいるために。
流は、子供たちの別々の証言で佐季の父親の「自殺」と、ある女性の「事故死」を結びつけます。
若い流の、事件へののめりこみ度。事件のピースがはまっていく時の血が騒ぐ感じ。
犯罪を追う。犯人を狩る。猟犬のように。
そして事件は解決する。しかし、流はかすかに違和感を感じ始める…
佐季に。
流のついているたたき上げのベテラン刑事がいい。流に、犯人を、犯罪を「狩る」のではない、引き戻すために捕まえてあげるんだ、という視点を見せてくれるのです。
この視点が、流の佐季を追い続ける理由となったのだと思います。そしてここが私が惹かれる「情」の視点です。

終盤、司の元に過去が追いかけてきます。
綻びが、まず司をつかまえる。暗い暗い穴の中に引きずられていく司を、慧介は助けられるのでしょうか…

3冊分読んでのこの2巻目の感想としては。
残酷な格差とそれでも惹かれあい引き合う2つの魂の孤独が痛々しい。
そして若き日の流がなぜ佐季を調べるのかの理由が明かされるけれど、まだ佐季の尻尾を捕まえてやる、という視点が強いのかな、と感じます。
慧介の強引な感じはとてもいい。

2

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