目眩

目眩
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神6
  • 萌×23
  • 萌11
  • 中立1
  • しゅみじゃない3

--

レビュー数
9
得点
76
評価数
24
平均
3.3 / 5
神率
25%
著者
谷崎泉 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
藤咲なおみ 
媒体
小説
出版社
二見書房
レーベル
シャレード文庫
シリーズ
目眩
発売日
価格
¥552(税抜)  
ISBN
9784576005683

あらすじ

その美しさゆえに高校時代から欲望の標的にされてきた世界一不幸な男!?…光一。サラリーマンになってもその不運は変わらず…。会社の上司・氷室課長、高校の先輩・三崎、そしてきわめつけは…大学時代にバイト先で見そめられ、以来、愛人関係を強いられてきたヤクザの遠峰…と、ノーマルで地味な人生を歩みたい!と願う光一にはお構いなしに、三人の男たちの彼をめぐる争奪戦は果てしなく続き…。大ブレイク中の谷崎泉が放つ、ジェットコースター・ラブ。

表題作目眩

ヤクザ
22歳、会社員

レビュー投稿数9

不思議な話

萌えとかトーンを書くときに困ってしまうのですが……それ以前に攻めを書くときひとりじゃないんだけど?と思いながらメインをとりあえず書きました。
続きがあるんですが、とりあえずこの巻に限っていうと、このヤクザな攻めが出てくる前にふたりほど攻めが登場。
とにかくトラブルを呼ぶ受けで、本人は本気で嫌がっているのに男から追い回されて押し倒されてしまうと言う。
つまりどこか笑ってしまう要素が。
後書きにも最初に書いたときはもっと笑える話だったと作者が書いているので、元々はギャグだったのかも知れません。
でもこれ、シリアスな話なんですよ。
だからコメディではないけれどシュールな話ではあります。
メインの攻めが登場するのは(日本にいなかったので)中盤です。

受けは自重しろよ……と言いたいのですが、こんなフェロモン垂れ流しの受けって(笑)もしかしたらもの凄く美味しいのかも知れない、読者には。
そのせいで身の破滅する男も居たりしてすごい展開。
その中でメインの男は力ずくで受けを手に入れ、籠の鳥に。
それが嫌で逃げ回る受けですが、もちろん捕まる。

似たような話があったな……と思ったら山藍さんの「ラヴィアンローズ」だった。
受けの被害度がよく似ている(笑)

この巻はコメディとシリアスの境な感じで見ようによってはどちらとも取れる話です。
(もちろん当人達は大まじめですが)
それが次の「2」になると一転、マフィア風味のどシリアスな展開になります。

冒頭の「悲劇と喜劇は……似ている。」に思わず頷く話です。


3

続巻を読んでも読まなくてもOK

電子書籍で購入。
続編の目眩2も含めての感想です。

2000年の作品で、なんと21年前です。
ですが、違和感なくむしろ逆に新しいと感じてしまう作品。
展開が、今のものと違うからでしょうか。

で、感想ですが、続編をタイトルのとおり、読んでも読まなくてもOK。

というのは、否定的な意味でなく、このまま1巻で終わっても完成度が高く充分楽しめます。
ですが、目眩2を読むと、全く印象が変わります。
別のお話になってしまいます。
登場人物の印象も随分と変わります。

私としては、1巻のハチャメチャでありながら余韻の残る終わり方も好きな感じでOKだし、2巻の感動風の終わり方も好きな感じでOK。

どちらでも好きな方をお選びいただければと思います。

1

ハイスぺ攻め達から必死に逃げる美人受け


約20年前の作品ということで(ギャップとか凄そうで)今までなかなか手が出ず…。
表紙の絵からすでに古さを感じましたが、どうしても美人受けが読みたい!と決意し、購入。

ガッツリ総受けで、受けの容姿のレベルが高いので惚れられる男は皆イケメン金持ち。
でも受けは全員を毛嫌いして、平穏な生活を望みます。
それでも次々に現れるハイスぺ攻め。

読んでいて、爽快です。

少し驚いた点は、本命の攻めが登場するのは後半という所。

また、ここは好き嫌いが分かれそう&難点だった点がいくつかあげます。
※ネタバレ含みます。

・「エレヴェーター」「ロビイ」という言葉に少しだけ引っかかる。
・絵が古いのが最大の難点。
 見ないという方法もあるが、どんな構図なのか確かめたいから絵は見たい!というモヤモヤ。
・女性より美しい、という設定なのに絵柄が男性的、思い描く人物像とは合わない。
・登場人物の服装も少しバブリー。昭和を感じる。
・軽くアメリカに行こう、ドイツに行こうと誘う攻め達
・最初のエッチシーンは別の攻めに抱かれる。(衝撃でした)
・攻め妻子持ちでしたが、すでに二人は他界。
・受けが亡くなった妻にとても似ている顔ということで執着。
(もしかしたら次巻で変わるかも)

以上ですが、設定やお話は面白かったです。

お約束の受けがコロッと攻めに落ちることなく、一巻の最後まで抵抗し続けました。

なかなか落ちない受けに攻めたちは燃えます。
1巻では決着はつかないので次巻へ続きます。

ここまで突き抜けているのは、この時代だからこそできたことなのか…。
これだから昔の作品を漁るのをやめられない!

2

最後まで「解らない」(あるいは「不条理」)を楽しむお話、なのでは?

内容は先行してレビューを投稿された皆様が詳しく書いて下さっておりますので、感想のみを。

実際にこんな目に遭ってしまったら大変悲惨なわけなのですけれど、読んでいてそこはかとなく可笑しいと思っちゃうのは、登場人物を突き放した視点があるからなんじゃなかろうか、と思ったりしました。
どんなに焦っているシチュでも、なーんとなく俯瞰しているんですよね、光一クンは。
だから私も傷つかない。「陵辱強姦」なのに。
で、読み終わっても「解らない感」がたっぷり残ってしまう。
すっきりしない。
「光一!それでいいのか?」と大声で叫びたいような、でも、この結果が必然であったような、変な気持ち。私はこの「変な感じ」が残るのが、谷崎作品の骨頂(のひとつ)なんじゃないかと思ったりもしています。

こんなに突き放されているので、ストーリーにもキャラにも萌えませんが、この話のあり方が私にとっては萌え萌えでした。

1

攻め様たちストーカーです

フェロモン垂れ流し状態の受けが、逃げても逃げても俺様攻めたちにストーカーされ、無理やり犯され…ひたすらそういう話です。
悲劇の主人公なんだけど、テイストは甘いです。感じやすい身体を持ってるからセックスそのものは気持ちいいこと、攻め様たちがみんなイケメンで金持ちで愛に満ち溢れてること、などなどのせいで。これ実はたいして不幸じゃないよね~と言いたくなる感じ。

個人的な趣味としては、もうちょいコメディ寄りに作って欲しかったです。あとがきに、同人誌ではギャグ小説だったと説明がありましたが、随所にその名残りがありました。
あるいはもうちょいしっかり「受けの不幸」を描いて欲しかったです。たとえ捕まっても怖い目に合わされるわけじゃないのが分かってるから、追いかけっこの最中もいまいちハラハラしないというか。

でもモテモテ受けです。
受けに成りきって読めば楽しいと思います。
嘆きつつ、金持ちイケメン(みんな俺様ですが)から逃げ回る気分を味わうには最適のお話じゃないかなと思います。

4

悲劇は喜劇に似ている

冒頭にある-「悲劇は喜劇に似ている」-この文章は読んでいる内に次第に分かってきます。

光一[受]は一旦囲っているヤクザ遠峰の元から逃げ出して、住所を隠しこっそり就職してます。
しかし美しく男心を魅かずにはおられない存在の彼は、まず同期入社の男を精神的に追いつめてしまい、次に上司の氷室に狙われます。
そして学生時代から光一を狙っている三崎まで出て来て、光一ピンチーー!
更に香港へと行っていた遠峰が日本へと、そして光一は再び彼の愛人として生きる事となります。
なんつーか次から次へと男が光一に夢中になるんですがそれは光一にとっては不運でしかなくて本人は可愛い女の子と結婚して静かな家庭を築きたいとか思ってる。
まさに悲劇は喜劇に似ている-の部分。
ひょんな事から、遠峰の殺された妻に光一が似ているという事実が分かります。だから愛人にするのだろう、と。
遠峰は、他の三崎や氷室が相手に出来るものではなく彼等は立ち去ります。
そしてまた香港に行く事になるんですが、その時はお前も連れて行くと光一に告げ、次巻へ!!
さらに男を魅入らせてしまうのか~とちょっと楽しみ。

2

谷崎作品の魔性受けの原点?

これは谷崎さん流のコメディなのか?
表紙や硬質なタイトルからいって、てっきりシリアスな方の谷崎さんだと思っていたら、開けてびっくり!
なんでしょう、主人公(一人称)がひたすら男にエライ目にあわされているのに悲劇にならないという(笑

********************
受けは、次々と男に道を踏み外させる魔性の男、光一22歳。
東大出身で、この春大手企業に就職した勝ち組でありながら、目立たずひっそり(この辺りの思考が面白く書かれております)生きるのが希望。

攻めは組の資金管理運用を任されているヤクザの若頭、遠峰。
大学時代の光一を愛人として囲っていました。
そして、中学高校の先輩で初めての相手であるチャラい医大生の三崎。

********************

魔性の受けって、谷崎さんの得意なパターンだったとこの作品で知りました。
いやあ、光一はやたらめったら男を惹き寄せてしまうわけですが、本人のその不本意さといったらないです。(この辺りは後出の作品、ナアレフに通じますね)
本当に毛嫌いしてます。
この辺りがもうひっじょーに、この作品をコメディテイストにしているのですね。
彼の一人称なので、思っていたり感じることがダイレクトに読めるわけですが、女性キャラが出るたびに賛辞してます(笑
性的でなく、もう、心底という感じで。
経験で、男なんてこりごり、虫唾が走ると思っているからなのですよね。
それに痛みに弱いので、痛い思いをするくらいなら一回ヤラしちゃえば良いとなんでもないことのように考えているあたりが潔い(苦笑

一旦遠峰から逃れて就職したものの、そこでも男が二人光一に狂ってしまいます。
しかも三崎とも再会し、だめ押しに遠峰に再び囚われてしまうというあるようなないようなな内容なのですが、これはもう、光一のあまりに眈々とした心情を楽しむ作品かと思います。
これって二巻もあるんですよね。
書かれた時点では決定していなかったようですが。
二巻はなにやら打って変わって、という様相なようです。
萌×2と悩みましたが、今の谷崎さんの文章とはやはり違って少し読み辛いので萌にしました。

2

追いかけっこの連続

フェロモン垂れ流しの受けが4人の攻めを巻き込んでの受難の数々・・・とこう書くと元々ギャグテイストの話なんだなということが分かるのですが、序盤から中盤まで割りとシリアスな感じで書かれているため終盤で突然ギャグになっちゃってアレっと思いました。しかも続く2巻が全体に渡ってシリアステイストなので余計にこの終盤部分だけ浮いて見えます。一貫してくれてたらもっと良かったなとは思うんですが、でもこれ面白いんですよ。攻めが4人もいるので当然エロエロですし、監禁陵辱押さえつけての刺青などやりたい放題です。嫌だ嫌だと言いながらとんでもなく魔性の受けが4人から逃げ倒すので、追われ追いかけが好きな人は読んでてずっと楽しいと思います。

1

久しぶりに再読してみたら、この不思議なお話にハマっていた!

2000年の作品を再読!
谷崎先生の人気作『君が好き』にどっぷりハマった流れで読んだ作品だったんですが!
はっきり言って当時は、本当に同じ人が書いたのか疑ってしまう位に違う雰囲気のお話しだったので、途中で読むのをやめてしまおうかと思い悩みながら読んだ記憶があります。

その時は、もう読み返すこともないだろうと思っていたのに、苦手意識とかは置いておいて、今回本の整理に当たって、もう一度作品を読み返してみました。
意外とこの不思議なトーンのお話にハマってしまいました⁉︎

元はギャグ小説のつもりで書いた作品を、アレンジにアレンジを重ねて文庫化するに当たって、センチメンタル系にしたようなんですけど!
なんというか、読み手によってギャグともシリアスとも取れてしまう作品です。

シリアスだけれど、主人公が陥っていく不幸すぎる展開は、設定から凄いんですけど、そのあり得ないトンデモなさは、ある意味ギャグともとれてしまいます(笑)
そんな混在しているような微妙な作品ながらも、『目眩1〜2巻』で主人公がどういう結末を辿っていくのか⁉︎
冒頭の「悲劇と喜劇は似ている」という言葉を念頭に置いて読んでいくと、結構楽しんで再読できました。

でも、間違いなく好みは割れてしまう作品です。
特に1巻目は、甘さもラブも感じられないような、イタイ系のお話展開です。
読まれる前はある程度覚悟された方がいいかもしれません(笑)

主人公は、東大法学部首席卒業の眉目秀麗な光一。
その美しさから、何処にいっても欲望の標的にされ続け、本人はあくまでもノーマルなのに、何故か男性ばかりにモテてしまいます。

そんな光一に関わってくるのは、会社の同僚•山下に、上司の氷室。
高校の先輩で初めての男•三崎。
そして1番恐ろしい男が、バイト先で見初められ、光一の家族を盾に愛人契約を強いられ続けてきたヤクザの遠峰。

光一に関わってくる男達は、あり得ない位自己中心的。
本人の意思など微塵も考えず、傲慢な程に振り回してくれます。

そんな環境下で生活してきた光一は、慣れているというか、どんな状況になっても大抵冷静で、殆ど諦めも入っているので、普通の無理矢理展開とは違い、悲壮感はあまりありません。

そんな流されに流されっぱなしの光一も、遠峰だけは恐ろしく、常に『逃げたい』気持ちと葛藤し続けます。
諦めるのを待ち続けるも、一向に自分を手放さない遠峰。

光一の弱い場所に『紅い椿』の刺青まで彫らせたのは何故か⁉︎
死んだ妻と似ている理由だけで、光一を側に置いているのか…⁉︎
光一の事を、本当はどう想い、側に置き、抱きつづけているのか⁉︎
そんな分からない恐怖と、縛りに苦痛しか感じられない光一。

そして、三崎はアメリカ、氷室はドイツ、遠峰は香港へ光一を連れて行こうとして⁉︎
遠峰からは逃げたいけれど、結局は誰についていっても、状況は一緒だと苦悩する光一…。
そして追い詰められた光一は、ビルの屋上に上がり⁉︎
それでも、結局は自分で選ばせてはもらえず、遠峰の香港にドナドナされる所で2巻に続きます。

ストーリーもキャラにも萌を感じる事はないんです。
次々光一にふりかかる、悲惨な出来事にただ唖然とさせられ、Hも甘さなんてなく、痛々しさしか感じられません。
でも、不幸すぎる光一の行く末はどうなってしまうのか?
どんなに悲劇が降りかかってきても、その限度が超えてしまった時、光一はどうするんだろうと⁉︎
自分自身の人生をリアルに体感し、喜劇へと一転することが出来るのか⁉︎
興味をそそられてしまうんです。
よく『人の不幸は蜜の味』と言いますけど、その通りだな〜と納得(笑)

1巻目は、光一の遠峰に対する感情は、言いよってくる他の男達とは別格ながらも、『好き』なんていう言葉は存在していません。
でもここまで光一に執着している遠峰には、期待を持ってしまうんです。
特に、傲慢で冷酷、酷い男としか思えなかった遠峰の、最後に少しだけ見せた、遠峰という男の人間味というか…弱さを表す言葉と行動に情を感じさせられました。

この2人の微妙な関係を成り立たせている、不器用さに目がそらせなくなったというか…
上手くは言えませんけど、
「最後まで一緒に見届けてやろう」という気持ちにさせられたんです。
萌はなかったんですけど、どんな形であれ、この不思議なトーンの作品に魅了させられたという点だけなら、神評価かもしれません!
でも、全体的に総評して萌評価にさせて頂きました。
というのも、光一の『僕』という表現にどうしてか毎回引っかかっていたのと、イラストがどうしても苦手だったんです!
お話には、藤咲先生の耽美な絵柄はあっているとは思うんですけどね。
私の中でいう華麗な絵とは違っていたので、光一の美貌が今ひとつ挿絵からは伝わってきませんでした。
好みの問題なのですみません。

まだ2巻に続くわけなのですが、舞台は香港へ移ります。
本当に目眩を覚えてしまいそうな位、光一の不幸は続いていきます(笑)
1巻の不思議な雰囲気はなくなってしまう点では寂しいかも⁉︎
その代わり、光一の感情変化が見所になっていきます!
ただ、その事で賛否両論意見の分かれそうな結末ではあるかもしれません。

ヤクザ&裏組織、『逃げる』という危機迫った人間の心理を堪能したい方、暗く痛い系のお話を好む方は読まれても大丈夫だと思います。
ラブラブ&甘々展開や、読んで萌たい方は苦手系だと思うのでご注意下さい!

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