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キュートな茨城弁男子×まじめっ子の不器用で温かい恋愛ストーリー。
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
表題作は田舎でであった2人の少年のお話。
同性という壁にぶち当たるまだまだ子供の2人が、甘酸っぱくも切ないそんなお話です。
表題作以外にも同時収録作品が3作品入っています。どれも、シリアスで読後感としてはチクッと胸が痛い、そんなお話です。
全体を通して、少年たちが、色んな壁にぶちあたったり、まだまだ大人に振り回されたりする作品でした。大人に振り回されるも、2人でどうにかこの先乗り越えていくのかな...と思えるエンドではありました。幸せになって欲しい...
表題作のきみにうつる星は、おじいちゃん子の同級生、沼尻健二くん×都会から茨城に越してきた高校生、七瀬和也くんのカップリングです。
東京から茨城に引っ越してきた七瀬くんは、クラスメイトの人懐っこい沼尻くんに困惑気味です。
けれど気がつけば一緒にいるくらい仲良くなってしまいました。
そんなある日、沼尻の祖父が突然亡くなってしまいます。
大きな体を丸め和也に縋って泣く沼尻の姿に、和也の心は痛く甘く疼きはじめたのです。
ゲイだった沼尻くんのたった1人の味方がおじいちゃんで、そんな人が亡くなってしまった辛さって本当に計り知れないです。
しかも、恋の動くタイミングが大切な人の死だなんて、なんだか残酷ですよね。でも捉え方によっては、おじいちゃんからの贈り物というか、幸せになれよというメッセージにも見えます。
同時収録は、2人の間の青、夜空の果てまで、七度目のごめんね、恋の淡いの、あふれたら最後でした。
本作は短編集となっていて、著者の小嶋ララ子さんの可愛らしい絵柄や繊細なタッチの描き方によってはぐらかされていますが、精神的に残酷な描写も多々あります。
どの物語もオチに救いがあるから、最後まで優しい気持ちで読むことができるのかもしれません。
うわー
なんか痛かった……
ララ子先生の作品は、
甘さの中に苦さがあります。
あの可愛らしい絵で描かれるからこそ、
余計に切ない……
表題作は、幸せな二人が可愛かったです。
ただ、それだけじゃないんです。
攻めの沼尻は、田舎の無邪気な男の子……
と思っていましたが、時々ちょっと怖かったです。
少し意地悪で独占欲が強かったり、
家族と喧嘩して機嫌が悪かったり。
対して、受けの和成は一貫して情緒穏やかだったような気がします。
ノンケなのにゲイの沼尻が本当に好きで、
ずっと一緒にいたいという気持ちが伝わってきてグッときました。
二人が田舎の偏見に苛まれることなく、
ずっと仲良くいられることを願います……
同時収録作は、どれもクセが強かったです。
特に、『七度目のごめんね』は凄かった。
ほんとに、七つ目のごめんねの内容が……
辛すぎたーーー
忘れられない作品になりそうですTT
どの作品もドキドキして読んでしまいました。
表題作さえ、もしかしてバッドエンド⁉︎
なんて心配してしまった^^;
とにかく、読み応えのある短編集でした!
小嶋ララ子先生は可愛いらしい絵に可愛いお話だけじゃなく、時に痛くて残酷なお話や要素もありますね。
今回のお話も田舎の高校生のお話ですが可愛いだけじゃなく、どうしようもない逃げ場のないやりきれない部分もあって。
「きみにうつる星」
沼尻と和也の可愛らしい恋のお話かと思いきや。
沼尻は両親にゲイバレして唯一の理解者だった祖父を失い。
和也が初恋で好きで好きで。
恋は実っても前途多難な余韻があります。
和也は父に受け入れられましたが転勤の可能性もあり。
ほのぼのしつついつこの均衡が崩れてしまうのか危うさを感じさせるお話でした。
「七度目のごめんね」
母親が酷いですね。トオルが気の毒で人生を狂わされた上にいつまでも責められ続け。
とうとうサトルが母親の所業を知って…。
双子の禁断の関係、部屋に引きこもるトオル、こんな世界からトオルを連れだそうとしたのに。救いはあるのでしょうか。
他の短編2つも報われない恋に必死な男の子が辛い目にあってしんどいです。せめて友達が彼らの救いになりますように。
初めて購入したBL本。
BL初心者にとって読みやすいのか読みにくいのか未だにわからない作品。
個人的にはさらっと読めたけど、わりとシリアスな感じがする。 結構特殊なんじゃないだろうか。
小嶋ララ子先生らしさがある。
色々なBLを読んでもう一度読み返すと、自分はそこまで好きな物語&設定ではなかったし、印象にも残らなかった。
上級者には向かないと思う。刺激が足りなくて
初めて買った小島ララ子さんの作品です。
「きみにうつる星」「2人の間の青」「夜空の果てまで」は話が繋がっていてとても可愛くてほんわかしました。切ない場面もありますが幸せを噛みしめる2人に心が温まります。攻めは田舎弁を話すのですがそれもまた可愛らしくて素敵です!
「七度目のごめんね」は他の方もおっしゃる通り悲しい内容の話です。可愛い絵なのにシリアスな内容で良い意味で裏切られました。私はシリアスが好きなのでこの中では一番好きな話になりましたが、そうでない方には不向きでしょう…。
そして「恋の淡いの」「あふれたら最後」ですが、この二つは正直印象に残りませんでした。ストーリーやキャラも薄く感じましたし何もかもが微妙です。一度読んだらもういいやと思えてしまいました。
トータルとして最後の2本以外は好印象です。「きみにうつる星」〜「夜空の果てまで」は甘すぎず切なすぎず可愛い絵とマッチしたストーリーやキャラでした。そのほんわかとした気分とは逆にシリアス内容の「七度目のごめんね」。私はこの4本が好きなので買ってよかったと思いましたが、本当に人によるかと思います。「可愛い田舎者攻めが気になる」「とりあえずシリアス読みたい」という方にはオススメしたい作品です!
あまりいいストーリーではなかったような感じがします。
全体的に暗くて重いような感じがしちゃいます。
同時収録の「七度目のごめんね」はバットエンドな感じになってるし。
「恋の淡いの」は中途半端な感じで終わってるし。
はっきりいってしゅみじゃないです。
表題作の「きみにうつる星」はハッピーエンドだったのでまだよかったです。
受けキャラの和也の父親が健二と付き合ってるっていっても反対もせずに応援するのがいいかんじでした。。
前々から気になっていた小嶋ララ子先生の作品をはじめて読んでみました。それがこのきみにうつる星でした。絵の感じからしてほんわかしたかわいいお話なのかな~と読み進めていきましたが・・・とんでもないです。最初の話も所々胸にチクリと刺さるものがありましたが、特に2つ目の話には本当に驚かされました。
予想もしていなかった展開に思わず目が点になりました;
何個か話が描かれていましたが全体を当して心にドシーンッとくるものがありました。(シリアスな意味で)でも全然嫌いじゃないです。違う作品も読んでみたくなります。
私はわりとほのぼのカップルが好きなので星4つにさせていただきました。シリアス好きな方にはおすすめの一冊です。
ララ子さんの単行本の中では一番好きなお話「きみにうつる星」
高校生らしさの中に潜む、男同士であるが故に理解してもらえないという苦しみ。しかもそれが自分の親だなんて…。しかし最後の七瀬のお父さんの言葉に読者としては救われました。まだ望みはあるよ、諦めないで、負けないで。そんな気持ちになって涙してしまいました。
自分は普段ならエロ多めの本を好む傾向にあるのですが、ララ子さんのお話に限ってはエロよりもストーリー重視で読みたいですね。ストーリー重視派の方にはぜひオススメしたいです。
小嶋ララ子さん。大好きです。
ほとんどの単行本は読みましたが、この作品が一番好きです!チルチルではララ子さんの代表作は「君とパレード」となってるのでこの作品から入る人が多いんじゃないかと思うんですが、わたしは断然「きみにうつる星」をオススメします!!
ララ子さんについての感想ですが、絵はすっごくかわいいんです。男の子の絵にしてはちょっとかわいすぎるくらいにかわいい。でもかわいいだけじゃなく表情がうまい。とくに切ない表情!!彼らの心が痛いほど伝わってきてこっちまで顔を歪めてしまいます。
そして展開のスピードが遅すぎず早すぎず、ちょうどいいのでストーリーがすっと染み込んでくる。やっぱり恋愛ものってリズムが大事だと思うんですよね、BLに限らずとも。
なにより一番のポイントなのが、台詞回しがうますぎること。言葉のチョイスが素晴らしいんです、ほんとに。台詞だけで泣けちゃう。少女漫画に近いものがあるかもしれません。
表題作の中でとくに好きな台詞を。
「底から感じるジリジリとした熱の音は まるで恋に落ちていく音のようだと思った」
「こわくないなんて嘘だ 一緒にいるだなんてそんな約束無責任だ それでもオレは オレは 沼尻の傍にいたいんだ」
これらの台詞にすごく素敵な絵が合わさると破壊力凄まじいです。
ララ子さんについて語ってしまいましたが表題作について掘り下げます。
沼尻やばいです!!!かわいい!!!(興奮)
明るく振る舞うその内側には暗いものを抱えています。
ネタバレになりますが沼尻はもともと同性愛者なんですね。それが原因で親と不仲になり、唯一好きに生きろと言ってくれていた祖父まで亡くなってしまって。
BL漫画の世界ってなぜかホモ公認だったり、本人たちはさして気にしていない様子だったりというものが多いので、こうして同性愛特有の悩みが語られているのは珍しい気がしました。
和也は和也でとても魅力的なキャラクターなのですが、わたしには沼尻のインパクトが強すぎてあんまり語れないです。すみません。(笑)
同時収録作品の「七度目のごめんね」は痛々しいお話でした。衝撃的すぎて泣いたなあ……。読み返すのを今でもちょっと躊躇うくらいにはショックを受けました。この絵柄でこんなに酷で悲しい話をかくのかと。
誰が悪いわけじゃないと思うんです。もちろんお母さんは許されないことをしたし、サトルも罪を犯してしまう。それでも、お母さんは元はトオルを無条件で愛していただろうし、ただどうにもならない感情が抑えられずおかしくなってしまった。一度崩壊すると戻ることは難しいですから、ずるずるとトオルの存在を黙殺し、そして虐待…。そんな背景があったのではないかな、と。
願わくば、サトルが釈放された後はトオルと幸せになってほしいです。
その他「恋の淡いの」「あふれたら最後」に関してはわたしはあまり印象には残らなかったかな〜という感じです。
設定が好みじゃなかったからかも。不倫とか、ハッテンバとかはあまり趣味でないので…。
ララ子さん、これからも期待しています。
かわいらしい絵と繊細なお話と台詞回し、全てが合わさってララ子さん特有の世界観がつくられていて、それがドンピシャにわたしの好みなので心酔せざるを得ないです。
かわいらしい絵柄が好みで、柔らかくどこか切ないお話が好きな方でしたらきっとララ子さんの虜になると思います!
他の方がたくさん作品自体についてレビューしてくださっているので、個人的に気に入った作品についてレビューします。
ネタバレなので注意してくださいね。
真ん中あたりにある、「七度目のごめんね」。
これをはじめて読んだ日は衝撃でどきどきしっぱなしでした。
サトルとトオル、双子のお話です。
トオルは吃音症でどもったり、うまく感情を伝えられなかったりで、結局は家にこもってしまいます。
そんなトオルを家から出して、ふたりで暮らそうとサトルは進学せずに働くことを決めるぐらい、トオルのことが大事なサトル。
でもある夜、トオルと母のひどい場面を見てしまったサトルは母を殴って警察に入れられてしまいます。
トオルを守ろうとしたのに、サトルのために法廷で全て話すよ、とかかれた手紙。
サトルはどれぐらい泣いたんだろうね。
何年ぐらいでサトルはトオルのもとへ帰れるんだろう。
今は無事に会えたのかな、そんなことが気になって仕方なくなる作品です。
ほんわか可愛らしい絵柄ですよね。
表題作「きみにうつる星」のシリーズは、茨城の田舎の高校を舞台に、茨城弁バリバリのマイペース高校生沼尻と東京からの転校生和也が繰り広げる甘酸っぱくもゆったりした高校生の恋愛物語。
ところどころ切ない要素もあったり、高校生らしい嫉妬とか、家族との関係とかも描写されていて、ほのぼのも胸キュンも楽しめるお話でした。
同時収録作は、他に3作ですが特に「七度目のごめんね」
表題作からの流れで何気なく読み進めていたので、衝撃的な展開にたまげてしまいました。
絵柄がかわいらしいので、余計にダークさが引き立つというか。
個人的には、こういったお話も好きですが、地雷だという方もいらっしゃるかも。
正直に書きますが「七度目のごめんね」が、あまりに痛くて表題作はじめ同時収録がすっとんでしまいました。
双子の兄弟の兄トオルは言葉がうまく話せない。母親はそんなトオルに間違った形で友達を作ろうとしてしまう。
結果、いじめにあい引きこもりになってしまう。
弟のサトルは、普通に高校に通い成績も優秀で進学を進められているが、卒業後は働いて自立しトオルと一緒に暮らしたいと思っている。
サトルとトオルは、実の兄弟でありながら身体の関係があります。そこに恋愛感情があるというより、もっと深い想いがあるように感じます。
引きこもりのトオルにはサトルだけが「世界」で、サトルは自分が絶対トオルに外の世界を見せたい、幸せにしたいと思っている。
そんなある日、目撃してしまうんですね。
自分の母親がトオルに性的虐待をしているにを…。
そにあと起きてしまった事件は仕方がなかったんだろうか。
父親は一回も登場しなかったので家庭は崩壊してたのでしょう。
母親は子供のころから普通じゃないトオルが疎ましかった。
親の愛情を受けられないトオルを、サトルだけが守った。間違った形だったとしても。
そんなサトルのために、どんなに言っても外に出ようとしなかったトオルが一歩踏み出します。
毎日毎日、今度はサトルを助けるために。
ここで終わるので、その後の二人がとても気になります。
知りたいような、怖いような。
でも…、ちょっと救いのある話が、いつか読めるといいなぁ。
とにかくこの短編がよくも悪くも印象に残りすぎました、はい。
絵がとってもほんわか可愛らしいララ子先生♪
3ヶ月連続刊行ということで、すごいですねー!波に乗ってます!!
好きな作家さんなので嬉しいかぎりです♪♪
キラキラしたお話と同時に、可愛らしい絵柄とは意外なこう…ぎゅっと苦しくなるような痛いお話も描かれる先生なので、作品を読むたびにララ子先生の味というか、いろんな発見ができて楽しいです。絵柄だけ見ると甘いお話がメインかな?とイメージしつつも、読んでみると実は意外な展開だったりとそこがまたいいんですよね♪
今回の『きみにうつる星』は、個人的にはやはり表題作が一番お気に入りでした。
表題作でまるまる1冊あってもよかったかも!なんて♪
『きみにうつる星』『2人の間の青』『夜空の果てまで』の3つのストーリーが同じカップルのお話になるのですが、可愛い!キュン!せ、切ない…!→ドキドキ、方言萌えー!曖昧な関係からの…!?→うおぉ切ない、ちょっと苦しい…でも、幸せになってくれよー!といろいろな気持ちにさせてくれる作品、カップルでした。
特に『夜空の果てまで』の最後の方ではちょっぴりうるっとしてしまいまして…。
トントンと上手くいっているように見えても、男の子同士の恋ってそんな上手くいくはずないんだよなぁと、彼らの涙に切なくなりました。
田舎を舞台にした学生BLでしたが、まだ若い男子2人(そして受けは最初は彼女持ち)の恋物語に、「男同士」という壁がぶつかって…
ただ相手が愛しいだけでは上手くはいかない、でも若い彼らにはその「好き」という気持ちだけで今は突き進んで幸せになってほしい。
読み手もそんな気持ちにさせられる素敵な作品でした。攻めも受けも可愛かったです…!
このカバーイラストで作者さまが小嶋ララ子さん。
なので、もっとふんわか系の可愛いだけのお話かと思いきや、、、
表題作、不本意な引っ越しで茨城の田舎に住むようになった七瀬。
何かと懐いてくる沢尻のおかげでだんだんにクラスにもなじんできたのだが、、、。
このお話、最初のうちは、このまま七瀬と沢尻との間に、なんとなくラブが芽生えて、ちょっとしたアレコレがありつつも、可愛く仲良くしていくお話なのかしらって、微笑ましく読んでいたのに、話が進むに従ってだんだんシリアスで切ない方向に。
七瀬のあんなに可愛い外見からは、当初想像が付かなかったような決意に至る展開。
予想外というより、予想の上でした。
他の作品は、短編とはいえ、痛いところだけでちょっと唐突。
もっと長い作品にしないともったいない展開だと思う。
表題のきみにうつる星は、切なくて、それでいて初めての恋にドキドキしちゃうような
高校生同士のちょっと素朴だけど、真剣な10代の苦悩や思いが伝わる作品。
感動系のお話が好みならきっと大満足の1冊になるのではと思います。
しかしながら、私個人の嗜好にはなかなか引っ掛かりが無くて、作品自体の痛さの方が
心に残ってしまい、救いを感じ取るまで深く読み込めない感じですね。
やっぱり、シリアス系は苦手なんだとこの作品を読んで再認識。
でも、個人的な嗜好なので、作品自体の繊細な心の機微なんかは凄いなぁ、って単純に
思えるのですよ。
ほんわかしたイメージのイラストに、色んな感情をのせてるイメージです。
可愛らしい絵柄がキュンキュンさせるララ子さん作品、いつもその中にとても切ない感情や状況が組み込まれていたりするのですが、今回は、チクっと痛い。
特に2本目の『7度目のごめんね』はバッドエンド気味のとても悲しい展開が待っているので、その後の2本も救われてはいるけれど、そのラストに至るまでが痛い場面を通過するので、かわいらしさだけを見て表紙でこの本を追ってしまうと、中には地雷を踏むことになる人がありうると思うので、ご用心召され。
しかし、自分は、こういう悲しさや切なさもララ子作品の特徴だと思っています。
表題は、都会から田舎に越してきて毎日がつまらない高校生の主人公・和也に、親しく話しかけてくる同級生がいた。
彼、沼尻はおじいちゃんが大好きでおじいちゃん子で育ったらしい。
うっとうしいなと流していたところ、ある日沼尻が学校を休む。その祖父が亡くなったというのだ。
先生に頼まれてプリントを持参した和也に沼尻は涙を見せて、研究をしている和也の父親に頼んで死んだ人を生き返らせる薬を開発してほしいと和也に訴える。
かれの悲しみを理解した和也は、それから親しくなり、キスもする仲になるのでした。
普通ここでキュンする学園生活や恋人同士のスレ違いとか、そんなモノがあるのかな?と思うのですが、登場するのは、沼尻のマイノリティの問題です。
彼のいきなりのリアルを見せつけられて、このキュンが楽しいものだけではないことがわかるのです。
親に理解を得られなくて傷を作って登校してくる沼尻。
以前、作者さんの作品で「あの子とジュリエット」という駆け落ちをする話がありましたが、今回のほうが主人公たちが現実を突きつけられて真っ向から立ち向かっています。
これが田舎を舞台にした、田舎であるがゆえの保守的考えと、都会から来たというリベラルな考え方の違いの対比というのではないと思いますが、何もない茨木という舞台設定は、多分そういう意味合いも出しているのだと思います。
そんな切なさを含んだ作品。
まだ主人公たちは16歳。
沼尻の必死な気持ち、幸せが先にあるといいなと願いつつ。。。
【7度目のごめんね】
サトルにはひきこもりの双子のあにトオルがいます。
勉強ができて進学を進められているサトルは、卒業したら就職して自立してトオルと二人で暮らすのを目標にしています。それには深刻な理由が。
母親のトオルへの育児放棄。サトルへの性的虐待。彼等が置かれた状況はとても悲惨です。
なのにトオルを守ろうと必死なサトルの姿を見たトオルは。
実際にありそうな話で、でも目を背けたくないお話です。
萌えとは違う次元のララ子さんの秀作だと思います。
【恋の淡いの】
自分がいないと何もできない、そう思っていた幼馴染みの佐伯は、教師と付き合って学内でエッチをしていた。
百合川はそれを見て佐伯に問いただすと否定もせず、しかし教師は遊びだといい。
それが学内に知れ渡ったとき教師は言い逃れをし、佐伯は裏切られる。
淡い純真な恋心が弄ばれて傷つくお話なんだけど、百合川はきっともっと彼をしっかり守ってあげるに違いないと思うのです。
【あふれたら最後】
東京漫画者の女装男子のアンソロに載っていた作品ですね。
一度関係をもってすっかり彼に熱をあげ、それ以来出会ったハッテンバで彼を健気に待っている友人の瀬川。
オカマとの争いもあれば、無体なセックスもあり、ボロ雑巾のように扱われる瀬川だが、痛い目に合わないと、自分の目で確かめないと実感できない、恋の必死さの話だったと思うのです。
この表題外の登場人物たち、みな不器用に生き過ぎるよ!
でも、不思議とそこに怒りはありません。彼等の必死が伝わってくるからです。
それはきっと誰かがきっと見ている。
誰にでも、きっと自分だけの人が現れる、そんな話ばかりだったのかな?という気がしないでもないようなー。
3か月連続刊行ということで!
先日、ようやっと購入し、何度も読み直して、気持ちが落ち着いたので改めてレビューを書かせていただきます。
リスペクトしてやまないララ子さんの新刊本……今回も、ちょびっと泣いたり、ほんわかした気持ちになったり、感情がぐらぐらと揺り動かされるお話の詰まった一冊でした。
「きみにうつる星」~「夜空の果てまで」
もうね、なんていうんでしょう。
恋って一筋縄じゃいかないよなあ、と思わずにはいられないです、はい。
相手を好きなだけじゃダメで、
気持ちが一方通行でもダメで、
それでも「好きだ」って想いを胸にひたすら前を向こうとする姿勢というか、勢いというか、そういうのは学生だからこそできることなのかな、と思ったり(いや、私もまだ学生ですけどもね)。
内容としましては、表題のお話が3話分で一応、ENDという形になります。でも、これって終わりというより、二人がやっと同じスタートラインに立ったとしか思えないんですよね……。
主人公の七瀬は、茨城に引っ越してきて、まあ、温度差というかね、クラスにうまくなじめないんですけど、同じクラスの沼尻に話しかけられたことがきっかけになって、やっと溶け込んでいく形になるんです。おじいちゃん子の沼尻と話しているうちに、「こいつ、ヘンだ」って思いながらも、人を気遣えるいいやつだって認識が芽生えていくんです。
ところが、まあ、色々ありまして、お互い、心に深い傷を負ってしまうんですよ。その傷を埋めあうように、1話目のラストでちゅーをすることになるわけですが、このとき、相手を「好きだ」とはっきり自覚しているのは沼尻のほうですね。ここがうまく2話目に繋がっていくので、もう、もう!読んでいてきゅんきゅんしました!
2話目では、同じクラスの女の子と七瀬の距離が近付いていくことに嫉妬しちゃう沼尻が描かれるんですけどね。なんというか、あまい!展開があますぎる!というか。嫉妬くらい、そりゃあ、誰だってするでしょう、とも思うんですけど、BLだと殊更登場人物の気持ちがピュアなものに見えてしまうというか。ただでさえ、七瀬くんはそれまで女の子と付き合っていたわけで、最初から男の子が好きって子ではないんです。不安にもなりますよね。
もしかしたら、って。
俺じゃダメかな、って、
一緒にいられないのかな、って、
相手のことを好きな分だけ、考えてしまうんでしょうね。
沼尻選手、女の子に対してあちゃー!としか言いようのない暴言を吐いてます。これ、素で言われたら私だって泣きますね。
とはいえ、そんなこんなで二人はA体験からBにCにといくんですけどね?(古い)
そうは問屋が卸さないようでして、3話目に続きます。
なんというか、BLって最近、漫画だけじゃなくて、小説だったり、ゲームだったり、媒介は違いますけどひとつのジャンルとして確立してるじゃないですか。でも、これって、本当に女の子向けというか。言い方は悪くなりますけど腐向けというかね、「女の子にとっての少女漫画」ならぬ「男の子にとっての少年漫画」にはなってないんじゃないかなあ、というか。恋愛におけるバイブルというか、そういうニュアンスのものには程遠いかな、というか。
実際問題として、BLもGLもありの世の中ですけど、親や友達を含めた人間関係の中で、誰かに理解してもらうことって、実は結構、できないことなのかな、とか。
沼尻は自分がゲイだって自覚したときに、不安になって、思わず両親に相談するんですけど、拒絶されてしまうんですよね。
私の友人にも、男の子が好きだって人がいます(もちろん、こういった公の場で私が公言してもよいと言ってくれるような、素敵な人です)。高校生のときの恋愛なんて、付き合って1か月もすれば御の字、AだのBだのくそくらえ、とりあえず彼氏(彼女)がいるだけでめっけもん、というか、そんな淡白な付き合い方をする子ばかりでして、作中に出てくる、「一緒にいるだなんて そんな約束 無責任だ」って言葉がもう、心にぐっさりと刺さったというか。ああ、そっか、そういうことだよね、と納得。
百年先のことなんて誰にも分からないけれど、だからこそ一緒にいたいと思える相手がいることは、たとえ一瞬のことでも幸せなことなんだ、と。
友人いわく、自分がゲイだと自覚すると、中々うまく恋ができないそう。臆病になってしまうようです。相手に自分の気持ちが受け入れてもらえるかどうか……まず、最初の難関がそれだからです。
七瀬だって不安がないわけじゃないんです。沼尻のことは大好きですけど、将来のことを思えばどうなるかなんてわかりません。ゲイに理解のない人を説得する方法なんて、16歳の高校生に分かるわけもないんです。
それでも、こんなふうに純粋に(あまり好きな言葉ではないんですが)相手を想える人にこそ、幸せになってもらいたいなあ、と、思わずにはいられなかったです。
あと3作載っているんですけれども、そちらのほうは是非ともご購入してからのお楽しみにしておきたいのであえてネタバレはしません!
ちょびっと痛々しい描写はありますが、それでもララ子さんの繊細なタッチで描かれるキャラクターたちは、必死に、懸命に、不器用に、恋を知って恋をする、ピュアでやさしい人たちばかりです。
来月に刊行される新刊が待ち遠しい!今後とも、要チェックの作家さんです!