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愛を弄ぶ闘牛士・ユベール×愛に怯える美貌の神父・颯也の禁断愛!!
ai no Matador
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
破滅的な闘牛士×臆病儚げ神父
神父が嫌い×闘牛が嫌いなことを隠して体の関係を…
すれ違い、考え方の違い、お互いの生と性のトラウマ、
死にたがりな2人がヒリヒリ変わってくの良い。
死を看取れって重い!!!(スキ)
2人とも抱えてるものが拗れてて、それゆえなのか皮肉っぽい態度で、
駆け引きめいてるとこにドキドキしました。
ずっと体だけで気持ちを抑えていた分、
ひまわり畑での優しい情事がとてもとても良かった…
死と隣り合わせだからか、特別な高揚感があるからか、
闘牛に魅せられた人の深みがとても素晴らしかったです!!
闘牛好きの作者が贈る、熱狂的な闘牛の世界と、生と死、過去と未来、そんな感情が
この1冊に詰まっているような作品だったように感じます。
作者の闘牛ものと言えば、新しいところで、今年の初めに発売された作品も思い出す。
既刊の「神に弄ばれた恋」も闘牛のお話で、ムービックから発売になっているので
まるっきり別物なのですが、今回の作品には実はその時の主役のサタナスもちらっと
出ているのですよ。
同じ時代にこれほど破滅的なマタドール(闘牛士)が出ているなんて仮想でも凄いですね。
神に弄ばれた~は、恋愛色の濃い内容だったのですが、こちらは受け攻め様双方が
心に傷を持っている、トラウマ持ちさんなんです。
双方とも心に人には見えない程の暗い闇を持っている感じで、シリアスで悲しい内容。
それでも、最後には希望が見えてくる、そんな展開になっていました。
攻め様は闘牛士で、今人気が出ている華やかなオーラがありながら、死を恐れる事も無く、
死神に取り付かれているような攻め様を愛した者は命を失ってしまうと言う不吉な
事を当たり前のように囁かれているのです。
そして受け様は修道院にいる神学生なのですが、トラウマ的には断然こちらが深い。
日本で暮らしていた時は刑務官をしていた受け様が、少年鑑別所で知り合った青年の
相談を受けるうちに、次第に相手から依存され他挙句レイプまがいの関係になり、
優しくて弱い受け様はそんな関係を続けてしまうが、上司に相談したことで、
最悪の事態になり、日本で神父をしていたフリオに誘われ、全てから逃れるように
スペインにやってきて、神学生になる。
そんな二人が運命の悪戯のように酒場で知り合い、身体だけの刹那的な関係になる。
1夜だけのつもりが数か月続く事になっても互いに名前しか知らない。
攻め様は抱き合う相手が闘牛士と聖職者以外だったら誰でもいいと告げ、受け様は
殺しをするような闘牛士以外ならいいと抱き合う。
モロに二人とも自分にとってダメダメな相手だったりするんです。
攻め様は死神に取り付かれているように酷く歪んでいて愛なんていらないと・・・
でも、受け様は攻め様自身も気が付いていない思いに気が付き、名誉と栄光を
最高の形で手に入れる為に闘牛場で死を願う攻め様に生きる事を願う。
その為なら何でもすると攻め様に無償の愛を捧げる事を決めた時、受け様は優しく弱い
存在から優しく強い存在へと成長する。
受け様に生きる事を願われ、愛していると告げられた攻め様は受け様の言葉を聞き入れず
自分から手放してしまうが、何故か大事なものを失ったように心が軋む。
死を望む攻め様と生きる事を願う受け様、ラストはハッピー系だけど、
攻め様の仕事を考えると怖いものも感じてしまうけど、受け様の為に、
受け様を感動させると言う喜びを手に入れた攻め様ならきっと輝ける未来が見えるかも
なんて感じさせてくれるようなお話でした。
闘牛士×神父。
う~ん、、これも華藤さん作品の鉄板職業ですが、まさかの組み合わせ!
常に死と隣り合わせの闘牛士と、人の生き死にに寄り添う神父だなんて因縁すぎる関係で、ワクワクしておりました。
スペインの、その状況描写がいつもの如く目の前に浮かびます。
ジリジリと暑い太陽に乾いた風、アンダルシアの大地に広がるヒマワリ畑。
セビーリャの柑橘の匂い。
そしてなにより、闘牛士が牡牛と対峙するその姿の描写は脳裏に動画となって浮かぶほどに、臨床感溢れます!
脳内ですでにプチスペイン旅行が始まります♪
その中で展開される、何か”スペインの影”をイメージさせる主人公たちの関係。
この雰囲気作りは一級品ではないでしょうか?
南部アンダルシアの寂れた酒場で出会ったユベールと颯也。
互いの身分は明かさず、ユベールは闘牛後の身体を鎮めるために、颯也は自虐の為に、それぞれの思惑が一致して関係を結びます。
それは一晩で終わるはずだったのに、4ヶ月も続きます。
颯也には日本を出てきた過去と理由があります。
その世話になった神父への負い目もあり、もしこのままユベールにのめり込んでしまったらという危機感から、セビーリャ行きを決め、恋人にならないかというユベールに別れを告げるのでした。
しかし、颯也の勤める修道院の守護聖母が守護であるマタドールとしてユベールと再会してしまうのです。
死ぬ為に闘牛をするというユベールと、
自分は死んでもいいと殺してほしいと望みながら、死と隣り合う闘牛が過去のトラウマを呼び起こすために嫌いな颯也。
寄り添いながら、スレ違いながら、そして彼等は一体どうすべきなのか、自分がどうしたいのか、道を見つけるのです。
彼等の仕事、生き方、それが恋愛と結びついています。
死にたい、殺してほしいと思うのに、過去の贖罪と負い目から死ぬこともできずに、贖罪に身を費やすことで生きている颯也。
過去がどんなであれ、やはり彼は人を愛したい、愛されたいのです。
ユベールは一見、強い意思の持ち主で「闘牛場で頂点を極めた時に死ぬ」とそれを目標に死ぬ為に闘牛をしているのは、それは強さではなくて、彼もまた自虐なのです。
父親に植えつけられた呪いのようなトラウマ。
欲しいものが何か分からず、あがいている人でした。
二人とも、生きている意味を無くし、それでもそれなりに理由をみつけてこじつけて生きている人たち。
ユベールも颯也も自分を痛めつけて、傷つけて、
ユベールは外へ放出するが、颯也は内にこもる形で、と形は違えど同じモノを抱えていたのです。
それは「愛されたい・愛したい」という願望。
ベクトルは違えど同じだったのです。
結構最後までスレ違いがありましたので、ユベールの覚醒が本当のラストに近い部分でハラハラしましたが、ちょっとそこが寸詰まりだったか。
しかし、颯也との関係の中で彼等は十分に言葉を交わしていますので、それまでの過程と苦悩があるので、そこは目をつぶりましょうw
一応、甘い結末が待っていましたが、主人公たちが「自分の役割」「自分が目指すもの」を見極めるそれぞれが本当の意味で過去から脱皮して旅立つ姿になっているのは、好ましいエンディングでした。
この本の中で、大してページ数は費やしていないのですが、アンダルシアのひまわり畑の中での青姦シーンが素敵でした☆
もう一つの闘牛士モノ「神に弄ばれた恋」で主人公だったサタナスもちょっとだけ顔出しw
レーベルが違うからですが、もし、朝南さんが生きてられたらこの本も挿絵を・・・なんて考えてしまい少し淋しい気持ちも・・・
でも葛西リカコさんのこのカバーイラスト、とても素敵です!
この作品も前作と同様、『闘牛本・味付けはBL風味で』と言っていい程に、今回も熱い闘牛との死闘の戦いの描かれ方は、他では類をみない程の臨場感・躍動感に溢れています!
マタドールの挿絵って、他社で出ている『神に弄ばれた恋 ~Andalucia~』で朝南かつみさんがあまりに素晴らしく、いったい誰がこの華藤さんの熱い思いが多分に注がれた濃~い闘牛の世界と、ドラマティックに展開していく読ませるストーリーを表現出来るだろうかと一人心配していましたが、挿絵が葛西リカコさんと分かり、実際に読んでみて納得も納得でした!
繊細に表される葛西さんの挿絵が、なんとこの奥深い世界を表現していることか。
挿絵は重要ですよねっ!ということがよく分かりました。
この作品には前作に出ている隻眼闘牛士・サタナスや次の闘牛作品に登場しているロサリオも出ています。
順番に読むとロサリオは周りからこう見られていたのね、とかサタナスとユベールの間にある正闘牛士同士のつながり・絆なんかが垣間見れます。
普通に生きている男性同士の友情とは違う、常に死と隣り合わせに生きている闘牛にすべてを懸けた男たちだからこそ!みたいな会話に私は魅せられてしまいました。
もちろん、ユベールと颯也の切なくも深く絡まり合う恋愛模様も良かったです!
お互いに深い傷のある過去を抱えながら、時には隠し、時には打ち明け、時には突き放し、どんなに辛くともやっぱり譲れない信念があって、自分はその信念に支えられ生きてきた、簡単には変えることができないという葛藤が見事でした!
突き放し突き放され、しかし最後にはやっぱり相手を思う気持ちを理解しようとする過程が闘牛というものを通して描かれ、読ませます。
あ~、もうスペインに旅行に行ってみたくて仕方ない!
熱風で乾いたひまわり畑の脇をドライブし、冷えたサングリアを飲み、闘牛観戦に熱くなる!!
最高じゃないですか!
なんとも言えず蠱惑的な世界観。
スペイン。
死と戯れる闘牛士。
咎を背負って日本から逃れてきた神学生。
光と影。
生と死。
太陽と闇。
それらの激しい対比と呼応するかのように、反発しまた惹き合うねじれた激情。
物語は両視点で進みますが、主に受けとなる日本人神学生・颯也が主人公と言えると思う。
颯也の背負っている過去は実に壮絶で、日本から逃れても、神に仕えつつ男と寝ても、魂はいつも忘れられない罪悪感に塗りつぶされて。
一方傲岸不遜な闘牛士・ユベールは、スペインにおけるフランス人としての侮辱を受け、それらを全て飲み込み攻撃的に生きる。
闘牛士としての栄光の瞬間に死ぬ、そしてフランス人闘牛士がスペインで最高の闘牛士となって称えられる矛盾をスペイン人達に突きつけてやる…
正に冷静と情熱。
もちろん本作はBLであって。
血を恐れる颯也は牛を殺した日に自分を抱くユベールに惹かれ。
死を死とも思わぬユベールは、死んで伝説になるなんてつまらないと涙する颯也を一度は突き放すが。
結局2人の愛は成就し、生の素晴らしさを掴む結末になります。
日本から遠く離れたスペイン。
その旅情、憧れの風景。
情熱的な風土、心を揺さぶるフラメンコの旋律。
太陽に煌めく闘牛士の衣装。荒ぶる牛の角。舞い上がる砂。湧き上がる歓声。
バイクで疾走する美しい東洋の男の、白く香り立つ肌…
とにかくゾクゾクするほど蠱惑的な舞台装置。
だからこそ、あまりにもドラマチックすぎて…
映画を眺めているような気分。
文章はきらびやかで題材はもはや耽美。基本的にこういうのは大好きです。ただただため息が出そうな読後感。「萌x2」で。
マタドールシリーズの新作がランクインする中、
まずは第一作からと手にとってみたのだが、
ドラマチックな表紙の美しさにウットリ!
構図も、マタドールの衣装も聖職者の衣装も、素敵。
夜の酒場で出会って身体を繋ぐ、二人。
一人は、自分の過去への贖罪の為にだけ生きている日本人神学生・颯也。
もう一人は、スペイン中を熱狂させている若きマタドール・ユベール。
それぞれ経緯も向け方も違うが、死ぬ為に生きているような二人が
快楽の為に抱き合ううちに、互いに執着し、
いつしか本気になって、やがて生きることに目を向けられるようになるまで。
闘牛シーンは、臨場感があって素晴らしい。
ユベールも颯也もキャラクターは悪くないけれど、
最後の本人達が死から生に転換する下りが、なんだかあっけなくて
物足りなかった。
※読みながら、非常に気になったことを一つ。
途中で、颯也は叙階されて神学生から助祭になるのだが、
カトリック教会では助祭は神父ではない。
そして、告解は司祭(=神父様)のみが聞くことができる。
彼が神父様と呼ばれる事にも、それを否定しない事にも
ものすごく違和感を感じるが、まぁ、なんちゃってだしなぁ……。
このマタドールシリーズ、違うレーベルでもう一冊
「神に弄ばれた恋 ~Andalucia~」というのも出ているようですね。
今作にチラッと出て来た、闘牛士のサタナスが主人公のようです。
出版順ではこちらが一番先のようですので、次はこれを読んでみようかな?
闘牛シリーズ2作目は、闘牛士×神父見習いで年下攻め。
攻めのユベールは、頂点に立った瞬間死ぬ、彼を愛した者は命を落とすとの予言を受けたいわくつきの闘牛士。
傲岸不遜ながら、生い立ち故の影ある佇まいにどこか儚さを感じさせる人物です。
受けの颯也は、元は日本で刑務官として働いていた人物。
少年鑑別所で知り合った青年が颯也に依存するあまり目の前で自殺してしまい、それ以来聖職者として禁欲生活を送っています。
こんな二人がスペインの酒場で一夜を共にし、後日再会し互いの正体を知る。
死にたがり同士が互いにぶつかり合いながら次第に「生」に転じていく様がドラマティックに描かれます。
ただ、ユベールの中での颯也への気持ちの変化が独りよがり的である点と、
最後の最後で二人の心が通じ合う展開がかなり急ぎ足になってしまった点が残念。
既に他の方が書いて下さっていますが、助祭の颯也が神父扱いされていることにも違和感でした。
更に、スペイン在住の日本人神学生という設定自体にもあまりピンと来ず。
経緯は一応描かれていますし、外国人×日本人という組み合わせ自体はBLでは珍しいものではありませんが、気候や風土、闘牛といったスペインならではの要素をここまでリアルに描いた作品に、無理に日本人を登場させる必要性は個人的には感じませんでした。
ちなみに本作に登場する闘牛士・ロサリオも、彼がメインとなる『裸のマタドール』では日系人ということになっており、そこはかとない大人の事情を感じさせます(理央も作品自体も大好きですが、初読時は少々戸惑いました)。
全体として、本書単独ではやや物足りなさの残る読後感ですが、同人誌でユベールの父親世代の物語(『3P』参照)を読むと、ユベールに対する見方もやや変わってきます。
自身が知ると知らざるとに関わらず、亡き闘牛士たちの呪いと希望と愛情を一手に背負い闘牛場に立つユベール。
何も知らぬままパブロを側におく現在のユベールを思うと、立派に育ってくれて良かったと大変感慨深い気持ちになります(誰目線?)。
ちなみに、同人誌『生と死』には本作品の元ネタとなる短編が載っており、そちらは同じ年下攻めながら攻めがもっと健気。聖職者受けの未亡人ぶりも色っぽく、こちらの設定で話を膨らませてもそれはそれで良作になっていた気がします。